大阪杯2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ジャックドール(3.6倍)2着スターズオンアース(3.4倍)3着ダノンザキッド(32.8倍)

レース名第67回大阪杯
日程2023年4月2日
優勝馬ジャックドール
優勝騎手武 豊
勝ちタイム1:57.4
馬場
3連単配当31,240円

大阪杯2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
19ジャックドール1:57.4-
211スターズオンアース1:57.4ハナ
313ダノンザキッド1:57.4クビ
47マテンロウレオ1:57.82
52マリアエレーナ1:57.93/4
単勝9360円
複勝9150円
複勝11150円
複勝13510円
枠連5-6740円
ワイド9-11370円
ワイド9-131,760円
ワイド11-131,900円
馬連9-11830円
馬単9-111,580円
3連複9-11-138,980円
3連単9-11-1331,240円

大阪杯2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「普通ならきつくなるペースで運んでいたし、ラストは向かい風がきつかったけど、よく我慢してくれた。足音が聞こえてきたのでヒヤヒヤしたが、ゴールした時はなんとか粘れたかなと。名馬にたくさん乗せてもらった、そのおかげ。若い子たちみんな頑張っている。でも俺が若い時はもっとすごかった、とハッパをかけているよ(笑)。今のままでいいなんて思ってたらアカン」

※優勝した武 豊騎手のコメント(ジャックドール)

大阪杯2023 - レース結果動画(YouTube)

大阪杯2023 - 回顧

偉大なるモーリスのタフさと5G<5人の50代騎手という意味らしいが>を猛烈に牽引するドバイ帰りの武豊の多様な経験が、ジャックドールのわずかな死角を埋め合わせた、という素晴らしい初G1制覇となった。
何より、たまに先行型では起こりがちな、体調や心理面の影響も出てしまうことで、不可抗力として発生する出負けのようなことが、昨年のこのレースのように、また前走香港のような感じでもなく、周囲の簡単に行かせるわけにはいかない、北村友一騎手や出たなりをたまにやらない横山典弘騎手のような、馬をその気にさせることに長けた名手たちとの攻防で、優位に立てる条件を、最初の一完歩で整えた面はある。
そこは武豊。意外なところで吐露したこのコメントが、全てを物語る。

「数々の名馬たちに乗せてもらったおかげですね」
引き出しの多さで、一般競走でもノリジョッキーなどと競うことがあるが、そこに乗れているレベルではすでにない川田将雅と、さすがのスパートのタイミングで、完全にはいい状態にまで作っている感じではないスターズオンアースを駆るルメールらを、一気に負かすために、正しい逃げの形に持ち込んで見せたのだから、馬の走る気を武豊ほどの実績がある騎手が引き出したのなら…。
ドバイで乗りたい馬には乗れずに、未勝利で帰ってきた名手には、この手のプレッシャーがかかる場面こそ、本領発揮のシーンを数十年見てみた我々は、いつも武豊をまた見られるという幸せを、この日も味わうのであった。
こうされたら仕方がない。

しかし、それに伍してということでは、父の隣で猛獣化著しいダノンザキッドを、まるでお手馬のように御した横山和生騎手の素晴らしいアシストも見逃せない。
乗り手として、きつい当たりをすることは本望ではないと思える北村友一騎手が、デビュー戦であり、川田騎手との兼ね合いで手が戻ったここ最近の少なからず見られた復調の気配に対し、縁はあっても、直接の接触の機会がなかっただろう和生騎手が、どう考えても、前がユタカ騎手の本命級でなければ、まず勝ち負け必至という状況を、悠々の好位追走を作り出し、見せ場十分。

ドバイで恐らく乗りたかっただろう、そのメインを制したウシュバテソーロを、今後はどのような形で携わっていくかは不明も、これもテン乗りでウシュバテソーロらしさを全開にしてみせた川田ほどの男が、横山和生を手放しで賞賛としたとされるから、尚素晴らしい。
彼がいたからこそ、今この瞬間、自分が世界の頂を見ることができているというのは、どこか、昨年の武豊・6度目のダービー制覇をわがことの如き振る舞いで、大いに褒めたたえた横山典弘とよく似ている。
現に、今の川田騎手は全盛期の武豊騎手と、ときどき見間違えるほどに、組み立てが完璧なレースが、ここ半年は激増している。

