エリザベス女王杯2021の予想
目次
エリザベス女王杯の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | ジャパン・オータムインターナショナル 第46回 エリザベス女王杯(GⅠ) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2021年11月14日(日曜) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 阪神競馬場 |
距離 | 芝2200m |
コース | 右回り |
賞金 | 1億500万円 |
レコードタイム | 2:10.1 |
エリザベス女王杯2021の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定後)
エリザベス女王杯2021の予想オッズと登録馬
枠番 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週間前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | レイパパレ | C.ルメール | 牝4 | 56.0 | 2.6 | 2 | 栗東・坂路・良 800m 53.0-38.4-25.0-12.5(一杯) | 栗東・坂路・稍重 800m 52.9-38.4-24.7-12.5(末強め) |
1 | 2 | クラヴェル | 横山典弘 | 牝4 | 56.0 | 60.9 | 9 | 栗東・坂路・良 800m 52.5-38.2-24.8-12.3(一杯) | 栗東・CW・稍重 5F 66.6-51.5-37.9-12.3(馬なり) |
2 | 3 | アカイトリノムスメ | 戸崎圭太 | 牝3 | 54.0 | 2.6 | 1 | 美浦・南W・良 5F 68.4-52.3-37.7-11.6(馬なり) | 美浦・南W・稍重 6F 84.3-67.4-52.4-37.9-11.9(馬なり) |
2 | 4 | イズジョーノキセキ | 和田竜二 | 牝4 | 56.0 | 152.4 | 13 | 栗東・CW・良 6F 82.7-66.5-51.8-38.1-12.1(強め) | 栗東・CW・稍重 7F 97.8-66.2-51.6-38.2-12.7(馬なり) |
3 | 5 | ステラリア | 松山弘平 | 牝3 | 54.0 | 33.6 | 7 | 栗東・CW・良 6F 82.7-66.3-51.4-37.4-11.7(馬なり) | 栗東・CW・稍重 6F 81.7-65.2-50.8-37.5-11.8(馬なり) |
3 | 6 | ランブリングアレー | 吉田隼人 | 牝5 | 56.0 | 20.5 | 6 | 栗東・CW・良 6F 82.1-64.9-50.2-36.4-12.0(一杯) | 栗東・CW・稍重 4F 51.5-37.0-12.3(馬なり) |
4 | 7 | シャムロックヒル | 団野大成 | 牝4 | 56.0 | 149.2 | 12 | 栗東・CW・良 6F 80.9-65.7-51.1-37.5-11.8(一杯) | 栗東・CW・稍重 6F 87.5-70.3-54.1-39.4-12.0(馬なり) |
4 | 8 | テルツェット | M.デムーロ | 牝4 | 56.0 | 14.8 | 5 | 美浦・南W・良 6F 85.9-69.1-53.5-38.4-11.7(直一杯) | 美浦・南W・稍重 5F 71.3-55.6-40.5-12.5(馬なり) |
5 | 9 | ウインマリリン | 横山武史 | 牝4 | 56.0 | 3.9 | 3 | 美浦・南W・良 5F 67.4-52.4-37.5-12.1(馬なり) | 美浦・南W・稍重 5F 69.0-53.9-38.6-11.5(強め) |
5 | 10 | ムジカ | 秋山真一郎 | 牝4 | 56.0 | 206.2 | 15 | - | 栗東・坂路・稍重 800m 53.2-38.5-24.9-12.4(強め) |
6 | 11 | ソフトフルート | 岩田望来 | 牝4 | 56.0 | 85.7 | 10 | 栗東・CW・良 6F 83.5-67.2-51.8-37.9-11.7(直強め) | 栗東・CW・稍重 6F 85.5-68.8-53.1-38.9-11.9(馬なり) |
