菊花賞 予想

ジャパンカップを予想!

本家イギリスのクラシック体系をそのまま採用した関係で、秋に牡馬が目標とする3歳限定重賞は、この芝3000Mの菊花賞となります。イギリスではセントレジャー。
世界的に見ても、「セントレジャー」と定義した方が通りがいいので、ジャパニーズ― という表現もあります。
それは皐月賞=2000ギニー、東京優駿=ダービーにも通ずること。

特殊な距離で行われる菊花賞は、セントレジャーも牝馬が最後に目指すべき限定重賞として定義されているため、牝馬の三冠最終戦もこのレースです。
そのルールは本家だけに残っているので、牝馬三冠は牡馬三冠よりも近年ほど多いという傾向はありますが、日本にそれは当てはまりません。
今は秋華賞はその役目を十二分に果たしているので、今後も牡馬同士の争いになる年が大半であるでしょう。

馬名年度
セントライト1941年
シンザン1964年
ミスターシービー1983年
シンボリルドルフ1984年<無敗>
ナリタブライアン 1994年
ディープインパクト2005年<無敗>
オルフェーヴル2011年
コントレイル2020年<無敗>

菊花賞の特徴

コーナー6つを巡り、馬場を1周半走るため、序盤が遅いととんでもなく道中がごちゃつくために、2周目に入ると伏兵がどんどん動いていって、せわしくなく先頭が入れ替わります。
一方で、速い馬が一頭グイグイ飛ばすと、後続勢も動き出しのタイミングを遅いと捉え切れないこともあるので、騎手の判断力とペースの認識の正確性が問われ、基本的には、馬の能力だけでは好結果に繋がらないというのが定説になっています。
同時に、日本に長く腰を据えた騎手ほど、その技量が遺憾なく発揮されるため、まず若手や外国人騎手が勝つことはありません。

菊花賞の歴代優勝馬

年度優勝馬騎手人気前走父名 2着馬騎手人気前走父名 3着馬騎手人気父名
2010年
ビッグウィーク
川田将雅
7神戸新聞杯③
バゴ
ローズキングダム
武豊
1神戸新聞杯①
キングカメハメハ
ビートブラック
幸英明
13ミスキャスト
2011年
オルフェーヴル
池添謙一
1神戸新聞杯①
ステイゴールド
ウインバリアシオン
安藤勝己
2神戸新聞杯②
ハーツクライ
トーセンラー
蛯名正義
3ディープインパクト
2012年
ゴールドシップ
内田博幸
1神戸新聞杯①
ステイゴールド
スカイディグニティ
メンディザバル
5セントライト記念②
ブライアンズタイム
ユウキソルジャー
秋山真一郎
7トーセンダンス
【2013】年
エピファネイア
福永祐一
1神戸新聞杯①
シンボリクリスエス
サトノノブレス
岩田康誠
5神戸新聞杯③
ディープインパクト
バンデ
松田大作
3オーソライズド
2014年
トーホウジャッカル
酒井学
3神戸新聞杯③
スペシャルウィーク
サウンズオブアース
蛯名正義
4神戸新聞杯②
ネオユニヴァース
ゴールドシアター
吉田隼人
7スクリーンヒーロー
2015年
キタサンブラック
北村宏司
5セントライト記念①
ブラックタイド
リアルスティール
福永祐一
2神戸新聞杯②
ディープインパクト
リアファル
C.ルメール
1ゼンノロブロイ
2016年
サトノダイヤモンド
C.ルメール
1神戸新聞杯①
ディープインパクト
レインボーライン
福永祐一
9札幌記念<3>
ステイゴールド
エアスピネル
武豊
6キングカメハメハ
【2017】年
キセキ
M.デムーロ
1神戸新聞杯②
ルーラーシップ
クリンチャー
藤岡佑介
10セントライト記念⑨
ディープスカイ
ポポカテペトル
和田竜二
8ディープインパクト
2018年
フィエールマン
C.ルメール
7ラジオNIKKEI賞②
ディープインパクト
エタリオウ
M.デムーロ
2神戸新聞杯②
ステイゴールド
ユーキャンスマイル
武豊
10キングカメハメハ
2019年
ワールドプレミア
武豊
3神戸新聞杯③
ディープインパクト
サトノルークス
福永祐一
8セントライト記念「2」
ディープインパクト
ヴェロックス
川田将雅
1ジャスタウェイ
2020年コントレイル
福永祐一
1神戸新聞杯①
ディープインパクト
アリストテレス
C.ルメール
42勝①
エピファネイア
サトノフラッグ
戸崎圭太
5ディープインパクト
2021年タイトルホルダー
横山武史
4セントライト記念⑬
ドゥラメンテ
オーソクレース
C.ルメール
3
セントライト記念③
エピファネイア
ディヴァインラヴ
福永祐一
6
エピファネイア
2022年アスクビクターモア田辺裕信 2セントライト記念②ディープインパクトボルドグフーシュ吉田隼人7神戸新聞杯③スクリーンヒーロージャスティンパレス鮫島駿4ディープインパクト
2023年ドゥレッツァC.ルメール4日本海S①ドゥラメンテタスティエーラJ.モレイラ2東京優駿①サトノクラウンソールオリエンス横山武史1キタサンブラック

