2022年ホープフルステークス予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

ホープフルステークスの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

希望に満ち溢れた2歳馬が集結!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第39回ホープフルステークス(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年12月28日(水)
発走時間15時25分
開催場所中山競馬場
距離芝2,000m
コース右回り
賞金7000万円
レコードタイム1:58.9

2022年ホープフルステークス予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出馬予定馬の馬体/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

ホープフルステークス2022の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ファントムシーフ福永 祐一牡255.05.22栗東・坂路・良(助手)
7F 95.8-66.1-51.7-37.3-11.7(一杯)
栗東・CW・良(福永)
6F 87.4-71.7-55.7-39.0-11.1(馬なり)
12ハーツコンチェルト松山 弘平牡255.011.45美浦・南W・稍重(助手)
5F 66.1-51.6-37.5-11.5(G前仕掛け)
美浦・坂路・良(助手)
800m 52.5-39.0-25.7-13.0(強め)
23シーウィザード浜中 俊牡255.071.114美浦・南W・稍重(助手)
6F 84.1-67.9-53.0-37.9-11.6(馬なり)
美浦・南W・良(助手)
6F 85.1-68.5-53.4-38.0-11.5(馬なり)
24セレンディピティ武 豊牡255.013.66栗東・坂路・良(武豊)
800m 52.3-38.1-24.9-12.6(馬なり)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 51.4-37.9-25.3-13.0(一杯)
35フェイト坂井 瑠星牡255.052.912栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 53.6-38.3-24.5-12.0(末強め)
栗東・CW・良(坂井瑠)
6F 83.2-67.9-53.1-37.4-11.6(一杯)
36グリューネグリーンM.デムーロ牡255.028.510美浦・南W・稍重(助手)
5F 69.8-54.5-39.8-12.4(馬なり)
美浦・南W・良(石川裕)
6F 82.7-66.5-52.1-37.8-12.0(直一杯)
47ボーンイングランデ斎藤 新牡255.0180.317栗東・CW・良(助手)
6F 82.0-67.0-52.0-37.1-11.5(一杯)
栗東・CW・稍重(斎藤)
6F 85.6-70.1-54.6-38.6-11.6(強め)
48トップナイフ横山 典弘牡255.023.98栗東・CW・良(横山典)
6F 87.7-71.1-54.2-37.8-11.1(強め追伸る)
栗東・CW・良(横山典)
6F 85.1-69.1-53.9-38.4-11.6(強め)
59セブンマジシャンC.デムーロ牡255.07.33栗東・坂路・良(助手)
800m 56.4-40.6-26.3-12.5(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.0-38.0-24.9-12.1(一杯)
510ガストリック三浦 皇成牡255.07.64美浦・南W・稍重(三浦)
6F 83.5-67.7-53.2-38.5-11.8(馬なり)
美浦・南W・良(三浦)
6F 84.3-68.3-53.3-38.1-11.7(馬なり)
611ドゥラエレーデB.ムルザバエフ牡255.066.813栗東・CW・良(助手)
7F 98.9-68.0-53.9-38.8-12.5(馬なり)
栗東・坂路・良(ムルザバエフ)
800m 54.9-40.1-25.7-12.6(馬なり)
612モンドプリューム横山 和生牡255.0246.618-美浦・南W・重(横山和)
5F 67.8-53.0-38.4-12.3(馬なり)
713ヴェルテンベルク横山 武史牡255.039.311栗東・坂路・良(助手)
800m 54.5-40.1-26.3-13.0(馬なり)
栗東・CW・良(横山武)
6F 81.0-65.3-50.6-36.0-11.7(一杯)
714ジェイパームスD.イーガン牡255.027.59美浦・南W・稍重(助手)
5F 67.3-51.3-36.4-11.3(馬なり)
美浦・南W・良(助手)
6F 83.8-66.8-51.7-36.9-11.5(強め)
715キングズレインC.ルメール牡255.019.67美浦・南W・稍重(助手)
6F 84.0-68.1-53.0-37.9-11.6(一杯)
美浦・南W・良(嶋田)
5F 67.1-51.1-36.7-11.8(馬なり)
816スカパラダイス今村 聖奈牡255.0127.815-栗東・CW・稍重(今村)
6F 84.7-68.9-54.5-39.5-12.2(馬なり)
817ジュンツバメガエシ石川 裕紀人牡255.0157.916栗東・CW・良(助手)
6F 87.4-72.7-57.6-41.4-12.3(G前仕掛け)
栗東・CW・良(石川裕)
6F 84.6-69.0-53.5-37.6-11.2(稍一杯)
818ミッキーカプチーノ戸崎 圭太牡255.03.21栗東・坂路・良(助手)
800m 52.5-38.4-25.4-12.7(馬なり)
栗東・CW・良(戸崎)
7F 98.1-67.0-52.4-37.5-11.6(強め)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬1回3回0回18回4.5%18.2%18.2%
先行馬10回9回7回56回12.2%23.2%31.7%
差し馬9回7回11回60回10.3%18.4%31%
追い込み馬0回1回2回74回0%1.3%3.9%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠2回2回2回17回8.7%17.4%26.1%
2枠5回3回4回17回17.2%27.6%41.4%
3枠2回2回2回24回6.7%13.3%20%
4枠2回2回3回29回5.6%11.1%19.4%
5枠5回1回1回28回14.3%17.1%20%
6枠2回5回6回25回5.3%18.4%34.2%
7枠1回2回2回33回2.6%7.9%13.2%
8枠1回3回0回35回2.6%10.3%10.3%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト32回31回23回134回14.5%28.6%39.1%
ハーツクライ24回22回17回138回11.9%22.9%31.3%
ハービンジャー16回11回18回125回9.4%15.9%26.5%
ルーラーシップ14回14回17回123回8.3%16.7%26.8%
エピファネイア 11回9回10回60回12.2%22.2%33.3%
キングカメハメハ9回10回9回54回11.0%23.2%34.1%
ステイゴールド9回7回4回44回14.1%25.0%31.3%
ロードカナロア9回5回6回50回12.9%20.0%28.6%
オルフェーヴル8回9回7回102回6.3%13.5%19.0%
スクリーンヒーロー 8回8回2回57回10.7%21.3%24.0%
人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気8回5回1回6回40%65%70%
2番人気6回4回6回4回30%50%80%
3番人気1回4回4回11回5%25%45%
4番人気4回2回1回13回20%30%35%
5番人気0回1回1回18回0%5%10%
6~9番人気1回4回7回66回1.3%6.4%15.4%
10番人気以下0回0回0回90回0%0%0%

