スプリンターズステークス2019 予想
雨が降るようで、崩れる馬も何頭かいるだろうが、みんな消えることはありえない。
中山の1200Mは外回りコースからまっすぐ3角に入るレイアウトなので、最内枠は変な角度がつく分不利でも、外枠が極端に走りづらいわけではない。
力のある馬には有利で、力がない馬が多いとか、一頭が抜けている時にしか荒れない。
どの馬も実績、経験値は十分だ。
ただ、グランアレグリアやステルヴィオには、名手を背に、初の1200で色々な可能性を試すというアグレッシヴな挑戦のチャンスがあったわけだが、残念ながら、調整うまく行かずの回避。
特殊な理由で台頭の3着枠の活用や、まさかのウルトラファンタジー、ダイタクヤマト型の台頭を目論むのありだろう。
というわけで、全くの興味本位で7歳秋、1400以下初登場の快速型・マルターズアポジーの衝撃的激走を期待したい。
ベストラップ、勝ちパターン、猛ラップの中での自己ベスト、などなどのデータがとりやすい逃げ馬だけに、ちゃっちゃか数的根拠になりそうな資料を集めたのだが、早い話が、1200とかのレースラップと比較した場合、この中でのマルターズアポジーは、全く速い馬ではないということ。
第一、2F目のラップがどんなに速くても22秒半であるアポジーに対し、モズに関しては、そのベストタイムは21.5秒。
だからって、32秒台の逃げなんて、小倉、中山の重賞では特別ではないから、例えば、セントウルS圧勝のタワーオブロンドンの3F通過が33.5で、アポジーの春のダービー卿の3F通過が33.9秒だったということが重要。
理論上、まるで用なしだが、そのダービー卿の1200通過は67.9秒だった。
テンも12秒そこそこで、あとは11秒台前半以上を5連続。
年季が入って、めっきり上手になったと言われるようなベテランではない。狂気にも近いものがある。
だからこそのスプリント戦闖入。
ダートには挑んではみたが、やや躓いたスタートから、1400実績のある快速型についていくので精一杯。
しかし、それはオブライエンのストームキャットで、同じ歳のジャイアンツコーズウェイになれなかったというバーンスタインの切ないところも受け継いでのものだろう。
産駒を走らせても、欧州型マイラーのボチボチ君がいるくらいで、確かにBCマイルの勝ち馬2頭を出したものの、その後のアルゼンチンでの無双ぶりの方が際立つ種牡馬成績。
そこで出てきたゴスホークケンが、イレギュラーに日本で快走したことで、マルターズヒートという快速牝馬との配合が実現したのだ。
気難しさに拍車がかかったマルターズアポジーを、いかに上手に捲らせるか。
追われても追いかけても有利ではない逃げ馬の彼を、先週は鮮やかに先行した丸山騎手がどう御すか。
唯一の希望は、父母にふんだんに含まれた同時期に登場の米三冠馬三人衆が揃い踏みという、日本では珍しい配合である点か。
長兄セクレタリアトはゴスホークケンの中でクロスし、マルターズアポジーの4代目にシアトルスルーと翌年の三冠馬アファームドが入っている。
米二冠ノーザンダンサーと英ダービー馬ロベルトのクロスなどで、最初は持続力を活かす中距離型としての成長を嘱望されながら、2000Mでは距離が長かったという終いのラップの失速の歴史がある。
もう後には引けない。ダート戦殿負けから、芝で快走はあるのか。
そういえば、同時期の秋華賞でシリウスS16着から、驚異の3着盛り返しの衝撃的快走で魅せたプロヴィナージュの例がある。
奇しくも、これはセクレタリアトの父でありシアトルスルーの3代父のボールドルーラーがクロスしている。
面白い方を今回はとった筆者だが、当然、若手の台頭、本格化への期待も同時に望んでいる。