2022年オークス(優駿牝馬)【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着スターズオンアース(6.5倍)2着スタニングローズ(28.2倍)3着ナミュール(7.1倍)
レース名 | 第83回オークス(優駿牝馬 |
日程 | 2022年5月22日(日) |
優勝馬 | スターズオンアース |
優勝騎手 | C.ルメール |
勝ちタイム | 2:23.9 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 119,010円 |
2022年オークス(優駿牝馬) - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 18 | スターズオンアース | 2:23.9 | - |
2 | 2 | スタニングローズ | 2:24.1 | 1.1/4 |
3 | 8 | ナミュール | 2:24.3 | 1.1/4 |
4 | 15 | ピンハイ | 2:24.4 | 1 |
5 | 16 | プレサージュリフト | 2:24.5 | クビ |
単勝 | 18 | 650円 |
複勝 | 18 | 180円 |
複勝 | 2 | 580円 |
複勝 | 8 | 260円 |
枠連 | 1-8 | 1,420円 |
ワイド | 2-18 | 2,720円 |
ワイド | 8-18 | 1,100円 |
ワイド | 2-8 | 3,740円 |
馬連 | 2-18 | 8,150円 |
馬単 | 18-2 | 12,750円 |
3連複 | 2-8-18 | 19,360円 |
3連単 | 18-2-8 | 119,010円 |
2022年オークス(優駿牝馬) - レース後コメント(騎手/厩舎)
「今日は優しく乗りたかった。そして直線をどう乗るかを考えていました。最初から冷静に走って、最後はいい脚を使ってくれましたね。彼女の血統はスタミナがあるので距離の心配はなかった。1600メートル、2400メートルで勝てたし、2000メートルでも勝つことができると思います」
※優勝したルメール騎手のコメント(スターズオンアース)
2022年オークス(優駿牝馬) - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
2022年オークス(優駿牝馬) - 回顧
スターズオンアースは言わずと知れた、スペシャルなファミリーを持つ父ドゥラメンテだけでなく、母母スタセリタがフランスのクラシックウイナーであり、その娘であるソウルスターリングも2歳女王であり、日本のオークス快勝馬になっている。
このファミリーはルメール騎手のための一族という面もあり、この馬も外から一気の決め脚。
JRAで今年最初の重賞勝ちに相応しいパートナーであったこととなる。
ドゥラメンテはその母母母が1983年のこの優駿牝馬優勝馬であるダイナカール。
その父ノーザンテーストはダービー馬も3年後に出し、社台系の生産グループが隆盛を極める、真の意味でのスタートとなった一戦でもある。
ダイナカールの娘は、エアグルーヴである、1996年の当レース圧勝馬。
父トニービンは、初年度産駒からオークス勝ちなど二冠のベガを出し、ダービーもウイニングチケットを出して両獲り。
エアグルーヴの娘はアドマイヤグルーヴで、オークスはこの日のサークルオブライフのような不安定な状態でレースを迎え、気性難でレースにならず完敗。
この馬と同じサンデーサイレンスを父に持つスティルインラブが三冠全てを2番人気で制し、全て1番人気のアドマイヤグルーヴは全敗も、エリザベス女王杯でついにG1での先着を果たし、翌年もエリザベス女王杯を勝った。
説明不要のサンデーサイレンスのポテンシャルは未だに継続中だが、その血を最も活かせるのが、ドゥラメンテの父であるキングカメハメハ。
ドゥラメンテはサンデーサイレンスを抱えることで、配合相手の多くに死角が生まれるという危険性がありながら、連続してのクラシックウイナー登場。
ドゥラメンテを未完に終わらせた責任を痛切に感じ、またその急逝を最も悔やんだ堀宣行調教師は、同時期に管理したモーリスと共に、桁違いの競走能力を示した名馬から、エース級種牡馬を出したことになる。
来週はダービー。
何度も出られるその舞台に、ダノンベルーガという天才型を送り込み、大いにディープ・キンカメネクスト時代を牽引するステップに、今年のクラシック戦はなっていく。
直系とは言い難いが、スターズオンアースが桜花賞を勝った時点で、エアグルーヴから続く国内G1複数制覇を4代連続で達成の可能性を持ったが、テン乗りは死角のはずのスターズオンアースにとって、ルメール騎手の持ってなさすぎた今シーズンが、妙な形で勝機を連れてきたような、ごたごたのスタートシーンに、クラシックならではの血の力を感じた。
サークルオブライフに問題はなかったとは言えないが、何はともあれ、スタートで終わってしまった。