6 | 12 | デゼル | 武豊 | 牝4 | 56.0 | 42.1 | 8 | 栗東・CW・良 7F 97.8-81.8-65.8-50.9-37.4-11.5(末一杯) | 栗東・坂路・稍重 800m 52.9-38.7-25.3-12.9(一杯) |
7 | 13 | リュヌルージュ | 富田暁 | 牝6 | 56.0 | 369.1 | 17 | 栗東・坂路・良 800m 59.9-44.1-28.5-13.8(馬なり) | 栗東・芝・重 5F 66.8-50.2-36.7-11.6(馬なり) |
7 | 14 | ロザムール | 池添謙一 | 牝5 | 56.0 | 170.2 | 14 | 美浦・南W・良 5F 67.3-52.3-38.0-12.2(強め) | 美浦・南W・稍重 5F 66.8-51.8-37.7-12.0(馬なり) |
8 | 15 | ウインキートス | 丹内祐次 | 牝4 | 56.0 | 11.2 | 4 | 美浦・南W・良 6F 82.0-66.6-51.8-37.7-11.8(G前仕掛け) | 美浦・南W・稍重 6F 81.0-66.3-52.5-38.4-11.9(馬なり) |
8 | 16 | アカイイト | 幸英明 | 牝4 | 56.0 | 85.7 | 11 | 栗東・坂路・良 800m 53.0-37.7-24.8-12.8(末強め) | 栗東・坂路・稍重 800m 51.6-37.8-24.9-12.7(稍一杯) |
8 | 17 | コトブキテティス | 柴田善臣 | 牝4 | 56.0 | 243.5 | 16 | 美浦・南W・良 6F 83.9-67.8-52.8-38.3-12.2(馬なり) | 美浦・南W・稍重 6F 84.1-67.3-52.5-37.4-11.7(馬なり) |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 2回 | 2回 | 2回 | 29回 | 5.7% | 11.4% | 17.1% |
2枠 | 2回 | 3回 | 2回 | 31回 | 5.3% | 13.2% | 18.4% |
3枠 | 2回 | 3回 | 3回 | 30回 | 5.3% | 13.2% | 21.1% |
4枠 | 3回 | 2回 | 4回 | 31回 | 7.5% | 12.5% | 22.5% |
5枠 | 1回 | 3回 | 1回 | 35回 | 2.5% | 10% | 12.5% |
6枠 | 3回 | 5回 | 3回 | 31回 | 7.7% | 12.8% | 20.5% |
7枠 | 1回 | 3回 | 2回 | 45回 | 2% | 7.8% | 11.8% |
8枠 | 6回 | 2回 | 3回 | 42回 | 11.3% | 15.1% | 20.8% |
エリザベス女王杯予想2021 - 過去10年のデータ傾向
例年なら足蹴にしてもいいオールカマー組だが、4歳有力馬全て、55以上を背負って牡馬混合のG2格以上のレースで連対している
かなり厳しい状況に晒されている牡馬勢と比べ、比較的ナイスファイトを見せている牝馬勢は、中くらいの格の馬がそれなりの数いて、重賞戦線を盛り上げているという4歳世代。
酷い結果もそれほど多くなく、5歳以上になると、牝馬だと流石にA級馬が減ってくるから、当然、高水準の馬は3、4歳か、とりあえず古牡馬を相手にまるで気にも留めずに勝ち切れる女が一目置く女に限られてくる。
エリザベス女王杯が25度、これまで古馬のレースとして施行されてきた中で、5歳以上の勝利は、昨年のラッキーライラック<レース連覇>を除くと、メジロドーベル−ファレノプシス−トゥザヴィクトリーといった、牡馬がいても重賞で人気になったような歴戦の猛者であるとか、ザダークホースたるクィーンスプマンテ、レインボーダリアといった面々くらいしかいない。
いずれもが、厳しい斤量も古牡馬相手にG1で好走するなどの実績があるだとか、穴馬であると、2600オープン勝ちとか、55で準オープンを勝って、56も勝つ前の年にここで経験済みであるとか、何かしら、伏線として拾える確かな実績を持っていた。
そもそもが、古馬の2000MG1勝ちの馬と、オールカマーの連対馬で2400以上の重賞を勝っている同士というオールカマー組を軽視する理由は、斤量経験に限られる。
G1連対のレイパパレ、ウインマリリンらは56をG1で経験し、55で連続G2出走のウインキートスも、適不適どうこうを抜きにすれば、まず崩れそうにない実績を持っている。
