2022年スプリンターズステークス【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】
レース名 | 第56回スプリンターズステークス(G1) |
日程 | 2022年10月2日(日) |
優勝馬 | ジャンダルム |
優勝騎手 | 荻野 極 |
勝ちタイム | 1:07.8 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 468,950円 |
2022年スプリンターズステークス - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
1 | 2 | ジャンダルム | 1:07.8 | - |
2 | 7 | ウインマーベル | 1:07.8 | クビ |
3 | 6 | ナランフレグ | 1:08.0 | 3/4 |
4 | 4 | ダイアトニック | 1:08.0 | クビ |
5 | 9 | ナムラクレア | 1:08.0 | アタマ |
単勝 | 2 | 2,030円 |
複勝 | 2 | 470円 |
複勝 | 7 | 510円 |
複勝 | 6 | 560円 |
枠連 | 1-4 | 3,430円 |
ワイド | 2-7 | 3,100円 |
ワイド | 2-6 | 3,550円 |
ワイド | 6-7 | 2,960円 |
馬連 | 2-7 | 15,340円 |
馬単 | 2-7 | 36,640円 |
3連複 | 2-6-7 | 50,590円 |
3連単 | 2-7-6 | 468,950円 |
2022年スプリンターズステークス - レース後コメント(騎手/厩舎)
「すごくうれしいです。ジャンダルムに感謝の気持ちでいっぱいです。課題だったスタートを決めてくれて、すごくスムーズに運べました。直線も手応え通り、しっかり伸びてくれた。力を発揮できたと思います。乗せていただいた関係者、ファンの皆さんのおかげで、G1を獲ることができました。」
※優勝した荻野極騎手のコメント(ジャンダルム)
2022年スプリンターズステークス - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
2022年スプリンターズステークス - 回顧
謎の展開の大一番を制したジャンダルムは、何と言っても、通算28戦10勝、勝ち星全てが芝1200Mというビリーヴの産駒う。
2002年の新潟開催となったこのレースを制し、翌年の高松宮記念も前哨戦の不可解なまでの惨敗を経て、見事な変わり身を見せての快勝であった。
思えば、北九州記念はまるでレースにならなかったジャンダルムと、その母が高松宮記念を勝った時の臨戦過程とがあまりにそっくりにも思えた。
ジャンダルムはこのレースを昨年11着から、中山の出走機会2戦2勝とした。
中山のこのレースでは池添騎手のデュランダルに差し切られていた母の分まで、このコースで勝ったとしか思えない。
父は北米圏で芝のタイトルを持つサドラーズウェルズ系のキトゥンズジョイ。
それでも産駒は世界中で活躍しているのだから、これも血の成せる業。
北米の芝コースは、基本的にダートの内側に敷設されているので、日本とは逆で、芝がサブのポジション。
そこで活躍する馬を出せるサドラーズウェルズも立派な中興の祖とも言えるが、層が薄い北米の芝路線でたかがG1ひとつのみの勝ち星でも、その安定感で種牡馬としての道を切り開いたキトゥンズジョイの底力は素晴らしい。
通算【9・5・0・0】が全てダートというサンデーサイレンスが、芝でばかり強い馬を出すのが不思議なように、エースとなったとしても、あまり多くの場面で実力を発揮しすぎないことが大事だと、その直系・ミッキーアイルの直仔が大いに不発だったところからもよくわかる。
ムラな走りしか見せない馬の底力の出し方は、このジャンダルムの場合、母母父ダンチヒを含めた大種牡馬を結ぶノーザンダンサーやニアークティックの継続クロスに、一発で魅せる何を秘めていたと求めることはできるのだが、7歳になって短距離馬として完成するとは…。
血統的には早熟で不思議ないデビュー2連勝の馬が、スプリンターズSを制する図は、誰にでも見抜けるわけではないから、競馬は奥が深い。
必ずしも、母から高資質の短距離を適性を受け継いだとは言えないキャリア形成である。
このレースの評価は難しい。
〔32.7−35.1→1:07.8
これで差しが決まらない、それも外からでは全く歯が立たないのでは、先週のオールカマー以上に強烈な内3頭分までしか直線の攻防に出番の訪れない、極めつけのトラックバイアスだったとできるのだが、先週のデアリングタクトの時も思ったのだが、レースを作り変えるというか、自分のためのレースにしてしまうような迫力が、このレースであれば、メイケイエールに足らなかったのであろうと思う。
