スプリンターズステークス2014 予想
ロードカナロアの次にスプリンターズSを勝つ馬が決まる。このレースでも、また歴史が動く。
12年前の新潟開催は印象深い。前年覇者トロットスターは春と同様に伸びあぐねて、代わって登場した新王者ビリーヴを万雷の拍手で皆が快く迎え入れた。
その時の少数精鋭の激闘と比べ、今年は18頭立ての混戦。楽しみ方が違う。
ただ、先行脚質の古馬2頭は当該距離でのGⅠ実績が抜けている。
昨年の当レース2着馬であるハクサンムーンは、以降勝利からは見放されているが、いつの間にか最後に先頭に立てればそれでいいじゃないかと、ロードカナロアが辿ったような脚質転換の道を進み、今それは完成の域を迎えつつある。
馬場に恵まれたとはいえ、圧倒的な先行力で春のチャンピオンに輝いたコパノリチャードの前走にミソをつけるのも筋違いだ。
一貫して逃げもしくは、2番手での競馬に執着しているわけではないのが、高松宮記念での独走の要因。気ムラだがタフな馬。
共に、極端なハイペースもスローペースも好まないから、今の新潟はぴったりの条件だろう。
彼らに挑むのは、残るほぼ全ての差し馬。牝馬勢は特に決め手を活かして勝負するタイプだから、まずやり合うことは考えにくい。
それはすなわち、先行馬ペースになる可能性を暗示しているわけだから、前記の実績馬を軽視する理由は見つからない。遅い流れは考えにくく、どういう位置取りになってもハクサンムーンにはやりやすい競馬になるだろう。
ただし、GⅠ連対馬といっても、それはGⅠ勝利の絶対条件になるわけではない。あくまでも軸候補筆頭。
狙い目は、少なくともここまでは差してきた馬の方にある。
昨年の3着馬マヤノリュウジンの初タイトル奪取は、なかなか確率が高いかと推察する。
ここ数戦で、一気に脚質転換に成功して破壊力を身に着けたのだが、最初に追い込みの手を戦術に取り込んだのは、縁なく今回の出番を逸した丸田騎手なのだ。
再転入出戻り後に、一叩きして小倉で連勝した際、また昨冬同じ時期の小倉でもまた跨って勝ち星を挙げ、その次に乗ったのは阪急杯。
そこで丸田騎手は、自分が乗らなかった間に教え込まれた好位抜け出し策を微修正すべく、中団からの競馬を選択した。
もうおわかりだろう。追い込んで大胆なパフォーマンスをするタイプと手が合う横山・池添両騎手が、ハイリスクを承知で後方からの追い上げを連続して成功させたのは、既に判っていたマヤノリュウジンの本質に合わせた騎乗をしたからだ。
後輩が引き出した才能を、数多の名馬の背中を知る池添謙一が無に帰す乗り方をするわけもない。
ああ、親父と似てるなあ。逃げに転じたローレルゲレイロよりは、ずっとデジャヴを堪能できる。直線平坦、外差し馬場…。
軽視禁物のGⅠ実績馬グランプリボスは、昨年勝ち馬から0.3差だったので、時計のかかる条件ではより上位に来る可能性がある。脚質自在で怖い存在。
セイコーライコウなど含め、おじさん中心の買い目。牝馬の筆頭は、南半球で快挙を成し遂げたハナズゴールだろう。