裏を返せば、その他の馬に秋の重賞を戦っている馬に限れば、距離であるとか斤量への耐性などに問題のない馬は常に限られるとなり、結果、消耗度合いが少ない順にやってくるといった具合。
普段の京都ではなく、まず2000以上の重賞を勝っていた牝馬は、秋華賞組以外用なしとなるから、一応、ピックアップすると人気を裏切ったレイパパレから、着順をひっくり返した順とするのが妥当か。
人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 4回 | 5回 | 4回 | 7回 | 20% | 45% | 65% |
2番人気 | 4回 | 5回 | 3回 | 8回 | 20% | 45% | 60% |
3番人気 | 4回 | 1回 | 2回 | 13回 | 20% | 25% | 35% |
4番人気 | 3回 | 0回 | 6回 | 11回 | 15% | 15% | 15% |
5番人気 | 1回 | 3回 | 3回 | 13回 | 5% | 20% | 35% |
6~9番人気 | 3回 | 4回 | 1回 | 72回 | 3.8% | 8.8% | 10% |
10番人気以下 | 1回 | 2回 | 1回 | 150回 | 0.6% | 1.9% | 2.6% |
54の優位性とG1から中3週のローテとのジレンマは、実力でカバーするしかないが、結局、脚質で決まる面がある
速い馬が有利ということではなく、牝馬には長く、設定が天皇賞や安田記念のように厳しい56というハードルが、古馬にもタフな要素になっているように、秋華賞より1kg減るだけの3歳馬も、ファインモーションだとかダイワスカーレットくらししか勝っていないのが現実。
正攻法で押し切る馬に若干有利であろう。
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
逃げ馬 | 2回 | 3回 | 0回 | 16回 | 9.5% | 23.8% | 23.8% |
先行馬 | 5回 | 10回 | 3回 | 61回 | 6.3% | 19% | 22.8% |
差し馬 | 13回 | 5回 | 14回 | 103回 | 9.6% | 13.3% | 23.7% |
追込馬 | 0回 | 2回 | 3回 | 94回 | 0% | 2% | 5.1% |
4年前のモズカッチャンも、落鉄の秋華賞からより積極的に動いていって、差し馬勢の追撃を凌ぎ切った。
京都ではないから、差しも決まって不思議ないが、昨年より速いタイムは想定しづらい芝の状態であるから、普通の型にハメられる先行型を狙うのが、頭で買う場合は重要。
一方で、差し馬は大昔から世代に関わらず2、3着に入ってくる。
逃げ粘りか昨年のサラキアのようなガッツあふれる追い込みのいずれかなのだ。
相手関係などを踏まえて、先行崩れを昨年のように読んだなら、作戦が読めないステラリアよりは、アカイトリノムスメの方がいいだろう。
買うなら、差してどこまで…、という秋華賞馬を押さえるべきだろうが、レースレベルは三冠戦の進行に連れ、徐々に低下傾向。
オークスくらいまでの勢いが各馬にあれば、それはそれでよいのだろうが、雨などが降ったとすれば、好走パターンからもちょっと怪しい。
いい競馬をしたばかりだが、オークスのように道中でじっとしていた方がいいタイプのように思うから、動いたら動いたで、追い込みを誘発するから動かないパターンの差し損ねをここは狙うべきか。
休み明けで秋華賞を勝って、ここに挑んでくると、決まって酷いことが起きる。
ヴィクトリアマイル組は大いに狙うべきだが、距離をこなせそうだという根拠に乏しい1800型ばかり
ラッキーライラックは、4歳時の前々走がヴィクトリアマイルだった。
レコード決着でスピード負けてしまったが、桜花賞以降の連敗をここで止めた。
他では、重馬場で勝ったレインボーダリア以外、ラキシスもクイーンズリングもリスグラシューまでもが、前の年の秋華賞かエリザベス女王杯の連対馬であるから、オークス3着で中山記念2着の記録もあるラッキーライラックは、鞍上スミヨン変更だけではない根拠が最初からあったことになる。
一方、前哨戦を制し、それぞれ本番でグランアレグリア様に粉砕された面々は、小回りでも2000Mは苦手というような馬たち。
ランブリングアレーに道悪での台頭は想定されるが、連対馬の好走確率の低さとあの着差から、狙いは頭で心中か消すのもありかのいずれかに決まってくる。
追い込みの脚ならば、デゼルでもテルツェットでも同じようなディープの決め手を繰り出せるのだから、サラキア的一撃を期待するのは、ここは着拾いの4歳でいいように思う。
