2020年スプリンターズステークス【回顧】レース動画と結果速報

【レース結果速報】脚の次元が違うグランアレグリアが圧勝!1着グランアレグリア(2.2倍)2着ダノンスマッシュ(5.1倍)3着アウィルアウェイ(60.9倍)

JRA(中山)G1:スプリンターズS 2020の結果配当・最終オッズと払い戻し

着順馬番競走馬タイムオッズ着差
1510グランアレグリア1:08.3 2.2-
223ダノンスマッシュ1:08.6 5.1
3816アウィルアウェイ1:08.7 60.91/2
447ミスターメロディ1:08.8 23.71/2
5815クリノガウディー1:09.0 46.1

単勝10220円1番人気
複勝
10140円

1番人気
複勝
3180円
3番人気
複勝
16
680円
9番人気
枠連
2-5570円
2番人気
馬連
3-10530円
1番人気
ワイド
3-10310円2番人気
ワイド
10-162120円21番人気
ワイド
3-163150円30番人気
馬単
10-3790円
1番人気
3連複
3-10-1610,430円
32番人気
3連単
10-3-1622,540円
63番人気

スプリンターズステークス2020 - レース後コメント(騎手/調教師)

「グランアレグリアの強さは素晴らしいです。スタートはゆっくりで1200mのリズムを見つけられず後ろの位置になりました。心配しましたが、パニックになることなく直線はすごくいい脚で伸びてくれました。ペースが速かったので前の馬は止まりましたがこの馬はゴール前まで速い脚をつかってくれました。
G1シリーズが始まり、その最初のG1を勝つことができて嬉しいです」グランアレグリア(C.ルメール騎手)

スプリンターズステークス2020 - レース結果動画(YouTube)

データ分析とレース回顧

色々と普通ではないことが起きていたが

筆者もぞっとするようなポジショニングだった○と◎の2頭が、最近テンのダッシュ力に磨きがかかりすぎて、強気の先行までしてしまうとオーヴァーペースなってしまうからちょっと調整するくらいの加減をして逃げる松若騎手の習慣がモズスーパーフレアにも影響を及ぼし、何かに恐れるようにして怒りを抑えきれない雰囲気のビアンフェに執拗な圧を受けて、内枠の利を活かせずという展開で、漁夫の利ではないが、馬場状態と合わせてある意味では、あのチンタラ走った2頭の陣営とすると、期待以上の展開ではあった。

それにしてもである。

こういう展開で、もしも、正攻法の抜け出しをかけたダノンスマッシュの後ろにいたくらいなら、もっと違うタフな坂の攻防になると思ったのだが、藤沢和雄調教師が、

「わざと作り上げなかった」

とさえ思えた、シャープさを全て奪ったような作りが、これまた、自慢の末脚に持続力を与えることになり、大幅体重増の死角さえも覆い隠した。

何度となく組んできた黄金コンビながら、最近、少し冴えない両者のここぞの場面でのパフォーマンスに反し

土曜日から頭がキレているルメール騎手の心持ちの変化も、グランアレグリアの気ままな走りにはすべてプラスになった。

レースの展開は、32.8−35.5であり、先週よりはずっと気候が穏やかで、また晴れの日も多かった分の馬場のハード化も見られたが、どう考えても前傾ラップ見え見えのレース構成は、誰の目にも明らかだったから、誰も推定タイムの推測で勘違いをすることはなかったはず。

加えて、昨年の主力級だった2〜4着馬がちゃんと仕上げて出てきていた。

ただし、モズスーパーフレアは少し体形に変化が出たのか、妙にバランスが整いすぎていた気配で

ダノンスマッシュは元々ガッチリ体形ではなかったが、スマートに映す姿が相変わらずで、武器のレベルアップがなかなか叶わないアメリカンタイプの完成早の死角が、いよいよ弱点になってきていたような感じがした。

さりとて、互いが賢明に頑張り、昨年と全く同じような仕掛けをしたミスターメロディも内容は悪くないから、グランアレグリアがいかに馬鹿馬鹿しいほどの能力差を誇っていたかが分かる。

