皐月賞2018 予想
人気になりそうな面々が内と外に分かれ、真ん中らへんの枠に先行しそうな馬と、共同通信杯を制したオウケンムーンが入るという枠順は、登録馬で唯一回避のダノンプレミアムがいようといまいと、鞍上にある程度の工夫が求められる条件となりそうだ。
ただ、信ずる者は救われると行きたい、実質、弥生賞の内容だけでも世代2番手評価が妥当なように思えるワグネリアンを、筆者不本意も、流れが遅いという想定はしなくてもよさそうなので、ここでは力一枚上の評価で本命に推したい。
あの弥生賞は、どんなに力があっても、父ディープクラスの馬ではない限り、展開上2着になる理由はないレースだったと思う。
それを重視し、もっと走りやすい流れになれば、余程揉まれない限り、最後は抜け出してしまうと考える。
今までで一番、能力の高さを示したレースだった。
その末脚。
世代屈指にして、ディープインパクトほどの豪快さはなくても、徹底後方待機型の祖母・ブロードアピール譲りのところが多分にある。
おばあちゃんのようだ…、などと評した筆者は、久しく見ていなかったそのブロードアピールの走りと馬体を再確認したのだが、体の大きさではワグネリアンより10kgも多くないほどなのに、前脚の付け根につく逞しい筋肉が、いかにも短距離型と思わせるフォルムと見せつつ、決してマッチョではない全体像は、自身が示した芝での適性も大いに感じさせる、柔軟なレースを可能にする馬体と映った。
加えて、決して体のつくりではそっくりとはいかない孫との関係性に関しても、奇しくも同じ中山、片や、大レースのスプリンターズSで唯一差し馬勢で上位に突っ込んできた時の走りは、歯痒く先頭までは届かないまでも、2着争いでは互角以上、孫に関しては粘る好位組を交わし切っている点で、よりフォルムがディープ化した馬体の印象同様、ワグネリアンの芝適性とポテンシャル高さを、祖母のレースからも十分に感じ取れた。
ブロードアピールの父ブロードブラッシュは、サンデーサイレンスと共通の先祖にあたるターントゥの3×3というかなり強烈なクロス持つヒムヤー系の種牡馬だ。
アピールの母はインテント系の馬で、その母父はアメリカの誇りであるセクレタリアト。
サンデーサイレンスの獰猛なまでの気性と本質で共通する、何か北米血統の底力の源泉がそこにもあることで、小さくても気骨な印象のあの末脚が繰り出せるのだろう。
母ミスアンコールは、ブロードブラッシュのクロスがもう二代経ることで、キングカメハメハをつける時に発生した4×4のノーザンダンサークロスと同じ代に、それらがクロスすることなく配置される形。
実質的にはアウトブリードとなる。
それにドイツ牝系のサンデー産駒であるディープインパクトを配せば、当然、血の交錯は少なくなる。クラシック向きの血統馬と評価できる。
妙味はブロードアピールの血統構成か。
父の中に4代目に入るターントゥは、サンデーの祖父にあたるヘイルトゥリーズンが3代母の父に入ることで、4×4×5を形成。
プリンスキロの薄いクロスは、濃くなければ、瞬発力をアシストする効果が少しあるとされる。
さらに、昔は多かっただろうヒムヤー系の中のクロスが発生。
アルサブの5×5にどれほどの意味があるかは不明も、当時戦争どこ吹く風の平和なアメリカでプリークネスSを勝っているような馬だから、マイナスはないように思える。
キングカメハメハも今や、ディープがいなくても、ならば私の一族からこんなのはいかがと、過激なキャンペーンで桜花賞を劇勝する才能を孫世代から登場させている。
負けてはいられないディープ。
先行する怪物がいないのであれば、キレが衰えない血脈的差し馬は、世界の潮流である10Fのチャンピオン戦において、気後れする理由など全くない。
雨がどうなるか、風は、内枠と多頭数は…。
本当の底力型は、大舞台でこそ全能力を示せる。
キレるだけの馬と思っていると、きっと痛い目に遭う。そう信じて、福永騎手の気概にも期待を寄せたい。
もしかすると、最後のダービー獲り可能の才能でも不思議ではない。
所謂、ダービー適齢期で一気にモノにするきっかけにしたい。
◎ワグネリアン
○タイムフライヤー
▲ジャンダルム
注ステルヴィオ
△オウケンムーン、エポカドーロ、サンリヴァル
キタノコマンド-ルに関しては、鞍上がアグレッシブすぎる時とのギャップが大きいので、変に強気に出てしまうと脚を失くす近年の傾向も含め、この次の評価に止める。