スプリンターズステークス2023の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り
目次
スプリンターズステークスの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | 第57回スプリンターズステークス(G1) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2023年10月1日(日) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 中山競馬場 |
距離 | 芝1200m |
コース | 右回り |
賞金 | 1億7000万円 |
レコードタイム | 1:06.7 |
スプリンターズステークス2023の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
スプリンターズステークス2023の予想オッズと登録馬
枠番 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ナムラクレア | 浜中 俊 | 牝4 | 56.0 | 3.4 | 1 | 栗東・CW・良(浜中) 6F 81.8-66.3-51.4-36.6-11.3(一杯) | 栗東・坂路・良(調教師) 800m 53.4-38.4-24.2-11.7(馬なり) |
1 | 2 | テイエムスパーダ | 富田 暁 | 牝4 | 56.0 | 22.8 | 9 | - | 栗東・坂路・良(富田) 800m 53.2-38.4-24.5-12.0(馬なり) |
2 | 3 | ピクシーナイト | 戸崎 圭太 | 牡5 | 58.0 | 19.3 | 7 | - | 栗東・坂路・良(調教師) 800m 54.2-38.6-24.7-12.1(強め) |
2 | 4 | ナランフレグ | 丸田 恭介 | 牡7 | 58.0 | 50.8 | 14 | 美浦・南W・稍重(丸田) 5F 67.1-51.4-37.5-11.6(強め) | 美浦・南W・良(丸田) 5F 66.8-51.6-37.0-11.7(馬なり) |
3 | 5 | ウインマーベル | 松山 弘平 | 牡4 | 58.0 | 34.8 | 12 | 美浦・南W・稍重(杉原) 6F 83.0-67.3-52.8-38.3-11.8(一杯) | 美浦・南W・良(助手) 5F 68.8-53.7-38.9-12.0(一杯) |
3 | 6 | ママコチャ | 川田 将雅 | 牝4 | 56.0 | 5.1 | 2 | 栗東・CW・良(助手) 6F 82.4-67.1-52.6-37.7-11.7(一杯) | 栗東・坂路・良(川田) 800m 52.5-37.8-24.0-11.6(末強め) |
4 | 7 | オールアットワンス | 石川 祐紀人 | 牝5 | 56.0 | 51.0 | 15 | 美浦・南W・稍重(助手) 5F 67.3-52.0-37.1-11.4(馬なり) | 美浦・南W・良(助手) 5F 66.7-51.2-37.0-11.6(馬なり) |
4 | 8 | メイケイエール | 池添 謙一 | 牝5 | 56.0 | 22.3 | 8 | 栗東・CW・良(池添) 4F 51.9-36.7-11.6(G前気合付) | 栗東・CW・良(助手) 4F 51.8-37.9-11.9(G前仕掛け) |
5 | 9 | アグリ | 横山 典弘 | 牡4 | 58.0 | 5.7 | 3 | 栗東・坂路・重(助手) 800m 54.3-39.0-24.9-12.2(馬なり) | 栗東・坂路・良(横山典) 800m 53.6-38.4-24.8-12.5(馬なり) |
5 | 10 | マッドクール | 坂井 瑠星 | 牡4 | 58.0 | 14.0 | 6 | 栗東・CW・良(坂井瑠) 6F 81.8-66.4-51.4-36.2-11.1(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 50.3-36.3-23.7-12.2(馬なり) |
