秋華賞2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着チェルヴィニア(2.3倍)2着ボンドガール(14.6倍)3着ステレンボッシュ(3.9倍)
レース名 | 第29回秋華賞 |
日程 | 2024年10月13日 |
優勝馬 | チェルヴィニア |
優勝騎手 | C.ルメール |
勝ちタイム | 1:57.1 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 11,970円 |
秋華賞2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | チェルヴィニア | 1:57.1 | - |
2 | 10 | ボンドガール | 1:57.4 | 1 3/4 |
3 | 14 | ステレンボッシュ | 1:57.5 | 1/2 |
4 | 12 | ラヴァンダ | 1:57.6 | 3/4 |
5 | 13 | クリスマスパレード | 1:57.6 | ハナ |
単勝 | 5 | 230円 |
複勝 | 5 | 120円 |
複勝 | 10 | 290円 |
複勝 | 14 | 140円 |
枠連 | 3-6 | 880円 |
ワイド | 5-10 | 705円 |
ワイド | 5-14 | 230円 |
ワイド | 10-14 | 900円 |
馬連 | 5-10 | 2,200円 |
馬単 | 5-10 | 2,880円 |
3連複 | 5-10-14 | 2,230円 |
3連単 | 5-10-14 | 11,970円 |
秋華賞2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「すごく嬉しく思います。とてもいい競馬をしてくれました。いつもの通りGIを勝つのは難しいです。たくさんいい馬がいましたが、チェルヴィニアは素晴らしい馬で、今日はいいポジションを取れましたし、ペースが速かったのもちょうど良かったです。スタートからいいポジションを取ることができて、ずっと自分のペースで走ることができました。冷静に走ったら最後はとてもいい加速をすることができます。前とは15馬身ぐらい離れていたと思いますが、こういうペースでゴールまで行くのは難しいですから、心配していなかったです。手応えはとても良かったですし、直線でスペースがあったとき、とてもいい反応をしてくれました。またGIレベルで勝てると思います。大きなレースに出たらまた応援してください。今日はありがとうございました」
※優勝した選手C.ルメールのコメント(チェルヴィニア)
秋華賞2024 - レース結果動画(YouTube)
秋華賞2024 - 回顧
お馴染みのシンコウラブリイ一族ではあるが、母がなんとか、一族の課題であった、牝馬で一流馬が出やすい特性の中で、大きな壁となっている距離適性の幅を広げたことで、こうした才能が生まれてきたという印象もある。
最初から強かったのがシンコウラブリイだが、ボンドガール相手に雪辱を果たしたチェルヴィニアは、2戦目からもう本格化をアピールするような圧勝劇で、今に至るのだから、ファミリーのトップホースになったとして構わないだろう。
母母ハッピーパスの半姉であるシンコウラブリイは、最後の4連勝で勝ち星を10に伸ばした。
ひどい競馬になった桜花賞を経て、この二冠だから、どこまで勝ち星を伸ばせるか、少し期待をしたくなった。
シンコウラブリイは男勝りを地で行く、藤沢厩舎のレジェンドホースであるから、木村厩舎を今度は、この馬が支えていくことになるだろう。
ハービンジャー産駒は、このレースを2勝目。
雨の消耗戦で、快速アエロリットが距離と渋馬場にやれたとき、馬込みの中を抜け出してきたのが、そのディアドラだった。
タフなレースを象徴するのは、それに続いたのがリスグラシューであり、モズカッチャンだったということ。
同父の3着馬は次走、その翌年に2着馬が制覇と、エリザベス女王杯に縁のある馬がこれに負かされている。
距離の壁を乗り越えようともがくダイワメジャー産駒のボンドガールに、簡単には崩れないエピファネイア産駒には珍しい性質を示すステレンボッシュらは、いずれ、G1に登場して、人気を背負うことになる。
一旦、力差を示したとて、いずれも再度成長して、古馬になって強くなったという父を持つ三者。
レガレイラもアスコリピチェーノもいる世代、物語はまだ中盤に差し掛かったばかりである。
速い馬はいたのだが、それが外枠を引いた。
先行する意思を、トライアルホースが示したが、これも外だった。
引く手はないセキトバイーストは、前回とはまるで異なる軌跡を描くように、見事な先行で、レースの質を高めた。
どう見ても怪しい気配だった2番人気のステレンボッシュも、戸崎騎手が馬込みに入っても怯まない根性を持っていることへの理解があって、厳しい前崩れ必至の展開でも、外差しはまず利かないという馬場特性を踏まえて、下がって来そうな馬を捌くという難しい戦法をとりながら、普通は2着だろうという内容で前につけたゴール。
