桜花賞2015 回顧

テンの争いを制した者が、レースを制するというのは競馬の常識だが、無敗馬がよもやの惨敗を喫するのがこういう場合だ。

岩田康誠だけが、普通の競馬をした。それだけのことだろう。波乱という程の結果ではないのかもしれないが、これが岩田康誠である。勝負への嗅覚が人一倍鋭いからこそ、今の彼がある。

直前の競馬、土曜日からの展開がどうにも気になっていた。

阪神牝馬Sは堀厩舎の上がり馬が力を見せたが、それ以外の主だったところは、大体関西馬が勝っていたのである。

関東馬に見劣っていたのではなく、関西の陣営が今まで勝負を賭けられる状況ではなかったのもあったから、ルージュバック一本被りの関東馬優勢の流れは、波乱を呼ぶ結果を予感させるものもあるにはあったが…。

勝ったレッツゴードンキを褒めるとすれば、最初から強気に重賞を使っていたこと。

札幌2歳Sで見せ場十分の3着。テイエムオーシャンも同じ結果だったことを考慮すれば、もうその時点で世代の代表馬である。

東京にも行って、阪神では勝ちそびれ、桜のトライアルでは逃げを試して、それら全てが桜花賞獲りに繋がった。

いやはや、普通なら2番人気にはなっているはずの馬である。

ウオッカが桜花賞で負けて、ダービーは離れた3番人気の評価だったが、結果には皆の知るように、世代全体のトップホースであることを示す圧倒的をパフォーマンスをみせた。

今にして思えば…、彼女だけ、普通に桜花賞競走をした。

レベルが高いレースにありがちな、意外な盲点が、案外普通の競馬に繋がったのかもしれない。

1分36秒で走れない馬は、桜花賞になど出られるわけがない。レッツゴードンキにしても、本来の力は全部出してはいなかったと思う。

従って、その他大勢は負荷も何もないキャンターみたいな競馬だったから、反動も出ない。

強いて、次戦への繋がりを見出せた存在を探せば、体調キープで外枠から唯一2着争いに加わってきたクイーンズリングか。

ルージュバックは、体は問題なかったが、変に気の悪いところが直前になって出てきたのは不安といえば不安なのだが、恐らく次戦も一番人気でそれも怖いだろう。

ただし、このマンハ牝馬2頭の臨戦過程を考えたら、ここで結果が出ないことは、織り込み済みとも言える。

凡戦だったせいか、オークスのゴールシーンは意外なほどすっきりしたものになりそうだ。

今日はなかったことにして…。そんな桜花賞は、昔はもっと沢山あったのである。