2022年 大阪杯予想

大阪杯の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第66回 大阪杯(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年4月3日 (日)
発走時間15時40分
開催場所阪神競馬場
距離芝2000m
コース右回り
賞金2億円
レコードタイム1:57.2

大阪杯予想2022 の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

大阪杯2022の予想オッズと登録馬

馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11スカーフェイス岩田 康誠牡657.0202.314栗東・坂路・良(助手)
800m 52.6-37.9-24.6-12.3(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.9-37.6-24.1-12.1(一杯)
12レッドジェネシス藤岡 康太牡457.0147.412栗東・CW・稍重(藤岡康)
6F 83.5-68.2-52.7-37.3-11.3(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.7-38.0-24.9-12.5(強め)
23ヒュミドールM.デムーロセ657.0216.515美浦・南W・重(原)
5F 71.1-54.4-38.3-11.4(馬なり)
美浦・南W・稍重(助手)
5F 69.1-53.5-39.0-12.0(馬なり)
24ジャックドール藤岡 佑介牡457.02.82-栗東・CW・良(藤岡佑)
5F 66.9-50.8-36.1-10.8(一杯)
35アカイイト幸 英明牝555.017.44栗東・坂路・稍重(幸)
800m 52.2-37.5-24.6-12.6(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.9-37.7-24.5-12.5(強め)
36エフフォーリア横山 武史牡457.01.51美浦・南W・稍重(横山武)
6F 83.1-66.5-51.4-37.2-11.6(一杯)
美浦・南W・稍重(横山武)
6F 82.5-66.0-51.4-37.3-11.2(G前仕掛け)
47ウインマリリン松岡 正海牝555.069.710美浦・南W・重(松岡)
6F 83.8-66.9-52.0-37.4-11.4(馬なり)
美浦・南W・稍重(松岡)
6F 85.5-68.9-53.4-37.9-11.2(馬なり)
48ポタジェ吉田 隼人牡5 57.054.76栗東・坂路・稍重(助手)
800m 56.5-40.9-26.4-12.8(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 56.4-40.1-25.7-12.6(馬なり)
59アリーヴォC.ルメール牡457.054.97栗東・CW・稍重(助手)
7F 97.2-64.9-50.2-35.9-11.1(強め)
栗東・坂路・良(ルメール)
800m 51.3-37.4-24.6-12.4(末強め)
510ヒシイグアス池添 謙一牡657.027.65美浦・南W・重(助手)
5F 66.8-51.6-37.1-11.2(直強め)
美浦・南W・稍重(助手)
5F 67.7-52.6-39.0-11.7(馬なり)
611ステラリア福永 祐一牝455.099.911栗東・CW・稍重(福永)
6F 81.5-66.2-51.6-36.9-11.4(馬なり)
栗東・CW・良(福永)
6F 82.8-67.6-52.2-37.1-11.3(末強め)
612ショウナンバルディ坂井 瑠星牡657.0241.816栗東・坂路・良(助手)
800m 53.5-39.2-25.4-12.5(末強め)
栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 54.7-39.6-25.1-12.2(馬なり)
713キングオブコージ横山 典弘牡657.064.09栗東・CW・稍重(調教師)
6F 81.2-65.5-50.5-35.9-11.4(馬なり)
栗東・CW・良(調教師)
6F 82.5-66.8-51.4-36.3-11.4(馬なり)
714レイパパレ川田 将雅牝555.08.93-栗東・坂路・良(助手)
800m 53.4-39.3-25.1-12.2(末強め)
815アフリカンゴールド国分 恭介セ757.062.88-栗東・CW・良(助手)
6F 81.0-66.3-52.3-37.6-11.5(一杯)
816マカヒキ岩田 望来牡957.0151.713栗東・坂路・稍重(助手)
800m 52.9-38.8-25.9-13.2(一杯)
栗東・坂路・良(岩田望)
800m 51.7-38.2-25.1-12.6(一杯)

