阪神ジュベナイルフィリーズ2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着アルマヴェローチェ(10.5倍)2着ビップデイジー(18.3倍)3着テリオスララ(16.3倍)

レース名第76回阪神ジュベナイルフィリーズ
日程2024年12月8日
優勝馬アルマヴェローチェ
優勝騎手岩田 望来
勝ちタイム1:33.4
馬場
3連単配当227,500円

阪神ジュベナイルフィリーズ2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
112アルマヴェローチェ1:33.4-
21ビップデイジー1:33.61.1/4
32テリオスララ1:33.91.3/4
49ショウナンザナドゥ1:33.9アタマ
516スリールミニョン1:34.21.1/2
単勝121,050円
複勝12360円
複勝1500円
複勝2600円
枠連1-64,980円
ワイド1-121,800円
ワイド2-122,720円
ワイド1-23,270円
馬連1-128,510円
馬単12-118,180円
3連複1-2-1237,530円
3連単12-1-2227,500円

阪神ジュベナイルフィリーズ2024- レース後コメント(騎手/厩舎)

「(今の気持ちは?)最高でーす! 6年間ずっと悔しい思いをしてきたので、やっとここで勝ててうれしいと思っています。依頼をいただいた時からレースセンスのいい馬だと感じていましたし、本当にレースもスムーズで、最後にいい脚を使ってくれて気持ち良かったです。(どこで勝ったのが分かった?)ゴール直前までは必死に追っていたので分からなかったんですけど、右を見たら誰もいなかったのでやったと思いガッツポーズしました。〝やった〟という気持ちと〝やっとか〟という気持ちですね。大きな1勝になりました。本当に操縦しやすい馬ですし、ゴーと言えば反応してくれる馬なんで。操縦性が何よりいいと思います」

※優勝した岩田 望来騎手のコメント(アルマヴェローチェ)

阪神ジュベナイルフィリーズ2024 - レース結果動画(YouTube)

阪神ジュベナイルフィリーズ2024 - 回顧

ハービンジャーの血統

激しい攻防も予測された、矢作コネクションの先行力自慢グループが、それなりの形を作ったことと、舶来のメイデイレディが、予測された以上のナイスファイトで、フランキーの思惑通りに序盤からレースに参加できたことで、全体的に締まった流れ。

雨が降ったり、予測された通りの日曜午後の荒れ馬場への進行度合いがマックスに達する、いつもの使い込まれた時の京都らしい芝になったから、想像以上にタフであった。

おかげで、上位を占めたのは近年では珍しく、前走で芝の1800Mを使われていた組ばかり。

馬場読みをすればするほど、萩S快勝のテリオスララと、クラシック候補と接戦を演じたアルマヴェローチェがやってきたのは当然のことだった。

勝ちタイムの1:33.4は、昨年に際どい争いをしたレコード決着の時は、着順こそついたものの、春に繋がることを大いに印象付けたアスコリピチェーノとステレンボッシュら、もう国外のレースに挑戦しているような猛者が、同タイムで駆けたのとは異なり、無敗ながら、サトノダイヤモンド産駒ということの印象が穴党に受けるオッズになっていたビップデイジーに、勝ち馬は0.2秒差をつけたから、一昨年完勝のリバティアイランド同様、内容的には、一強だった印象を受ける。

想像以上に打たれ弱い印象を与えた、これも無敗のブラウンラチェットは、雨が降っている中での本馬場入りだったから、必要以上に、前走比マイナス12kgのインパクトがあったというか、何だか寂しさ全開ようなところもあったのが、ほぼ見せ場なく後方入線。

旅で出る前に腹ごしらえくらいはしておけよ…、というくらいに減っていたとされる馬体は、当然、美浦からの移動を考えると、輸送分の減少は最小限だったにしても、元から小柄なオークス向きを予期させるキレ馬の格好なので、過酷なレースに、そもそも参加できない状態だったのだろう。

筆者は、こういうことで回避するのは、考え方とすれば悪くないと思うのだが、そうすると、春まで関西遠征は出来ない。

チューリップ賞が前倒しになったことと、2月までの一連のカードではリカバリーは難しく…。

思うに、すでに休養明けの直行ローテを決め打ったかのようにも映った。

その是非はともかく、兄のフォーエバーヤングの半分ほどの馬格しかないのではないかと思わせる、いかにも可憐な牝馬というイメージを脱する時間は、短期間でありながらも、どこかにそれに耐えてしまいそうな魅力を陣営は持っているのだろうと、勝手に想像、これを理由に参戦であるなら、一定の理解を示しておこうと思うが、批判は出てくるか。

それにしても、スタートから何からうまくいって、ランフォーヴァウを鼻面を穴でこすった…、表現はよくないが、勝ちに出る態勢が整っていたからこそ、正攻法で戦い抜いた岩田望来騎手は、ただJRAG1に手が届いていないだけであって、中身はとっくの昔にそのレベルにあったことを十二分に証明する、見事な立ち回りであった。

まさに圧巻。

ついこの間の、団野騎手が完勝を決めたあの一戦を、皆が自動再生しているように、それが眼前に広がっていただけにも映った。

仕掛けもばっちりだったが、馬の仕上がりだけでなく、距離への対応力を見越して、敢えて、下りに掛かる勝負所の手前、峠のてっぺんあたりで、馬を叱咤したところで、その動きが明らかに滑らかになって、ただ馬込みを捌いて外から仕掛けるという一般的な戦いの中身から、明らかにG1を勝つ形に切り替えた。

それに応えたアルマヴェローチェは素晴らしい。

伊達に、牡馬相手に重馬場の札幌2歳Sで、一時は勝ったと思わせた、誰もインを通っていないのに、そこから伸びてきて際どく残しきるところまで持ち込んだ底力が、本物であったことも示したのである。

