2022年エリザベス女王杯【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ジェラルディーナ(8.1倍)2着ウインマリリン(10.1倍)3着ライラック(52.9倍)
レース名 | 第47回エリザベス女王杯(G1) |
日程 | 2022年11月13日(日) |
優勝馬 | ジェラルディーナ |
優勝騎手 | C.デムーロ |
勝ちタイム | 2:13.0 |
馬場 | 重 |
3連単配当 | 206,260円(18-13-15) 289,250円(18-15-13) |
2022年エリザベス女王杯 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
1 | 18 | ジェラルディーナ | 2:13.0 | - |
2 | 13 | ウインマリリン | 2:13.3 | 1 3/4 |
3 | 15 | ライラック | 2:13.3 | 同着 |
4 | 14 | アカイイト | 2:13.7 | 2 1/2 |
5 | 11 | ナミュール | 2:13.7 | ハナ |
単勝 | 18 | 810円 |
複勝 | 18 | 330円 |
複勝 | 13 | 370円 |
複勝 | 15 | 1,160円 |
枠連 | 7-8 | 1,410円 |
ワイド | 13-18 | 1,570円 |
ワイド | 15-18 | 9,180円 |
ワイド | 13-15 | 8,380円 |
馬連 | 13-18 15-18 | 1,920円 15,500円 |
馬単 | 18-13 18-15 | 3,520円 23,140円 |
3連複 | 13-15-18 | 90,210円 |
3連単 | 18-13-15 18-15-13 | 206,260円 289,250円 |
2022年エリザベス女王杯 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「ありがとうございます!素晴らしい日本のG1で勝てて嬉しいですし、ファンの皆様の応援も凄くあって、こういう場所で勝てたことを喜びに思います。レースプランはありませんでしたが、大外枠というのもあったので、ポジションはゲートを出てから考えました。中団でいい手応えで回れていましたし、最後もいい瞬発力だったので、こういう馬場が良かったのもありますし、強い競馬だったと思います」
※優勝したC・デムーロ騎手のコメント(ジェラルディーナ)
2022年エリザベス女王杯 - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
2022年エリザベス女王杯 - 回顧
モーリス×ディープインパクト<母はジェンティルドンナ>ということで、ほとんどの説明はつくが、4歳から本格化という流れを完全に掴んだモーリスとジェラルディーナは、やはり父娘という血筋の通りの結果を作った、グループの成功パターンがまた誕生したことになる。
問題は本質的な道悪適性。
父モーリスは、全11勝中10度が良馬場という馬。
重、不良の経験はなく、稍重で【1・1・0・0】だった。
父の現役時代は、今ほど極端な荒れ馬場になる事は少なく、その点で勝負運にも恵まれていたが、いくら勝負気配ではなかったとはいえ、モレイラを乗せた札幌記念で同僚のネオリアリズムに完敗のイメージはどうしても先行する。
一方、日・UAEで大レースを数多く制したジェンティルドンナもまた、道悪ではいい結果は出せていない。
まず、いの一番の新馬戦が不良馬場で完敗だった。
次はJC連覇達成後の京都記念で、無残な掲示板外。
ところが、次走のドバイでシーマクラシックを勝ってしまうのだから、単純にG1馬らしい仕上がりだったということになる。
宝塚記念は二年連続、ゴールドシップの前に完敗であり、ジェンティルドンナはいかにもディープインパクトの娘というストライドの大きさや中距離戦での決め手が売りの正攻法型だったことは皆が知るところ。
しかし、その娘のジェラルディーナは稍重2戦とも父母と同じように苦しみながらも、重馬場のかなり悪い奴に大本番で当たったエリザベス女王杯で、しっかりと勝ち切った。
京都記念は母と同じように実力発揮ならずという結果であり、これが来年まで続く阪神開催だったことで、実は、もっと買いづらい状況にあったわけだが、父モーリスは4歳時にG1の3連勝を含めて【6・0・0・0】、決めるところでは決める、3年連続の古馬王道路線G1制覇だったジェンティルドンナの娘であり…。
解釈とすれば、重馬場に強いリファールが連続してクロスしていて、持続的のあるスピード能力をいくらか強化しそうなダンチヒもクロスしたことも好影響となるが、ヘイルトゥリーズンの同系配合やサンデークロスの4×3を踏まえると弱い材料。
外枠はよかったのであろう…、という前回とはまた違う勝因を求める以外、実際は底力があるという馬と後付けで語るしかできないのであろう。