6 | 11 | ジュビリーヘッド | 北村 友一 | 牡6 | 58.0 | 44.3 | 13 | 栗東・坂路・良(北村友) 800m 53.9-39.0-25.0-12.2(馬なり) | 栗東・坂路・良(北村友) 800m 56.8-39.5-25.1-12.5(馬なり) |
6 | 12 | ドルチェモア | 西村 淳也 | 牡3 | 56.0 | 74.1 | 16 | 栗東・坂路・良(西村淳) 800m 51.0-38.0-25.2-12.7(馬なり) | 栗東・坂路・良(西村淳) 800m 54.0-39.2-25.9-12.8(馬なり) |
7 | 13 | ジャスパークローネ | 団野 大成 | 牡4 | 58.0 | 8.3 | 4 | 栗東・坂路・重(団野) 800m 54.1-39.0-25.0-12.2(馬なり) | - |
7 | 14 | エイシンスポッター | 角田 大河 | 牡4 | 58.0 | 28.8 | 11 | - | 栗東・坂路・良(助手) 800m 52.1-38.2-24.7-12.4(一杯) |
8 | 15 | キミワクイーン | 横山 武史 | 牝4 | 56.0 | 24.2 | 10 | 美浦・南W・稍重(横山武) 5F 66.9-51.5-36.9-11.4(強め) | 美浦・南W・良(助手) 5F 65.6-51.0-37.2-11.8(馬なり) |
8 | 16 | モズメイメイ | 武 豊 | 牝3 | 54.0 | 13.4 | 5 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.0-37.9-24.2-12.3(馬なり) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 50.9-37.4-24.8-12.7(一杯) |
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
逃げ馬 | 4回 | 3回 | 1回 | 12回 | 20.0% | 35.0% | 40.0% |
先行馬 | 5回 | 8回 | 5回 | 51回 | 7.2% | 18.8% | 26.1% |
差し馬 | 9回 | 7回 | 7回 | 109回 | 12.1% | 17.4% | 17.4% |
追い込み馬 | 2回 | 2回 | 7回 | 87回 | 2.0% | 4.1% | 11.2% |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 2回 | 2回 | 5回 | 30回 | 5.1% | 10.3% | 23.1% |
2枠 | 1回 | 5回 | 3回 | 31回 | 2.5% | 15.0% | 22.5% |
3枠 | 1回 | 1回 | 4回 | 34回 | 2.5% | 5.0% | 15.0% |
4枠 | 5回 | 3回 | 0回 | 32回 | 12.5% | 20.0% | 20.0% |
5枠 | 4回 | 3回 | 0回 | 32回 | 10.3% | 17.9% | 17.9% |
6枠 | 0回 | 2回 | 3回 | 35回 | 0.0% | 5.0% | 12.5% |
7枠 | 5回 | 2回 | 4回 | 29回 | 12.5% | 17.5% | 27.5% |
8枠 | 2回 | 2回 | 1回 | 36回 | 4.9% | 9.8% | 12.2% |
種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ロードカナロア | 14回 | 11回 | 10回 | 95回 | 10.8% | 19.2% | 26.9% |
ダイワメジャー | 10回 | 14回 | 12回 | 86回 | 8.2% | 19.7% | 29.5% |
