2023年NHKマイルカップ予想 過去10年間のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

NHKマイルカップの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第28回NHKマイルカップ (G1)
グレード重賞(G1)
日程2023年5月7日(日)
発走時間15時40分
開催場所東京競馬場
距離芝1,600m
コース左回り
賞金1億3000万円
レコードタイム1:30.5

2023年NHKマイルカップ予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

NHKマイルカップ2023の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11フロムダスク横山 和生牡357.080.617栗東・坂路・重(助手)
800m 49.1-35.9-24.3-12.7(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.6-38.5-24.4-11.8(末強め)
12モリアーナ横山 典弘牝355.011.49美浦・南W・稍重(武藤)
5F 67.5-51.3-36.7-11.3(馬なり)
美浦・南W・良(武藤)
6F 82.3-66.4-51.7-37.5-11.4(馬なり)
23ウンブライル横山 武史牝355.020.28美浦・南W・重(助手)
5F 69.0-53.8-39.5-12.1(馬なり)
美浦・南W・良(助手)
6F 86.6-69.8-54.8-39.8-12.1(馬なり)
24ショーモン鮫島 克駿牡357.023.07-栗東・坂路・良(鮫島駿)
800m 53.5-38.3-24.5-12.1(馬なり)
35シングザットソング吉田 隼人牝355.028.314栗東・坂路・重(助手)
800m 57.1-41.7-26.9-12.6(馬なり)
栗東・坂路・良(吉田隼)
800m 54.1-39.2-25.3-12.4(馬なり)
36エエヤン戸崎 圭太牡357.06.22美浦・坂路・重(助手)
800m 56.9-41.6-27.3-13.5(馬なり)
美浦・南W・良(助手)
5F 66.0-50.6-36.1-11.1(馬なり)
47オールパルフェ大野 拓弥牡357.048.911美浦・南W・重(大野)
6F 82.0-65.7-50.7-36.5-11.3(G前仕掛け)
美浦・南W・良(大野)
6F 84.9-68.7-52.8-37.7-11.5(馬なり)
48セッション団野 大成牡357.019.810-栗東・坂路・良(団野)
800m 53.8-38.8-24.5-11.8(馬なり)
59ナヴォーナ田辺 裕信牡357.036.416-栗東・CW・良(助手)
6F 85.2-69.7-54.4-38.6-12.3(直強め)
510オオバンブルマイ武 豊牡357.06.26-栗東・坂路・良(武豊)
800m 52.8-38.5-25.2-12.8(馬なり)
611シャンパンカラー内田 博幸牡357.019.312美浦・南W・重(内田博)
6F 76.4-61.4-48.3-35.6-11.4(直強め)
美浦・坂路・良(内田博)
800m 52.5-38.2-25.5-12.7(馬なり)
--クルゼイロドスルM.デムーロ牡357.0--栗東・CW・重(M.デムーロ)
7F 95.9-64.3-50.5-36.7-12.0(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.8-39.2-25.6-12.8(馬なり)
713ドルチェモア岩田 望来牡357.06.43栗東・CW・重(三浦)
6F 81.0-64.3-49.5-35.2-11.5(一杯)
栗東・坂路・良(三浦)
800m 55.1-40.1-25.6-12.1(馬なり)
714ユリーシャ松山 弘平牝355.064.218-栗東・坂路・良(助手)
800m 56.1-40.0-25.3-12.0(馬なり)
715カルロヴェローチェD.レーン牡357.04.11栗東・CW・重(レーン)
6F 81.5-66.0-51.2-37.0-12.7(一杯)
栗東・CW・良(酒井学)
4F 52.1-36.6-10.9(末強め)
816タマモブラックタイ幸 英明牡357.037.213栗東・CW・重(角田河)
7F 97.7-66.3-51.4-36.5-11.3(一杯)
栗東・CW・良(助手)
6F 79.7-64.8-50.8-36.8-11.7(強め)
817ミシシッピテソーロ柴田 大知牝355.065.220美浦・南W・重(柴田大)
5F 66.8-51.8-37.3-11.4(馬なり)
美浦・南W・良(柴田大)
5F 70.3-54.8-38.8-11.4(馬なり)
818ダノンタッチダウン川田 将雅牡357.010.15栗東・坂路・稍重(斎藤)
800m 54.9-40.0-25.6-12.3(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.1-39.2-25.0-12.1(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬3回1回1回15回15.0%20.0%25.0%
先行馬5回7回4回63回6.3%15.2%20.3%
差し馬8回8回12回134回4.9%9.9%17.3%
追い込み馬4回4回3回88回4.0%8.1%11.1%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠0回5回2回33回0.0%12.5%17.5%
2枠2回2回2回34回5.0%10.0%15.0%
3枠2回2回3回33回5.0%10.0%17.5%
4枠2回0回1回37回5.0%5.0%7.5%
5枠2回4回4回30回5.0%15.0%25.0%
6枠3回0回3回34回7.5%7.5%15.0%
7枠5回3回2回50回8.3%13.3%16.7%
8枠4回4回3回49回6.7%13.3%18.3%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト60回33回35回250回15.9%24.6%33.9%
ロードカナロア26回30回21回181回10.1%21.7%29.8%
ハーツクライ18回17回28回117回10.0%19.4%35.0%
エピファネイア16回11回11回88回12.7%21.4%30.2%
キングカメハメハ15回14回10回84回12.2%23.6%31.7%
ルーラーシップ15回11回10回113回10.1%17.4%24.2%
ダイワメジャー12回7回9回105回9.0%14.3%21.1%
ドゥラメンテ11回12回8回64回11.6%24.2%32.6%
スクリーンヒーロー9回16回15回84回7.3%20.2%32.3%
モーリス8回12回7回72回8.1%20.2%27.3%