2022年ホープフルステークス予想 - 過去10年のデータ傾向

重賞を勝った時に接戦だと、だいたい上がり目がなくなる

関東馬で重賞を勝っていた馬と言えば、昨年失墜のコマンドラインだとか、サートゥルナーリアに歯が立たなかったニシノデイジーなど、ろくな結果が残せていない。
一方で、関西馬にしても、コントレイルはまあ別枠にするとして、ダノンザキッドやここに出てきた理由が今やよくわからない感じになったジャンダルムなど、一応、体一つ半くらいの差をつけて、ワンターンのハイレベル重賞を勝っているので、人気の違いこそあっても、分類はコントレイルの仲間に入れることはできなくもない。

一方、コマンドラインは2着馬に半馬身差、ニシノデイジーは札幌がクビ差、東スポ杯はハナ差と、これも接戦をまさに競り勝った形。
昨年のように、東スポ杯勝ち馬も京都2歳ウイナーもいないなんて年は、ごくごく当たり前で、イクイノックスの成功パターンも今後は有力馬のダービー獲りローテで、本家英国式にどんどん近づいている印象もあり、下手にうまく勝つような結果になったガストリックやグリューネグリーンらは、連軸には向かないように思う。

関東馬も関西馬もなく、キャリア1戦の馬がG2時代から活躍するシーンは滅多にない

関西馬はG2時代にシャイニングレイ、G1では初年度3着のステイフーリッシュが好走。
関東馬はG1になってから、連絡みも1度だけなので、オーソクレースみたいな魅力たっぷりの馬を狙うかは兎も角、東京で圧勝したくらいで買いまくるのはあまりにも無謀。
関西馬ならともかく…、という感じだろうか。