アドマイヤムーン | 8回 | 8回 | 9回 | 45回 | 11.4% | 22.9% | 35.7% |
マツリダゴッホ | 5回 | 3回 | 10回 | 56回 | 6.8% | 10.8% | 24.3% |
ヴィクトワールピサ | 5回 | 2回 | 1回 | 20回 | 17.9% | 25.0% | 28.6% |
エイシンフラッシュ | 5回 | 1回 | 3回 | 31回 | 12.5% | 15.0% | 22.5% |
キンシャサノキセキ | 4回 | 6回 | 5回 | 68回 | 4.8% | 12.0% | 18.1% |
スクリーンヒーロー | 4回 | 3回 | 4回 | 28回 | 10.3% | 17.9% | 28.2% |
シルバーステート | 4回 | 0回 | 1回 | 16回 | 19.0% | 19.0% | 23.8% |
ルーラーシップ | 4回 | 0回 | 1回 | 14回 | 21.1% | 21.1% | 26.3% |
スプリンターズステークス2023 - 過去10年のデータ傾向
人気になると厄介な、順調に叩かれてきた実績馬の不発の多さ
一昨年のダノンスマッシュは、そろそろ、怪しいことが起きても不思議ないなという、約束の休み明けぶっつけローテが、ついに不発に終わった一戦。
レシステンシアの巧みなレース運びを上回り、1210Mくらいしか走らず、完勝であったピクシーナイトの凄まじいまでの才覚に、皆が称賛の言葉を送った。
これは何となくいいとできるが、実は、セントウルSを勝ったG1級たちが、レシステンシアこそ消えなかったが、昨年なら、困り者の極致を象徴的な結果で、常に書き換えていく女・メイケイエール<今年はダノンスマッシュローテを採用>が見事に飛んで、その前は、レッドファルクス初戴冠の陰で、罠にハマったビッグアーサーと福永の沈黙が、異例の謝罪弁明に繋がるなど、色々とややこしかったことが思い起こされる。
ダノンスマッシュは二年続けて、人気には応えられなかった面はあっても、重要前哨戦を勝って出てきて、結果そのものは、大して負けていないのであるから、気にする必要などなかったが、目標を香港に置いた時に、6歳、危険すぎる香港有事直前のマッチアップで、結果、動けなかったことが、転倒防止の最善策に繋がった面もあり、休み明けでも、理想のひと叩きでも、怪しい面はある。
それなのに、前哨戦勝ちの馬ではファインニードルも春秋連覇を決める快走もあるから、高速馬場が続く今年のようなケースでは、重馬場快勝のナムラクレアには一定の配慮は必要でも、大崩れせず、また掲示板内の好走止まりという図が、やや見かけているか。
キーンランドCの重馬場で勝った馬は、大体反動は出るが、時計が速すぎるよりはずっといい。
主なG1直行組の成功パターンとは
レッドファルクスとグランアレグリアは、この路線での実績もあったので、休み明けでも断然の支持。
前走安田記念も好走であった。
グランアレグリアに至っては、リカバリー不足とはいえ、秋にG1を連勝するアーモンドアイを完封していた。
ローテーション的にも、また季節感に関わる、その耐性と順当なステップを踏んだ調整も可能な夏季を股にかける、この4か月というレース間隔は、決して無理もないから、昨年も結果は今一つも、春の王者であるナランフレグが、トラックバイアスラインギリギリの4分どころから追い上げ、安田記念から直行ローテの安定感を示した。
何しろ、秋開催の初期に春秋連覇を果たしたトロットスターも、高松宮記念のあとにブラックホークの逆襲に遭いながら、安田記念を使っていたことをテコにした、理想の休み明けローテを体現。
驚くようなスローのストレイトガールが勝った年の2着も、安田記念で走らなかったサクラゴスペル。
中山で走ったことがある馬なら、メイケイエール、ナランフレグどちらも人気や実績で、妙味ある穴馬に挙げられるはずだ。
セントウルS負けの程度問題は、いつも難解なまま未解決に終わる
好走馬が半分勝っているというのが、前走セントウルS組の本流たる所以ともなっているが、連続好走に関し、勝った馬の前走内容は、2、4、1、1、2着。
