大阪杯2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着レイパパレ(12.2倍)2着モズベッロ(68.8倍)3着コントレイル(1.8倍)

レース名第65回大阪杯
日程2021年4月4日(日曜
優勝馬レイパパレ
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム2:01.6
馬場
3連単配当106,210円

大阪杯2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
18モズベッロ2:01.6-
21モズベッロ2:02.34
37コントレイル2:02.53/4
412グランアレグリア2:02.5クビ
52サリオス2:02.71 1/4
単勝81,220円
複勝8230円
複勝1420円
複勝7110円
枠連1-616,360円
ワイド1-82,750円
ワイド7-8390円
ワイド1-7850円
馬連1-819,080円
馬単8-137,610円
3連複1-7-87,240円
3連単8-1-7106,210円

大阪杯2021 - レース後コメント(騎手/厩舎

「すごいことをしたなと思います。走り出してからリズムがよく、馬場的にも、馬的にもハナに行ってしまおうと思いました。4コーナーで距離を確認して、馬場の真ん中に出すことができて、ちゃんと勝ちきってくれたなと思います。ゴールまでしっかりと走りきることができた結果がこの勝利です」

※川田将雅騎手のコメント(レイパパレ)

大阪杯2021 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

大阪杯2021 - 回顧

たまにある、どうにも説明のつかない怪しい展開のレースとも言ってもいいのだが、ちょっと勿体ない。

歴史的三冠対決を盛り上げた4歳牡馬に、ハイスピードクイーンとなった5歳馬が登場。

その昔、二強対決に現を抜かす秋の天皇賞の大珍事が起こったこともあるが、その時の勝ち馬はあのプリティキャストではない。

プリティキャストが逃げ切った時が、今回と同じ重馬場だった。

実は、ちょっと前に産経大阪杯と称していたスーパーG2の時にも、今回のようなことが起きていた。

<2015年/不良>

・1番人気 キズナ… 前走 京都記念3着<約10カ月ぶりの実戦>

→2着 中団から伸びきれず

・勝ち馬 ラキシス… 前走 有馬記念6着<前々走のエリザベス女王杯優勝>

→間隙をついて、キズナに2馬身の差をつける完勝

1コーナーに各馬が掛かる辺り、その前のレースが芝だったから気づいたが、大変な重馬場であった。

重荷を背負った大レースを経て、再び大舞台へと歩を進めた2強プラスサリオス君には、準備の時間は与えられたが、使い出しの一戦だからこそ、今回のような不可抗力が働いた時に対応できるプラスアルファがなかったのかもしれない。

直線に入った時の各有力馬は、その直前の4コーナーを回り切る前までとは違い、もっとタフにレースを進めていたレイパパレに、そのエネルギーを一完歩ごとに吸い上げられるようにして、完全に封殺されたようにも窺えた。

重馬場で休み明けには、一定の縛りが掛かる。

多少の無理は利くが、その分のリカバリーは難しくなる。

評価は大いに分かれていいレースだろうが、近年の名馬でこのクラスの重馬場はキタサンブラックくらいしかこなせていないと考えた時、若くして成功を収めた有力勢には、胃のキリキリするような痛みへの適応能力がまだ備わっていなかったとすれば、消耗もそこまで考えなくてもいいとは思うのだが…。

こればかりは、しっかりと経過を観察していく必要はある。

はっきりしたのは、人気勢は必ずしも、この距離がベストとは言えない可能性があったということだろうか。

それもどこかが間違っているのだろう。

また、評価は困難を極めてる作業の繰り返しの中で、再度時間をかける必要はありそうだ。

目にいれても痛くない、とはこのことか。

箱入り娘のつもりで、半分遊びを兼ねたトレーニングは、超有力の歴史的名馬級を苦しめるトレーニング装置となっていた…、と結論付ければ、何となく納得感は得られるだろうか。