<良は無印/着順○・<稍>「重」【不良】

菊花賞 過去10年のデータベース

 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気
3回0回3回4回30%30%60%
前走が神戸新聞杯で1~3着5回4回3回14回19%35%46%
前走が神戸新聞杯で前々走がダービー0回0回1回22回0%0%4%
前走がセントライト記念で1~3着2回2回2回16回9%18%27%
前走がセントライト記念で前々走がダービー1回1回0回16回6%11%11%
前走がセントライト記念で4着以下0回0回0回6回0%0%0%
芝2200M条件戦/3勝クラス1回0回0回1回50%50%50%
芝2200M条件戦/2勝クラス中京、阪神0回1回1回2回0%25%50%
芝2200M条件戦/2勝クラス新潟、中山0回0回2回3回0%0%40%

グレード制導入前は二冠馬のみ

馬名年度
トサミドリ1949年
ダイナナホウシュウ<シユウ> 1954年
キタノカチドキ 1973年

グレード制導入後

馬名年度
ビワハヤヒデ1993年
セイウンスカイ 1998年
エアシャカール 2000年
ゴールドシップ 2012年
エピファネイア 2013年
キタサンブラック 2015年

これに三冠馬も入るから、ざっくり4年に一度は登場の勢い。
10年ほど前までは活躍が目立った「菊花賞がクラシックレース初出走の馬」もいれば、ダービーから本格化の馬もいるわけですが、総じて、古馬にも通用の名馬が多いので、人気に推される馬はこういう段階を踏んでいった方がよろしいと考えるのもありでしょう。

平成以降、前走が神戸新聞杯という馬は、菊花賞が11月時代のビワハヤヒデを含め、驚異の16勝。
最終トライアルに定着の20年前から15勝とした方が強烈で、関西馬隆盛時代を象徴するような傾向でもあります。
ビワハヤヒデは四半世紀以上前の名馬で、そのレベルにない馬も勝っている以上、問答無用で買い目に入れるしかないでしょう。
比較的優位に立つ皐月賞上位入線馬がコスモバルクしかおらず、この組が総崩れの2004年以外、2頭以上絡むのが普通です。

菊花賞 攻略のポイント

三冠馬たちは、もうクラシックに挑む前の時点で、セントライト以外は1800M以上の重賞を勝っているのが普通ですが、菊花賞オンリーとなると、夏に古馬と当たってそれを負かしてきたような馬も出てくるので、春までとは臨戦過程が大きく変化します。
春もこの路線に乗っているならば、必ずクラシック戦のどちらかで上位入線していないと話になりませんが、むしろ、別路線組の方は、トライアルで負けていても、古馬を負かしている実績の方が価値があることも多いので、結果的に、人気にならずに思い通りの競馬をして勝ち切るのが基本。
よって、本流路線の穴狙いは筋悪とした方が覚えやすいでしょう。

菊花賞2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

スプリンターズステークス2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第85回菊花賞(G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年10月20日(日)
発走時間15時40分
開催場所京都競馬場
距離芝3,000m
コース右回り
賞金2億円
レコードタイム3:01.0