まるで歴戦の古馬、その主戦といった組み合わせにも映った。

距離延長でまるで不安のないハービンジャー×北米の名牝系という強いコネクションは、その雄大にも近い馬格というアドヴァンテージを与えたダイワメジャー×サクラバクシンオーの破壊力溢れる持続力に富んだスピード能力との合わせ技に、恐らく、イメージしたとおり、上村調教師の思い描いたそれを体現しただけであったのかもしれない。

若い馬が多かっただけに、直前にゲートで暴れて外枠発走となったクリノメイ<荻野琢真騎手は無念>のようなタイプに、繊細さというか、ややローテに無理があったようなところのあるブラウンラチェット、メイデイレディらが悪目立ちしたレースだっただけに、異様なまでに、その佇まいに頼もしさを感じた。

といっても、牝馬らしい決め手を、厳しい攻防の、京都らしい前後半ほぼ同等のバランスの取れたレコードラインに限りなく近いところに乗ったレースで、外を回った上でメンバー中上がり最速の34.3秒。

枠順が内の2頭がそれとなく絡んできているから、僅差の上がりでも、ゴール前はさらに突き放したというビップデイジーらには、一気に勝負付けを済ませた印象もある。

何しろ、この配合。

オークス云々以前に、阪神の桜花賞に最も向いた適性を持つ配合だろう。

昨年の2着にして、香港の12F戦へ挑んだステレンボッシュは、エピファネイア×ルーラーシップ×ランズエッジ。

これでも軽い馬に入るのかもしれないが、一気に、アルマヴェローチェの未来展望を明るくなった。

ここ数か月、下級条件だけでなく、ローカルならほぼ確実に特別戦に騎乗する日が当たり前になってきた永島まなみ騎手は、縁あって、自分が名付け親になったスリールミニョンを、堂々のG1らしい特別な型というか、はっきりとした策を取ることによって、見事に5着にまで押し上げてきてみせた。

新馬勝ちといっても、高速の小倉1200を平凡なタイムで勝っただけの馬。

新潟のそれなりのレベルで戦った重賞は距離不安を覗かせたが、特別を一つ、ただもらいような格好で、しっかりと勝ち切ったことで、結果、途轍もなく過酷な抽選を経ずしての出走が叶った。

まだ実力とまで言ってはいけないのだろうが、結局、新潟で大きく先着を許したコートアリシアンと、後ろの方で静かに先を読みながら動き出して、わずかな差でも、少しだけとは言っても、こちらは5着と掲示板に載った。

コートアリシアンのじゃじゃ馬ぶりは、皆が知るところとなったが、そんなことをしている間もなく、ワンターンで最も差し馬に過酷なレコードラインに乗ったハイレベル戦の後方一気で、掲示板の下の方の争いでも、両者はしっかりとした攻防を演じている。

ほぼ、いていないような感じのブラウンラチェットや、やることはやったが、何となく、前走の3着がたまたまではないようにも映ってしまった4着に終わったショウナンザナドゥ<奇跡にも近い抽選突破も賞金加算さえできず…>と比べて、もう成長曲線で追いついてきた印象もある。

来年こそは桜花賞で乗りたいまなみ騎手<昨年挑んだスウィープフィートはいつの間にかレジェンドのお手馬になっていた>だとか、菅原明良騎手にとって、今後の立ち位置を決める可能性を持つ危険な香りのするコートアリシアンとのコンビにしても、しっかりと続けて行かないといけない部分を感じさせた。

自分の馬にすることで、まずは、次のステージに持ち込めるのである。

そういえば、奇しくも岩田望来騎手でもみじSを制し、結果的に、自分の乗り馬という感じで乗りこなしたリリーフィールドを駆った武豊騎手は、これで30年このレース未勝利となってしまった<1994年のヤマニンパラダイスは無敗制覇>のだが、レースの勘所であるレースメイクに関し、締まった展開を作った伏兵の仕事に徹したことに、少し触れて起きたい。

ダービーでよく逃げることがある横山典弘騎手同様、最近は、怪しい馬を任せられたり、ダートの1000Mでデビューウインしたような馬を任せられた武豊騎手の立場は、ベテランらしい仕事を求められるという点で、同年代の騎手と大差ないのであるが、元より、特別なスキルを備えた不世出の名手。

ずっとトップにいる騎手だからこそ、何だか、これは怪しいメンバー構成でクリストフの馬に何かを求めるのは酷だろうし…、とまで考えたかはともかく、締まったレースを作ることを心掛けた最初の仕掛けで、、矢作勢もスムーズに進行し、内枠が不安視された1枠両頭もすんなりレースを運べた印象もある。

何が大事で、最も重要な部分を押さえようとした時、誰でも自分が勝ちに出る方向に重きを置くものだが、陣営の期待に反し、距離適性や格がそれに見合わない条件に出てきた時に、こうした振る舞いをすることで、実は、自分たちの進むべき道も見えてくるから、案外、両得でのある。

それを理解しつつ、人気馬にも伏兵たちにも平等に厳しい展開を作り出すことに、最初のリードをとったことで、坂井瑠星騎手のミストレスも乗せられて、しっかりと正しいラップを刻む展開に繋がっていった。

もう、どこでも通用する騎手になりかけている、その筆頭であろう坂井騎手が、それを理解した時、望来騎手や団野騎手、菅原明良騎手などもそれに倣っていく。

厩舎の馬作りには、まず、調教で手本になる古馬が必要だと、藤沢和雄先生が語っていたを見聞きしたが、それと同じだと、少し思った。