スプリンターズステークス2018 回顧
直前の雨の影響はそれなりにあったはずだ。
前半が33秒フラットで、後半はそれに2秒以上足したタイムでトータルは1:08.3。
直前の勝浦特別が33.8-34.8で1:08.6だったから、雨が多く降った分だけ、よりタフになったようだ。
にしても、セントウルS組が上位独占など、ロードカナロア連覇達成で、セントウルSでは先着したハクサンムーンが押し切るかという展開で2着の時くらいしか、全く見当たらない。
レースはワンスインナムーンがこの夏あたりから行けるようになったという感じの軽快な先行で、他の馬はとりあえず追いかけろという展開。
馬場さえ、もう少し乾いたままだったら…。
人馬とも、フレッシュな立場でスタートも文句なしの差し馬・アレスバローズは、直線で外に持ち出した後からは、もう全くエンジン掛からずの不発。
川田騎手とすれば、あの位置にいればもっと…、という結果。
結果論など糞食らえは、ワンダフルに夏の躍進を結果に繋げたラブカンプー。
3歳牝馬のメリットは斤量だが、勝てないというだけの理由で、重賞を連続好走しつづけるのは至難の業。
最初からミルコが乗ることはなかったが、前日から引き続き、3歳馬を快走させた和田騎手の勢いは、春の比ではないようだ。
これが、スピード血統の強みを限界まで引き出して、懸命に1:08.3で駆けた結果。
しかし、全くもって意に介さなかったファインニードルの強さは、まるで別次元。
昨年のセントウルSも強かったが、本番では見事にコケて、使い詰めの懸念が結果として出てしまった。
が、いい位置をとったわけでもなく、体調も完ぺきというところまでは上がっていなかったはずの王者は、春より10kg減ったのに、変にガレている印象はおろか、むしろ、シェイプアップしたことで、より彼らしい決め手を川田騎手が引き出した春の大一番から、それに見合った身体に作り変えたような雰囲気さえあった。
最も成長し、大きく変化をしていこうとしていたのはファインニードル。
昨年快勝のレッドファルクスが、去年の自分より強かったように、本物のスプリンターはこういう形で真価を発揮し続けるのである。
さて、全く番狂わせも起きず、二番手以上の支持を受けた面々が不発という、その原因なのだが。
ペースも馬場もある。牝馬が人気になったこともある。
セイウンコウセイはやや、王者の競馬をし過ぎたせいもあるだろう。
最大のポイントは、モレイラでダメだったナックビーナス。
春は根性娘に変身し、函館戦を経て、札幌で見違えるような逃げ脚を披露したが、スプリントGⅠで極端な型のないこの馬が、無難に乗って走れないのでは、能力値も含めて、まだファインニードルと比較する段階になったのかもしれない。
その最大根拠として、いくら頑張っても1分7秒後半でしか走れない馬が、北海道の稍重で快勝後の中央場所。
中山では何度も1分8秒台で好走していたが、ファインニードルのベストタイムは1:07.1だ。
最近そういう舞台に出くわしていないから、彼は快時計では走れていないだけで、重賞を勝つ前にそういう実績があったのと比べると、キャリアそのものでは互角のナックビーナスが、大舞台で勝負を懸けて不発でも、何ら不思議はないのである。
残念ながら、現状の立ち位置なども考えると、ライバルも目された組には、万能性が備わっていなかったのだ。