菊花賞2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

菊花賞2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ピースワンデュック柴田善臣牡357.021.78美浦・ウッド・稍重(柴田善)
6F 80.9-65.4-50.7-36.2-11.4(強め)
美浦・ウッド・良(柴田善)
5F 68.1-53.2-38.0-11.5(G前仕掛け)
12ノーブルスカイ池添謙一牡357.063.1 17栗東・CW・稍重(池添謙)
6F 83.7-68.1-52.9-37.3-11.9(強め)
栗東・坂路・良(池添謙)
800m 53.2-37.9-24.7-12.3(馬なり)
23アスクカムオンモア北村友一牡357.043.913-栗東・坂路・良(北村友)
800m 55.1-40.0-26.2-13.0(馬なり)
24ダノンデサイル横山典弘牡357.05.12栗東・CW・良(横山典)
6F 78.1-63.8-49.9-35.8-11.4(一杯)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 54.2-40.1-26.4-13.1(馬なり)
35ハヤテノフクノスケ岩田望来牡357.042.412栗東・CW・稍重(助手)
6F 86.3-69.7-54.2-38.6-12.3(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.6-37.7-24.4-11.8(一杯)
36ミスタージーティー坂井瑠星牡357.047.715栗東・CW・稍重(坂井瑠)
6F 78.9-64.4-50.1-35.9-11.8(一杯)
栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 53.4-38.7-25.1-12.5(馬なり)
47ビザンチンドリームA.シュタルケ牡357.046.014栗東・CW・稍重(国分優)
7F 98.1-66.5-51.7-36.7-11.7(一杯)
栗東・坂路・良(シュタルケ)
800m 53.3-39.0-25.4-13.0(馬なり)
48ウエストナウ西村淳也牡357.063.116栗東・CW・良(西村淳)
7F 93.4-63.5-49.9-36.2-11.5(一杯)
栗東・CW・良(西村淳)
6F 84.7-68.1-52.9-38.0-11.9(馬なり)
59コスモキュランダM.デムーロ牡357.08.34美浦・ウッド・稍重(助手)
5F 68.0-52.3-38.1-12.1(馬なり)
美浦・ウッド・良(助手)
6F 83.7-66.8-52.3-37.7-11.7(馬なり)
510メイショウタバル浜中俊牡357.07.03栗東・CW・良(浜中俊)
6F 83.3-66.6-51.7-36.5-11.2(強め)
栗東・CW・良(浜中俊)
6F 80.9-64.3-50.3-36.2-11.3(馬なり)
611ショウナンラプンタ鮫島克駿牡357.024.310栗東・坂路・稍重(鮫島駿)
800m 54.6-39.3-25.3-12.0(末強め)
栗東・坂路・良(鮫島駿)
800m 55.0-39.1-25.1-12.1(馬なり)
612シュバルツクーゲル松山弘平牡357.022.69美浦・芝・不良(助手)
5F 67.0-52.1-37.5-12.0(馬なり)
美浦・坂路・良(助手)
800m 54.9-40.2-26.0-12.2(馬なり)
713アーバンシックC.ルメール牡357.04.01美浦・ウッド・稍重(石神深)
6F 81.8-66.2-51.3-36.7-11.9(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(石神深)
6F 81.8-66.7-52.0-37.4-11.3(馬なり)
714メリオーレム川田将雅牡357.015.87栗東・CW・稍重(川田将)
6F 84.2-68.5-53.4-37.8-11.3(強め)
栗東・芝・稍重(助手)
6F 83.2-66.2-50.4-37.0-11.5(馬なり)
715エコロヴァルツ岩田康誠牡357.037.111栗東・CW・稍重(岩田康)
7F 99.4-67.1-52.4-37.8-11.8(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.5-38.3-24.9-12.5(馬なり)
816ヘデントール戸崎圭太牡357.09.65美浦・ウッド・不良(助手)
7F 98.5-67.9-53.0-38.4-11.8(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(戸崎圭)
5F 68.5-53.2-38.5-11.7(馬なり)
817アドマイヤテラ武豊牡357.011.46栗東・CW・稍重(武豊)
7F 97.7-66.3-51.1-36.4-11.7(一杯)
栗東・芝・稍重(助手)
6F 83.5-66.6-51.0-37.2-11.5(直強め)
818アレグロブリランテ横山和生牡357.0166.318美浦・ウッド・稍重(横山和)
6F 83.6-67.0-51.9-36.9-11.6(一杯)
美浦・ウッド・良(横山和)
6F 83.2-67.2-52.4-37.5-11.6(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回0回2回22回7.7%7.7%15.4%
先行馬11回7回8回53回13.9%22.8%32.9%
差し馬7回11回8回125回4.6%11.9%17.2%
追い込み馬0回2回2回97回0.0%2.0%4.0%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠3回1回2回34回7.5%10.0%15.0%
2枠5回4回2回29回12.5%22.5%27.5%
3枠2回2回2回34回5.0%10.0%15.0%
4枠1回1回1回37回2.5%5.0%7.5%
5枠1回3回3回33回2.5%10.0%17.5%
6枠1回3回3回33回2.5%10.0%17.5%
7枠4回4回5回45回6.9%13.8%22.4%
8枠3回2回2回52回5.1%8.5%11.9%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト2回1回1回10回14.3%21.4%28.6%
ゴールドシップ1回2回0回5回12.5%37.5%37.5%
オルフェーヴル1回0回1回6回12.5%12.5%25.0%
ドゥラメンテ1回0回0回2回33.3%33.3%33.3%
ドレフォン1回0回0回0回100.0%100.0%100.0%
ルーラーシップ0回1回0回6回0.0%14.3%14.3%
エピファネイア0回1回0回5回0.0%16.7%16.7%
サトノクラウン0回1回0回0回0.0%100.0%100.0%
ハーツクライ0回0回1回6回0.0%0.0%14.3%
ジャスタウェイ0回0回1回3回0.0%0.0%25.0%

