菊花賞2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】

レース名第85回菊花賞
日程2024年10月20日
優勝馬アーバンシック
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム3:04.1
馬場
3連単配当19,390円

菊花賞2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
113アーバンシック3:04.1 -
216ヘデントール3:04.52 1/2
317アドマイヤテラ3:04.5ハナ
411ショウナンラプンタ3:04.5クビ
57ビザンチンドリーム3:04.6クビ
単勝13370円
複勝13160円
複勝16240円
複勝17470円
枠連7-8760円
ワイド13-16490円
ワイド13-171,070円
ワイド16-171,640円
馬連13-161,180円
馬単13-162,000円
3連複13-16-17 5,200円
3連単13-16-1719,390円

菊花賞2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「3000メートルは長いので自分のリズムを見つけながらでしたが、1周目のあとにポジションを上げていくことができました。能力を知っていたので自信を持って乗りましたし、道中で息が入ってずっと冷静に走ってくれました。ペースアップしたときに勝てると思いました。ポテンシャルが高いし、特に秋から大人になってパワーアップしています」

※優勝したC.ルメールのコメント(アーバンシック)

菊花賞2024 - レース結果動画(YouTube)

菊花賞2024 - 回顧

言わずと知れた、世代2頭目の2歳女王となったレガレイラの同血馬であり、距離適性も中距離以上の決め手比べにも、予測された以上の、それこそ、生産時に期待したことを超えているような、しっかりとした能力の裏付けを持った才能が、持ち味ともなっているからこそ、速い馬になりかけた大型馬でも、展開の中で、自分に味方をつけられるような何かをどこかに残していれば、長丁場でも同世代の争いであれば、十分に勝ち負けできるスキルはあったとできる。

一方で、秋からより強さを増した父スワーヴリチャードよりも、本質的に距離適性がこのくらいの感じでジャストフィットしそうなハービンジャー×ダンスインザダーク×ウインドインハーヘアという配合は、明らかに、ステイヤータイプのディープインパクト産駒<母ウインドインハーヘア>として考えた時、途端に、マッチョ化著しい元気いっぱいのアーバンシックとて、本命候補のもう一翼が失墜の状態では、ほぼ勝負あり。

コスモキュランダとは、本質的な距離適性を異にするような、ギアの上げ方の柔軟性で、よりスピード配合とできたそちらより、本番とできる皐月賞の結果で、大差ない入線だったならば、アーバンシックの総合力は、その時点ですでに、序盤進行の課題克服により、どうとでもなったことになる。

軽い競馬には向かないハービンジャーの血を活かしきり、今週も、この馬を母父に持つ世代のエース級が、底力を発揮した。

京成杯はエピファネイア・スワーヴリチャード・ゴールドシップの順で決着したわけだが、そのいずれもが、各父は芝12F以上のG1競走で最低3度は馬券に絡んでいることからも、こうした舞台への適性を図る上でもこの世代、最も機能したことになる。

1着馬はダービーを、遅れた差しに無限の可能性を示した2着馬は菊は勝ちきった。

いずれも成長の余地を残すからこそ、ようやく、アーバンシックがまともに、ダービー馬に立ち向かえるようになったということだろう。

ダノンデサイルのロベルト系より、案外、重い血を含むサンデー系が成長曲線が後ろの方になって、急上昇するというのは、ずっと昔からそうだったが、ダノンデサイルはすでに、ロベルト系の枠からはみ出していきそうな何かを持っているから、まだまだライバル物語は長く続いていきそうな気もする。

メイショウタバルが注文を付けることなく、叩いた後の本番という、常道に則したローテで、極めて正攻法の好位抜け出しを図ったところで、本格派の度合いで、また逃げた、ダービー先行のエコロヴァルツより、本質的な能力の絶対値で上を行くメイショウタバルが、その逃げに納得することはない。

ただ、抑えていくことを約束したようなところから、自分のリズムを取り直すようにして、思い通りに動いていけるタイプでもない。

スタミナモンスターだが、あくまでも、一本気のメイショウタバルが、道悪とも言えない程度の良回復の馬場で、他とのアドヴァンテージを出せない条件で、完全暴走のピースワンデュックが突如先頭では、レースは本質からおかしく壊れて行ってしまった。

その後、何頭が先頭を走ったかわからないが、結果、上位に入ったのは、13・16・17各番の、名手跨る外枠偏重の結果からも、何かがゆがめられるような展開により、高速の中距離戦未経験のダノンデサイルは、少し諦めてしまったような感じもあった。