世代間の格差を重んじるなら、ディープの3、5歳を軸とした狙いの方が合理的。
如何せん、G1連対馬なのだから、4歳のスタミナ勝負もそれなりに対応可能な面々と比して、厳しいエリザベス女王杯の設定コースを考えたら、はっきりとスタンスは決めた方がいいだろう。
今回はいくらか4歳勢に有利に思う。
名牝たちのジレンマは、余裕残しで勝ちに来た馬を除けば、もう本気で一本釣りを狙った馬から狙えの啓示となって表現される
まず、変に1勝するくらいなら、昨年秋から勝っていないくらいの方がいいという傾向。
二冠牝馬も強いとはいえ、まず秋華賞よりは着順を下げている。
三冠馬となると、実は、スティルインラブとアパパネしか出走していないのがポイント。
強い牝馬が沢山いるから、当然、強い牝馬チャンピオンは毎度誕生するものの、チャンピオン級牝馬がここを目指すとは限らない。
エアグルーヴもヒシアマゾンも、創成期にはあっさり星を落としている。
三冠馬未勝利、二冠以上2勝<古馬になって制した例はメジロドーベルの2勝を含めても計4勝>、3歳一冠は戦績がバラツキ、フレッシュさをキープできているかが重要となるから、戦績にメリハリのあるタイプは向かない。
古牝馬もヴィクトリアマイルと同年制覇は一度もなく、ノンタイトルの馬の方がよっぽどいい。
死角は少ないように思う、アカイトリノムスメやレイパパレは、いくらでもウインマリリンらノンタイトルホースに敗れる要因を孕んでいるとなる。
それでも、今回は条件馬や上がり馬の登録も多く、3歳勢が幾らか小休止状態で最大2頭の出走に止まる。
京都はスロー必至だが、序盤からのゆったりの流れは、小回りの阪神内回りでは必ず捲り合いの展開を呼ぶ。
失敗の春タイトル両獲りではなく、望外の快走であった大阪杯の結果を過大に評価せねば、宝塚記念の3着は実力相応となる。
格は二枚くらい上で、鞍上の変更も不安はないが、丁寧に先行するリズムをとりやすいという武器は、宝塚記念ではマークされる原因にも繋がったし、遅い逃げ馬のシャムロックヒルやロザムールを相手に、少し手加減するようなことがなければ大丈夫であろう。
何しろ、勝ちたい勝ちたいと思うルメールが、一番、この阪神2200で輝いている印象があるのは、G1を連勝しているから。
普通は大丈夫。という考えは、天皇賞よりもいくらか通用しそうだ。
エリザベス女王杯予想2021 - 出走予定馬の血統/成績/タイム
もう大丈夫ではなく、負けてしまったことで動きがとりやすい立場に変わったとすれば、宝塚記念のような負け方は有り得ない。
距離をこなす根拠としては、父ディープインパクト、母母父ウイニングチケットといったキレるダービー馬であるとか、母系の重しになっているボワルセル系のタリヤートス<ヒントスタン=シンザンのラインと同じ>、三冠馬セントライトの半弟で皐月賞、菊花賞の二冠制覇・トサミドリ<プリメロ産駒は戦後初期の一大勢力>に求めるしかないが、ディープインパクト×クロフネの牝馬としては、小柄であるからこそ道悪を難なくこなし切り、土着牝系らしい地の利を活かした大阪杯であったとも結論できる。
位 | 種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | ディープインパクト | 12回 | 10回 | 7回 | 60回 | 13.5% | 24.7% | 32.6% |
2位 | キズナ | 4回 | 1回 | 1回 | 12回 | 22.2% | 27.8% | 33.3% |
3位 | ハーツクライ | 4回 | 0回 | 4回 | 37回 | 8.9% | 8.9% | 17.8% |
4位 | キングカメハメハ | 3回 | 6回 | 3回 | 25回 | 8.1% | 24.3% | 32.4% |
5位 | ルーラーシップ | 3回 | 5回 | 7回 | 28回 | 7% | 18.6% | 34.9% |
6位 | ステイゴールド | 2回 | 2回 | 0回 | 17回 | 9.5% | 19% | 19% |
7位 | バゴ | 2回 | 0回 | 1回 | 3回 | 33.3% | 33.3% | 50% |
8位 | ゴールドシップ | 2回 | 0回 | 1回 | 2回 | 40% | 40% | 60% |
9位 | アドマイヤムーン | 2回 | 0回 | 0回 | 1回 | 66.7% | 66.7% | 66.7% |