菊花賞2024 - 過去10年のデータ傾向

1番人気は消えるという前提でも問題はない

近年、1番人気で連対した馬は、三冠達成が危うい状況になりかける直線勝負となった無敗のコントレイルだけ。

異常な降り方をした極悪の雨馬場のキセキは、レイデオロに神戸新聞杯で敗れただけではなく、春の毎日杯でもアルアインに敗れていたとはいえ、着差が大きくなかったことで、評価したいと思えるような実績があった上に、新潟で強烈なパフォーマンスを繰り出し、G1級を印象付けたこともプラス材料。

ただ、ここで終わってしまった印象もある。

コントレイルもこの後は、脚の具合が思わしくないだとか、相手が強すぎたりだとか、雨の日もあったりと、散々な一年を過ごして、ジャパンCで進化中をアピールするところで、現役を退いた。

その他はもう、ゴールドシップ、エピファネイアが掛かってこない世代の競馬になっているから、ダービー落鉄2着のサトノダイヤモンドによる平定がなされた2016年を除くと、連対はほぼないという状況。

輝き方が尋常ではないコントレイル同様、異彩を放つ、いわば別格の存在でないならば、ソールオリエンスのように距離不安がそのまま出てしまうようなことも恒常化。

メイショウタバルが人気になりすぎることはないはずだが、ダノンデサイルやアーバンシック、ルメール騎手が乗ればヘデントールもそういう括りになるが<=ジャスティンミラノがいないために戸崎騎手の騎乗が濃厚>、多少の雨馬場はこなしそうなダノンデサイルに対し、その他はやや怪しい。

ダービー馬・タスティエーラ2番人気2着は、モレイラ騎手が完璧に乗った結果とすると、ダノンデサイルが人気を吸い上げた時、父エピファネイア級のスタミナを持っていれば問題となるが、明らかに、それ以外の怪しい点も散見される馬だけに、軸不動でも、馬券的な狙いは実質下げる方向に動きそうだ。

狙ってもいいはずの神戸新聞杯組が、ちょっとパッとしないというだけでなく…

5勝といっても、変則の中京→阪神が昨年平常運転に戻ったところで、神戸新聞杯組全滅の4着外しだったから、コントレイルの時以来となる、中京→京都の流れで、好走馬は買いたいけれども、軸には難しいという状況で、メイショウタバルのあの独走劇。