目に見えない疲労ということではなく、何かを守るために引かざるを得ないほどに、メンタルが限界を超えてしまっていたのだろうし、周囲の馬もそれは同じ。
異様にスタートシーンまでの間が開いてしまった一戦は、奇しくも、ゲート入りをごねたウェイトゥパリス<デムーロ騎手>が世紀の一戦に水を差したあのジャパCと同じで、またルメール騎手の馬が制したことになる。
長いことJRAの騎手であるというわけではないが、二人とも、初来日からゆうに20年ばかりの時間が経っている。
自分も日本の競馬を支えるというプライドを持っていると同時に、周りの誰もが、彼らを外国人騎手とは思っていない。
騎手キャリアそのものは、完全にベテランに域に入った両者。
片方がだめでも、もう片方はやってくれる。
競馬というのは、意外とそういうところがうまいことまとまるようにできているから不思議だ。
苦しい大外枠は、牝馬の長距離戦では例外とされやすいが、昨日の雨による影響の外差し傾向ではもはやなかった日曜日は、やはり死角を生む要因にもなった。
しかし、桜花賞勝ちの結果をどこかフロック視されたスターズオンアースにとって、元より2着ばかりの戦績もどこか引っかかるものがあったからか、別流の良血・アートハウスにも人気で譲ったことは大きかったはず。
プライドは高い方ではないはずの「フランス人」でもあるルメールが、燃える条件は整った。
危険なところがあることは知りつつ、ドゥラメンテという競走馬との戦いもJRA騎手になった直後に経験し、その産駒での戦い方も見たり、走らせたり、負けてしまったりと繰り返しているうちに、結果、彼の主戦であったデムーロ騎手のダービーで選択した正攻法に近い策で、見事に乗り切った。
強い馬での戦い方を知り尽くしたルメール騎手とて、オークステン乗りの厳しさは、日本は未だ本家とそれと同等の2400M戦のままであることから、よく考えて挑まないといけないことは理解していたはず。
しかし、中団外目のドゥラメンテとそっくりなポジショニング。
ギリギリ人気のアートハウスの動きは見えていただろうが、川田騎手が強気の抜け出しをかかった時に、仕掛けを待った結果が、楽勝に近い抜け出しにしっかりと繋がった。
チェアテニス界のスーパースターである国枝慎吾選手ではないが、俺は最強だ、でこのレースは構わないだろう。
強いルメールであった。
アートハウスの動きに見事に、スパートのタイミングを作ってもらったスタニングローズも、スターズオンアースに見劣らぬローザネイの社台牝系出身者だったが、レーン騎手がそうであるように、強い馬に敗れるいつもの展開になってしまった。
強いのはわかっていても、明らかに何かが足らない。
勝ち馬の末脚に屈したのはともかく、ナミュールや安定の掲示板を続けて見せた伏兵・ピンハイにも末で見劣った。
母母ローズバドも母母母ロゼカラーも、決め手のある小柄な牝馬だったが、中型のキングカメハメハ産駒であるスタニングローズには、本質的なこの武器が足らなかった。
ドゥラメンテはサンデー×トニービンのファミリーのキレ血統が乗り移ったパワー型だったが、ソダシのクロフネが挟まってたスタニングローズは、総合力勝負の中距離向きという性質以上のものは出せなかったことになる。
レーン騎手に合っていたというのは、そういうことの影響しているのだろう。
順調とは言い難かったナミュールもプライドの一端を取り返し、あわやのシーンまで作ったが、あのマルシュロレーヌの出たキョウエイマーチ一族としては、こちらは馬体重が戻らなかったことでも判るように、今度はパワー不足の死角があった。
本番に順調に向かうことは難しい中で、微差の桜花賞で敗れた人気馬というところを埋め合わせることくらいはできたが、どことなく、条件の揃った秋華賞にならないと…、というクラシック不適の性質が見て取れた。
成長力のあるシュリリー系だから見限れないが、一族の長であるオグリキャップも、最初は大舞台で詰めアマだった。
サウンドビバーチェもレース前に走りすぎて、どうも故障もあったらしく除外。
15分くらい遅れるというのは、とうの昔である、イソノルーブルが蹄鉄再装着距離問題が生じた桜花賞・1991年くらいしか思い浮かばないが、その10年後だったか、フェブラリーSでウイングアローの岡部騎手が、規定斤量通りにおもりを入れたか不明となり、再確認したというアクシデントもあった。
もうそれから20年以上。
逃げるはずのパーソナルハイに代わり、やけにやる気だったニシノラブウインクが、意外な単騎逃げに出たことで、スローという括りにならない61秒を切る展開になった。
素晴らしいルメールの復活、スターズオンアースの血統力での二冠達成もあったが、その裏には、こうした根拠あるベース部分のアシストが勝者に味方した点は見逃せない。
そうしたものが一切なかったサークルオブライフは、桜花賞の不運を超えるアクシデントに見舞われたオークス惨敗から、果たして立て直せるだろうか。