エリザベス女王杯2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着スタニングローズ(9.5倍)2着ラヴェル(41.2倍)3着ホールネス(8.7倍)
レース名 | 第49回エリザベス女王杯 |
日程 | 2024年11月10日 |
優勝馬 | スタニングローズ |
優勝騎手 | C.デムーロ |
勝ちタイム | 2:11.1 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 278,100円 |
エリザベス女王杯2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 11 | スタニングローズ | 2:11.1 | - |
2 | 16 | ラヴェル | 2:11.5 | 2 |
3 | 1 | ホールネス | 2:11.6 | 3/4 |
4 | 8 | シンリョクカ | 2:11.6 | クビ |
5 | 7 | レガレイラ | 2:11.6 | ハナ |
単勝 | 11 | 950円 |
複勝 | 11 | 340円 |
複勝 | 16 | 810円 |
複勝 | 1 | 300円 |
枠連 | 6-8 | 4,370円 |
ワイド | 11-16 | 3,620円 |
ワイド | 1-11 | 1,560円 |
ワイド | 1-16 | 4,630円 |
馬連 | 11-16 | 16,020円 |
馬単 | 11-16 | 26,990円 |
3連複 | 1-11-16 | 44,140円 |
3連単 | 11-16-1 | 278,100円 |
エリザベス女王杯2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「今年はGIを勝つために日本に来たのに、2着が多くて不甲斐なく思っていましたが、ここで勝ててとても嬉しいです。サポートしてくださった皆さんに感謝しています。レースでは、ゲートを出てからどうしようかという感じでしたが、前のグループの後ろで手応え良く運べました。直線もとても良い脚を使って、そのままゴールを切ってくれました」
※優勝したC.デムーロ騎手のコメント(スタニングローズ)
エリザベス女王杯2024 - レース結果動画(YouTube)
エリザベス女王杯2024 - 回顧
スタニングローズの血統
母母のローズバドは、血の宿命を最も体現した悲運の銀メダル女王だったが、2001年の激烈な展開になったこのレースでとんでもないところから追い込んできた2着は、名勝負史に残ったという意味では大貢献でも、陣営の痛みは、その仔・ローズキングダムがG1を獲る8年までの月日を要する重々しさで、解放の瞬間は、管理した橋口元調教師もホッと胸を撫で下ろしていた。
母のローザブランカは、そのローズキングダムの一つ上の代にいる半姉。
大舞台に縁はなかったが、小牧太で3歳春に連勝…、という前祝いを行っている。
ダービーにこの馬で挑めなかったことも悔いているのか、未だに現役バリバリである。
当時、すでにベテランに域だったはずだが…。
キングカメハメハをダイレクトに入れられた弟に対し、スタニングローズという娘にも同じ父が登場することで、偶然にも、先週のアルゼンチン共和国杯を勝ったハヤヤッコと同じキンカメ×クロフネ×サンデーという流れが味方するように、今週も外からグイグイ伸びた。
何も、この季節にこその血統ではないが、祖母譲りの勝ち切れない性質に対し、どういう形であり、何かしらの勝負運が向いた時に、意外なほど逃さないこの牝馬は、いずれ、エリザベス女王杯だけでなく、牝馬クラシックの大舞台にスタニングローズを抱えた血統表を持つ有力馬を送り込むはずだ。
ローザネイの持ち込み馬・ロゼカラーが3歳で、このレースが古馬解放された初年度に参戦してから28年。
この世界では、まだまだ日が浅いとできるこの名牝系は、ずっと先もまだブラッドストーリーを繋いでいくはずだ。
鞍上は藤田伸二に代わり武豊。
勝ったのは四位洋文のダンスパートナーだった。
初仔やその代で最初の牝馬は繋いできた名牝のラインからひと間おいて、また大きなムーヴメントを起こせるか、楽しみは尽きない。
コンクシェルが行くことも、もしかしたら、大外のコスタボニータが控えざるを得ない場面を想定しなければならなかったところで、流れは速くて、1000Mで59秒台中盤。
古馬にとって、すでにG1を勝っているレガレイラにとっても、どうにもならない展開ではないが、これを演出したのは、ブリンカーが効いているというよりも、鞍上の腕が確かなためにそうなったという…、武豊主導のレースであったと断言できる。
肝心のハーパー。
この日もここ数戦で見せた、あの情けない直線の走りになってしまった。