残念ながら、その傍にいた有力馬がギリギリ掲示板のナムラクレアであり、筆者期待のヴェントヴォーチェだったのである。
人気の面ではメイケイエール断然の雰囲気で、当然、同父のナムラクレアも時点評価であるわけだが、完調にあったのは、レースぶりなど、パドックからの一連の流れを踏まえると、ずっと後者のクレアの方が上だったのだろう。
浜中俊騎手のせいではないと思わせた、外からの追い上げは、完全に相手に合わせるべき戦いの形をほぼ奪われたからこその進路変更を迫られた影響であり、そこから伸びないのは、内が有利なのだから、併せて上がっていけなかったという不利が響いた、まことに無念の結果であろう。
溜めに溜めたわけでもないウインマーベルや春の王者の貫禄を見せたナランフレグの完調とまでは見せない中での好走は、そのナムラクレアの内から上がっていけた有利さが影響してのこと。
トラックバイアスの主要因に対し、人気勢は、メイケイエールの大いなる不発に大分面食らったような不完全燃焼ぶりが、気の毒に思えてならない。
そんなところで、母ビリーヴの全盛期を彷彿とさせる「差せるものならかかってこい」というジャンダルムと荻野極騎手のパーフェクトコンビの立ち回りばかりが目立ったレース。
ほぼ前記したレースラップの通り走ったとすれば、力は出し切ったものの、力を出し切れなかった馬も沢山いたという幸運は、大いに影響したことは事実としてある。
ところが臨戦過程を今年は変え、北九州記念を完全に捨てレースとした<17着の原因は奇しくも内有利の馬場で最外のグループに入ったことも影響している>ことから、中5週を池江泰寿調教師が最大限に活用したのが最大の勝因だとすると、もう天国のビリーヴは、今年の作戦に大賛成のあと一押しである枠順の幸運をアシストしたことになる。
もはや、何のことかさっぱりわからなくなってきたが、周りに小倉で一緒に走ったテイエムスパーダやファストフォースなどが、彼の走りやすいように助太刀したかのような見事すぎる誘導と映ったのも、ツキをものにする最大限の準備があったからのこそ。
殊の外、様々なタイプのオーナーや生産者に気配りが必要な立場でもある池江調教師が、その点で大らかに采配を許してもらえるノースヒルズの陣営から、悲願の大レース制覇を果すことになった荻野極騎手との最高のコンビネーションを発揮させる機会を与えることに成功したのも大きい。
一昨年の久々復活勝利から、コンビを組み、昨年は春雷S、今年は重賞のオーシャンSと、このコンビとでしか走らなくなったジャンダルムの性質は、陣営の見極めてきた適性の本質よりも、ずっと厄介であったと同時に、ハマる何かを求めていたのだと、よくわかる今回の結果であった。
重賞2勝目も同じジャンダルムとのコンビ。
再び、こうした機会を得られるような努力が必要なことを、インタビューで語っていたその姿に、多くのファンが支持をするはずだ。
次はそう遠くない。
メイケイエールに関しては、ある意味で、負ける要素はあったにせよ、絶対視するには高松宮記念の完敗の内容を振り返る準備のようなものが、前走のセントウルSで消えてしまったことについての、最大の死角だったのだろうと、ファンの立場からすると感じる。
高松宮記念のレースぶりは、セントウルSとそこまで変化なく、いい意味での落ち着きや荒れ馬場への適応力の問題等、良くも悪くも、その前のシルクロードSと同じように行かなかったと、仕方ないとできたわけだが、この手の馬は、普通とは違うので、変わり身はできるだけ本番で見せた方がいい。
折り合いは兎も角、昨年は、池添騎手が必死にコントロールしながらとはいっても、結果は上々の4着。
暴走特急でしかなかったメイケイエールは、折り合うポイントのヒントくらいは陣営に与えたが、今回は前回がそうであったように、むしろ、勝負所で追い上げていかないといけないくらいの状況。
しかし、同じ競馬を続けるのは、まだ折り合いというよりも、精神的な競馬そのものへの耐久する力が備わっていないのであろう。今回は弾けるどころから吹っ飛んでしまった。
ほとんど故障でないかというような失速であったが、きっと、何もないような気もする。
勘所はスタート。
出してみてから考えるというのは、普通に安定して出る馬になってから、初めて言えること。
普通に出たのに負けたのは、前走の反動と連戦する精神力共に、エース級になるにはまだ足らなかったことが要因に思える。
難しい馬だから、このあたりを責めても誰も得はしない。
信じすぎるのもいけないのだが、春の牝馬のような不安定な結果が続く現状、不気味な秋の展望へと繋がらないことを望む。