高松宮記念2019 予想

週も半ばになろうという時に、ちょうどこの3月末の開催になった最初の高松宮記念である2000年の勝ち馬・キングヘイローの死が伝えられた。

血統にも恵まれ、福永祐一の先生にもなったキングヘイローは、09年覇者のローレルゲレイロを送り出している。

今年はダイメイプリンセスが参戦する。

その当時と変わらないのが、

「4歳馬に辛い舞台」

ということ。

その例外的存在であるセイウンコウセイと父が見事に4歳時に制したショウナンカンプの仔・ラブカンプーなどが今年はいるが、ここに至るまでに古馬戦で定量の57を背負っていないダノンスマッシュのような馬がほとんどなのだ。

牝馬の55も厳しいから、フラワーパーク、ラインクラフトくらいしか牝馬は好走していない。

ダノンの父ロードカナロアは、仔が3歳GⅠで経験しているものを、古馬初戦のシルクロードSでハンディを背負わされる形で経験し克服するも、特殊過ぎた12年改修初年度の馬場にも手こずり、3着に敗れた。

何の因果か、これもキングヘイローに縁のあった福永騎手のお手馬であった。

福永騎手はミスターメロディに乗る。

因縁は巡り、これも4歳馬。重賞は勝っていないが、NHKマイルCでは4着。

地味な立ち位置に変わる今回、実はこの世代の最有力の存在にも思える。

55の5歳牝馬デアレガーロ。

前走の32kg増には振り回された印象も、その京都牝馬Sのレースレコードと勝ち方は、陣営が太目残りを明言する今となってみれば、かなりの好内容である。

マンハッタンカフェの産駒で、近親がこのレースを2勝しているドクターデヴィアスの一族。

母父スーヴェニアコピーはキングマンボと同配合であり、今で言うマイルCの位置づけにあったNZTを勝っているシェイクハンドがその全姉。

ただ、これは彼女の才能の本質をついたものではない。

デアレガーロは、中山の中距離戦をデビュー2連勝で、フラワーCでは当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのファンディーナに次ぐ人気で登場している。

その頃から露見した距離への限界は、夏からの軌道修正で見事な転身へと繋がったが、その気性面の怪しさは全て、凱旋門賞連覇の怪物・アレッジドの4×3に起因するものであることは明らか。

3代父のリボーが傷一つ違いで、似たような戦績である点で、よく比較される両者。

ひいじいさんがアメリカ繋養後に、高齢になって、祖国に戻ろうとしたものの、搭乗拒否に等しい保険の問題が生ずるような荒ぶる気性が、この系統の特性であり、個性の最たるもの。

面白いのが、リボーは52年生まれで、祖父のトムロフルは65年のプリークネスS優勝馬と普通の流れだったのが、父ホイストザフラッグが生まれたのは68年、アレッジドがアメリカで生を受け、リボー同様に3歳で凱旋門賞を制したのは、まだ77年の秋なのだ。

極めて早いサイクルで、直系の血を競走能力で繋いだくらいだから、案外、凋落は早かったりする。

アレッジドが種牡馬になってから、ちょうど40年。

その4×3が成立するには、やはり、十分な時間を経て登場したデアレガーロは、あまり今では一般的ではなくなったセントサイモン系のクロスの強い配合で、前走は、底力を見せつけるような中団馬込みからの抜け出し。

キャリアの面を危惧する牝馬特有の懸念も、滅多に登場しない牝馬重賞の勝ち鞍のみの混合GⅠ勝者であるエンドスウィープ産駒のラインクラフト、スイープトウショウらの、牝系の良さとサンデーサイレンスや代表産駒キングヘイロのダンシングブレーヴという名馬を母父に持つ点に肖りつつ、アレッジドの奥にはシアトルスルーとノーザンダンサーがあるデアレガーロなら…。

底力の血が中山3勝の謎の戦績に凝縮されているなら、一気の馬体減に、父の負の歴史を払拭する超余裕残しからの連続大駆けに賭けてみたいという狙いもある。

ヘイローとノーザンダンサーが互いの良さを削いでいるような配合に思うナックビーナスも、ここに来て、時計面での進境が見られる。

連続好走できるようなタフさまではないモズスパーフレアを呑み込めるのは、必ずしも、名門厩舎の血縁者ではないだろう。

◎デアレガーロ

○ナックビーナス

▲ミスターメロディ

注アレスバローズ

△セイウンコウセイ、ダノンスマッシュ、レッツゴードンキ、ロジクライ