2023年NHKマイルカップ予想 - 過去10年のデータ傾向

来ないわけではないけど…

1着馬が逃げ切りのミッキーアイルとメジャーエンブレム、2着だと桜花賞から転戦でほとんどガス欠で負けたような感じのレシステンシア、3着だったのは、2歳王者のグレナディアガーズ。

面白いもので、どの馬も先行型ばかりで、明らかに実績上位。

降着とはいっても4位入線で、勝てたとはちょっと思えないグランアレグリアもいれば、過剰人気過ぎたカラクレナイだとかグランシルクなど、ファンが反省すべき押し出された人気筆頭のタイムリーではなかった組もいるのだが、やはり、いつも気を付けないといけないのが、エエヤンやさすがに中心視まではされないかもしれないが鞍上人気が怖いオオバンブルマイなど、珍名だからということではなく、名前で売れそうなトライアルホース。

エーシントップやタワーオブロンドンは、朝日杯でも人気になって不発だった組。

もう一丁やってくれるだろうと思って、結局、ここではダメだった。

昨年のセリフォスは、朝日杯前にデイリー杯を使ったのに、そのことを踏まえ、成長の邪魔にならないような直行策が裏目。

結果は秋にすぐに出したから、ドバイの結果なども含めて、若い馬の大胆な策は意外とハマらないとした方がいい。

奇しくも、昨年は年明け2戦したダノンスコーピオンが、そのセリフォスを今度は倒して見せたのだから、復習はしっかりしておきたい。

朝日杯を使った組を馬鹿にしてはならないのだが…

消えたのがエーシントップやタワーオブロンドン、気を付けたいと念を押したセリフォスなど、朝日杯を勝てなかった人気馬。

馬券内にはそれとなく入ってくるから、昨年なども、じゃない方扱いのダノンスコーピオンが旧式の年明け使い込みローテで、しっかりと結果を出した。

結局、昨年はトレンドではなく、しっかりと東西どちらかのトライアルを戦ってきた組で上位を占めたから、過去10年でも、2歳G1→クラシック初戦のレース間隔になる4か月弱の間隔までしかハマらないことは、30頭中フラムドグロワールのみ、流れに乗って3着に入った以外、3月のクラシックトライアル、主要重賞か、4月以降のレースの前走だった馬しか来ていないことからも、主流を形成する朝日杯組でも、休養明けは難しいとなる。