10位 | マンハッタンカフェ | 1回 | 3回 | 2回 | 12回 | 5.6% | 22.2% | 33.3% |
一筋縄ではいかないシェルズレイ<桜花賞以降は、まともに走ることが困難になっていった気性難の牝馬>のまた娘とあって、すでにややこしいところは露見しているが、宝塚記念で見せた「引き」であるだとか、オールカマーで思案した末に消極的に映った「無難」などという型は、派手に立ち回った大阪杯と比して、普通の形に拘ることは不可能なタイプという捉え方もあるだろう。
フロリースカップ系に元来そうした才能が多く輩出する傾向があり、一発屋的存在も何頭かいたが、シラオキ系<フロリースカップ系の大主流>から登場のシスタートウショウやマチカネフクキタルなど、ナスルーラ直系のド派手な性質をドストライクで体現するスピード型が、うまくスパートのタイミングを鞍上の好判断で柔軟に型をハメられることで、とんでもない能力を強烈に発揮することは多くある。
彼らには、母方にクラリオン系やウオーレリック系といった非ダーレーアラビアン系の活力を加えられたことで、一族のスペシャルウィーク、ウオッカのような長期で活躍の主流・ヘイルトゥリーズン系の父を持つ馬とは、明らかに性質は異にしつつ、特定の活躍期のようなものが存在するのも事実。
母母父ウイニングチケットは物凄く気性が難しいという印象まではないが、前の代に大まかに言えば同系のトウショウボーイとが合わさることで、クロフネのスピード能力を極限まで引き出された母シェルズレイは、タガの外れた中距離型になった。
ハマる強さを引き継いだレイパパレは、秋華賞除外を味方にここまで活躍を見せてきたが、キャリアの分岐点となりそうな「初の牝馬限定重賞出走」により、キャラを確定させることになるのは間違いない。
スピードランナーに阪神2200は厳しい舞台だが、母もそうであったように、走れない理由は気性にあった。
走る能力はあるが、それを引き出してくれる条件が必要。
一応、トウショウボーイ<皐月賞(東京)、宝塚記念>以降で、ウイニングチケット<弥生賞>、クロフネ<旧毎日杯・阪神2000>、ディープインパクト<皐月賞、宝塚記念(京都)>といった、こういう作りの中距離主要レースにおける適性は、8代以上前の牝祖フロリースカップの孫世代あたりから、ずっとリーディング級の種牡馬が付けられてきたので、当然備えている。
今風に合わせて、快活なスピード能力の繰り出し方を模索中といったところか。
本来、良馬場の高速決着に向く系統でもある。
スペシャルウィークもウオッカも、4歳時に制した秋の天皇賞は当時のレコードタイムでの快勝であり、掲示板の馬もほとんどG1馬というレースを勝っている。
血の特性をすでに結果で示したレイパパレにとって、このレースは軽すぎるのかもしれない。
その辺りが、ファンの見解を分かつポイントにもなってくる。
前走の内容には、有力各馬に課題と成果が見られた面がある。
しかし、G1をもう勝ってしまったレイパパレやアカイトリノムスメの今後は、決して簡単なものではないだろう。
何しろ、マークされる立場になるだけでなく、いかにも条件がすべて整ったという感じで大きなレースを勝ってしまったものだから、違う策で戦うにしても、またそのハマる勝ち方に持ち込めるように策を練るにも、相手関係が大きく影響してくるとなる。
阪神の2200Mというのは、宝塚記念でお馴染みなわけだが、ルメール騎手がこの距離のG1を連勝中であることでも分かるように、上手に運んだもの勝ち、実力は必ずしもトップである必要もないというのが、一つの特長。
何しろ、直線の攻防よりも序盤の位置取り争いというか、その整理にかかる時間の方がよっぽど長いという、1コーナーまでのゆったりとした展開が、実力者たちの能力値を若干狂わせる、ハンディキャップ相殺のコース形態が、かつての逆転の宝塚を形作ってきた歴史がある。
自分のスタイルがあるようで、必ずしもそういうことではないというような抵抗を見せてきた川田騎手は、レイパパレに乗る時は常に、先であるとか次というものを意識してきた面がある。
3勝クラスの大原Sでは、実が初めての逃げを選択するも、道悪とて1分をわずかに切るくらいの1800の流れは、後のオープン馬が続いたハイレベル戦とすれば、まさにスローの展開。
終始馬なりで、後の大一番に備えた勝負手をこの時点で隠し持ったともできる、素晴らしい4戦4勝目の一戦とした。
一転、スロー見え見えでも動きが分からない長期休養明けであったジェネラーレウーノの「下手」な逃げのリズムに、あえた合わせていったチャレンジCでは、掛かるような素振りも見られたが、後に香港や雨馬場のシャンティイ・イスパーン賞を快勝のエイシンヒカリと同型にもかからわず、騎手変更のないキャリアを活かしきり、無難にここも乗り切った。
