スプリンターズステークス2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ルガル(28.5倍)2着トウシンマカオ(9.6倍)3着ナムラクレア(8.2倍)
レース名 | 第58回スプリンターズステークス |
日程 | 2024年9月29日 |
優勝馬 | ルガル |
優勝騎手 | 西村 淳也 |
勝ちタイム | 1:07.0 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 299,070円 |
スプリンターズステークス2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 13 | ルガル | 1:07.0 | - |
2 | 2 | トウシンマカオ | 1:07.0 | クビ |
3 | 5 | ナムラクレア | 1:07.1 | クビ |
4 | 6 | ママコチャ | 1:07.1 | クビ |
5 | 3 | ウインマーベル | 1:07.2 | 1/2 |
単勝 | 13 | 2,850円 |
複勝 | 13 | 720円 |
複勝 | 2 | 370円 |
複勝 | 5 | 300円 |
枠連 | 1-7 | 3,370円 |
ワイド | 2-5 | 1,240円 |
ワイド | 2-13 | 4,620円 |
ワイド | 5-13 | 3,800円 |
馬連 | 2-13 | 15,840円 |
馬単 | 13-2 | 39,400円 |
3連複 | 2-5-13 | 36,810円 |
3連単 | 13-2-5 | 299,070円 |
スプリンターズステークス2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「本当に幸せです。レースは全く覚えてないです。クビ差クビ差というのを見て、結構迫っていたんだなと思いました。こうしてルガルと僕がGⅠ勝ちましたし、ルガルもこれからもっともっと頑張ってくれると思いますし、ルガルに追いつけるように僕も頑張ります」
※優勝した選手西村 淳也のコメント(ルガル)
スプリンターズステークス2024 - レース結果動画(YouTube)
スプリンターズステークス2024 - 回顧
母の系統は、伝説を今もなお更新するビッグマザーにもなった、世界の名マイラーミエスクの直系。
ミエスクの直仔であるキングマンボの血を受けるモンスター・ドゥラメンテの父系であるから、このビッグスターの4×4が発生する。
ミエスクの父はヌレイエフであり、その甥はサドラーズウェルズ。
名血の基本を成すラフショッド系の基礎繁殖・スペシャルは6代目でキレイに3つクロスしている。
狙いははっきりしていて、本流のクラシック戦線に、スピード勝負を武器に挑もうという展望はよく見えるが、ガリレオとその直仔である母父のニューアプローチはいずれも本家ダービー勝ちの直系根幹でありながら、この大系統の中では目立たないのであって、スピードの血を借りて、こうして、日本ではスプリントのビッグモンスターを誕生させるに至った。
父は早世のドゥラメンテであるが、予測されたように、近年のトレンドである早仕上げの反するような成長の軌道で、3歳春を迎えた途端、タイトルホルダーが重要トライアルのディープインパクト記念を制し、今に至る。
至極の名牝の血を引く、1997年年度代表馬・エアグルーヴの孫。
速さを武器にしているわけではないが、皐月賞は歴代で当時の2位、ダービーは父キングカメハメハの大レコードや翌年ディープインパクトが走ったタイムより気持ち上回る、2代連続のレコードタイムウイン。
基礎を成す部分の能力が図抜けている、このような本格派の主流の血を重ねられたエース級は、なかなか崩れないモノである。
思えば、ロードカナロア<サトノレーヴの父>はキングカメハメハ初期の傑作であった。
もし出たなら、32秒で行くつもりだったのだろう横山典弘騎手は、やはり、G1ということと、現時点でのピューロマジックの限界点を知る過程で、実は、無理のない先行だったように感じる。
現に、止まりそうな気配は、スタンドを左に見る直線に入ったところでも、まだなかった。
無論、そのまま残ってしまえるほど、相手もヤワではなかっただろうが、何か、それを追ってきたものだけにチャンスがあるレースだと、瞬時に思えたものである。
内を突いた、シュタルケ騎手のエイシンスポッターも、全力で前を捉えに掛かった。
ここから、逃げ馬を捉え切れなかった組に入るが、8着に終わったピューロマジックも1:07.5で粘っているが、この記録が、上がりにして、自分だけは35秒中盤。
当然、33秒以上の600通過グループはもっと速く走らないと交わせなかったわけだが、雰囲気だけはサイレントウィットネスであったサトノレーヴがコンマ1秒上に来ただけの7着で、エイシンは同タイムの頭差負け。
