2022年阪神ジュベナイルフィリーズ【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着リバティアイランド(2.6倍)2着シンリョクカ(53.9倍)3着ドゥアイズ(44.5倍)

レース名第74回阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)
日程2022年12月11日(日)
優勝馬リバティアイランド
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム1:33.1
馬場
3連単配当178,460円

2022年阪神ジュベナイルフィリーズ - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
1リバティアイランド1:33.1-
2シンリョクカ1:33.52 1/2
3
ドゥアイズ1:33.5クビ
4
アロマデローサ1:33.63/4
5ミシシッピテソーロ1:33.81
単勝9260円
複勝9140円
複勝3910円
複勝13560円
枠連2-53,920円
ワイド3-92,540円
ワイド9-131,580円
ワイド3-1315,800円
馬連3-97,550円
馬単9-39,980円
3連複3-9-1364,960円
3連単9-3-13178,460円

2022年阪神ジュベナイルフィリーズ- レース後コメント(騎手/厩舎)

「この馬の取りたいポジションを取って、リズム良く走らせました。能力の高い馬ですので、気持ち良く走ってさえくれればと思っていました。無事にこの馬らしい走りを見せられた。前回、いろんなことを学びながらの競馬にした分、負けてはしまいましたけど、とてもいい内容で学んでくれていたので。それを今回必ず生かすことを念頭において、とてもリズムよく競馬できました」

※優勝した川田騎手のコメント(リバティアイランド)

2022年阪神ジュベナイルフィリーズ - レース結果動画(YouTube)

2022年阪神ジュベナイルフィリーズ - 回顧

有力馬同士の争いに関しては、もうスタートで決着がついてしまったようなところがある。

土曜競馬には参戦できなかったものの、午前中から存在感を示していた川田騎手は、ここまでの2戦を踏まえて、我々の考えている以上のベストコンタクトで、リバティアイランドを勝利に導いたような好発であった。

外枠の方が、スタートの課題を克服できる可能性があるという見立ても多かったラヴェルやウンブライルらは、出も今一つだったが、序盤から展開が速くなったことで、ついていくことができなかった印象。

総合力の面でも、勝ったリバティアイランドの完成度というか、持ちうる引き出しの数がまだ少なったというところだろう。

何も気を揉むこともない敗戦だが、トラックバイアスが極端だった秋競馬の中では、そこまでの極端な内有利の馬場ではない。

勝ち馬との現状の力の差は、認めざるを得ない。

現に、リバティアイランドは能力の差はあったとはいえ、正攻法で大外を悠々の独走だった。

内にモタれたように見せたのは、まだ完成手前ということと、まだまだ前走間隔中5週というのもタフだったのだろう。

とはいえ、レースラップを前後半で割ると、

45.2−47.9

→1:33.1

この激しいラップを中団から正攻法の外伸び独走は、決して楽ではない同時に、新馬戦のあり得ない31.4秒の上がりに対し、この日は35.5秒。

単なるキレ馬ではないことを、この大事なレース、それも好メンバーの争いで繰り出せた末脚を、我々は信ずるべきであろう。

こういう展開で沈んだ経験のある川田騎手だからこそ、前走の仕掛け遅れにも見えた作戦は、価値ある予行演習であったと再度証明したことも、人馬の評価がさらに高まる要素となるだろう。

勝ちタイムに関しても、堂々の歴代2位タイ、あのソダシが一昨年サトノレイナスとの激闘を制した際に記録したものと同タイム。

しかし、

46.8−46.3

→1:33.1

独走能力では歴代屈指のテイエムオーシャンやその前のメジロドーベル、ヒシアマゾンらかなり古いところを押さえるまでもなく、ブエナビスタの2馬身半差完勝と同着差。

相手どうこうではない魅力を、ここぞの舞台でこそ見せつけた彼女たちは、言わずもがな、翌年もヒロインとして君臨している。

問題はどこなんだろうかと、外枠で自滅気味に敗走に甘んじた人気勢に対し、異様なタフさと勝負強さで穴党のみならず、興奮される要素となった2着のシンリョクカについて、ちょっと展望を見ていきたい気もしている。

キャリア2戦目で突っ込んでくる伏兵は、大昔からたまには出てくるが、知られるように、このレースは栗東トレセンからも決して近くはない阪神競馬場の開催。

関東馬で3着に入った2012年・レッドセシリア<鹿戸厩舎>の、ある意味でどさくさ紛れの追撃3着とは訳が違う。

流石にエンジン性能の違いすぎるリバティアイランドさんと同格とは言えないが、自身の通過順は、額面通りにはならないが8番手→同位の3、4コーナーの位置取りで、これが勝ち馬と同じ。