大阪杯予想2022 - 過去10年のデータ傾向

人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気9回4回4回3回45%65%85%
2番人気3回3回3回11回15%30%45%
3番人気3回1回1回15回15%20%25%
4番人気2回2回5回11回10%20%45%
5番人気0回1回3回16回0%5%20%
6~9番人気3回9回4回63回3.8%15.2%20.3%
10番人気以下0回0回0回71回0%0%0%
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬3回4回3回11回14.3%33.3%47.6%
先行馬8回8回6回50回11.1%22.2%30.6%
差し馬6回4回8回69回6.9%11.5%20.7%
追い込み馬3回4回3回60回4.3%10%14.3%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠0回2回0回19回0%9.5%9.5%
2枠0回0回3回20回0%0%13%
3枠3回7回1回17回10.7%35.7%39.3%
4枠2回1回4回22回6.9%10.3%24.1%
5枠7回3回2回22回20.6%29.4%35.3%
6枠2回1回4回31回5.3%7.9%18.4%
7枠3回2回2回31回7.9%13.2%18.4%
8枠3回4回4回28回7.7%17.9%28.2%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト41回37回30回165回15%28.6%39.6%
ハーツクライ22回18回15回133回11.7%21.3%29.3%
キングカメハメハ18回16回11回81回14.3%27%35.7%
ルーラーシップ13回12回13回86回10.5%20.2%30.6%
ハービンジャー13回11回22回105回8.6%15.9%30.5%
オルフェーヴル10回9回9回64回10.9% 20.7%30.4%
キズナ7回9回6回48回10%22.9% 31.4%
ステイゴールド7回5回6回49回10.4%17.9%26.9%
ロードカナロア7回5回4回40回12.5% 21.4%28.6%
ドゥラメンテ6回5回4回18回18.2% 33.3%45.5%

金鯱賞組は活躍しているわけではない

毎年のように、多くのファンが知っている著名馬が集う金鯱賞は、常にエース級を求め、それらが期待通りに近いパフォーマンスを容易くさせてきたという特性がある。

一方で、不利があって敗れたアルアインの巻き返しがあったくらいで、いい競馬であったとはいいがたい大まくり勝ちのスワーヴリチャードの連勝を除いてしまうと、むしろ、買いづらい馬ばかりが出てくる印象。

ジャックドールはオーバーフォール後の秋開催初週の中京から、もう半年で5戦消化し、サイレンススズカになぞられるような馬体重の減りが見られないところでの、持ち時計毎度更新の流れから、かなりタフなレースを繰り返してきたことになる。

東京マイルなどで派手に快時計を期待以上に出してしまうと、アーモンドアイやグランアレグリア、かつてのオグリキャップもがそうであったように、簡単に次走で再び勝つことは容易なミッションとならないのとは、2000という距離に合わせてリズムを作って勝ち続けてきた分、消耗ということはそれほどではないにしても、より上積みを求められるこの条件のレースだと、中2週も合わさってかなり厳しい条件が重なってしまいそうだ。

有馬記念よりはずっと走りやすいエフフォーリアに、金鯱賞で背後に見えるくらいまでは迫ってきた牝馬のタイトルホルダーらも、決して、格下相手ではないから、壊れる覚悟である程度タフな展開に今回は持ちこまないと苦しい。

そこで連続の急坂コースというのもつらい条件。

連続スローからの差し切りのスワーヴリチャード以外、皆、勝ち馬となった面々はG2以上であれば敗れていたことになる。

万全であるなら、エフフォーリアとて大変に厳しい相手となるが、今回はちょっと怪しいとしたい。

 有馬記念組にはジョーカー多し

勝ったのはキタサンブラック、2着はキセキ。

いずれも、有馬では逃げ粘るも最後は後続に捉え切られてしまった強い先行型。

一方、ブラストワンピースが大不発で、以降揮わずという差して勝負にならなかった人気馬も目撃したばかり。

それらの間の脚質であるエフフォーリアは、レース間隔が中7週以上の重賞で負けたことがないのだから、不安材料にはならないとしても、G1前哨戦のような昔のスタンスを今も当てはめれば、それにしては相手関係は厳しく、またみんな絶好調の秋の天皇賞やジャパンCのようなこともないから、出たとこ勝負の面も少しある。

先行脚質で安定していた連対の2頭は、前年は苦しい競馬も経験していた5歳の世代トップ級。

4歳馬で有馬から直行の馬は、実は長く勝っておらず、調整の不安で阪神大賞典ではなくこちらに回ってきて、高速決着に沈んだ無敵艦隊時代のテイエムオペラオーとも似ていなくはないエフフォーリアは、少々、長い距離の競馬に合わせすぎてきた死角を持つ。

本質的には、皐月賞も秋の天皇賞もあの結果だから不安も何もないベスト条件ながら、今にして思えば、単なる激太りで雨により戦意も喪失というコントレイルのような結果もある。