スペシャルなG1的差し込みを決める武豊流のボンドガール、本当に決め手があるのかが不明ながら、十分に才能がこの舞台でも足りすことをようやく示すような2着だったが、その約2馬身前に、正攻法に近い外差し希望も、直線は大きく外に振らずに、理想のスパートを決めたチェルヴィニアがいた。
ルメール騎手はしばしば、直線で厳しい進路をとることが多く、見事にNHKマイルCではボンドガールらに大迷惑の拙騎乗へと直結する不手際こそあったが、10月万全の態勢で、北米遠征も準備万端だろうこの第一人者が、この勝てそうな舞台でヘグるわけもない。
最後は、競馬文化と歴史の長さが生む、芝のレースの本場で育った騎手のエスコートが、それぞれの馬の力に着差の部分にそれ相応の影響を与えた印象もある。
オークスは外に振って、似たような手応えであった今回は、本人のイメージにすれば、外にいるという感じで、最後の最後に外の楽に走れるところで自由にやらせていたから、チェルヴィニアが最後にもっと伸びた感じもなくはない。
今更、褒めることもないわけだが、高速のレースを芝で展開する日本の競馬で、こうした積み重ねが勝ち星の差に影響を及ぼす。
武豊騎手は伏兵の一撃に徹したように残った。
展開の読み通りだったようなところもあるボンドガールに本質的な距離適性と、もしかすると、血統的な面の時計勝負への適応力についても、チェルヴィニアが一枚以上上だった。
前半は57秒くらいの展開で、後半はレース自体の展開は1分の消耗戦だが、位置取りからは、ほぼ58.5秒を二度踏んで、1:57.0で決まるだろうという馬場のイメージ通りに近い、ハイバランスのレコードタイムかそれに近い時計の勝負に、予想した通りになった。
だから、両クラシックホースとその片割れを新馬で負かした馬の上位独占。
ルメール騎手が状態があまり悪くないことを確認した上で、普通の競馬をチェルヴィニアに丁寧な誘いで、完全なるイメージ通りに近い理想の形を無理強いさせずやり切らせたことで、より確実性の高い、直線の底力勝負が、鞍上のイメージ通りに展開したことは間違いない。
一方で、位置をとる方を選んだクリスマスパレードには、もっと速い時計があったことで、自信の好位付けは、様々な状態の変化に対し、少しタフすぎたのかもしれないが、予測されたような差し合いの展開を踏ん張って、2着グループとは微差に近い1馬身差強以内の5着。
ミアネーロもオークス不本意のタガノエルピーダも続いてきて、完全にないなと思わせたところから、馬込みを捌いて真ん中の着順に来た本命馬・チルカーノも、諸々の臨戦過程や少しキレ味勝負で怪しい馬体増の出走としては、大物感までは読み取れなかったからこそ、上々と褒められる。
走れる状態の馬は、紫苑S組やG1期待のノーザンファーム娘軍団と合わせて、大体が走りキレた印象があり、改めて、層の厚さを感じさせた。
ところが、西のトライアルホースであるクイーンズウォークは、驚きのしんがり負け。
14着とも1秒差で、あまり意味のない叱咤は絶対に御法度と考える川田騎手らしい潔い判断とはいえ、3、4コーナーまではライバルをねじ伏せてしまって何ら不思議のないところにいながら、直線は完全に諦めてしまったという競馬。
負けるにしても、心配なレベルの大敗というより、完全なるギブアップだった。
まずもって、京都の競馬に大きなアクシデントは、恒常的に大レースが行われてきた東京それに対し、あまりにその割合が多いとされるが、そうした類ではないことを今は祈るしかない。
川田騎手の上位を完全に捉えてからの騎乗スタイルは、甘さを教えない代わりに、難しい展開に仕打ちを与えないような消耗を回避する狙いがみられるが、改めて見返すと、スタートの躓きは、相当なダメージを与えた可能性がある。
ツキもそうだが、正攻法に近いローズSからの参戦の難しさも含め、来年間隔が開くことが決まったとはいっても、2週分の余裕はトライアル前倒しの副産物なのだから、難しい挑戦は、負けた組ほど今後も厳しいことになっていくのだろう。
思えば、春先までは元気だったキズナの仔は、皐月賞をジャスティンミラノが無敗制覇したものの、肝心のダービーは、逆襲に燃える隠れたモンスターの前に完敗の後、秋の大目標だった天皇賞を前に、屈腱炎での休養を余儀なくされてしまった。
あの新潟記念で大事件を起こしたオークス好走のライトバックも、音沙汰ナシは致し方ないというほど、危ないところを辛うじて回避して、奇跡的に生き残ったというような状況。
こうして、クイーンズウォークが序盤から想定外の躓きで、プランも何もない展開で難しいレースを強いられるようになったことは、桜花賞で似たような負け方をしたチェルヴィニアが、今や予想通りの大成で二冠なのだから、少し切ないほどに勝負に懸かる場面での運が向いてこない。
走る力だけで、レースを制することは難しいわけだが、簡単に自信の立場をキープするような競馬への参加する形は、ルメール騎手が示したばかり。
あくまでも伏兵なのだから…、という言い訳もできないのがまた苦しい。
異国での初戴冠を目指すプログノーシスに加え、昨年の牝馬戦線の主役であるリバティアイランドも天皇賞で人気を背負う。
正しく、中内田厩舎にとっての正念場が、今やってきたのであろう。
無冠では流石にまずい陣容である。