オークス(優駿牝馬)2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ユーバーレーベン(8.9倍)2着アカイトリノムスメ(4.5倍)3着ハギノピリナ(215.4倍)
レース名 | 第82回優駿牝馬(オークス) |
日程 | 2021年5月23日(日曜) |
優勝馬 | ユーバーレーベン |
優勝騎手 | M・デムーロ |
勝ちタイム | 2:24.5 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 532,180円 |
オークス(優駿牝馬)2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 9 | ユーバーレーベン | 2:24.5 | - |
2 | 7 | アカイトリノムスメ | 2:24.6 | 1 |
3 | 8 | ハギノピリナ | 2:24.6 | ハナ |
4 | 4 | タガノパッション | 2:24.8 | 1 1/4 |
5 | 15 | アールドヴィーヴル | 2:24.8 | アタマ |
単勝 | 9 | 890円 |
複勝 | 9 | 250円 |
複勝 | 7 | 190円 |
複勝 | 8 | 2,820円 |
枠連 | 4-5 | 1,790円 |
ワイド | 7-9 | 700円 |
ワイド | 8-9 | 24,940円 |
ワイド | 7-8 | 14,430円 |
馬連 | 7-9 | 1,880円 |
馬単 | 9-7 | 4,690円 |
3連複 | 7-8-9 | 109,190円 |
3連単 | 9-7-8 | 532,180円 |
オークス(優駿牝馬)2021 - レース後コメント(騎手/厩舎
「感動しました。本当にうれしいね。調子はちょっとずつ良くなっていて、きょうのパドックで乗ったら(状態が良く感じたので)、この馬に乗ってよかったと思った。スタートがあまり良くなくて、最初は失敗したかなと思ったが、向こう正面になってスムーズになった。3、4角でペースが上がった時に楽だったので、直線はいつも通りに、じりじりと伸びてきました。距離は問題ないと信じていたんですけど、物見する心配はあった。最後まで頑張ってくれました」
※デムーロ騎手のコメント(ユーバーレーベン)
オークス(優駿牝馬)2021 - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
オークス(優駿牝馬)2021 - 回顧
素晴らしくタフなオークスであったが、この影響がそのまま、ソダシの敗因になったように思う。
後方から豪快にスパートする力で、早期からソダシと同格とされたユーバーレーベンの逆襲は、両親とも三冠達成のアカイトリノムスメ&ルメールの丁寧な競馬までを凌駕した。
これらが敵でなくなれば、ミルコのスマイルは誰にでも予測できたわけだが、競馬はやはり難しい。
この日は人事を尽くしたミルコとユーバーレーベン、名伯楽に相応しい結果を残し続ける手塚調教師、そして何より、天国の岡田繫幸氏が心血を注いで巨大組織を築いたラフィアンのこれまでの執念に、神様が微笑んでくれたのだろう。
渋った時の方が何も起きないと思っていた筆者は、高速馬場を取り戻したかようにスローの展開でも快時計を出せる含水率へと変化した東京の芝を見て、不安のなさ過ぎるソダシに、返って不安を覚えた。
桜花賞も激しい競馬になる。
今年だけが激烈な時計になったわけではない。
ソダシの勝負運は確かだったが、実力勝ちがほとんどだった。
今回それを乗り越えた時、誰もがその才能を絶賛するとなったわけだが、簡単にはいかない。
札幌2歳Sの消耗戦から、大いにそのスタミナ能力を評価されていたユーバーレーベンは、東京で詰まったあのアルテミスSから、いつもチグハグだった。
ジュベナイルフィリーズも力を出したから、高速決着が望ましい血統には思えないユーバーレーベンには、ずっと過酷な敗戦が続いたことになる。
ところが、連戦連勝でオークスまで到達のソダシに対し、余力と変わり身の魅力だけで完全復活なったユーバーレーベンは、父がゴールドシップだったから駆けたわけではないだろうとと思う。
ざっくり、そのユーバーレーベンの配合を紐解く。
祖母マイネヌーヴェルは、サンデーサイレンスの傑作級であるスティルインラブとアドマイヤグルーヴが競ったクラシックに、伏兵として参戦。
当時すでに右肩下がりにあったブライアンズタイム産駒の中でも珍しく、牝馬でスタミナを誇る本格派の中距離型であった。
奇しくも、直線でぶち抜いたマイネヌーヴェル唯一の重賞勝ちであるフラワーCで、調整なども兼ねた叩き台に徹するしかなかったユーバーレーベンが、祖母同様に桜花賞に出ていたら、また結果は変わっていたのだろう。
マイネヌーヴェルは桜花賞もオークスも二桁着順で、すぐに故障してしまった。
以降、勝っていない。
岡田氏がマイネル軍団に引き込んだ母父にあたるロージズインメイは、サンデーサイレンスと同系というより、マイル王であったタイキシャトルと同じデヴィルズバッグを父に持つ活躍馬という点で、大いに惹かれた上での導入であった。