無論、そこから突き放されたのでは勝負ありだが、少なくとも、レースレコードで他を全く寄せ付けなかった2019年独走馬・レシステンシアの2、3着馬は、翌春のチューリップ賞で接戦に持ち込んで、逆転である。

上がりナンバーワンの逃げ切りでぐうの音も出なかったマルターズディオサやクラヴァシュドールらは、桜花賞前までは、世代のトップクラスとして認識されていた。

外枠の方がハイペースにおけるコースロスの不利はあるが、内枠のシンリョクカのように、必ず出てくる失速馬を捌く能力を、いきなりの大レースで披露した非凡さは、想像を超えたパフォーマンスというより他ない。

たかだが、東京の新馬で快勝の伏兵とは、もう誰も思わない。

サトノダイヤモンド産駒はテンについていけない、お父さん譲りののんびり屋さんが多いが、あの間隙をついて初也騎手にG1の戦略を叩きこませるように進んだ直線の動きは、何かやってくれそうな雰囲気を秘める。

毎度来るタイプではないだろうが、ソダシ、サトノレイナスに続いたユーバーレーベンと似た無骨さがありそうだ。

半姉インターミッションも活躍馬だが、古馬になって本格化という珍しいディープ産駒だったおじのダノンシャークと共通する渋とさが、どこで発揮されるかを今後見極めていきたい。

3着ドゥアイズは、休んで成長する理想の体重増の出走で、再び底力の一端を示したが、新馬勝ちから2、2、3着。

どことなく、悲惨なゲート難に勝機を幾度となく逸してきた父ルーラーシップの、何だか哀れにも見えた晩年で記録とよく似ている。

よく捉えれば、余力十分の成長株。

しかし、完成期にキセキのような一発ぶちかましがどこかで決まらないと、このレースで2着だったリリーノーブルのように、オープンではこのレースの2着に始まり、3、3、2着となって、オークスでキャリアラストの快走を見せた、まるでキセキとそっくりの軌跡を辿らないとも限らない。

血は争えないと言われるが、地味な3着ではないのに、賞金加算ができなかった死角が、どこかで響かないかという不安も出てしまう。

シンリョクカほどの破壊力はないのかもしれない。

考えてみると、勝ち馬・リバティアイランドはキングマンボ系のドゥラメンテの仔であり、3着は共通父キングカメハメハのルーラーシップのまた産駒であるドゥアイズという関係。

何でも器用にこなしたようで、決め手が少し足らなかっただけとなったサトノダイヤモンドと同様に、極端な前傾ラップへの本能的な部分での対応力は、こうしたあまりキレない血に一日の長があったことは事実だろう。

現に、エピファネイアの仔でも母父ダイワメジャーでサンデーの4×3を有するモリアーナなどは、有力勢の中で最も前にいたという死角もあったのだが、直線はまるでいいところなし。

経験値の問題というよりも、ロベルト系のイメージを完全破壊したエピファネイア産駒のサンデークロスが、中距離戦の決め手比べに適していることを、改めて証明したような結果だった。

昨年の似たような血統背景を持つサークルオブライフが勝った際のレースラップは、

46.4−47.4

今にして思えば、取り立てて素晴らしいとはならない数字ながら、自身の上がりは34秒をわずかに切るハイレベルな決め手。

以降、本番がタフな展開ばかりだとか、自分自身が完調にない影響もあり、出番がなかったというのは、武藤親子にはまだG1が縁遠かったのだと、何だか同情したくなるほどの不運であったとも言えなくはない。

裏を返すと、平均ペースの中距離戦などがフィールドのタイプ。

またどこかで賞金を加算しないといけない現状のルール<いずれは、レーティング重視の優先出走順を採用の意向>では、エフフォーリアやデアリングタクトらが3歳戦をジャックした時のようなローテは組めない。

オークス狙いでいいように思う。

それにしても、エピファネイア産駒でいえば、あの爆発的な先行力を示したサンティーテソーロも、同士討ちのような格好でモリアーナを粉砕した以外にも、それにも大きく先着の7着という殊勲賞の結果を残している。

逃げ馬は4着以下だと、ほとんど展開次第であまり数字は重要ではないが、このレースを45秒台前半で序盤を進行した馬など、レシステンシアよりも速いラップであったことを考えた時、思われているよりもずっとスピード型の印象を残した。

母がスプリンターだったナガラローズということ以上に、様々な方面に多大なるインパクトを残した価値をどう活かすか。

意外と、次戦の戦略とレース選択そのものが、ちょっと難解になってしまった面も否めない。

和生騎手の腕の見せ所でもある。