道悪だったことを踏まえると、まず着順は入れ替わるが、みんな頭まであるという狙いは難しい。

そもそも、メイショウサムソン三冠を阻止したソングオブウインドが旧中京2000の神戸新聞杯3着馬で、以降、この微妙な感じの権利獲り成功の伏兵が、外回りができた翌年以降、実に4度も勝ち切っている。

ダービーと同じ2着だったアサクサキングスが本番を制したのが、その最初の年だったから、神戸新聞杯2、3着馬はトライアルとの連勝馬よりも少し多い7勝。

昨年は時計勝負だったと同時に、ダービー出走馬と上がり馬との差があまりにも極小だったという事情で、本番は勝ち馬が出てきたことでまとまらなかったという感じもあったが、上がり馬のサヴォーナもダービー好走のハーツコンチェルトも掲示板の下の方の争いには加わっていた。

ダービー好走ではないが、出ていた馬に中距離実績がある程度あったら、それなりに来るということからも、ショウランラプンタは押さえるべきだろうが、軸にするほどの影響力もないわけで、穴狙いにもデータ上のリスクがあるから、無理筋で神戸新聞杯推しは薦めづらい。

王道を外したところで、力があれば、それなりに見せ場を作れることは間違いない

春の重賞から休み明けで挑むケースや札幌記念などの本流に近い秋に向けたステップレースを経ている場合、実力さえあれば…、の条件で、拾えないことはない。

ラジオNIKKEI賞から間隔重視の参戦で、今度は差し切って見せたフィエールマンは、ルメール無双の状況とはいえ、ハイレベルの混戦を断つキレ味が秀逸。

福島で魅せた幻の勝ち脚とも言うべき強烈なそれを、この後何度も見ることになった。

NHKマイルCからダービーに出て、札幌記念を経て菊花賞。

謎多き旧アーリントンCのウイナーであるレインボーラインは、結局、ほぼ命懸けではあったが、春の天皇賞を5歳時に制した。

ステイヤーではなかったが、スピード型が牛耳る中距離では物足りなかったから、万能型の彼には救済レースに近い趣だったのかもしれない。

あとは、昨年のタスティエーラ。

皐月賞前は押せ押せだったが、それは、様々な事情を踏まえた、ジャパンC当日デビューからの厳しいローテであったため、今でこそ、過去の馬になりかけているが、ここにかけては、十分にエース級の働きであった。

スケール感の見極めは実に難しいところもあるが、強敵相手のキーファクターを満たす別路線組は限られているから、今年はそこに穴はないと言える。

穴党の窮地を救う新潟内回り2200組には、伝統的なパワー継承の歴史がもう出来上がりつつある

昨年のドゥレッツァは、枠の外からやってきた4勝馬だったが、それ以前にも、中京組ではアリストテレス、牝馬のディヴァインラヴなど、新潟経由では雨馬場のポポカテペトル、翌年のユーキャンスマイルなど、長距離実績十分の騎手が乗って、一定のリターンが期待されるグループということで、穴はここからという感じ。

ドゥレッツァの二番煎じをヘデントールに求めるにわかに穴を求める準本命党の熱い投票が、そこに集中するならば、持ちタイムなどで加点できる面のある3勝馬・ピースワンデュックも面白い。

メリオーレムも本来はチャンス十分だったが、神戸新聞杯で壁に当たった印象で、距離延長で即座に逆転という惜敗の印象は残らなかったので、経緯はよくわからないものの、武豊頼みが叶いそうなアドマイヤテラと、差し馬の本質をあまり見せないように、テクニックだけをつけさせるための策に

ここまでは傾注の鞍上のイメージが透けて見えたピースワンデュックは注目。

ダービー組が有利ということもない組み合わせで、ボスキャラに近いウイナーとなったダノンデサイルが、どうも元気そうな様子なので、距離適性を補える古馬との中長距離での熱戦を勝ち切った組を、押さえることと同時に、騎手の腕も含めて、クラシック本戦組と組み合わせたいところ。

