秋華賞2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着リバティアイランド(1.1倍)2着マスクトディーバ(13.0倍)3着ハーパー(12.9倍)
レース名 | 第28回秋華賞 |
日程 | 2023年10月15日 |
優勝馬 | リバティアイランド |
優勝騎手 | 川田 将雅 |
勝ちタイム | 2:01.1 |
馬場 | 稍重 |
3連単配当 | 3,240円 |
秋華賞2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 6 | リバティアイランド | 2:01.1 | - |
2 | 7 | マスクトディーヴァ | 2:01.2 | 1 |
3 | 2 | ハーパー | 2:01.6 | 2 1/2 |
4 | 5 | ドゥーラ | 2:01.6 | ハナ |
5 | 8 | モリアーナ | 2:01.7 | クビ |
単勝 | 6 | 110円 |
複勝 | 6 | 100円 |
複勝 | 7 | 230円 |
複勝 | 2 | 170円 |
枠連 | 3-4 | 390円 |
ワイド | 6-7 | 310円 |
ワイド | 2-6 | 240円 |
ワイド | 2-7 | 1,090円 |
馬連 | 6-7 | 560円 |
馬単 | 6-7 | 700円 |
3連複 | 2-6-7 | 1,210円 |
3連単 | 6-7-2 | 3,240円 |
秋華賞2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「心から感動しています。事前にレースプランはつくらず、ゲートを出て雰囲気を見ながら、並びを見ながら考えていこうというところで、本当にとてもいい内容で走ってくれたと思います。いい形で道中運びながら、スムーズに進路をつくれる形になって、ペースも緩かったですし、彼女も行く気になりましたので、このまま強気に押し切ってしまおうと選択しました。ますます彼女が背負うものは大きくはなりましたけど、それにふさわしいと思っています。」
※優勝した川田将雅騎手のコメント(リバティアイランド)
秋華賞2023 - レース結果動画(YouTube)
秋華賞2023 - 回顧
内から外へ出すタイミングが問題になるくらい、渋馬場と超スローの二重苦で、スプリンターズSのナムラクレアがそうであったように、内枠の馬、とりわけ共通認識のトップホース扱いとなるマーク対象になる厳しさを、散々負けてきた側の川田騎手は、痛いほどに深く理解している。
おまけに、初めて走る道悪の競馬なのに、多くのファンが、リバティアイランドの存在感が他を威圧しているどころか、ファン自身までもが圧倒させられる状況を見てしまったというリアクションであるように、一度は雨馬場で単勝1.2倍にまで、全体の評価が少し散らばったものが、最後には、JRAの施策でできるだけ単勝元返しをなくそうという部分で、ほぼ上限いっぱいに近い1.1倍に戻ったということは、実質元返し・1倍の評価である。
牝馬三冠=トリプルティアラは、今後も沢山ではないにせよ、また出てくるだろうが、秋華賞は大体万全な時ほど、次走は怖いとされるものだが、悪い条件が重なった中で、強引にレースそのものを動かし、前の動きを封じる力勝負の展開に持ち込んだ上で、上位人気馬や前走好走馬は漏れなく好走している。
リバティアイランドが強すぎたのは間違いないが、むしろ、マスクトディーヴァの猛烈な強襲にこそ、この世代の魅力が詰まっている気もしないではない。
先週も西村淳也騎手と共に、エルトンバローズが頑張ったわけだが、同じくらいにマスクトディーヴァを褒めてあげたい。
動き出しのタイミングは、リバティアイランド次第となってくることは、若馬にとって、非常に辛い戦略面の膠着状態を生む要因ともなるわけだが、そこで動けるようなポジションを敢えて選ばず、スタートでは隣のリバティより少し良かった分だけ、自在のポジションを選びながら取れたところで、引く手を選んだ岩田望来騎手の評価は、恐らくこれでより高まることになる。
全体の流れと、マスクトディーヴァ自身の将来性に対し、現時点の成長度を踏まえた上で、捨てレースをしたのではなく、彼女のもつ豊かなスピード能力=ローズSで記録した破格の1:43.0を、直線に凝縮して発揮することがベストという判断こそ、父康誠騎手が勝負強さを大舞台で遺憾なく発揮してきたその勝負勘であり、また総合的な面でも理想の作戦であったのだから、思惑よりずっと流れなかったとはいえ、リバティアイランドが前を掃除してくれる状況であったことは間違いないほど、リバティにしてはスタートが良かった方なので、益々、自身にとっても最適の末脚全開作戦はハマりやすい状況にあった。
直線の短いコースほど、末脚を凝縮するようにして、爆発的なものを引き出すべきあるという、伏兵らしい競馬に対し、思ったよりうまく走れた、回ってこられたドゥーラはそこそこ程度しかできなかったが、ほぼ同等能力を、打倒リバティをハーパー自身の今後のために必要と正攻法であったルメール騎手に対し、真っ向で挑み、際どい3着争いとした斎藤新騎手にも、未来は開けたなと思わせるだけのナイスファイトが見られた。