G1では、たとえ2歳のそれであっても、キャリア形成の重要性が問われる。
耳目が一頭に集中するような、エース級が堂々参戦の流れこそ、敢えて狙う価値ありというのは、2歳G1全体の傾向であり、大体の年が混戦模様のこのレースでは、朝日杯以上に完成度が問われる面もあったりして、力差が明確化できない新馬勝ち直後の馬を理詰めで買うことはほぼ不可能。
一応押さえるジェイパームスは、半兄がキラーアビリティでジャスタウェイも勝っているということで、買い目に加えたに過ぎない。

1番人気楽勝の図は、あまり望まない方が賢明

コントレイルとその前年のサートゥルナーリアが無敗制覇。
怪しいパフォーマンスで結局3連勝としたダノンザキッドが、ディープインパクト記念から綻びを見せていったが、ここは何とか乗り切ったので、今の立場があるような気がする。

3者とも将来有望の期待馬にして、大活躍の名馬であり、G1昇格後にタイムフライヤーも僅差1番人気に応える快勝であったのだから、買えると言えば買える。

ただし、キラーアビリティがレースに近づくにつれて、どんどん売れていった中での2番人気に対し、前記理由で不安のあったコマンドラインもパドックまではあまり悪くなかったように思えたのだが…。
強いて挙げるなら、コマンドラインとダノンザキッドが大型馬で、その他はみんな、超は付くことはなく、突然500kgで激増出走のサートゥルナーリアが、その後かなり拗らせたことからも、狙いはタイムフライヤーだとかコントレイル、キラーアビリティのような血統のイメージ通りの中型くらいに止まったクラシック型を買った方がいいのだろう。
シーウィザードとか今村騎手のスカパラダイスが人気になるわけではないから、大型馬がやきもきさせながらの勝利の構図になるのかもしれない。

関東所属で1勝のみの馬に、普段は脈ありの線は薄いのだが、今年は少し違う

中山移設でレース名改称初年度の2014年の3着馬・ブラックバゴと、2016年2着のマイネルスフェーンらが、パンチの効いた好走で、一部穴党を喜ばせたことはあったが、当然、今は格が違うから、出走してきても怪しい。

ただ、東京スポーツ杯で久々に断然人気の関東馬が登場<キャリア1戦のハーツコンチェルトのような存在は極めて稀>で、見事に期待を裏切ってくれたが、デビューが中京。
狙いが左回りで、2戦目に東スポが念頭にあったからこそ、その後の菊花賞まで展望した長期戦略では、価値ある挑戦であったのだろう。

ハマらなかったとはいえ、前走はプラス体重。
関西馬で京都、阪神以外を2度以上使って、ここを勝った馬もいないのだが、関東圏に主要競走がかなりの数あるメリットを活かしきっている関東馬は、もっとその確率は低い。
ダービーを勝つための戦略としたら、関西馬の方がいくらか不利だが、もう西も東もなくなった時代とはいえ、ダービー馬はレイデオロ以降5度続けて関西馬が勝利している。

うち、レイデオロとコントレイルはこのレースを制し、翌春の活躍に繋げた。
レイデオロは神戸新聞杯で初関西遠征だったが、関西圏の大レースはついに縁がなく終わった。
ある意味、完全燃焼後の宝塚参戦に意味はない。
とはいえ、厳しい経験をしたハーツコンチェルトには、関西馬級のバイタリティーが備わっていて不思議ない。
鞍上・調教師、加えてダイワテキサスが輩出のハシモトファームは、牡馬クラシックにダービーにはまだ縁がない。
新馬戦より怪しい内容に終わった前走も、上がりがほとんど同じということは、むしろ、小回り向きの可能性もあるので、どうせ人気落ちなら、ここで早速の逆張りでも面白いか。

2022年ホープフルステークス予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

前走に至る前まではエース候補、異例の関東馬とされる極めて珍しい臨戦過程で、王道復帰を再度果たしたい

ハーツコンチェルトの血統

4代母・Hum Alongは優秀で、初仔のStorm Songが北米圏の2、3歳シーズンで大活躍した後、孫世代からセントレジャーの申し子・Order of St George<25戦13勝・IRE/うち、14F以上の距離で11勝>やミッドサマーフェア・ソフトフルート姉妹などが出ている。