近年は、間隔が少し長く取れるセントライト記念組がよく走るので、ここをアーバンシックで決め打つとすると、もう皐月賞もダービーも出ている馬は、ほとんど押さえられなくなってくるから、上がり馬を残りの枠は埋めて、配当を伸ばす妄想に興じたい。

菊花賞2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム

ヒリヒリするような秋を期待した一期生が怪我から復帰し、ここでクラシック初制覇を果たすならば、本物の伝説となるはずの菊花賞に一票

ピースワンデュックの血統

母がヌレイエフの3×4を抱え、ダービー馬・ジャングルポケットにそれが絡んでくるから、少々、スピード能力の持続力に効果を示しそうなこのクロスにも、いくらか重しが加わった印象がある。

父グレーターロンドンは気性的な問題を抱え、それ以上に自身のキャリアに影を落とすような体質面の死角もあったため、順調なキャリアを積み上げられなかったが、5連勝で挑んだ安田記念で、高速決着の中、今や名伯楽への道を突き進むべき日々進化の新調教師・福永祐一騎手を背に4着まで押し上げ、翌年の中京記念で唯一となる重賞タイトルを得た。

ただ、年の離れた姉にはオークス馬のダイワエルシエーロがいて、ファミリーの中で最も長く活躍したキセキは、もう一代経たところで出てきた活躍馬であり、ただし、気性はいずれも似たり寄ったり。

怪しいレースを繰り返しては、突然、自分を取り戻すかのように必死になって踏ん張って、皆を驚かせるような快走を見せた。

明らかに、ロンドンブリッジとその父ドクターデヴィアスが抱えた、本質的には狂気にも近い、トウルビヨン系の継承者らしい性質が大きく関わる。

括りでは同じトウカイテイオーをブルードメアサイアーに持つ天皇賞でも期待のレーベンスティールも、振れ幅の大きい戦績に見られる、そうした気性的な障壁のようなものを内在するところで、それが出たりでなかったりで、皆をヤキモキさせている。

どこにもろくな気性の血が入っていないが、このファミリーにも、フランスのカドラン賞勝ち馬から、ダンシングブレーヴ産駒なのに直線競馬のモーリス・ド・ゲスト賞を勝っている馬が出てきたりと、欧州芝の振れ幅極大の極端すぎた舞台において、底力全開の狂気が眠る。

これ以上ない、半ば暴力的なまでの本質を持ったやんちゃ坊主を、名手の腕比べの中で御しきった時、栄光の1着ゴールが待っているのかもしれないが、若手が乗っていないという事情を、血統的な側面からここまで明確に示すことのできる馬は、そう滅多にいない。

きっと、そうした馬を面白いと思えるようなベテランにしか、若い内は操作ができないタイプのように感じる。

ダービー馬もそんな感じで、あの独走劇であったから、また同じようなことが起きても不思議はない。

菊花賞2024 - レース展開と最終予想

ピースワンデュックに跨る主戦の柴田善臣騎手というのは、何とも、不思議な記録を持った名手なのだが、それが、クラシック、準クラシック級扱いの秋華賞競走など、3歳本流の牡牝の大レース全てで、一度も勝利したことがないと同時に、どのレースでも2着の記録が1回ずつあるのだ。

1989年、武豊伝説の真の意味でのスタートにも思える桜花賞で、シャダイカグラの追い込みに屈したホクトビーナス。

1996年、NHKマイルC初代王者として、タイキフォーチュンを駆った栄えある第一号の優勝騎手となったのも印象深い。

が、翌97年、サニーブライアンがいない、メジロブライト、シルクジャスティスも不発のレースで、マチカネフクキタルに屈したダイワオーシュウでの2着。

2006年、ダービーは同期石橋守に敗れたアドマイヤメイン、秋華賞は無敗阻止失敗のカワカミプリンセスに続いたアサヒライジング。

2008年、混戦の皐月賞でチャンスがあったものの、今や世界に名を少しは知られるようになった川田初戴冠の際に2着だったタケミカヅチ。

2011年は、連続の雨馬場になったオークスで、後藤・エリンコートに敗れたのが、柴田善臣のピュアブリーゼであった…。

振り返れば、勝負弱いというよりかは、一番いい馬に乗っていなかったという、今にして思えば、武豊がいつまで経っても、朝日杯を勝てなかったというあの歴史によく似た話。

しかし、数々のタイトルの裏で、2着の馬についての話は、いずれそれがG1を勝った時に語られることが多いわけで、ステイゴールドにしたって、最後に香港でヴァーズを狙い討ちして、ゲットできていなければ、オルフェーヴルもゴールドシップもこの世に生まれていなかった可能性さえあるから、それはそれで恐ろしい。<ここにも武豊騎手は深く絡んでいる>