その川田騎手と絶好調に思えたヴェルトライゼンデは、何ら、自分の動きを邪魔する要素など何一つなかったものの、やはり、2000Mのエース級がスピード勝負するこのようなG1では、向いていないのであろう。
恐らく、距離の目付けに池江泰寿調教師ほどの伯楽が、ミステイクすることはないが、スターズオンアースにあっさり捉え切られた川田的ベストライドに、馬が応えられていないというのは、どう施行を巡らせても、高速レースに対する適性の問題とかならない。
ダノンザキッドが若々しいのもあるが、スピード勝負も苦にしない中距離型であり、ムラがあるから、まだ若い。
性質は似たようなものでも、やはり、血統がハーツクライとステイゴールドで大違いなのだから、ヴェルトライゼンデ自身も限界はあることはわかっているだろう。
この10着の走破タイムは、長期休養明けの鳴尾記念を勝った際のタイムよりは遅いのだが、求められた上がりは最速スターズオンアースよりも、その鳴尾記念の時の方が速いから、仕方がない。

減ったことよりも、間隔が詰まったことが影響したようなヒシイグアスは、いい意味で評せば若いが、やはり、タフさに欠けることは否めない。
繊細であると同時に、厳しい環境の激走が秋全休に繋がった悲運はあるものの、狙いはヴェルトライゼンデではないにしても、香港の10Fに絞るのがいいだろう。
当地なら、決して7歳でも年寄り扱いは受けない。
再起を誓うヒシイグアス、主戦松山弘平、密かに燃える男になっている名伯楽・堀宣行ら三者の逆襲の日は、意外と近い。
皐月賞もある。

スターズオンアースとジェラルディーナの違いは、本質な適性の差もあるのだろうが、モーリスらしくないのがジャックドールであり、その他消えたモーリス軍団たちは、ノースブリッジ、ラーグルフら含め、本質もそうだし、何よりも古典の参戦のパターンにプラスアルファの幸運も、このエース決定戦のようなチャンピオンディスタンスでは必要なのだろう。
やけに胴が詰まった印象のジャックドールに対し、全体が大きくなり、魅力的な女性と成長を遂げたジェラルディーナは、父も母も秋の天皇賞で陸な時計で走っていないのに、ここでいきなり、ミドルラップより厳しい展開で流れに乗りこともままならず、インから馬群を捌くしかない形になる事は、案の定の最内枠発走で、予測されたこと。
まだ若い岩田望来騎手のせいでは全くない。速い中距離型のトレンドに乗れるような、元は快速血統の出身と言えるミスタープロスペクター直系のスターズオンアースと、血統的本質でも彼女の個性の面でも、全く対極なのであろう。
道悪のエリザベス女王杯と、高速の大阪杯とでは、使うコースは全く同じでも、求められる適性があまりにも違う。
阪神の馬場差により生じる、キャラそのものから来るべき馬の本質がまるで違う展開は、よく知られていることでもある。

今年の2F目に注目してみたのだが、23.3秒であった。
昨年は22.6秒。
純粋な馬場質の差は、道程に雨が降ることは当たり前の春季開催だから、同じ競馬場でもあるし、大きく異なるわけがないが、当然のことながら、いつその質に影響の出るような雨に降られたかは重要。
前年はもっと重たく、それは自身もどことなく普段と違うような雰囲気を感じながら、ジャックドールも走らされた中で、しかし、1000Mの通過だけを見れば、0.1秒遅いだけの今年、自身の走破タイムは、実に昨年の自分に10馬身ほどの差をつけるほど、今年は圧倒的なジャックドールであった。

藤岡佑介騎手が云々ではなく、武豊騎手には、そういう経験を様々な立場で経験して、この場合はどうであるかを予測もしつつ、しっかりとレース中の動きの中でも引き出しを開け閉めして、適当なものを正確なタイミングで取り出して、正しく扱うことができる。
20歳を迎えた時には、すっかり日本競馬界のエースになっていた、今やレジェンドの武豊騎手ではあるが、その思考はより柔軟に、馬乗りの技術は確実に向上するのだから、若手は堪らない。(笑)
いずれ、川田騎手がそうした時期を迎えた時、この日の経験をきっとどこかで使えるのである。

完璧だった和生騎手やスターズオンアースのためにベストを尽くしたルメール騎手とは違い、冷静にこのレースを振り返ることができる立場であるからこそ、レジェンドになってもらいたい川田将雅の50代が、何だか見てみたくなった。
ちなみにだが、武豊騎手だから口には出さないが、逃げたくはなかったという本音は透けて見えた。
こういう時こそ行き切るのが、好位のインにいた横山典弘騎手である。
向かい風や相手関係と比して、馬の状態と行く気という要素を天秤にかけた上で、先手必勝の形へと導くことがベストという判断。
名馬を駆り、とてつもないライバルとも出くわしてきた名手だからこそ、巧みなハナ差の完勝のリズムを作り出せるのだ。
誰でもできることではない。横山典弘騎手に代わって、勝手に筆者が追記しておく。