ざっくり総論をすると、秋の天皇賞に直結の札幌記念組はやはり強く、オールカマー1、6着は据え置き、いずれも重馬場の女王杯の予行演習を済ましており、例年好走馬ほど苦戦の秋華賞組は、差し遅れのライラックがまんまと盛り返して…。
悲喜こもごも、9年ぶりの道悪・エリザベス女王杯は、やはりというか波乱の決着となったのである。
前回こうした馬場で制したメイショウマンボは、牝馬二冠達成直後も、ヴィルシーナに人気を譲り2番人気。
続いた翌年優勝のラキシスは、条件馬とすれば高評価も6番人気であった。
今年も1番人気は消え、4、5番人気が上位を占め、2番手で同着となった伏兵・ライラックも牝馬の消耗戦で出番のステイゴールドらしさを体現した血の力で、納得は出来ても、そう買うのは難しいという決着であったのは事実。
同時に、雨の降り方がひどくなって、そうこうしているうちに馬場そのものが大いに変貌を遂げると同時に、ムーアやデムーロ弟が水を得た魚のように、冴えまくる進路取りと馬場に合わせた御法という感じで、体が流れないように微修正を加えながら、加速の邪魔にならないようにアシストするなどの技術が見られた。
大いに日本の若手は学ぶべきであり、良馬場だった東京、福島で乗っていた裏の組に参戦の未来スターたちは、かなりの高水準である教材を得たとできる。
普段はこういう馬場になると、もっと味のある和製血統や日本のベテランが腕を見せるものだが、オーストラリアも道悪競馬は多いと、レーン騎手も存在感をここ一番で魅せ、明らかに好調に見えたウインマリリンをしっかりと2着へ誘った。
しかし、諸々のテクニックや馬自身の底力を考えた時、クリスチャンのジェラルディーナとミルコのライラック、当然レーンのウインマリリンとを比べた時、総合的な評価でジェラルディーナがこの中の最上位支持だったことが結果に反映された通り、現状の力は勝者が一枚上だったことになる。
序盤は遅れるも何も、小回りの中長距離戦であるから、大外でパドックでもやんやとやらかしかけたジェラルディーナを落ち着かせて走らせるのが重要だったクリスチャン騎手とすると、置かれたとするよりも、ずっとタフな展開を予期したような準備を周到に行った作戦のようにも感じた。
結果、1000M通過は60.3秒。
一昨年同場の変則・女王杯の2番手がそれくらいの通過タイムであり、その年は宝塚記念級の2:10.3で決着している。
明らかに速いので、内の馬は潰れた。
4番枠のデアリングタクトが内枠勢の最先着馬で6着。
上位から順に18、13=15、14、11番枠の馬。
デアリングタクトは前回同様、勝ち運から見放されているとしか言いようがない。
速い展開で、外枠で序盤は走りづらかっただろう面々が差すということは、昨年の激しい消耗戦と同じで、アカイイトが今年も4着。
奇しくも、前年と同じ35.7秒で上がってきた。
前に3頭いたのだから、それもかなりの着差があいたのであるから、レースレベルは推して知るべしだろう。
縁がなかったもう一頭、スタニングローズは、序盤から理想の好位差しの形に持ち込んだが、こうした乱戦模様の阪神2200Mだから、途中から動いて勝負する理想の好位差しを最も初めに体現しようとしたウインマイティー・16着がそうであるように、流れにうまく乗せることに成功したがために、動き出しに悪い影響が出てこちらも二桁着順。
デアリングタクトも本領発揮ではないから、力を出せなかったことで共通ながら、本当に勝ち運があったのは前回でもその前のフラワーCなどでもなく、そもそもまだそうしたジェラルディーナに似た勝ち運に恵まれたような展開の競馬にまだ出会っていないのかもしれない。
ある意味、デアリングタクトは勝ち運も持っていたが、大きな怪我でそうしたものが消えうせしまったように、勝てそうなレースも勝てないでいる。
それでいて、どこか言い訳できる何かしらの最高着順やナイスファイトと評せるような結果が残っているから、返って質が悪い。
本来の出来ではないのかもしれないが、いい頃のフォームは取り戻しつつあるデアリングタクトの完成度は、スタニングローズのそれとは比べる意味もないくらいに上なのだから、その差がこの大きな着順の違いに出た気もするが、どうもあのスタニングのアクションを見る限り、最後は走れる状態ではなかった感じ。
前走までの消耗とこの厳しい馬場コンディションは、まだ耐えられるレベルのものではなかった。
無事であってもらいたい。
過酷な3歳戦を駆け抜けてすぐにエリザベス女王杯やジャパンCを駆けて、そこも斤量利を活かして好走や勝ち切るというのは、よほど秋華賞が完全に仕上がっていなかったかという話になる。
万全の秋華賞制覇のローテを組んだスタニングローズの敗退は責められない。
苦しい重馬場にこなした格下であろうはずのライラックが巻き返したのは、やはり、古馬がいくらか有利な条件のエリザベス女王杯の本質がよく出ている気もした。
だからこそ、そうした経験もあったデアリングタクトはもっと駆けてほしいところだったが、ここで自身最高体重タイ。
ステイゴールドのように絞り込む必要まではないが、こちらはこちらで古牝馬の元エース級に道が限られる、そのレース選択の壁にぶつかりつつある。
今更、高速のマイルでは通用しない。香港マイルならあり得なくはないだろうが…。