ホープフルステークス2018 予想
◎ブレイキングドーン
○サートゥルナーリア
▲アドマイヤジャスタ
注キングリスティア
△ニシノデイジー、ミッキーブラック、ヴァンドギャルド、コスモカレンドゥラ
とびきりの血統馬であるサートゥルナーリア。
ロードカナロア<08生>×シーザリオ<02生>(父スペシャルウィーク・95生)
世界に対する発信力を持つ両親に、サンデーサイレンス産駒の中期におけるスーパースターであった祖父。
今やディープインパクト以上に守備範囲が広く、量でもサンデー系を脅かすキングカメハメハ<01生>が直系の柱、言うなれば、ミニミスプロたる中興の祖になろうとしているから、ディープとの配合で今年のダービーを勝ったことが、何も最初で最後となるとは誰も思わないわけだ。
比肩する才能は見当たらない。
至極真っ当にして、素晴らしく一本筋の通った見解に思う。
ただ、度重なる皐月賞での波乱劇に加え、レイデオロ以外は、連対することで上昇力を失っていないか、という疑義が生ずるような中山・ホープフルSの重賞としての価値観などを、例えば、ラジオNIKKEI杯の阪神2000Mのミラクルの連続とも言える、歴史的邂逅の系譜に照らし合わせると、
「JRAよ、勇み足だったのではないか」
と、少々物言いの一つでもしたくなるもの。
そういう論法から予想したわけではないが、正直、13頭立てで1番人気から狙う手は、潜在能力の表現の場としてあまり適当には思えないこのレースの特性からして、順当な狙いそのものが割に合わない上に、無意味に無難な買い方となるから、論理的思考を突き詰めるような手法で攻略するのは、あまり面白くもなんともない気がする。
ブレイキングドーンはニシノデイジー同様、現在進行形で発展し続ける底力型の母系を持つ。
イコマエイカンから76年に産み落とされたリマンドの牝馬は、ほぼ無制限状態の優駿牝馬競走を24頭中最高の単勝支持に応え、当時としては牝馬にとって最高の栄誉を勝ち取る。
11年後、長浜調教師・河内騎手・渡辺孝男オーナーのトリオで、今度は重馬場の桜花賞で、同時代の覇者であるシャダイカグラ、ニシノフラワー<デイジーの3代母>、ベガらを凌ぐ上々の時計で人気に応えるスペシャルな牝馬を送り出した。
アグネスレディーでありアグネスフローラの、ちょっと掻い摘んだだけの母娘ストーリーの一端。
また10年すると、今度は世紀のスーパーサイアー・サンデーサイレンスをつけられた2頭の牡馬が、クラシック路線の中心馬になった。
わずかにその直前。
フライトから見るとひとつ上の姉が、トニービン産駒のセレーネー。
更に、タキオンが泥田の弥生賞を制した直後にそれから産まれたパサーが、その夏にこの世を去るエルコンドルパサーの産駒。それと同時期にはサンデーサイレンスも…。
パサーはいっぱい産�駒を残したが、サンデーのラストクロップがクラシックを戦った06年に誕生したホワイトマズルの娘が、ブレイキングドーンの母サクラである。
タキオンが躍動してから9年後にラジオNIKKEI杯を制し、引退の10年後にドバイワールドCを制したヴィクトワールピサが父。
ブレイキングドーンにまつわるクラシックストーリーは尽きないが、この物語を締めくくるのは、シーザリオの一番出世しそうな息仔に、ヴィクトワールピサの主戦級となったデムーロが乗り、そのライバルにシーザリオの主戦だった福永が乗るという因縁。
我ながら、そこそこの競馬キャリアを自負するようになったのは、スペシャルW以降の登場馬と人のストーリーを全て、ライヴで見ていたと話せるからである。
人にも馬にも様々な物語があるが、みんなにとって大事なものが、ここまでクロスして因縁のストーリーを綴ることになるとは、実に興味深い。
新馬圧勝の両者に、誰にも真似のできない新たなブラッドストーリーを作り上げてもらいたい。
シーザリオのここまでの最高傑作・エピファネイアの前半の主戦は、母と同じ福永騎手。
管理者は、サートゥルナーリアも育てたあの角居勝彦調教師。ヴィクトワールピサも彼の腕があってこその、世界制覇である。
ああ、ネオユニヴァースもロードカナロアも、最初は福永のお手馬であった。
どこまで続く、人馬の因縁。そういえば、ジャスタウェイ産駒もいましたね。
兎も角、楽しみの尽きない対決である。