むしろ、わかっていても苦しいはずのクラシック初戦を使っていた朝日杯組はかなり強い。

1800以上の重賞を年明けに使ったこの組からは、6年連続で好走馬が出ており、ジュベナイルフィリーズ組も合わせるとその率は更にアップ。

今年は出走の5頭すべてがオープンでの好走実績があり、ダノンタッチダウンはさすがに前走負けすぎでも、本来は人気必至のドルチェモアと互角。

少なくとも、彼らを消す理由はないが、ダノンタッチダウンは皐月賞直行だけが敗因ではないだろうから、順序はあの時の着順の通りとしておく。

妙な感じで意外な仕事をするあのレースの好走馬

ラウダシオンとグレナディアガーズ、ボンセルヴィーソなど、朝日杯組の狙いどころというか、この特穴枠とすべき裏ローテの黄金ルート組となってくるが、カルロヴェローチェがどうかと言えば、いつも気になる宝塚記念当日の阪神1800新馬勝ちの馬ということで、力づくの参入としておきたい。

何故、ここのグループはいいのかと言えば、基本的には、朝日杯で頂点に近いところまで仕上げて、どんなに使ってもここが3戦目以内になるはずだから、負けてもいい立場ではあるので、好走の再現性の部分で、一定のレベルにある3歳重賞でひどい負け方をしないことを条件としつつ、手広く狙うにはちょうど人気の盲点になりやすいから、都合のいい存在ではある。

しかし、カルロヴェローチェにして、年明けの1勝クラスをシンザン記念超えの快時計で乗り切り、血統的にはフィット感があったとされる道悪のファルコンSも、勝負所に至るまでの序盤がよろしくなかったし、直線だって必ずしもスムーズではなかった。

わざわざ、次を見据えた名手のアシストの結果が、勝ちと出なかっただけであり、鞍上は今度で4度目の変更だから、この辺りはラウダシオンとよく似て<何故か、ルメール、福永、武豊で本番テン乗りまで同じ>、狙いはこの馬から入るのも面白いだろう。

レーン人気だけは勘弁願いたいところだが…。

面白いのは、和製大砲のささやかな抵抗に見る、出生地の変化

面白い。

何も、父内国産馬<2006年のロジックが最初にこのレースを制した、父が内国産である出走馬>がいつ何時も勝っている今のJRAG1の図式のそれではない。

マイネルホウオウやその少し前のジョーカプチーノら、穴にするには、いかにも近走内容をフロック視されて、伏兵評価が過ぎた面々の逆襲のことである。

他にも、そういえばアルフレードもローレルゲレイロも…、となってきたので、改めて調べ直してみたのだが、昨年のこのレース以降、わずか1勝で、そろそろ血統的にもダート転向もあり得そうな<北米産だらけの時代もあったから、アグネスデジタルやクロフネ的出世も不思議がないレース>カワキタレブリーさんなど、土着系統やそうなりかけている30年くらいは日本に残るファミリーの出身は、今では買いの部類。

毎年必ず来るわけではないにしても、こういう癖のある組み合わせとなっている隠れ良血は、どういうわけだか定期的に、複数年続けてきている傾向。

本命としたカルロヴェローチェだけでなく、明らかに牝馬が強い世代なので、<フローラS快勝のゴールデンハインドはレース歴代2位で、滅多に出てこない逃げ切り勝ちだから、普通ではない競馬ができる桜花賞馬同様、オークスで有力であろう>似たタイプの先行型・ユリーシャもクラシックでたまに頑張るサワーオレンジ系なので、期待である。

2023年NHKマイルカップ予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

前哨戦群の結果からも牝馬優勢のようで、東京実績は乏しく、シルバーステート×シラオキ系×レーンの化学反応に期待

カルロヴェローチェの血統

母の生まれ故郷であるトウショウ牧場で、上の兄弟は多く誕生してきたが、この馬を含め、ノーザンファーム産の期待馬としてデビューするようになった今も、継続してサンデーサイレンス系を配されてきている。

母スナーサトウショウは未勝利だったが、母母は7勝のうち6勝が1200重賞というシーイズトウショウ。

無敗の桜花賞馬・シスタートウショウは伯母にあたる。

そのシスタートウショウの母であるコーニストウショウには、無敗で皐月賞を制したトウショウボーイを配されてきたが、途中でいなくなってしまったため、シスターの妹ジェーンには、3代母がトウショウボーイの母と共通する基礎繁殖牝馬ソシアルバターフライ<トウショウボーイの半妹から続くライン>という位置に入るだけでなく、直系にもソシアルバターフライの孫世代であるトウショウペガサスを配された種牡馬・トウショウフリートを父に持つという背景から、その血の濃さで、ほぼ同等の価値を持つ。