後から見れば、ここはどうでもいい結果だったとはなることはあっても、常に目の前の一戦に対し、どう賭けるかを考える我々からすると、中途半端な着順に入ってくる嫌な負け方まで想定しておく必要もあるように思う。

正直、天皇賞、有馬記念以上の格があるレースではないから、不確定要素も案外多い。

 休み明けで快走するパターンはほとんど同じ

勝ったのは例のレイパパレ<前走チャレンジC>、3着は、JCから直行の昨年1番人気だったコントレイルと、ほぼ叩き台の感じで使ってきた神戸新聞杯優勝以来のワグネリアン。

今のトレンドからも、エリザベス女王杯とか香港の中距離G1であるなら、こうした年明け初戦の馬が有力馬ほど多いというレースだから、いずれそうしたローテで好走の馬も登場するはずだが、決まって、これが4歳馬。

ここもしっかりと各馬の個性を見極めたりする必要はあるだろうが、秋の天皇賞から学べば、前走負けている同士が休み明けで戦うなら…、という論法は万能であろうと言える。

今年のレイパパレ型は、レイパパレ自身がオーソドックスなひと叩きを敢行であるから、意外ともう、エリザベス女王杯大不発のウインマリリン<昨年G2を2勝>、香港Cで激闘を演じたヒシイグアス<昨年の今頃は連戦連勝>だけになる。

休み明けではないアリーヴォは、小倉大賞典との格の差がかなり大きいために、例年の感じなら即消しの極端な小倉適性を誇るステークスウイナーとはいえ、前走の感じで意図して今回も差すと、これもあのドゥラメンテ産駒<父は皐月賞をとんでもない勝ち方で制している>ということからやや気になる存在。

まあ、G1級を証明した上で、休み明けでもそれなりに動けるという血統の印象よりずっと素軽い面のある関東馬の2頭は、エフフォーリアあたりと絶対能力の差はあっても、展開に乱れが生じたら、一気に台頭の可能性を持つ。

前哨戦グループも、ほとんど似たような先行残りばかりで、実があった金鯱賞組は中2週。

差し馬枠をノリマジック期待のキングオブコージ氏に一任すると、もう買える馬は限られてくるというメンバー構成であろう。

 伏兵の選択に迷ったら…

G1好走歴のあったアルアイン、クロノジェネシス、モズベッロが台頭して、それまでのパフォーマンスを振り返れば買えるだろうという面々が、G1に昇格後台頭の傾向が見えてくる。

一方、G2時代からその流れを継続してきているのも、ほぼ同格だった前走京都記念の組。

ドバイ遠征が慣例化していく過程で、中山記念や京都記念は大いに活用され、そちらに向かわない中距離のエース級は、ここに挑む。

キズナやショウナンマイティなど、そのあともG1で人気になる有力馬が来ているわけだが、近年の京都か今の阪神どちらかの主要戦は雨馬場というところでいえば、モズベッロ狙いが今後のキーファクターで、安定の京都記念組は、そういた観点から狙い目になっていきそう。

逃げ切りのアフリカンゴールドにわざわざ肩入れする必要もないが、いつも出走馬が多い。

筆者は軸を伏兵評価になりそうな馬にした関係で自重するものの、軸を4歳ロベルト系ツートップに定める多くの常識的ファンなら、何かを押さえようとはするもの。

前出騸馬以外にも、復活なったマカヒキ<出走となればG1昇格初年度も含め4度目>、そんなはずでは…、という感じで反撃を狙うディープの血を持つ血統馬のジェラルディーナ、レッドジェネシスという個性的面々が居並ぶ。

アドマイヤハダルやポタジェでは物足りないという穴党であれば、人気ガタ落ちは必至の彼らに注目するのはありだろう。

無論、一騎打ちの際の3着拾いか、どちらかのワンサイドゲームという条件がついてくる。

大阪杯予想2022 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

ロベルト2大系統の頂上決戦にあって、本命殺しの本質を秘めるハーツクライの血が騒ぎそうな予感もしないではない。

  • エフフォーリア
  • ジャックドール
  • ヒシイグアス

牝系として今注目すべきは、ジャックドールのファミリーであろうか。

3代母に当たるIt's in the Airの周辺に大物がごろごろいて、昨年は隙間産業的に大舞台で輝く外国調教馬が多かった。

共通3代母となるMystic Guideは、言わずと知れた昨年のドバイワールドC圧勝馬。

チュウワウィザードが相手にしてもらえなかった彼は、それこそ、かつてジャパンCダートを制したアメリカの伏兵・フリートストリートダンサーのような感じで、本国のG1にはいまだ縁のない馬。