拡大すれば、サンライズペガサスもコパノリッキーもいるので、様々キャラがいることになるが、ハーツコンチェルトは母ナスノシベリウスがアンブライドルズソング×パインブラフで、ミスプロ系の重要系統に上り詰めたファピアノが3×4でクロス。
仔のハーツコンチェルトはそこに直系3代とパインブラフの母父の共通ヘイローが3×5であるから、イメージよりは速いタイプ。

ちなみに、今はアンブライドルズソング肌のヘイルトゥリーズン系の競走馬は、少し前ではスワーヴリチャードやコントレイル、現役でジャックドールやノットゥルノもいて、American PharoahやArrogate、Gun Runnerなど、大レースを勝ったファピアノ系種牡馬の粋のいい後継候補が続々登場している状況は、タピットの代替わりを不敗のFlightlineが一気にまとめ上げそうなBCクラシックのキャンペーン直後であり、まだ活況であることに違いはない。

ノットゥルノやスワーヴリチャードと全く同じ配合ながら、ヘイローのクロスが有するのはこのハーツコンチェルトくらいなもの。
同父でヘイローが続けてクロスした母父マキャヴェリアンのシュヴァルグランなどは、スワーヴと同じ5歳時のジャパンC制覇だったが、いずれも東スポ杯や京都2歳Sの好走馬でもあった。
サリオスもドウデュースも、前身のラジオNIKKEI杯最終年優勝馬・ワンアンドオンリー<ヘイローの3×4>も、本格化する翌年以降を前に、この時点でスケール感を示している。
東京スポーツ杯負けも死角ではあるが、中京で急坂を経験した強みを活かせるか、血統背景の後押しを味方につけられるか、将来性も含めて、意外なほど結果を求められる立ち位置にいるのだから、ちょっと気に懸けたい気持ちにもなる。

正直言って、前走のハーツコンチェルトは情けなかった。
スタート直前に隣の馬の見やると、途端にゲートが開き、置いて行かれる。
我々も散々見されられてきた、人気馬が立ち遅れる理由ナンバーワンのそれを、堂々やらかしてくれたのだ。

ただし、レースは59秒をわずかに切る平均ペースから少し厳しめの展開になったため、すぐに馬群後方につけることには成功のハーツに、不利はない。
現に、勝ったガストリックは距離ロスを防げる枠なりでインのコース取りとはいえ、2着のダノンザタイガーだって、ハーツコンチェルトのすぐそばにいた馬。
流れたなりに差しが決まり、フェイトのような人気しすぎた面々が、完成度など馬脚を露すこととなった。

一応、新馬戦と同じ11頭立て、枠も外で、オッズまでそっくりの2倍を切る圧倒的支持というところまで同じだったのだが、最後の最後で脚が止まったように見えたくらいで、スピード勝負の1800戦はあまり適していない可能性を示したようなところもある。
無論、晩成であるほど本物に近いとされるハーツクライの血を引く馬のこと。
出来はともかく、エースとなる時期にはまだ早かったという見解もあっておかしくない。

とはいえ、中京の2000Mの新馬を独走する関東馬など、もうそう簡単に見ることはできないだろうと考えると、1勝馬の身でG1挑戦のハーツクライ産駒という切れる要素だらけの人気馬に、この時点で一旦見切りをつけることも生半ではないだろう。
筆者は完全に新馬戦の内容を復習したところで、敢えて確信の◎とした次第だ。

強調材料の一つとして、まず前走の上がり33.8秒と新馬戦の33.9秒は、明らかに質が異なるということ。
人気馬はほとんど、みんなが34秒前半くらいで上がった東京スポーツ杯に対し、レース2位の記録が早めスパートの2着馬が残した35.5秒だった新馬戦とで、まるで評価すべきものが違う点が最初に挙げられる。
早い話が、みんなと同じリズムで走ることに適さない、いかにもハーツクライらしいというか、自分の動きで相手を膠着状態にまで持ち込んでしまう凄みを出せるか否かが、レース制覇のカギを握るのである。