ちょっとの不具合や、何かのちょっとした誤差もあるのが、大レースとそれに関わる前段階であることを踏まえると、サトノレーヴにはまだ、バランスの欠いた中山らしいスプリント戦は合わなかった可能性がある。
無論、力負けではない。
老いてから、動きに漲るものが出てきたキンシャサノキセキの学んだ堀調教師は、反省を踏まえ、ルガル対抗の最右翼として、本物へと育て上げるはずだが、ルガルがそうであったように、故障は少し怖い。
何もないことを願うばかりだ。
ほぼほぼ、横山典弘に振り回されたレースなのであるが、高水準のスプリント能力だけを抽出される、真のエースを決めるに相応しい一戦として展開したことは事実であり、現に、レースを壊しているようで、バタバタにならずに真ん中にピューロマジックが残っているのだ。
これを交わしたものが、真のG1級なのである。
中でも、漲るものというよりは、口惜しさを嚙みしめるところからスタートした、ルガルと西村淳也騎手の危険にも思える王道の好位付けで、残ってしまったという勝ち方は圧巻。
大外を引いてしまって、選択肢がなくなったに等しい策士松岡のウイングレイテスト<14着>がレースを激しく動かそうとしたものの、百戦錬磨の横山典弘には通用しなかったというところで、超正攻法の3番手は、それこそ、往年のサクラバクシンオー<トウシンマカオやサトノレーヴに深く関わる種牡馬でもある>が、レコードでぶっ千切ったあの連覇達成の時と似た雰囲気があり、確かに、キレるトウシンマカオも、いつもの切ない追撃でと止まった3着のナムラクレアも力を出したとしても、上がりにして、猛然と外を伸びてきたナムラクレアよりも1秒遅い。
これでコンマひとつタイムで上回り、西村騎手とは親交の深いマッドクールの坂井騎手のそれを思い起こさせる、インからの追い上げを決めかけた菅原騎手のトウシンマカオとは同タイム。
しかし、本物の才能が問われるべき場面で、根幹距離において、展開が向いたのであれば、差し切れなければ、途端に、勝ち馬なり、不適だった方の連対馬への称賛が集まるのも、ごく自然なこと。
印象的に、これではダメかと連覇叶わぬ無念が伝わってきた川田騎手のママコチャが、走れる状態に合って、極めて惜しいところに迫っていたことまで踏まえた時、真のランキングが国内版だけではあるが、このスプリンターズSで完成したとしていいだろう。
休み明けのウインマーベル、ビクターザウィナーは、似たようなローテで、思った程度のパフォーマンスであった。
これが掲示板に掛かるかどうかのライン。
こうしたメンツを、完全に不利と思える、故障明けで半年以上の休養を挟んだ、ある程度の運動や稽古に制約かかる立場とすれば、サトノレーヴに望んだそれを、結果的には、それより一つ下のキャリアは少し多いルガルが、明らかに格上だった印象さえ受ける。
あのアグリを置き去りにしたシルクロードSがあって…。
春にもそんなことを何度か見たような気もするが、秋も引き続き、この展開がトレンドとして定着するのであろう。
それにしても、この春から休み明けの馬や前走着順がやけに悪い馬の頭突き抜けが多い。
第一、1番人気に応えた馬が限られて、それこそ、クラシックの一冠目がごくごく親善な決着であり、菱田騎手のテーオーロイヤルが長距離路線で爆裂していたあの天皇賞を除くと、連勝したという馬は、香港の英雄・ロマンチックウォリアーを除くと、皐月賞無敗制覇のジャスティンミラノと新長距離王だけに限られ、またここも、骨折発症とはいえ、G1惨敗、それも人気を裏切ってしまった馬の大逆襲だった。
ある意味、人気に応えられるほど抜けた馬は、この短距離戦線だけでなく、ほとんどいないのだろう。
全ての関連するG1へのコネクションと本番との、いくらか断続的なつながりになることを、明らかに問題視しているJRAは、大幅改革のようで、単純に、本番とその最重要前哨戦群のレース間隔を、意図して広げる策を来年から講ずると発表したばかり。
偶然の産物か、それが詳らかにされたのちの最初のG1で、完全に不利なはずの高松宮記念から直行せざるを得なかった才能が、能力を全開にさせている。
この路線でもそうなのだから、距離が伸びて、それは可能という馬は、テーオーロイヤルがちょっと異常なくらいに長距離とした、何だか、タイトルホルダーとの別れを惜しむような覚醒ぶりを除くと、実質的な効果は望めないだろう。
おそらく、そのレース間隔の影響が、サトノレーヴの才能発揮にいくらか、悪いものを与えているのも事実だろう。
高速馬場対策を、大牧場では順調に行ってきたわけだが、このあと、新モンスターを送り込んだ三嶋牧場の周りにも、たいそうな建設物がこしらえられる可能性さえある。
抜本的改革は難しいのかもしれないが、速い競馬をしているのに、そこから強いスピード系統が育たないという流れが、このレースで、ようやく断ち切られそうな雰囲気も感じた。
ルガルの競走生活の全うとアツヤ・ニシムラのモンスター化にも期待であるが、この一勝は思い。
名手が作ったG1の本質が問われる展開に導かれる中で、明確な勝因を持つ馬が制したという意味を、この後感じ取るシーンが、近いうちに訪れるのかもしれない。