社台系に対抗すべき血は、自分で調達するスタンスは、ノーザンテーストの仔にハイセイコーで挑んだ35年前のダービーでも見られた伝承の一芸。
ロージズインメイ自身、本国のアメリカでG1制覇は叶わなかったが、日本から唯一船橋のアジュディミツオーを挑んだ年のドバイワールドCを圧勝して、その名を世界に知らしめた。
大活躍とまではいかなかったロージズインメイの種牡馬としての成績ではあったが、何かを信じようとした時、ヘイルトゥリーズン系種牡馬に固執した配合、もっと言えば、3代母のマイネプリテンダーがオセアニア由来のサートリストラムの直仔であるザビール<自身も豪G1馬、代表産駒に28戦14勝の名馬・オクタゴナルがいる>の産駒であり、これも括りはターントゥで同系配合。
都合、4連続でターントゥの様々なクラシックディスタンス向きの血を足し続け、ワイルドという以外には悪口を含まれる表現が付きまとうステイゴールド系の名馬・ゴールドシップが、全てをまとめ上げた。
必ずしも、昨年3着の同産駒・ウインマイティーが好走したから今年は勝てたと言えるほど単純ではないが、パーソロン<代表産駒メジロアサマ、シンボリルドルフ>が毎年のようにオークス馬を出したように、癖が強く出やすいのがこのレース。
これまで重賞を何だかんだで勝っていないユーバーレーベンだからこそ、何かをきっかけに爆発する機会を窺っていたのだとすれば、こんなに流れが向いた場面はなかった。
東京も新馬の段階でこなしている。父譲りの捲りも出来ないわけではない。
強い馬が少ない今年の組み合わせの中、本命級の崩れたスタミナ勝負は、負ける道理などなかったと後からなら言える。
スピード優先のソダシに対し、総合力ではいつも敵わないが、何かが向いた時に全力で走れてしまう可能性はあった。
オークスもダービーも、無敗での制覇は数は少ないが、成功確率そのものはそれほど低くない一方で、2歳女王が無傷のままオークスに出てきたようなことさえない。
毎年、桜花賞の段階でそれが止まっていた近年の傾向を思い出せば、ハープスターがヌーヴォレコルトに敗れ、ラッキーライラックはついにアーモンドアイに届かないと知るあのオークスはすぐに出てくるのだから、難しさはよくわかっていたところだ。
しかし、ソダシがあまりに完璧すぎたのだ。
ユーバーレーベンはどうしても仕掛けがチグハグになってしまうから、鞍上も何度か変更された過程で、自身の調子もおかしくなってしまった面はある。
ソダシは吉田隼人騎手が人馬一体にするべく、オークスの直線までは何一つミスライドはなかった。
敢えて言うなら、下げる勇気だってあってよかったが、九分九厘スローが見えているところで、武豊を行く気にさせたから、レースが締まったのだから、吉田隼人的競馬観ならば、正解だからソダシには苦しくなったということになる。
同時に、桜花賞の辺りで距離延長への可能性もかなり見えてくるものが、極端馬高速決着で、それまでのマイル適性をより求められた桜花賞になった時、先行粘り込みがどうかよりも、レースの質が一変することで、対応力の範疇を超えてしまう可能性は大いにある。
我々は、レッツゴードンキやレーヌミノルが完勝の桜花賞を知っている。
少なくとも、デアリングタクトやアーモンドアイのような展開無視の勝ち方ではなかったから、ソダシには次なる展開がなかったのだろう。
厳しいがそれが現実。
しかし、秋華賞こそソダシの独壇場であろう。坂で止まった感じのソダシは、ユーバーレーベンに4馬身以内でゴールしている。
こういう馬ほど、小回りで強気の抜け出しなら怖い。
ユーバーレーベンには展開は向いたが、この世代、その他大勢の組がやけに多く、隙間を埋める才能が少ない。
もしかすると完調に戻る手前だったのかもしれないが、正攻法の大外押し上げでの抜け出しで、誰に何を言われる理由などない。
最初からユーバーレーベンが勝つべきオークスだったと、今はするべきろう。
アカイトリノムスメのルメール騎手は、思惑通りに事が運んだはずなのに、外からミルコ…、に屈服。
仕方ない。線は細いが、目方はまともな450kg台の馬になっている。
もっと大きかったはずのユーバーレーベンとはひと回りくらい小さいだけ。
元来、タフな中距離ラップに向く配合なのだが、下げて仕掛けるようなタイプではない。
内を回ってユーバーレーベンと同じ上がり。きっと長いのだろう。
その他は気になる馬も多くいたが、ハギノピリナは仰天の走り。
一気の脚はこれに続いたタガノパッションと同レベルだが、スタミナが光ったのはこの馬。
藤懸騎手の狙い以上の追い上げで、勝ってしまう可能性まで半ばでは思わせた末脚は、キズナの良さが出ている代表格としての未来が見えた。
賞金加算はならずも、似たようなローテでディアドラが4着だった。
彼女は夏に再度使い込まれ、秋華賞を圧勝。
似たタイプなのは明らかで、競馬が上手になるには時間がかかる。
まあ、これで岩田騎手に先着なのだから、水に流せるだろう。伏兵の競馬とすれば、上位に入ったタガノパッション、アールドヴィーヴル等、ソダシの先着した価値を今後いくらでも引き出せそうな適鞍が、沢山組まれている。
特殊なオークスの展開ではなかったが、総合力で勝負のタイプが今年は少なかった。
桜花賞同様、この結果にも納得感はある。