2022年ホープフルステークス予想 - レース展開と最終予想

独走の新馬戦は、松山騎手はもう一生懸命に走ることはないとしながら、止まること知らないというほどの突進を続けて、これに並ぶ者など果たして現れるのだろうかと、皆が、前走の東京でのレースを固唾を呑んで見守ったわけだが、まだ自分のリズムで走る事しか知らないこの若駒は、前を追いかけることで消耗してしまったようなところがある。
新馬戦は早めに動いたとはいえ、中盤は63秒そこそこの遅い展開。
そこから58秒半で上がるは立派なのだろうが、時計勝負になったとたんに怪しくなったから、現状は、ゆったりスタートを解消しつつ、普通に流れに乗る形の方が理想であり、裏を返せば、それができないと脆いのであろう。

上がりの脚の限界を知ったところで、もっと速い強烈な終いの脚が求められるレースではない今回は、逆襲の最初のチャンス。
この賞金で重賞に出るのも、今後は厳しく、当然のことながら、3着以下を続けようものなら、いずれG1に縁はなくなる。

松山騎手が勝負に出るとするならば、同じように前回は後ろから行ったガストリックではなく、ミルコ継続ならばまた先行するだろうグリューネグリーンに合わせて動く手を念頭に置いたプランを実行することであえい、しっかりとそのイメージを詰めておく必要がある。
何しろ、馬場もコースも距離の展開も、レース格と相手関係もまるで違うのに、使った最後の脚は同じという馬はまずいないし、当然この中に、そこまでの天才は混ざっていない。
自分次第のハーツコンチェルトを完全にコントロールした時、ホープフルS制覇というよりは、先日のリバティアイランド同様、来春の展望が一気に開けるのだから、無駄にはできない。

さりとて、無理に型に合わせるのでも具合が悪い。
気難しさと独走能力は、まさに表裏一体であり、同じ種類の才能とすることができる以上、その秘める爆発力を人間の都合で出させようとすればするほど、彼らは面白いほどの抵抗を見せる。
同配合のスワーヴリチャードも若い頃はかなり色々とやらかしていた。
母父共通の当レース快勝馬・コントレイルも、2歳時はまるで騎手の言うことを聞いていなかったが、わがままさは残しつつ、クライマックスのジャパンCで、両者とも見事な差し脚でライバルを圧倒して見せた。

松山騎手に去来するジャパンCへの複雑な思いは、ヴェラアズールに関してのみ、有馬で一定の解を自身で得ることは可能でも、この世界にいる限りは、永久にのどに小骨が刺さったかの如き違和感を持ち続けるデアリングタクト乗り代わり問題の解消には<恐らくは、一度きりのショック療法を解禁しただけというオーナーサイドの判断という意見が大半とはいえ>、違うアプローチでのストレス軽減の道を探るより他はない。
アルアインで皐月賞、ダービーの正しい戦い方を学び、ガイアフォースで多くの課題を負けることで得ることとなった菊花賞などは、名手として揺ぎ無い立場を勝ち取るためのステップに、必ず登場する難題でもある。

実は、ヴェラアズールのことよりもずっとその前週のこのハーツコンチェルトで敗れた東スポ杯が心残りであろう松山弘平に、早速のクラシックロードリメイクというチャンスが訪れた。
今時点ではまだ手放したくない彼の才能なり、見果てぬ全能力の発揮へのアプローチという課題にしっかりと向き合うことができたなら、この相手を負かすことは難しくない。

サートゥルナーリアもコントレイルも、ハイペースだった年のウイナーであるタイムフライヤー、キラーアビリティなどと大差ない35秒超えの、言うなれば、大したことのない上がりで乗り切っている。
馬場が重かった年のダノンザキッドは、メンバー首位でも36.4秒。
ハイレベルの後傾ラップも平均の重賞らしい展開も同じ脚で駆けたハーツコンチェルトの死角は、やる気の部分を除いて、実はかなり弱点の少ない、いの一番の優勝候補のように思える。
中京のタフな経験は、ここでこそ活きるはずだ。