マイルチャンピオンシップ2019 予想
直前で有力馬にドタバタの乗り替わり劇が発生するといったこともあったが、
インディチャンプ 福永→池添
ダノンキングリー 戸崎→横山典
MCSは2人とも3勝、レジェンド級の勝ち馬の背も知る名手にスイッチすることになった。
人によっては、これを「鞍上強化」と見ることもできる。
縁のあるベテラン騎手に変更となれば、歓迎したいほどのチェンジと捉えることはできるから、今回は伏兵に乗って期待の欧州トップジョッキーたちの技巧は、昨年見えた出来ること、出来ないことの見極めが、ファンにとっての勝負のポイントとなるはずだ。
◎ダノンプレミアム
○ダノンキングリー
▲インディチャンプ
注ダイアトニック
△プリモシーン、フィアーノロマーノ、レイエンダ、レッドオルガ
とはいえ、ダノンのディープ2頭が崩れる図は想像しがたい。
中2週などこれまでは考えられなかったダノンプレミアムは、前走で燃え尽きたような直線最後の外へのヨレが、休み明けでのもの、案外の平均ペースで強烈な上がりを1頭勝ち馬だけだ繰り出した展開で、本質的な左回りへの適性や言っても万全になる要素には乏しい臨戦過程など、限界の解釈が違うと見ることもできる。
これまで、ダービーで激しく揉まれ、安田記念でレース参加を断念せざるを得ない状況だったケースは、一方は休み明けで、後者は逆に使い詰めの中でのわずかな立ち遅れが影響しての進路カットの憂き目であるから、大きく問題視すべきローテの不備はない。
安田記念から秋の天皇賞直行で、しっかりとそこも好走して、ここで圧勝した関東馬・エアジハードとよく似ている。
彼も4歳充実のシーズンのクライマックスであった。
最初から強かったダノンプレミアムは、皐月賞に出られなかったことから様々な不遇を甘んじて受け入れてきたわけだが、それもまた走りすぎる馬の唯一に近い死角だ。
母系に隠れたグラスワンダーと酷似した母の血統構成は、再び立て直された時に、往時というか、若々しく追い風を味方にして疾駆したあの頃の走りでなくても、そうは簡単に崩れない底力の一端の示し方のようなものもあると、エアジハードの引き立て役に回った後に、ダービー馬を二度屈服させた20年前の雄姿と、どことなくダブる何かがある。
今は、アーモンドアイのような王者が女王様であることも少なくない時代。
それに負けたことがそのまま、力不足と直結する論拠とはならない。
あと、これまで数多くのリピーターが登場した世界一トップマイラーに優しい舞台であるマイルCS連覇の5頭のうち、ニジンスキーやその全弟のミンスキーが入った3頭が20世紀にそれを達成し、サンデー×ノーザンの21世紀の2頭と含め、テディ系やハイペリオン系の血に名牝系の底上げ効果が、その偉業の後押しとなってきた共通項を持つ。
元より、安田記念よる穏やかな競馬になりやすいこのレース。
種牡馬選定の意味合いもかなり強く表れる。
フロリースカップ、スタイルパッチの系統から連覇の馬が登場し、ヘイロー系の3頭だと、アルマームード、ラフショッド、ラトロワンヌの組み合わせのタイキシャトルに、アルマームードクロスのサンデー2頭というように、世界的名血の集積体の名マイラーが大きく羽ばたいた実績は見逃せない。
父ディープはこれまで3頭の勝ち馬を送り込み、母父インティカブは京都で踊るように快走して見せたスノーフェアリーの父であり、その中に入ったクラフティプロスペクター×ダンチヒには、あのアグネスデジタル<母父ダンチヒ直仔・チーフズクラウン>の影を見る。
母系を辿れば、日本に輸入された愛米で活躍したガリレオ・ケープブランコや遠い昔のJC1番人気の名牝・ユーザーフレンドリーがいる。
一番サイクルが遅いところには、盛岡でやけに速かったベストウォーリアなど、クラフティプロスペクターが入っていないのに、様々な適性を秘めた才能が点在する。
ある意味、本当に強い馬ならば、ここは勝たねばならない舞台。
ダノンプレミアムは、ダノンキングリーの末脚をどう封じるか。
否、あの鞍上である。正攻法で一本釣りのプレミアム潰しもあり得なくはないか。
いずれにせよ、いい競馬を見せてもらいたいものだ。
ただ、川田&中内田調教師のコンビで、いい加減GⅠを勝ち切ってもらいたいというのが本音である。