そんな枠の利を活かしきったルメール。

思えば、昨年の春の天皇賞も、大きな出来事が起きたところで、しれっと外から上がっていって、ほぼ圧勝の結果だった。

勝ち運も手繰り寄せる、日頃の行いもいいこの名手には、不思議な展開で自分の手元に勝機が転がり込んでくることも多いが、タイトなレースでも、かなり流れに極端な偏りの生ずる難しいものでも、欧州圏から日本にやってくることで、引き出しが倍以上に増えたルメール騎手には、いつでも、イージーな展開にしてしまうだけの、経験値と確かな武器が存在する。

そうした差が、ライバル不足、いざ自分がどうしなければならないのかを、一点集中の格好で求められる直線を迎えたアーバンシックが、不安がらずに走り切り、思った以上に簡単に菊花賞を勝ててしまった理由。

必ずしも、彼のことを乗りやすいタイプなどと言わないルメール騎手も実直に過ぎるが、現に、怪しい馬がパワーアップしたので、乗ってもらえないだろうかとという経緯が、陣営の、血統はレガレイラと同じだから…、という根拠に乏しい血縁を理由にしただろう、引き出しの部分でアドヴァンテージになったルメール起用の理由とすれば、全て慮って、結果で示すこの男は、その勝ち運だけでなく、全てにおいてパーフェクトである。

出入りが激しい展開も、揉まれないところにいたなら、昨年のドゥレッツァがそうだったように、案外自在に動ける。

今回はパンパン馬場でもなかった。

想定はダノンデサイルが傍にいる想定だったろうが、それがいなくても、その仮想したライバルを置かずして、勝てていた可能性を示したこの一勝に、フロックはない。

パンプアップしすぎて、かなり肉体的な充実が、大いにマイナスになっていても不思議はなかったが、体の身のこなしは、むしろ素軽い。

必ずしものんびり屋さんではないが、こうした馬にルメールが乗っていたのは、不幸中の幸いだったのかもしれない。

少なくとも対抗筆頭、勝てば官軍のクラシックウイナーになったアーバンシックの前途は明るいが、いつも、狙い通りに走るタイプでもない。

しっかりと狙いを定め、シーズンでひとつ、大きなものを獲りに行く形で、長く走ってもらいたい。

無論、決めて勝負で長丁場の海外のレースにも、この血統ならフィットする可能性は大いにある。

ひどい展開で、強気の先行というか、早めにレースの流れを抑え込みにかかったのは、武豊騎手のアドマイヤテラだったが、さすがにスパートとすれば、伏兵のそれ。

ヒシミラクルならば耐えきれただろうが、今そういう、筋金入りというタイプは、久方ぶりに、テーオーロイヤルがそうだったというだけで、まず見かけない。

だから、最後に、直線スパートのヘデントールに差された。

この馬も、力は出したが、直線平坦がぴったりという、半大箱向きの押し上げ組で、序盤意図した範囲化は兎も角として、外枠に素直な対応をしたことが、結果に繋がった印象もある。

ショウナンラプンタもビザンチンドリームも、中距離の消耗戦向き。

誰が勝とうと、前日のような雨の降り方でなければ、きっと、勝ち負けはなかった気もする。

猛然と外を伸びてきたダービー馬・ダノンデサイル。

まとまって、しっかりとした体のつくりになりかけている段階で、内枠での窮屈なレースを強いられたことは、ダメージにこそならなかったという最後の伸びだったが、本質的なスタミナでは、勝ったアーバンシックとそれほどの差は感じさせなかった。

伸び盛りで、大きな体になるのは、最終盤で530kg台に再成長により、いよいよ本格的な形で身になった祖父シンボリクリスエスのそれを想起させ、詰めの甘さがまだ残った3歳シーズンのそれとよく似た負け方。

体の使い方なども、シンボリクリスエスに乗ったことのある横山典弘騎手は知っているから、一度は、揉まれて完全に戦意を失いかけたところで、やめておこうという感じだったのだが、直線だけはしっかりと走れていた。

距離適性があれば、ダービーであれだけ走れたから、もっと詰めてきてもおかしくなかったが、比較的真面目に追い詰めてきた割には、未完成というのもあるのか、無理に追撃ではないにしても、少々物足りなかった印象もある。

能力の一端は示し、ダービー馬として相応しい能力は証明し直したが、足らない部分を補って余りあるスケール感でも、皐月賞での激闘を未経験のこの若馬には、守備範囲を超えていたのかもしれない。

だとすると、陣営の休み明けぶっつけを踏まえると、このメンバーで才能は間違いなくトップでも、勝ちに出た中での叩いての挑戦では、もっと余力を奪う結果になった可能性もあって、結局、これが正解だったと、比較的早い段階で証明される気がする。

そういう直線と考えた時、まだまだ、この馬にも伸びしろがあると思わせたのは、これまた幸いな結果だったと言えるのかもしれない。