そうした認識があるならば、史上最高齢勝利のJRA記録を自身が毎度更新の近年のルーティンにも、箔がつくというもの。

思えば、オークス2度目の3着だった2010年は、JRA史上初となる、1着馬が同着の優勝という快記録が誕生したレースでもある。

2期生横山典弘のサンテミリオンと、後に三冠を達成する武豊と同じ3期・蛯名正義のアパパネ。

トライアルでサンテミリオンの2着だったアグネスワルツも強かったが、人馬とも、より勝負強かったライバルがいたということ。

競馬学校が出来て、最初の世代から、須貝尚介騎手→調教師という華麗なるアップアップ転職成功の例が生まれたわけだが、ジャスタウェイには善臣騎手もノリ騎手も乗って、主戦福永と共に4連勝をしたという鮮やかな継続の記録もある。

ただ、華やかさではなく、怪しさの一点で強烈なインパクトを残したゴールドシップから、ちょっとした迷いを消し去り、ジャスタウェイと共に凱旋門賞に挑戦したのは、同期の善臣騎手ではなく、横山典弘騎手だった。

馬乗りのフィーリングがそこまで大きく違うようには思えない両者だが、職人気質の名手ふたりが、妙な雰囲気を醸し出す若馬を駆った春の中京で、何かが起きそうな予感がして、筆者はずっと、善臣騎手とその時の気になった存在であるピースワンデュックのことを思い出すたびに、この一連のサイドストーリーを、大雑把にでも、一つ一つ振り返りたくなった。

もしかしたら、これはイケるのではないのか…。

関東の名手たちに見れば、大先輩にあたる大崎昭一元騎手のご子息である大竹正博調教師は、微妙なさじ加減を必要とする、何だか独特な低重心走法をするこの馬を委ねるにあたって、教育的な指導の他、出世に必要な要素の洗い出しと、スケール感の確認を託したように思うのだが、改めて、春の中京のデビュー戦を見直してみたところ、想像以上に、勝ちそびれたという惜しいにもほどがある2着だった。

出負けから、勝負所で押し上げて、スマートに前を捌く、いかにも善臣流の差しを仕込みつつ、明らかに不完全なフィジカル面の死角をサポートするために、前を向かせてから走っていく、ギアをゆっくり上げていくという作業をした割に、ゴール前では再加速。

ここに横山典弘騎手が乗っているルクスマーベリックという、これまた危険な匂いのするエピファネイアの仔がいて、これは3着。

西塚騎手が見事に逃げさせて、勝ち切らせたスノーディーヴァという牝馬は、どうにもつむじを曲げてしまったように、絶賛迷い道の最中で陣営は苦戦中だが、そういう馬たちとその後も対戦していったピースワンデュックは、しかし、自身が進化するとともに、内面の強化も図られてきた気がする。

東京では勝利優先の逃げ。

出なかったことを踏まえた上で、ある程度のポテンシャルを見極めた陣営の判断に、馬作りに評価される面があまりに多い善臣騎手が英才教育を施そうという、将来展望を踏まえた先行は、4月の未勝利・芝2000では60.8秒だったが、59.5秒で上がって、後続を完全に封殺。

次も逃げたのは確かだが、そこのレースの結果を考え抜いて、鞍上継続を条件として、明快な菊花賞展望の決め手にするための12Fを選択。

あのダービーの少し後であり、意識すべき対象も見えているところで、同期にも等しい、長くしのぎを削ってきたあの男を倒す何かを見出すために、これも5Fを61.7秒だから、ダービーより少し速い。