ただ、これがマグレでなかったのか、今度はアイルランドのジョセフ・オブライエン厩舎所属で、これも3代母が同じState of Restが、北米の芝タイトルを得た後、オーストラリアの大レースであるコックスプレートも勝ってしまった。

戦績を見ると、デビューは芝の1200Mで、それも勝っているというような馬。

前者がゴーストザッパー×エーピーインディ、後者はデインヒル直系・スタースパングルドバナー×アメリカンクエストという配合。

配合のクオリティなら、昨年のビッグマッチで輝いたモーリス産駒で母父はコントレイルと同じアンブライドルズソングというジャックドールの方が上であろう。

ヒシイグアスの母ラリズというか、そのファミリーというのは、近年社台系グループがこぞって大量購入の南米ブランドの血統馬。

母系にレインボウコーナーだとかサザンヘイローが入っているから、御年9歳の現役ダービー馬・マカヒキと似ていないわけではない。

ただし、北米のラインを含むと快時計向きのマイラーも出すことのあるディープインパクト産駒ではなく、トニービンが入っただけでタフさが大幅強化のハーツクライの仔で母父ストームキャット系となると、何となく右回りの1800、2000を得意としそうな雰囲気が最初から出ている感じ。

完成期に入ると前に行けるようになるトニービンの入った晩成型は、急に守備範囲が広くなるから、戦績にも、休み明けや国外戦の影響があまり目立たないという安定性を得ることがある。

今のヒシイグアスはまさにその状態であろう。

ファミリーは若いころから最後の4、5歳の頃までずっとA級馬になるケイティーズ一族であるエフフォーリアは、中山であったから振れ幅が大きいパフォーマンスに見えたというだけのことで、父父シンボリクリスエスも父エピファネイアも、派手に仕事をするのは右回りのチャンピオン距離であった印象。

この直系で成功すると秋の東京の大レースを完勝するという共通項はあるにしても、ラップのバランスがかなり極端な決着も多く、中山や関西主要場の方が中身のある競馬になっていた印象がある。

一瞬危なかった有馬記念は、そういったアンバランスな競馬の直後で、共同通信杯独走後の皐月賞をもっと派手に勝ったというようなプラスアルファを出せる状況になかった。

ただ、父や父父はそうしたバランスの悪い展開で勝った後は必ず連外しの完敗。

見た目は派手なジャックドールの本質のバランスと比べ、グラスワンダーとシンボリクリスエスの基本的なスピード能力の差、継承されてきた特殊な才能などが、大舞台向きか否かというところでは、力負けはあり得るジャックドールと、本来の動きが戻らず負けるエフフォーリアという構図も、各々想定されないわけでもない。

速さという点ではジャックドールに譲るエフフォーリアは、強気に攻めすぎたときに、ダービーとは違った敗因が浮かび上がる可能性もある。

一方で、ヒシイグアスの父ハーツクライをこちらは母父に持っているから、簡単には見限れない負けた後の再成長に期待すべきとなるわけだが、そのいうところでは、ここらへんでは負けてしまっても構わないというポジションにあるようにも感じる。

キタサンブラックこそ楽勝だったが、以降は人気になる馬ほど苦戦の傾向であるこのレースのこと。

キレ負けも各負けもほとんどないエフフォーリアの敵は、必ずしも、強い相手であるとは限らない。

3歳の牡馬に特に多いじゃじゃ馬タイプとは括れないこの人気勢だが、父の本質は、そう扱いやすいタイプとは言えないほどクレイジーだった。

大阪杯予想2022 - レース展開と最終予想

1~2勝目が逃げ切り勝ちであるヒシイグアスは、早くから期待された堀厩舎の有望株。

ただ、そこはハーツクライの産駒。

早くに結果を出せば、クラシックシーズンで不発を続け、気づけば、一つ下のサリオスのように5歳になって、さあ、今度はどうなるかという場面で意外なほど復調を見せていることがある。