動けないところを敢えて選択、勝ちに出る追い込みを決められなかったモリアーナは、そうした面々には正攻法では戦えないから、微差の3着争い敗退も、内容は互角。
こうして思われているよりも、若手騎手が躍動し、遥かにタイトな厳しい争いを制したこの人馬は、本当に強い。
武豊に蓋をされそうになった1コーナー手前から、二段階で、3コーナーに入る前に自分の動きやすいポジションを選べる、自在スパート可能な位置にまで持ち出せた川田騎手は、よくわからない感情に苛まれるような、複雑な時間を過ごしてきた中で、直前の騎乗機会を3連勝中で、リバティよりもはるかに仕上げてきていた。
己という個体が何を必要とし、何を排せば、自分らしい動きができるかを、早くから理解しているような名馬に共通するアスリートらしい性質を見せつけるように、大きく膨らませてきた栗東帰厩から、前走比で10㎏増やしだけの馬体重で出てきた段階で、リバティと戦ったことのある知った顔からすると、人間以上に、馬の方が少しげんなりだった可能性もある。
仕上がっていた印象のコナコーストも、パドックから少し様子がおかしく、自分のちょっと後ろにいるあの娘に対し、すでにギブアップ状態だったような、何だか、気持ちを前向きに持っていけない雰囲気があった。
淡白な逃げに甘んじ、伏兵の逃げさえ、どことなく封じてしまうほどに、リバティアイランドが威光を放っていた証左が、この桜花賞勝っていたはずグループの筆頭格・コナコーストの不安げな表情から、十二分に見て取れた。
それぞれに戦い方はあったのだろうが、未来を近いところで明るく照らすことが出来そうなのは、自分なりに頑張って、リバティアイランドに圧倒されながらも、型が多少崩されたところで、能力はほぼ全開だったはずの上位組に限られそうだ。
エリザベス女王杯にわざわざ挑むような格ではないことを、自他共に認めることを三度示した勝利陣営に、もう、思惑と違う形での牝馬限定戦への参戦はもう想定はないはずで、頑張った組の即座の巻き返しは可能であろう。
マスクトディーヴァはさすがに休まないと苦しいだろうが、ハーパーもモリアーナも、自分を庭を改めて探す中で、早い段階で名誉ある勝利を手にする可能性がある。
この辺の距離が合う。
一方、リバティアイランドは何に向かって走っていくべきか、一旦、リセットは必要であるが、迷いはもうないはずである。
自信をつけた川田将雅が、大きな戦いが今後は続くことを考えながらも、感嘆に浸るかのように、スタンドに大勢詰めかけたファンを前にして、期せずして、こぼれ落ちるものを隠せない様子にあった。
当たり前である。
勝てることを前提に記者会見に臨み、三度とも断然人気で、全て規格外の内容で勝ったのはよかったが、過る不安など枚挙にいとまがない。
素直に、リバティアイランドが素晴らしい走りをしてくれたと称賛したのに、最後の最後に言葉に詰まったその姿こそ、あるべきものだった。
培ってきた全てを注ぎ込むべき対象を、その能力に相応しい結果へと導いたという、大きな職責を全うできたと、自分自身を労いたい気持ちを抑え込まねば恥ずかしい。
自分を褒めたところで、馬鹿にされるほどに、馬が素晴らしいからである。
でも、武豊騎手も福永祐一騎手も、オルフェーヴルの池添騎手もそうだったが、どうにも感情を抑えきれないようなインタビューになってしまうから、それを味わえる究極のバースデイプレゼントを、今度はご子息ではなく、掛け替えのないパートナーとの出合いにより、極致とも言える結果に変えて、今回はリバティから授かったという形で、大きな経験値を加えるようにして、記憶される幸せを体感したのだ。
もっと、感情的でいいわけだが、それが邪魔をしたことを猛省した川田将雅騎手に、こういうにじみ出るような感情からうまれる涙に、妙に感心してしまった筆者は、少しだけもらい泣きしてしまったのは、歳のせいだけだろうか…。
ジャパンCへ向かうにしても、年明けのアジア圏から始まる大レース群のいずれかに挑むことを、次走の第一手とすべきと狙い打つ形にしても、挑戦者という立場に行った戻る心持ちは、非常に苦しい戦いを強いられる一方で、大きなアドヴァンテージにもなってくる。
コントレイルは菊花賞でボロボロになって、父ディープやルドルフ同様、次走で敗れたわけだが、秋華賞を制したトリプルティアラにそんなダメージはほとんどない。
道悪ばかりの秋華賞が京都開催では続いているが、苦手であって不思議ないところで、内容的には並ぶ者なしだったリバティアイランドが、次に何を勝ち取ろうとも、恐らくはうまくいくような気がする。
受けて立つ側ではない場面で、三冠馬の多くは、次走も崩れなかったから、そう言えるのではなく、一旦、超スローの展開から、正攻法でも差しの策に出たところで、マスクトディーヴァなどに4馬身程度の差を無理に広げることができたからである。
また強くなったな、と彼女の陣営は感心しているはずである。