そこで終いも適当にしないで、仕掛けも考えて、体のバランスも十分に考慮した仕掛けで、ダービーよりコンマ3秒遅いだけで、2勝目もあっさりという内容。

逃げているようで、実は、差しに近い後半のスパートを、上のクラスに行った時にも同じように繰り出せるような形を、しっかりと教え込んで、自然と身につくように勝ちながら前進も続ける。

これでクラシック未勝利である。

武豊の恐ろしい勝負強さが見え隠れする一方、JRAオンリーで2000勝以上挙げた騎手で唯一、旧八大競走5勝未満、という中身に全く似つかわしくない実績に対し、今更ながら、1985年デビューのこの名手に、信じられないほどの偶然である、横山典弘超えのG1制覇の最高齢記録更新のチャンスが訪れたわけだ。

決定打は、前走新潟。

出は甘かったが、恐らく、最初から差しの手に狙いを絞って、スパート能力の確認をしようとしたところで、ルメール騎手の人気馬を眼前に控えた絶好の展開が訪れた。

予測よりもいやいやを激しくしながら、仕掛けを待ちながらも、キレ負けしないように、高速の新潟内回りに適した絶妙な仕掛けで、それこそ全盛期に150勝位しようという勢いで関東リーディングを獲った時代のそれで、万全のルメールを押し込め、ゴール寸前にわずかに交わして逆転勝利。

雰囲気では僅差でも、相手がミスをしたわけではないところで、馬の力に加え、その能力値を明確に見極めていた鞍上だからこその測った差し切りと見えた。

このタイムが、昨年の4勝目を新潟で挙げて、同じようにゴール前差し切り勝ちだったドゥレッツァの勝ちタイムに迫るものであると同時に、中盤の緩んだコンマ4秒分そのものが、タイム差となったという誤差の範囲ということでは、クラスは一つ下でも、すでにオープン級の伏兵であるという根拠まで、穴党に与えてくれた。

計算通りに組み上げられた、それこそ、横山典弘流のダービーメソッドに、120点以上の回答を見せたダノンデサイルが、世代のエース級として登場する菊花賞で、実は、唯一に等しい対抗馬が、柴田善臣が仕込んだディープ並みに体を大きく使って走れる中長距離型であるピースワンデュックなのではないのか。

思えば、NHK杯の歴史を断ち切って、マイルCの名で第1回を行った1996年に、2着の騎手として記録に残ったのが、ツクバシンフォニーを持ってきた横山典弘騎手だった。

その後、シンボリインディ、時を経て、クラリティスカイ、アエロリットなど、ダービーを2度勝った後、またこの名物競走を勝ったマイスターになっている。

口惜しいも何もないが、何だが、不公平ではないか。

追い求めるものがそこではないにしても、秋古馬三冠のゼンノロブロイだって、前出のジャスタウェイにも乗っている柴田善臣が、クラシックを勝てていないのはやはりおかしい。

それが偶然だったと証明する時、果敢な挑戦を可能にした英断が大きく評価された横山典弘騎手の大記録を更新するのが、同じ年のクラシック競走であれば、もっと面白い。

忘れてはいけない、凱旋門賞帰りのレジェンド・武豊騎手駆るアドマイヤテラも含めて、オジサンのメッカになりかねない今年の菊花賞を、ドライの正反対、濡れ濡れウエッティの情実発注でここはお願いしたい。

この夏の始まりかけたころ。

暑い小倉で中京記念を制したのは横山典弘騎手だったが、直前の函館メインは武豊騎手。

最後の福島で人気になったのは、善臣騎手のショウナンライシンで、間もなく50歳の吉田豊騎手に敗れて2着。

しかし、ただでは転ばない善臣先生は、自身の故障明け最初の週であった東京開幕週のグリーンチャンネルCで、そのショウナンを勝ち切らせる。

完全にローカル仕様の中距離型を思わせておいて、同じ大竹厩舎の馬で、1:34.2というフェブラリーS級の快時計で乗り切って見せた。

鮮やかにイン強襲。

この騎手生活40年目のイケオジ、今以て、侮りがたき働きでその存在感を天下に示している。

菊花賞 過去の予想と結果