当然人気になる事を踏まえた時、前走時の人気も気になってくる。
同順の前走人気であると、これが1、3、1、1、2番人気。
ここまでは何となくわかる。2番目に登場のストレイトガールは、みんなにプレップだと堂々と伝えるような出来で、本番はしっかりと仕上げて勝ったわけだから、誰も文句は言えない。
問題はここからで、アグリは人気通りの2着だったが、他は、人気は兎も角、着順が少し悪い。
全く来ないというわけでもないし、枠の利でイン強襲のラインスピリットは世界のユタカであったという以外に、両方とも人気薄快走の、ちょっとした意地悪問題を演出。
秋開催最初の年が、江田照男スペシャルのダイタクヤマトであるから、これがサマーシリーズ整備前の函館スプリント2着→セントウルS7着で、いずれも、人気以上に頑張ったということもない結果からの、見事な大立ち回りだとすると、このラインスピリット問題は案外、身近なところにある課題と言える。
滅多に来ないが、G1馬だから来るというわけではない。
間口を広げて、様々なタイプを拾っていく3連勝式馬券の買い目には、この組の穴馬は絶対に押さえるべきであろう。
G1連戦の馬になど、あまり食いつかない方がいいのだが…
押せ押せのローテになるのは、南半球産の馬が欧州遠征などを敢行した時くらいで、高松宮記念からの直行がミッキーアイルくらいしかハマらず、蹄に問題を抱えた天才スプリンター・デュランダルを除くと、ずっとG1をせっせと走ってきた組は、案外厳しいのが、このレースの特性。
何しろ、暮れ開催時代に、同時期にフランスG1を制した北米産最高クラスの日本調教馬2頭が、別の若い北米産馬に敗れたくらいで、マイネルラヴの衝撃はそのまま、昨年から続く、吉田豊&パンサラッサ祭りに引き継がれたかのように、世紀を跨ぎ、なお尾を引くくらいのインパクトがある。大袈裟か。
近年は、シュネルマイスターの大不発が、阪神のマイルチャンピオンの再不発に直結し、結局、加速装置待ちだったことが判然とした春の京都・マイラーズCの結果により、どうしても不適の馬が出てくるケースが多いローテでもある。
日本には短距離の番組が、G1を頂点にすると言いつつ、全体の層の薄さも影響して、主だった改革があまり進んでいない。
世界には星の数ほど、短距離G1があって、日本のG3以下と思われる、謎のローカルタイトルも五万と存在する。
そういう番組の構成ではない影響で、滅多に、エース級以外はこのG1ローテをとってこないわけだが、G1で何度も人気になっているメイケイエール嬢にとって、これが5連続出走というのは、本来は一般的なスケジュールにも思える。
日本は高速馬場過ぎるから、昨年のような負け方をする馬も少なくはないのだが、動きが悪くなるのではなく、いつも勝手にパニくるだけの彼女に、実は、最もいいステージを提供するローテーションが、藤浪晋太郎的・細かいことは気にするな、という大胆な挑戦と、それに伴うトライアンドエラーの形でその蓄財を結果に反映する、この方策にも思える。
死ぬほど無駄な手を繰り出し、自滅を重ねたとて、気持ちさえ萎えなければ、誰でも復活する。
回転のいい100マイルを毎度繰り出せるパワーピッチャーではなれていないが、たまに出る103マイルくらいでシュート回転する破壊力あふれるパワーピッチができるメイケイエールには、一度見放されたこのくらいの感じの雰囲気がちょうどいいのだろう。
藤波投手の復活と覚醒に役立ったフォーシームの回転軸の傾きと投球フォームとの結びつき同様、メイケイエールに必要な馬具、特にハミに関連する指示系統の問題解決法と、根本的な気持ちの部分にプラスに働く心身のフレッシュさとの関係性は、両者、驚くほどよく似た成否のバランスとなっていて、胸騒ぎがしてならない。
両者にとってのジョーカーは、スライダーと内枠。
大一番では頼りにしない方がいい、時に猛毒となって、両者を襲うものだと忘れはならないが、メイケイエールの枠順はまだわからない。
スプリンターズステークス2023- 出走予定馬の血統/成績/タイム
春G1連続惨敗という重い事実に反し、その救済の道が見つかったメイケイエール
メイケイエールの血統