3歳春で条件戦抜け出しを決められなかったことで、陣営はモーリス的・4歳シーズンから再始動策を予定通り成功させ、ヒシイグアスは今に至る。

強気に行くというよりは、素直に速さも武器になってきたヒシイグアスは、最近はサリオスのように急に逃げたりというようなこともなく、むしろ、好位差しの幅を徐々に広げていって、ほぼ自在に展開とフィットしたような脚質を選択できるようになっている。

昨年の今頃は、中山で鋭くゴール前伸び切り、東京の方がフィットしているような印象をむしろ転換させ、確実に最後は決め手を繰り出すA級の右回り巧者の雰囲気を漂わせる。

他方、上手に走れるとしても完成に時間がかかることの多い系統。

タフな南半球の血を受け、本格化はむしろこれからという期待もあるヒシイグアス。

そんな彼が、一抹の不安を残しながら、ここ2戦のG1で披露してきた、また今までと違う顔に、この大一番に望まずの参戦<恐らく、1か月後の香港への遠征が今季初戦という予定を繰り上げての参戦>とはいえ、実は、4、5歳のエース級に最もタフな戦いをさせる唯一の存在となる得る可能性を見て取った、気でいる筆者。

秋の天皇賞は5着とはいえ、上位3着以内のトップグループやキレるサンレイポケットにはおあつらえ向きの直線での駆けっこの勝負をスムーズな中団からの抜け出しを決められるなど、まったく見せ場を作れないだろうところで、年明けから続けた重賞連勝の流れそのままに、混戦気味の掲示板ラストひと枠争いで、力でものにしたという健闘の結果。

道中は前にエフフォーリア、すぐ内にコントレイルで、速い馬であるグランアレグリアについていければもっと見せ場を作れただろうが、展開もスローで最悪の外枠。

くじ引きの不運は香港でも続き、もっと厄介な形態の前走沙田・香港Cも、モレイラが乗ったから気にならなかったが、結果、外から差してきただけという内容。

しかし、出も悪く、あきらめてイン強襲にこだわって不思議なかったモレイラ騎手をやる気にさせるように、勝負所で促されるように動き出すと素晴らしい立ち回りで、外々を直線では伸びてきた。

結果、詰まって厳しいところからの抜け出しでも脚が溜まったというやつで大団円のラヴズオンリーユーにタフに立ち回れてしまったが、何一つ見劣るものはなかった。

正直言って、秋の天皇賞のレベルではなかった香港Cではあるが、東京の決め手比べで差し脚を活かすような流れになるより、動き出しのタイミングやら何やらを考えて勝負できるアジア圏の右回りG1にチャンスがありそうな気配は、大いに結果で適性として証明されたことになる。

鈍く映った天皇賞の動きは、相手が日本のトップクラスであったことも影響したのもあり、休み明けの初G1で不利な枠というのは、想像以上にタフであるから、むしろ、絶対上がり目のあった香港の結果にすべてが詰まっている気がする。

それさえも完璧な立ち回りではない。

変なところを出し始めると…、というアサヒのラガーレグルス化<20年以上前にクラシックで期待をされた超拗らせ系のサクラチトセオー初年度産駒>が若干匂わないわけでもないが、6歳で古馬G1も経験の、それでいてまだ13戦というフレッシュマン。

例によって、乗り替わり発生の際は、熟慮の末にという感じで鞍上決定が遅れる堀調教師のいつものアレはあったが、ウインマリリンが早々に一度しか乗っていない松岡騎手へ即スイッチというのと、この変更の過程に大差はない。

大阪杯にウインマリリンが挑むなら、エフフォーリアに何かない限り、変更は当然。

外国人騎手が基本的にいない今の日本競馬で、松山騎手以外の日本人騎手となると、いずれも初めてだから、馬の性質なども考えて発表は遅れるのは普通であるはずだ。

藤沢元調教師のように、人間よりは馬の方が動物の方がいかにも好きそうな堀先生である。

困ったときの石橋脩、ウルトラCの武豊、意外とウマが合いそうな戸崎…。

定員オーバーの出走登録数なので、アクシデントなどもあれば、JCで2年続けて激闘を演じた名手も手が空くかもしれない。

早くから決めないという通常ルーティンを、筆者大いに評価したい。

いずれにせよ、筆者の見立てとしては、全力までは出し切れないだろうロベルト2頭にも、この状況ならば、十分に太刀打ちできそうな手ごたえを感じているわけだ。

馬の力信じてくれる鞍上を望むばかりだ。