優勝した異次元の勝ち馬・グランアレグリアの血統

グランアレグリアディープインパクトサンデーサイレンスHaloHail to Reason(サンデーサイレンス系)
 
WishingWellUnderstanding
 
ウインドインハーヘアAlzaoLyphard(リファール系)
 
BurghclereBusted
 
タピッツフライTapitPulpitA.P. Indy(シアトルスルー系)
 
Tap Your HeelsUnbridled
 
Flying MarlinMarlinSword Dancer(ニジンスキー系)
 
Morning DoveFortunate Prospect
 

タピットが母父に入り、これがボールドルーラー系の未来を明るくしたような存在になったがために

割と分かりやすいスピードタイプをドンドン送り込むのだが、かなりディープインパクトの影響も強く受け、

サンデーサイレンス系と好相性のニジンスキーやテディ系の種牡馬も入ることで、ムラではあっても、かなり芝で迫力のあるパフォーマンスが可能な血統背景を大きな武器として、ここまでやってきた。

外から被されると脆いのは、ナスルーラ直系の脆さであり、ワンペースなのはボールドルーラー系の宿命。

しかし、ボリューミーな体に仕上げることで、わざと序盤から行きたがる面を強制的に抑え込むことができるわけで、そこまではやらないだろうと思っていたが、かつて失敗のタイキシャトル的仕上げで、今回は大爆発だった。

ディープインパクトのキレではなく、こういう能力はシアトルスルーやニジンスキーといった歴史的三冠馬の血縁あってのもので、ただこの三者全ては、無敗での三冠達成者であった。

まあ、次戦はいずれも負けていることまで同じなのだから、メリハリのつけ方も何となくグランアレグリアに通ずるものがあるのも、偶然ではないはずだが。

力が有り余る天才少女は、今が伸び盛りなのであろう。

秋の天皇賞でアーモンドアイを返り討ちにしようとどこかで画策する陣営のこと。

望みを繋げるだけではなく、競走馬としてのステータスに、芝の根幹距離三階級制覇のダビスタ的暴論を可能とするナリタブライアンの幻の青写真に、今最も近づこうとしているのが、グランアレグリアなのかもしれない。

負けても口惜しくない立場にまで格を上げ続けてきた陣営が、次にどんなドッキリを仕掛けてくるのか、ファンも記者たちも気になって仕方がない。

抑えが利けば、2000Mなど何でもないように思うが。

面白いポジショニングというより、そういうキャラクターとすべきアウィルアウェイは、奇しくもそれと同期の牝馬。

元々、グランアレグリアと同じくらい将来を嘱望されていた才能の持ち主である。

ジャスタウェイ的急成長を期待したが、まだ、グランアレグリアのパツンパツン感はなく、当然の未完成品であったが、ギアが重い割に、助走距離が今回のようにしっかりと取れると、価値はともかく、2着入線もあり得た末脚は本物になりつつある。

興味の大半は、エーティンガールやライトオンキュー、レッドアンシェルへの末脚であった多くのファンの穴狙いは、期せずして外差し有利となった馬場状態を睨んで、シンザン作戦敢行の人馬の迫力によって、見事に雲散霧消と化した。

あのコース取り。松山弘平という男の本懐であろう。

短距離は元々得意で、牝馬との相性も頗る良い。

外枠で調子もよさそうだった7枠の2頭が、坂でもがいているのが、何とも痛快であったろう。

さすがは、無傷の三冠を目指す騎手の技量である。

1分8秒台で駆けたのは、4着のミスターメロディまで。

気合いで上がってきたようなところのあるクリノガウディーのスプリント適性は改めて、この大一番ではわずかに見られたが、高松宮記念の走破タイムは、理想なら1:08.5だったろうから、流れに乗れていない中で、1:09.0なら納得だろうか。

しかし、この馬は右回りの方がいいのではないのか。

いや、それを今また取り消そうとしている4歳シーズンなのか。

元気に高松宮記念に出てきた時、誰が乗っているかが、まずは注目になる。

三浦騎手で悪くはないように思うのだが、さて。