何度もこの血統表を眺めた人も多いと思うが、母母ユキチャンの半妹であるブチコを母に持つママコチャとは、当然同族。
しかし、ノーザンファームから出された母シロインジャーは、自身の戦績が振るわなかったというよりも、健全な馬産を行うための間伐の一環なので、デアリングタクトの母が社台グループの手から離れて、ああいう結果になったということでは、自由度が高まって、価値ある日高の生産活動に寄与することに繋がった。
完全にハービンジャーを持っていることを、失敗の位置づけにしたようなところにきて、デインヒルの4×4と同時に、サンデーサイレンスを3×4で配合できるミッキーアイルという存在は、まさに渡りに船。
母の初めての産駒であるこのメイケイエールは、デビュー3連勝を果たし…。
競走馬的には死線を彷徨った期間も長く、無駄の多いキャリア内の黒星増加に、このクロスは影響を及ぼしたような面がある。
輸入繁殖のウェイブウインドは、アサティスやデュラブといった、ダートの傑物を多く出した欧州芝路線の出身の北米産馬が目立って活躍したトップサイダーの直仔であり、この種牡馬は、ヌレイエフやサドラーズウェルズと近いラフショッドのファミリーで、それが成功の要因となっている。
一歩間違えるとダート…、ユキチャンもブチコもそうだったが、本質芝向きのキングカメハメハやミッキーアイルの血を得たソダシとママコチャの姉妹に、このメイケイエールは…。
いや、ミッキーアイルはたまに快速系の牝系と合わせるとダートのスプリンターを出すから、と言って行くとキリはないので、顔も体つきもビジュアル系マイルクイーンの体をなしておいて、内実、不安障害にも似た心理的弱点により、短距離しか走れないということで、最後まで行くのであろう。
こういう馬の方が、タフなスプリントG1は合うはずなのだが、さて、気持ちはキレていないだろうか…。
不安も何も、ここ2走の春季大レースと、ほぼ、アーモンドアイ的不発に終わったことが確定的だった昨年このレースにおけるメイケイエールに、今や、勝利の女神はついにソッポを向いて、ガン無視状態。
掛かるだけで、エンジンは高性能…、という言い訳じみた重賞6勝の実績に疑いナシの、字面だけ素晴らしいキャリアに対し、案外絶望的な着度表でもある【7・0・0・9】という、かなりワイルドな戦績に見る本質は、可憐な容姿に対し、あまりに哀れな実相を反映したもので、ある種、全く無機質な数字の羅列となっていない。
いつも誰かが、彼らの・彼女たちのために、せっせと働いてくれるはずと、どこか安直に過ぎる楽観論を陣営が、騎手任せにしていると、
「競馬以前の問題だね」
と、某名手に皮肉られる始末。
あの3歳春から本格化した、安定の暴発事象は、恐らくは、心身の発達と同時に、人間も同じように備えるアイデンティティの自認というか、自我の芽生えによる、抗う気持ちというものが人間に対し、レースの本質を否定するような振る舞いで、継続的なアンチテーゼの姿勢が定着化することで、我慢すべきものを、未だそこまで耐えて見せようと思えないままなのであろう。
素直さを前面に出すならば、故障から復帰後のレッドベルオーブ<天下のダービー2勝トレーナーを思考の沼へと押しやった、たいそうなとっちゃん坊や>のように、ゲート難の解消を最優先に、恐らく、本質ワンターンの1600・1800向きの本能を引き出す先行型に育てればよかったが、武英智調教師がまだ若いとかどうか以前に、安田記念で内にナランフレグ、外がジャックドールというところで、煽って出てしまった心理的弱点のようなものが、永久に解決できない雰囲気であると察した時、無駄は多くとも、短めの距離で戦い続けるより他、解消できない問題=なかなか勝てないという部分を、納得した形で結果で示すことにならないと、結論が出てしまったのであろう。
サクラバクシンオーだって、考えてみれば、アンバーシャダイという名ステイヤーの甥にも関わらず、1400以下で徹底して好走する短距離型として、結果的に、トウショウボーイやキタノカチドキにできなかった直系の発展を見せつけることに成功したのだった。
