NHKマイルカップ2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ジャンタルマンタル(2.9倍)、2着アスコリピチェーノ(2.9倍)、3着ロジリオン(28.5倍)

レース名第29回NHKマイルカップ
日程2024年5月5日
優勝馬ジャンタルマンタル
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム1:32.4
馬場良馬場
3連単配当8,520円

NHKマイルカップ2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
116ジャンタルマンタル1:32.4-
214アスコリピチェーノ1:32.82.1/2
36ロジリオン1:32.9クビ
412ゴンバデカーブース1:32.9クビ
54イフェイオン1:33.21.3/4
単勝16290円
複勝16130円
複勝14120円
複勝6410円
枠連7-8310円
ワイド6-14970円
ワイド6-161,100円
ワイド14-16970円
馬連14-16360円
馬単16-14700円
3連複6-14-162,540円
3連単16-14-68,520円

NHKマイルカップ2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「素晴らしい競馬をしてくれました。皐月賞で頑張って走った分、中2週と輸送の疲れを意識しながらではありましたが、競馬自体はスムーズに運ぶことができていたので、これなら大丈夫と思えた前半でした。2000メートルの皐月賞にトライして負けはしましたが、3着という素晴らしい内容でした。この馬に適する千六に戻り、これだけのパフォーマンスができたことは、関係者とともに新たに大きな自信となりました」

※優勝した川田将雅騎手のコメント(ジャンタルマンタル)

NHKマイルカップ2024 - レース結果動画(YouTube)

NHKマイルカップ2024 - 回顧

ジャンタルマンタルの血統

今更、2歳マイル王者に血統解説など必要ないわけだが、ダートのマイル王の方は、天下のチャーチルダウンズ・アメリカンダービーの代名詞であるケンタッキーダービーで、予測された以上の熱戦に加わり、運のなさもあったような3着というのは、このジャンルマンタルのラインが、北米で猛威を振るった時期もあるスマートストライクの直系であり、また、その孫世代のクラシックウイナーが生んだマイル王であるということで、ある程度の補足は入れておきたい。

とはいえ、北米ダートでは扱いの難しいサンデーサイレンスも惨敗に近い2着だったベルモントSのウイナーであるパレスマリスは、しかし、古馬になると、同じベルモントパークのマイルG1を1分33秒台中盤で乗り切り、勝ちきったような馬で、不思議な性質を伝えるサンデーサイレンス的な何かを秘める。

芝の走りでダートのクラシック戦線を戦い抜き、古馬統一を意味するBCクラシック快時計制覇も成したサンデーサイレンス程の大物ではないパレスマリスは、ノーブルロジャーというシンザン記念の勝ち馬をここに送り込んで、もっと強敵と戦っていたら、更なる躍進もこちらあり得ただろうという一頭も加わり、ジャンタルマンタルの存在感は一際輝きを放つように目立っていた。

速い血を取り込んだというほど偏りはなく、そもそも、ジャスティンパレス、アイアンバローズというステイヤー兄弟を出したパレスマリスの母の存在と、パレスマリスと真逆で、ダート、芝問わずに短距離で結果を出した後に、芝の11Fで唯一の重賞勝ちを記録した母のインディアマントゥアナの稀有な特性から、皐月賞あわやのシーンの解説が十分に可能。

ただし、鞍上も認めたように、全て総合的に勘案するならば、未完成を陣営が認めるように、現状では、この芝の根幹距離である1600Mのカテゴリーで、古馬統一までを視野に入れた活躍を目指すのが筋なのであろう。

今日のジャンタルマンタルは、最後まで止まっていなかった。

このレースに出てくると、いつも何かが起きるということなのだろう。

目を覆いたくなるような5年前のアレが再び、最も重要な場面で再生されたかのようなルメールのミスジャッジは大いに頂けなかったが、終始、川田騎手は、相手が誰なのか、どの馬であるのかをちゃんと理解し、段取りもしっかりと整えていたから、一昨年の制覇時と同じようにかなりの外枠は不利であったものの、ルメール潰しを敢行した余裕の位置取りが、

46.3→46.1

というハイバランスの展開を好位付けでかなった段階で、アスコリピチェーノの実力全開も約束されたと同時に、対を成す、牡馬のマイル王者となったジャンタルマンタルの力が同時に遺憾なく発揮される展開となったことで、偏った展開になる事は全くなくなったからこそ、ゴンバデカーブースまでポテンシャルンの高さで突っ込んできたくらいで、何も不思議なことは起きなかったように窺える。

とは、勝者の側としたらそういう見解であろうが、全ては、勝ち運をもったモノが、その好機をしっかりとモノにするのが、世界のG1競走のスタンダードな趨勢なのであるから、ルメール騎手の様々な状態の不完全さも、アスコリピチェーノのディスアドバンテージとなってしまったことは否めず、この点のみは残念。