同時に、ソシアルバターフライが3×3であるトウショウフリートをつけることで、ダンディルートが直交の3×2とまたあり得ない強さのインブリードが施されているから、競走馬としては未勝利だったが、娘は活躍。

また大物ロックオブジブラルタルが日本に合わないことを証明するように、スナーサは走らなかったが、カルロヴェローチェはここまでワンターンの3戦では一度も崩れず。

歴史的波乱のダービーで2着としたシラオキから通ずる黄金のクラシックラインは、シスタートウショウの活躍だけでなく、直仔がダービーも皐月賞も無傷で制したコダマ、代を経て、90年代にはスペシャルウィーク<シーザリオの父>、2007年には同じように独走のウオッカ<父もダービー馬のタニノギムレット>と、ただならぬクラシックウイナーを40年以上もターフに送り込んできた。

ディープインパクトの血を持つシラオキ系の活躍はほとんど目立ってこなかったが、同じフロリースカップのラインからレイパパレ、ステイゴールと同族のロイヤルサッシュ直系からはショウナンパンドラと、エースを捉えるちょっと伏兵評価で強い牝馬が出てきたが、絶妙に1番人気にならない前走負けのカルロヴェローチェは、ショウナンパンドラやウオッカらがそうであったように、本当の力を本番で出す魅力を秘める。

シラオキの血が永久に残る可能性を、エピファネイアの成功で見えている状況で、母系でまた直系のこのカルロヴェローチェにも活躍を期待する。

2023年NHKマイルカップ予想 - レース展開と最終予想

お世辞にも、サクセスストーリーを作ってきた、名牝・シスタートウショウ<祖母のおば>のような美しい戦績を、また大きな実績を積み上げてきたわけではないカルロヴェローチェながら、当初皐月賞くらいは…、という陣営の狙いが2歳時にもう破綻したあとの2戦は、一気に母母シーイズトウショウのようなパワフルさを感じさせる、スピード型としての大成を期待させるものがあった。

様々見ていくうちに、今シーズンは須貝尚介厩舎と専属契約なのかという感じで、早晩、ソダシとのコンビでヴィクトリアマイル連覇の青写真を描いていたレーン騎手が、その前祝いにと、NHKマイルCで僚馬のカルロヴェローチェとの参戦で、意気軒昂なのは明らか。

面白い競馬になりそうな、安定の混戦であるNHKマイルCを、このパワフルコンビが制すると見る。

才能はともかく、血統は前述の通り、ほぼ狙った通りにマイラーに育ったようなところがあり、国内のマイルG1であるなら、適性はピカイチ。

何なら、諸外国で大きなタイトルを狙えるぞ、と思わせる意味でも、レーン騎手を乗せる価値は、今後の展望、負けたところで前途洋々の良血なのだから、掛け値なしでも魅力が多い。

新馬戦はまだまだ伸びしろのあるチャンスザローゼス、どういうわけだかドバイで再会することとなったデルマソトガケ、ドゥラエレーデという砂と中距離の2歳王者に、若干名前負けでも、ディープインパクト記念では伏兵の逃げを見せて次戦注目のゴッドファザーなどなど、後のレースで見所十分の才覚を早くから示す、これ以上なく、ハイレベルなデビュー戦の組み合わせだったので、評価はドゥラエレーデに譲ったものの、そちらが勝負所手前で掛かってしまってアウト。

スムーズにルメール騎手と理想の新馬戦にしたかった序盤のカルロヴェローチェだが、そのドゥラエレーデの影響で、被されてからが少々いただけない仕草も見られたものの、直線は突き抜け、チャンスザローゼスを相手にせず2馬身先着。

ただ、今にして思えば、直線の抜け出しに、少々中距離向きのしなやかさより、馬格のある馬特有のパワフルにスピードを爆発させる才能の一端が見られていたと、ファルコンSを見た後だと感じてしまう。

現に、道中掛かり通しだった次走の野路菊Sでは、ルメール騎手らしく前で抑え込もうとする技術を限界まで繰り出したが、それも虚しく、鞍上が諦めると同時に、馬の方も今日はおしまいとズルズル後退でしんがり負け。