その父サクラユタカオーは、レース史上3年連続でレコード決着となった秋の天皇賞を、ものの見事に完勝して見せたが、本当はもっと短い距離が合っていた可能性もある。
この馬の父であるミッキーアイルは、徹底先行ということで、サクラバクシンオーにも見劣らないものがあったマイルG1の2勝馬。
ディープ産駒の中で、初期の段階ですでに、短い距離で結果を出した馬だった。
思えば、その本質も最も受け継いでいるのが、このメイケイエールなのだと思った。
ナムラクレアはいつも文句を言わず、むしろ、合わないようなイメージの厳しい重馬場を幾度も克服し、前走は洋芝で圧勝だった。
渋馬場の高松宮記念で好走している父だが、翌年のビッグアーサー<サクラバクシンオー産駒>が快レコードで制した時、このミッキーアイルは2着だった。
そして、次走に選択のスプリンターズSも同じ着順。
渋く活躍というほど、常に堅実なイメージはまるでないが、その雰囲気はナムラクレアに受け継がれたのだろう。
ただ、孝行娘はいずれも小倉2歳Sの優勝馬であり、また、3歳の時点で古馬に伍して戦えることを示した才女同士。
個性に若干のというか、性質の部分の差異はあろうと、ナムラクレアにできることがメイケイエールにできないこともない。
スプリンターズステークス2023 - レース展開と最終予想
一緒に走ったのは昨年のこのレースが初だったが、高松宮記念でも結果に大きな差が出たことで、極端な能力の違いが出たとするのもおかしい。
ナムラクレアの雨馬場のヴィクトリアマイル走破タイムは1:32.9、メイケイエールの安田記念は、普通に闘えないいつもの感じでも1:32.7だから、同じソングラインに完敗で、今回オッズにかなり差が出る状況は、むしろ狙い目。
死角にあった気性難の部分は、苦しい展開必至の中で、内枠での発走はやる前からちょっと…、という見えざる力が働いたという不運もあった。
香港でマクドナルド騎手が乗っても、しっかり掛かったのだから、それも展開予想に織り込まねばならないが、本当は、グランアレグリアのように流れに乗る乗らないではない形で、前半のペース次第で、自分の位置を確保すればいいタイプなのだろう。
32秒台で展開した、ほとんど小倉重賞だった昨年のセントウルSは、あまりにも掛かるから、滅多にない上がり1位。
超高速レースだったが、急坂があるにもかかわらず、自身の上がりは32.9秒だから、アーモンドアイが楽勝した時のような競馬だった。
近親のソダシよりもかなりキレるが、その分、モタモタ感が異次元というメイケイエールに、普通の枠を当てはめること自体、まるで不適当。
唯一、この馬にとってかすかに残る可能性の一端が、池添騎手の存在もさることながら、キーンランドCで敗れた時以来、一度も、直線に入るまでは先頭に立っていないこと。
セントウルSの内容も含め、決め手のある差し馬であることだけは、恐らく揺るがない。
行かせたというより、普通に先行できそうだと思って、好位付けに出た昨年は、乳酸溜まりまくりで全身疲労真っ只中の体調ではダメだったという以前に、行ったのが悪かったのであろうと、ふと思った。
香港も同じ。
ただ、今回はフレッシュな状態だから、行きたい分はある程度抑えずに、自由にさせるのがいい。
セントウルSの1:06.2で圧勝後、一度も4着以上に入っていないが、最もハイレベルだったはずの香港スプリントで、厳しいスプリンターズSを経た後の、内容ある5着には、本来、今年でもまだチャンスが残るという結果に思えるものがあった。
雨に始まり、ヴィクトリアマイル回避後の安田記念と、まるで己の運命を他力本願状態とは、神仏に全権委任なのだから情けない限りだが、春はダメでも、夏のデビュー3連勝の2歳時、鬱屈した春を経て、スプリンターとして生きる道を勝ったピクシーナイトと同時に確立した一昨年のこのレース、そして、昨年秋緒戦の独走劇。
終わった馬ならば、もっと淡白に序盤からじっとして、頑なに動こうとしない、昨年のこのレースのような挙動であるはずだが、まだ、無駄ではあっても、走ろうとはしている。
マイラーの姿かたちだが、グランアレグリアがそうであったように、自分の型にハメて、この高速レース必至の一戦を制し、皆を再び驚かせてほしい。