雨の大阪杯は、行くしかないということはなかったが、そもそも、実力勝負で何とかなる相手関係ではなく、コントレイルかグランアレグリアが少なくとも追いかけてくる4コーナーを逆算した先行で、結果的に自分の流れにハメ込んだ挑戦者ならではの逃げ切りだった。
現に、馬自身が躓きながらのスタートになり、父ディープインパクトの皐月賞バリにバランスを崩してしまったが、返って、そこで勢いをつけるしかない馬場状態もあり、最初から折り合いを重視できるような順当なステップとならなかったことも、むしろ味方したようなところがある。
これも結果として、この組は後々不振を極めるのだが、各々が自信を取り戻せるような舞台にまだ立てていないから、というところもある。
グランアレグリアに今更、ヴィクトリアマイルのタイトルに主だた価値を見出せないのと同様、4歳のタイトルホルダー3頭にも、自分自身にとって意味のあるレースを見つけられないままで、今に至ったとしても間違いはない。
エリザベス女王杯予想2021 - レース展開と最終予想
レイパパレは弱気に見えた宝塚、修正を兼ねた番手折り合い作り直しのオールカマーと、連続して2200戦を敗れた。
印象は悪い。
若いというか、一つ下の世代の陣容が明らかに層も厚く、個々に魅力があるから、アカイトリノムスメの馬体の造りなどと共通点があるところで、幾らか柔軟な後輩の方に、軸馬としてクローズアップされるような展開は大いに想定される部分。
マークすべき対象であることに変化はないレイパパレは連敗中だから苦しいが、大きく敗れているわけでもないので、少しでも評価が下がった方が有利ではある。
気掛かりなのは、川田騎手が乗れない「問題」、ではなくて、ルメール騎手がどう乗るかという「問題」、であろう。
ドバイシーマクラシックで行ったハーツクライを駆った頃のルメールではない。
有馬記念でも逃げたわけではないから、欧州出身の縛りの多い競馬に慣れた騎手は、いかにも時代のエースであろうとも自由には乗ってこない。
モントライゼやレシステンシアならば、グイグイ先行させることはあっても、グランアレグリアは流れに乗せるだけで、決して直線で馬が真っすぐ前に向くまでは先頭には立たせない。
ある意味、ゴールドシップのようなタイプも苦手であろう。
止まらないと分かっていても、動き出しはきっと遅らせていて不思議ない。動かない時ほど、無理はさせなかったはずと勝手に妄想する。
しかし、昨年のテン乗りであったラッキーライラックでも、敗れはしたが次走で復活勝利するサトノダイヤモンドでも、堂々の人気馬でのまくりを敢行しているルメール騎手ならば、丁寧に乗りすぎないポイントも、他の距離の競馬とやや異にする特性を心得ているだろうから、後ろの動きを上手に封じる「レイパパレらしい」先行を可能にする手立ては、もう考えているように思う。
ポイントは、後ろのいなし方ではなく前の馬のパスの仕方。
捲られたオールカマーも、ややユニコーンライオンに手加減したような宝塚も、結局、前を抜くことに手間取ったツケを直線で早速払わされた形。
前走に引き続き登場のロザムールに、行きたい口のシャムロックヒルらをスムーズにパスするか、それを後ろに従えるように立ち回るか。
アカイトリノムスメが前回くらいうまく走れると、きっと素早く直線半ばで仕留められてしまうだろうから、それを避けるには、脚を使わせるか自らが彼女たちを近づけさせないように逃げ込むかのいずれしかない。
G1で逃げ切るのが難しい所以がそこに大いにみられるとなるわけだが、速いスピードで勝負するほど快足には思えないレイパパレが、前回インを見事に捌いたウインマリリンをどう抑えるかの方が、ずっと重要だろう。
すぐ後ろにいるが、前回は外のグローリーヴェイズの捲りがうるさかっただけ。
ここを早めの動きで凌げれば、簡単には交わされない。
もう少し長くてもいいウインの2頭と、休み明け2走目となるアパパネの仔らが、巧みスパートで翻弄されるシーンを目撃する確率が、ここは高いように思う。
穴なら、人気落ち必至のデゼルか。距離延長作戦はここまで失敗だが、タイプ的には昨年2着のサラキアと似たような感じ。
静かに秋天不参戦を力に変える、あのレジェンドが牙を研いでいることを忘れはならない。
エリザベス女王杯はダービーと似た感じで勝利と縁遠かったが、初制覇の2001年<追い込み奇襲のトゥザヴィクトリー>から4連覇の記録がある。