勝手に行って止まっているというよりも、行かせてみて、実際ある程度ついていけるのだから問題はないのだが、絞れないという感じで自己最高馬体重の直後で微減にとどまり、攻めきれない精神的な死角が、全ての流れに影響を及ぼしたような一面が、勇者の選択に大きな影響を及ぼすという思わぬ展開を呼び込んだのである。
とりわけ、これを絶好の目標に置くことと、明らかに一目置いているだろう存在の武豊騎手は、そこまで伏兵ではない馬に騎乗している。
そこに接近した外追走のクリスチャン・デムーロ騎手のスタニングローズは、モノの見事にレースを席捲するように、一昨年のジェラルディーナを再現しているかのような強烈な抜け出す脚で、もう道中、それを予見するには完ぺきなまでのストーリー作りに、最も大事な抑え込むべき、エネルギーをため込む場面で、ほぼ理想以上に近い勝ちパターンを作り出していた。
事前に、もう出来がいいことが明らかという、陣営からの発信はあり、関係者もそれを認識していた。
クリスチャンにあまりにも味方した要素は多かったようだが、土曜日の不発続きから、あの2年前の阪神開催の日も確か活躍していたから、まさに、フランスを代表する騎手として、その存在感を大いに示したとしていいだろう。
武豊騎手を引き合いに出すならば、人馬とも復活なったシンリョクカと木幡初也騎手も、まさかという感じで、少し攻めていこうというイメージ通りに乗れていたところで、掛かっているわけではないが、揉まれたくないという鞍上の意図に、序盤だけははっきりとした反応を見せてくれるハーパーの好位付けにおいて、最初の位置取り争いで少しだけ不利に近い攻防上のマイナス要素があった。
それでもしっかりと前が抜け出している先行型には苦しいところで、まともに粘って、好時計決着の一戦で4着。
絶賛されていいし、ある意味、これが人馬の実力なのであろうとも思えた。
スタニングローズにように、完璧な勝ち運を持ち込めるように、あの日の悲劇を引きずらないためにも、いい意味での口惜しさを活かしておきたい。
そうした前の攻防に対し、川田・ラヴェル、出来絶好に映ったビッグフィリーのホールネス・坂井ら、テン乗り歓迎の国際派が、見事に先輩のエスコートに応えた。
両者、あまりにも格下か、どうしたって不利ばかりの条件が重なり、キャリア浅しの人気先行型と、どうにも先行きが…、というリバティを最初に倒したというだけのビッグマウス型と、かなり乗りづらいタイプではあったが、理想の追撃に成功。
勢いと格では、今回は距離適性<勝ち馬はオークス連対、リバティに対抗する先行で4着のオークスがある2着馬と、距離実績十分だった>がモノを言った結果で、実は、何も起きなかったという捉え方もできる。
が…、ルメール騎手の判断にミスはなかったが、勝ち馬がスムーズ過ぎるとき、それに準ずるかそれ以上の評価だった馬が敗れた時、不運を全て被ることがある。
スタートがスマートになったレガレイラはまともな競走に育っていくはずだが、最初の内へと誘う段階で、一度がっしゃんこ。
直線は、武豊の馬が真っすぐ走るはずだから、その隣を抜き去ろうしたとき、それがふらついたところで、鬼気迫るいつもムーアが登場し、大きな接触が起きてしまった。
ヨーロッパでも北米の大きな場面でも、こういうシーンは幾度となく発生し、当事者になる事がなかったはずもないが、奇遇というか、勝ち運から見放されているときは、こういう感じなのだろ思わされたその象徴的な映像、上位入線馬同士ならば、間違いなく、いつの時代でも審議になる。
どちらが悪いということもないが、強引ではないにせよ、筋読みのところで、クリスチャンとは違う形になったことが、結果に大きな影響を及ぼした。
勿体ないが、その辺り、クリスチャンがいかに冴えていたかを窺わせる、裏回しのエリザベス女王杯の実像が見られた部分でもある。
騎乗停止にならないことを願うしかない。ルメール騎手の方が流石に少し短絡的な進路選択だった。
人気で敗れたレガレイラに関しては、これで明確なスケールアップ、またはダウンの流れが見えるはずだ。
彼女にとっては最もタフな競馬で、結果は残念だったが、中身が伴いかけたところで、捌くべき対象の捉え方を鞍上がいくらか見誤っただけであると同時に、使うべき脚はある程度中団からは使えていた。
ある意味、有馬記念だとか宝塚記念で、ホープフルSとは全く違う形での勝ちパターンに持ち込む準備と考えた時、十分なプロセスを踏んだとできるが、それをここでやる必要があったのかと言われれば…。
不運にも皐月賞で騎乗できなかったルメール騎手のやり残した作業が、後回しになった影響は、大事な場面で勝敗を左右するキャリア上の失格として現れたのは間違いない。
ムーア騎手はパッとしないが、彼もG1でなら、いつもエネルギッシュになる。
成長する余白のあるクリスチャンに対し、もうベテランの彼らは、もっと強かに…。
きっと口惜しいはずだが、乗れない思いをした昨年と今年の経験が久々にあった両者が、武豊や横山典弘が元気なうちに、またやり合える状況にあるとすれば、経験がモノをいう、もっと長い距離のG1であろう。
ある意味、怖くもあり、また楽しみな部分が残された一戦とも思えた。