ここではファントムシーフが快勝し、トップナイフが強くなりかけていることが見えてくる一戦だから、言い訳もできたのだから強運の持ち主だ。

クラシック戦線への挑戦の前に、2勝目のマスト条件がついた明けの白梅賞は、福永騎手が恐らくは、様々なすり合わせをした中で、スロー逃げの選択。

内容的には少し前のシンザン記念で押し切り勝ちを決めたピクシーナイトのようだったが、逃げて上がり最速は、ほぼ馬なり圧勝だったコントレイルのダービーと本質は同じ。

ここにも、エアメテオラやアルジーヌら人気勢もいたにはいたが、志が高いというカルロヴェローチェと、目標設定をはっきりできた時の判断力がきわめて正確な福永元騎手にとっては、相手ではなかった印象もある。

掛かりそうなところを踏まえ、距離をこれまでで最短の1400、鞍上武豊、重馬場の余計なオプションまでついたファルコンSは、内枠で激しいプレッシャーがかかり、また賞金加算と同時に差しのキレ味まで測るというミッションに加え、人気も背負わされた。

ぐちゃぐちゃになりながら、直線も右へ左へと進路変更した中で、ほとんど同じ位置にいたはずのタマモブラックタイを追い詰めるところまではいったが、届かず。

しかし、力負けではないと同時に、クラシック戦線から離れた陣営の選択が間違いではなかっただけでなく、思惑通りに、マイル戦での末脚比べに対する適性も、スーパースターが見出したのだから、陣営はより強気になれる。

今年も混戦であり、玉石混淆はいつもの通り。

彼もまだ、ただの石ころであって何ら不思議な立場ではあるが、2戦の勝ちっぷりは秀逸であり、すでに1400~2000で出走経験がある。

3歳馬が桜花賞、皐月賞前までに使う範囲のマックスを、わずか4戦の中で全て経験している強みがある。

馬の方は若さ満点だが、強気だけでなく、引く手にも磨きがかかってきたセリフォスの豪脚を引き出したダミアン・レーンの手腕にも注目。

ルフトシュトロームやインダストリアなどの、不完全燃焼という結末に終わった悲しき5着や、国外初挑戦で日本のG1も初めてとなった2019年・グルーヴィットと参戦のレースと、ことごとく詰まるなどの不運があったレーン騎手には、前向きに攻めても戦えるキャリアがあるカルロヴェローチェは、かなり乗りやすい。

母系のスピード過多の配合的不安も、距離への適性や前半の展開などを考えると、相殺されるどころか、大舞台でこそ狙いたい血統。

過剰人気だと、スペシャルウィークやウオッカのような第一冠の不発はあるものの、無敗なのに4番人気に止まったシスタートウショウの桜花賞を考えると、姪っ子でまるで人気のない桜花賞でサンデーの大物・スティルインラブ、アドマイヤグルーヴの間に挟まって2着のシーイズトウショウの結果は、全てを証明している気がする。

シラオキ系の記録を見ていくと、そもそもの場面で登場してくる直仔のコダマが、西の王者として無傷でスプリングSに挑んだ際、東の王者であるマツカゼオーに人気では譲ったという、意外なキャリアを残していた。

無論、無敵状態のコダマは負けなかったが、人気が入れ替わった本番では、マツカゼオーもしっかり走ったものの、コダマは返り討ちにして、ダービーもレコードで勝った。

このシラオキ系は、桜花賞も牡馬クラシックも制しているから、<菊花賞はマチカネフクキタル>旧制のクラシックの概念を当てはめると、オークスだけはまだ縁がない。

ただ、秋華賞もウオッカが負けてしまったから、このNHKマイルC同様、勝ち切れないレース。

不滅のシラオキ直系が、いずれ勝ち切るとするならば、ド表のクラシック血統であるローズトウショウのラインである確率が高い。

桜花賞の2、3着馬が、土着に近くなったバレークイーンやケイティーズのファミリーであった。

外国産馬の時代は黎明期だけで、その全盛時代でも、すっかり好々爺になられた大久保洋吉元調教師が管理したショウナンナンバーがアストニシメント、社台の有能な牝系も幾度となく好走し、縛りを大きく広めた土着へ拘った図表を作っても、ヘレンサーフ系やプロポンチス系の末裔が、好走馬として登場するのが、近年ほど当たり前。

シラオキの人気馬を古い血統として切ると、ファストフォースがコランディア系であったように、また痛い目に遭うのかもしれない。

買い材料が多すぎるのがむしろ不安で、それが1番人気ではなさそうな状況であることが、データ上は何とも好ましいのだから、大いに肩入れしていきたいところだ。