大阪杯2020 予想
これまで3回行われたGⅠ大阪杯の特性は、意外なほどシンプルまとまっている。
・好走8頭は、全て3歳時に重賞を制している
・阪神2000Mの重賞実績はあてにならない
・非根幹距離GⅠの勝者は振るわない<小回り適性に囚われてはいけないの意>
・非根幹距離重賞で重賞初制覇を果たしても、直近でのGⅠ最高着順が根幹距離で記録されていれば、問題なし
GⅠ大阪杯2度好走のアルアインは、実に分かりやすい。
毎日杯<1800>でキセキを破ったりした勢いで、皐月賞<2000>を制すも、セントライト記念や京都記念<両方2200>で連対して挑む4歳時は競り負けての3着。
秋に天皇賞やマイルCSで好走し、金鯱賞で力出し切れずのひと叩き後一変して勝ち切ったのが昨年の5歳時。
4歳の時にあたりをつけて、5歳時に巻き返すというのもあり得る。
それはクラシックホースならでは特別なルールだから、誰にでも当てはまるわけではない。
非根幹距離が合う関東馬の2頭や2歳女王、2度とも4着の異例7歳現役ダービー馬も、実はこれで大いに怪しい存在になってしまう。
結果的に、消去法で5歳ダービー馬であるワグネリアンになってしまったのだが、クロノジェネシスだって、時計を持っていないわけじゃない秋華賞馬なのだから、前走のような道悪適性での圧勝はないにしても、大いに健闘を見せても何ら不思議ではない。
問題は、好走馬全てが根幹距離適性などが重視されるという傾向の通りに来ているということ。
最初にマイル4連勝だった昨秋の表現不適当ながら牝馬の女王となったラッキーライラックや凱旋門賞参戦直前に初めて小回りの根幹距離重賞を制したブラストワンピースらが、安定感最上位のダノンキングリーと力量的にも互角だろうから、見劣るとして除外の手はない。
そうすると、ワグネリアンが勝ち切れると断言できるだけの要素を論理立てて提示せねばならなくなるわけだが、これは単純なことでいいのだろう。
フィットする素地があるのか否か。
昨年はインから枠なりの競馬で、じんわりの仕掛けならずも、何とか勝負圏内に入ってきての3着。
札幌記念は落鉄で、鞍上も圧勝の手応えと幻の復活劇を夢見たという攻撃的な競馬をしたものの、結果は伴わず。
同じことをしようとするも、そこまで器用ではないことが東京2000の外枠でダービーとは裏の面が出た5着の秋天。
そして、主戦騎乗停止に加え、道悪と目標設定があまりにも難しい相手関係だったJCが川田騎手で3着。
やりたいことをしようと思っても、いざ本番では、色々とかみ合わなくて不発続きだったというのは、もうちょっと強くなりそうな雰囲気を4歳秋に示したキタサンブラックやアルアインなどとそっくり。
休み明けはGⅠ馬しか通用しないGⅡ時代からの定説なども入れ込んでしまえば、ダービー以降に一般化された「安定スパート型」の若き日の姿とは様変わりしたスワーヴリチャード的成長を示したワグネリアンには、実に戦いやすい舞台であろうと思う。
阪神2000コースをよくヘンテコな形態と評する関係者も多いが、では、中央場所4場の2000Mのコースでまともなのはどれかと言われれば、実はそれは阪神であったりするわけだ。
キングカメハメハの血は、この競馬とは相性が悪く、昨年も1番人気が母父で6着、2番人気の直系で2着と、直仔ヤマカツエースと大差ない内容で見せ場を作るに止まっている。
一方、出走可能年齢に達した12年当初から好走馬を出していたわけではないディープインパクトの仔は、14年のキズナ復帰戦快勝からすでに5勝。
全兄ブラックタイドの傑作であるキタサンブラックも2戦とも素晴らしい結果だった。
そのキタサンブラックを最後のGⅡ時代に負かしたのがアンビシャス。
よく似た配合のワグネリアンがダービー馬になれたのは、よく似たエルコンドルパサーとキングカメハメハのちょっとしたキャラの違いに影響があった面もあるのだろうが、そもそも、ベストトゥベストの成功例が増えている昨今、キセキがルーラーシップ×ディープであったことも踏まえると、死角となる要素には思えない。
動けるか否か。
若い頃は軽さがない直線勝負型だったが、今は札幌記念の時のように、掛かっても末を失わないパワーが備わっている。
苦手な部類の時計勝負だった秋天も見せ場は作り、枠一つで結果も違った可能性を示していた。
ダノンプレミアムや直後のラッキーライラックの復活走があった昨秋。
同じ頃から活躍するワグネリアンが、急に老け込むことはない。
そもそも、誰よりも若かったのがワグネリアンである。
◎ワグネリアン
○ダノンキングリー
▲ブラストワンピース
注ラッキーライラック
△サトノソルタス、クロノジェネシス