しかし、川田騎手の組み立ての完璧さは、今週は際立っていたようなところもあり、先週の香港で、ひどい凡戦を予期させたのんびり過ぎたプログノーシスを、絶対に、当地王者であるロマンチックウォリアーを負かした馬にするためのリカバリー敢行で、面目を保ったことから、全てが続いているような気もする。

騎手としての全盛期に、只ならぬ進化を見せたルメール騎手との激突を、勿論のこと、また望んでいたという抑えようのない気持ちの昂ぶりは、全てが馬のためになったというユウガも、言わずもがな、ワールドクラスの騎手に今なろうとしている。

どこかに、チャーチルダウンズにいる川田将雅でいたかったという気持ちは、かわいい後輩で、もうライバルになっていくことが見えている坂井瑠星騎手=無敗街道が終わったフォーエバーヤングの主戦 の激しい戦いに末に敗れた姿を見て、より在るべきトップジョッキーとしての振る舞いへの意識を高めるような結果でもあったから、むしろ、その部分では引き締まったものがあるのだろう。

土曜もイケイケだったが、日曜日もよく馬を動かして、無駄な負荷はかけていなかった。

もろもろ、今更褒めるところではないが、ジャンタルマンタルと同じで、前回以上でなくとも勝ち負けの今回は、そうしたことを短い期間で整理するのに十分な経験が、人馬の勝ち運を引き込んだような面もあったのかもしれない。

一方、ドバイ帰り初戦がまさかの4月全休で今週からとなってしまったルメール騎手は、全く不安のない状態だったアスコリピチェーノの素晴らしい佇まいに対し、残念ながら、藤岡康太騎手だけでなく、仲間たちが次々事故に遭ったということもあり、思えば、ノーブルロジャーに乗った松山騎手だって、そこまで万全ではなかったはずだが、勝負勘と同時に、明らかに、フィジカルのコンディション面における不完全さを証明するような3鞍の内容となってしまったから、口惜しいのもあるだろうが、年齢的なことを考えると、簡単に復元できるような事故ではなかったともできる。

そんなことなど、全く喜ばしいなどと思わないトップクラスの騎手たちは、そんな姿が少し不安に思えるほどに、あのNHKマイルCの直線は、川田の圧に大いに差し込まれたような、かなり強引な進路選択で、クレバーさが売り物のスマートガイのルメールでは全くなかったが、タワーオブロンドンの時もグランアレグリアの時も似たような感じだった。

やるべきことはできたが、その直後のレシステンシアやシュネルマイスターなどでも極めて接戦に持ち込まれ、まだ1度しか勝っていない。

このレースでだけは、他の騎手はフラットな気持ちで戦える、とでもしておけば、いつもらしくないクリストフのNHKマイルCは、ライバルとしても戦いやすい。

ある意味、そんな頂けないルメール騎手を勇気づけるように、今日のアスコリピチェーノも健気に伸び続けていた。

偉いし、何よりも内面的な強さがある、正しく女王に相応しい存在だ。

ロジリオンは、その前のやり合いに完璧な戸崎騎手のエスコートで、能力全開と行きたかったが…。

いや、頑張ってみたものの、いつも何かに躓くような馬のこと。

一応、このレースもスタートそのものはよくなかったし、仕掛けはむしろ、いつも詰まって動けない馬にしてはよく過ぎたことで、本質的な距離適性で、上位に来た面々に見劣ったのは事実。

きっと、1200でもキレ負けし、マイルでも少し辛いタイプ。

テーオーロイヤルのように、機が熟すのを待つしかないのだろう。切ないが、先は長い。

クラシック候補のゴンバデカーブースとボンドガールが再戦。

鞍上はそれぞれ変更され、前者はモレイラ、後者も前回から武豊とこれ以上ないパートナーを得たが…。

あの東京から、また高速のマッチアップで、前に来たのはG1馬だったということは言い訳できるが、どう考えても、叩いてよくなるはずのボンドガールが、案外の成長のなさを露呈したのに対し、完調でないなら、そこまでは無理な勝ちの手には出ない日本の騎手のような面もあるモレイラのゴンバデカーブースが、あの日見せた豪快なストライドまでは戻ってこなかったが、明らかに休み明けの影響があったのに、最後止まったロジリオンに際どく迫っている。

展開上は圧倒的にロジ有利だから、ダービーに色気を持って…。

堀調教師の采配一つで、その大舞台の盛り上がりも大きく変化する。

NHKマイルCが大盛り上がりの上で、強い馬が順当に走った。

伏兵イフェイオンが、流れに乗って、そのまま西村騎手の充実を証明するような掲示板最下位となったことで、何となく、敗れてはしまったものの、今年も牝馬が強い世代であることが、何となく、これで確定したような部分は確かにあるのかもしれない。

ロジリオンが頑張ってくれたものの、彼には、まだG1で好勝負になるような勝ち運が備わっていないが、そんなものがなくても、マイル重賞ウイナーの牝馬2頭は、ボンドガールを置き去りにするような進化を、この敗戦の中で見せつけていた。