しかし、

59.8−61.8→2:01.6

初のG1参戦の4歳牝馬が記録するような時計ではない。

ある意味で、同期の4頭の芝におけるトップホースらがその力を示してきた数値と、何一つ遜色ないと同時に、異常なレベルでこの手の馬場をこなす天才的な能力があったのだろう。

当然、この馬場ならアーモンドアイもデアリングタクトも敵ではない。

馬場適性のみで浮上に思えた叩き上げのモズベッロとは同じ36.8秒の上がり、有力勢は着差が直線でより開いた見た目でも分かるように、それより遥かに消耗する直線だった。

前記したとおり、名馬たちのエネルギーを全て吸い上げて見せたのである。これほど痛快な話はない。

ただ、血統は特異に非ず。

父の名は、コントレイルでもグランアレグリアでも、何度となく伝説として解説されてきたあのディープインパクトに違いはないが、その牝系の奥深さは、一朝一夕には伝えきれない伝統と底力を連綿と継承してきたあのフロリースカップ系。

明治期に近代競馬の発展に寄与した、ある種の日本競馬におけるビッグバンが起きた小岩井牧場に導入の基礎繁殖牝馬の一頭から連なる、国内でも最上位に入る優秀な在来牝系だ。

レイパパレの顔など誰に似ているはずもないと、祖先を辿るような作業をしても無駄に思えるが、10代を経てフロリースカップにまで行き着く120年弱の期間で、コダマやメイショウサムソンといった子孫たちがダービーを制した後、4歳春にこのレースを制してきたという縁起のいい血筋でもあった。

母父クロフネが入ると、より道悪適性アップの評価は大いに正解だったが、母母父もダービー勝ちのウイニングチケット<これも優秀なるクレイグダーロッチの子孫>の名が見られる。

もう、こうなってくると、在来牝系が持つ地の利<当然「血」も掛かっている>が、北米血統の強みを消し、欧州型の未完成の才能を斬るのに最も適していたとなる。

きっと、あの日秋華賞に出ていたのなら…。妄想は正解だが、そうなるとコントレイルがこのレースの勝ち馬だったのかもしれない。

配合面を話すと、母父は芝もある程度こなせるハーランズホリデイというストームキャット直系の種牡馬であり、日本ではアルビアーノが芝で大活躍した。

モズベッロが言わずと知れた、あのクロノジェネシスが圧勝の宝塚記念で、孤独に堪え切れず寂しそうに駆けて、坂ではもう走力を失ったサートゥルナーリアを捉え切ったあの馬。

奇しくも、コントレイルを管理する矢作調教師が、ここで勝てずしてどうするという感じでダービーに挑ませたディープブリランテの代表産駒だった。

ディープインパクトの母系は欧州型ではあるが、その血により鈍重に攻めたバブルカンパニー系の破壊力を、自身はスピードの持続力に繋げたが、母系が軽くはないが重い芝向きには思えないモズベッロの個性は、父譲りの重い芝適性のそれであろう。

伏兵ではないが、天才ガールがレースを前々で破壊し、破壊された道を走らされた有力勢が総崩れの後、名うての道悪巧者が大威張りのコントレイルマークを完遂させ、シメシメの決着。

我々には驕りがあったということだろう。

少し、浮き沈みが激しい社会情勢に、夢を見過ぎたのかもしれない。

力を出し切れなかった有力馬とその陣営は、一定のお叱りを受けるのかもしれないが、馬たちの頑張りには敬意を示さねばらない。

ただ、万能であったところで、レイパパレのような特殊な才能もあわせもつ異能の馬が登場では、太刀打ちできなかったか。

かつて、アグネスデジタルがテイエムオペラオーを一刀両断に切り捨てたのは、ちょうど20年前の秋の東京だった。

時代は流れ、快速血統がテイエムオペラオーのような立場になった時、アグネスデジタル的存在は正攻法の逃げ馬として現れた。

ゆっくり結果を振り返りつつ、何かが決まらないレースが時に存在するということも、また我々は学び直したと考えを改めて、反省すべきだろう。