高松宮記念2024予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り
目次
高松宮記念の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | 第54回高松宮記念(G1) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2024年3月24日(日) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 中京競馬場 |
距離 | 芝1,200m |
コース | 左回り |
賞金 | 1億7000万円 |
レコードタイム | 1:06.2 |
高松宮記念2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
高松宮記念2024の予想オッズと登録馬
枠順 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ビッグシーザー | 吉田 隼人 | 牡4 | 58.0 | 15.2 | 8 | - | 栗東・坂路・良(助手) 800m 52.2-37.1-24.1-11.9(末強め) |
1 | 2 | マッドクール | 坂井 瑠星 | 牡5 | 58.0 | 9.4 | 5 | 栗東・CW・不良(坂井瑠) 6F 80.8-65.6-51.1-36.3-11.1(一杯) | 栗東・坂路・良(坂井瑠) 800m 54.2-38.8-24.8-11.7(馬なり) |
2 | 3 | ナムラクレア | 浜中 俊 | 牝5 | 56.0 | 4.3 | 1 | 栗東・CW・不良(浜中) 6F 86.7-70.5-54.7-38.3-11.3(強め) | 栗東・CW・良(調教師) 6F 82.9-66.0-50.8-36.5-11.5(一杯) |
2 | 4 | モズメイメイ | 藤岡 祐介 | 牝4 | 56.0 | 103.8 | 17 | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 53.4-38.3-24.8-12.5(馬なり) | 栗東・坂路・良(藤岡佑) 800m 52.5-38.1-24.6-12.8(馬なり) |
3 | 5 | トウシンマカオ | C.ルメール | 牡5 | 58.0 | 6.9 | 3 | - | 美浦・ウッド・良(助手) 5F 67.7-52.7-38.0-11.4(馬なり) |
3 | 6 | ルガル | 西村 淳也 | 牡4 | 58.0 | 5.7 | 2 | 栗東・坂路・不良(西村淳) 800m 51.3-37.3-23.8-11.9(一杯) | 栗東・坂路・良(西村淳) 800m 51.1-36.6-23.6-11.7(馬なり) |
4 | 7 | テイエムスパーダ | 富田 暁 | 牝5 | 56.0 | 110.5 | 18 | 栗東・CW・稍重(富田) 6F 79.6-65.6-52.1-38.0-12.1(一杯) | 栗東・坂路・良(富田) 800m 51.5-37.3-24.5-12.1(一杯) |
4 | 8 | ソーダズリング | 武 豊 | 牝4 | 56.0 | 18.3 | 10 | 栗東・坂路・不良(助手) 800m 51.4-37.6-24.7-12.3(馬なり) | 栗東・坂路・良(武豊) 800m 50.9-36.6-23.9-11.7(馬なり) |
5 | 9 | シャンパンカラー | 吉田 豊 | 牡4 | 58.0 | 47.7 | 14 | 美浦・ウッド・稍重(調教師) 6F 79.8-63.7-49.5-35.9-11.4(直強め) | 美浦・ウッド・良(吉田豊) 5F 65.2-50.2-36.2-11.1(馬なり) |
5 | 10 | ビクターザウィナー | K.リョン | セ6 | 58.0 | 11.6 | 6 | - | 中京競馬場・芝・良(リョン) 5F 68.5-53.7-39.3-11.2(馬なり) |
6 | 11 | メイケイエール | 池添 謙一 | 牝6 | 56.0 | 22.6 | 12 | 栗東・坂路・良(池添) 800m 52.0-37.8-25.0-12.8(末強め) | 栗東・坂路・良(池添) 800m 53.1-38.0-25.1-12.9(末強め) |
6 | 12 | ロータスランド | 岩田 康誠 | 牝7 | 56.0 | 27.3 | 13 | 栗東・CW・稍重(助手) 6F 85.7-68.8-53.2-37.9-11.4(馬なり) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.4-38.1-24.2-12.0(強め) |
7 | 13 | ウインカーネリアン | 三浦 皇成 | 牡7 | 58.0 | 18.9 | 11 | 美浦・ウッド・重(三浦) 6F 79.7-64.3-50.4-36.6-11.5(強め) | 美浦・ウッド・良(三浦) 6F 84.7-68.5-53.2-38.4-11.5(馬なり) |
7 | 14 | ママコチャ | 川田 将雅 | 牝5 | 56.0 | 7.8 | 4 | 栗東・CW・不良(水口) 6F 80.2-65.2-51.0-36.6-11.3(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.7-38.7-24.7-12.1(強め) |
7 | 15 | ディヴィーナ | M.デムーロ | 牝6 | 56.0 | 17.4 | 9 | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 54.2-37.9-24.4-12.2(強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.5-38.2-24.7-12.4(末強め) |
8 | 16 | ウインマーベル | 松山 弘平 | 牡5 | 58.0 | 14.2 | 7 | 美浦・ウッド・重(助手) 5F 67.3-52.1-37.5-11.5(強め) | 美浦・ウッド・良(助手) 5F 67.2-52.8-37.4-11.2(馬なり) |
8 | 17 | マテンロウオリオン | 横山 典弘 | 牡5 | 58.0 | 66.8 | 15 | 栗東・坂路・不良(助手) 800m 51.7-37.9-24.8-12.9(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.0-39.1-24.6-12.0(末強め) |
8 | 18 | シュバルツカイザー | 大野 拓弥 | セ6 | 58.0 | 83.6 | 16 | 美浦・坂路・稍重(助手) 800m 57.4-41.9-27.4-13.4(馬なり) | 美浦・ウッド・良(助手) 6F 82.1-66.3-50.7-36.5-11.2(馬なり) |
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
逃げ馬 | 2回 | 0回 | 1回 | 17回 | 10% | 10% | 15% |
先行馬 | 6回 | 5回 | 5回 | 59回 | 8.0% | 14.7% | 21.3% |
差し馬 | 11回 | 13回 | 13回 | 121回 | 7.0% | 15.2% | 23.4% |
追い込み馬 | 1回 | 2回 | 1回 | 100回 | 1.0% | 2.9% | 3.8% |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 1回 | 0回 | 4回 | 35回 | 2.5% | 2.5% | 12.5% |
2枠 | 6回 | 3回 | 1回 | 30回 | 15.0% | 22.5% | 25.0% |
3枠 | 3回 | 1回 | 1回 | 35回 | 7.5% | 10.0% | 12.5% |
4枠 | 1回 | 4回 | 4回 | 31回 | 2.5% | 12.5% | 22.5% |
5枠 | 2回 | 2回 | 3回 | 33回 | 5.0% | 10.0% | 17.5% |
6枠 | 2回 | 1回 | 2回 | 35回 | 5.0% | 7.5% | 12.5% |
7枠 | 3回 | 4回 | 2回 | 49回 | 5.2% | 12.1% | 15.5% |
8枠 | 2回 | 5回 | 3回 | 49回 | 3.4% | 11.9% | 16.9% |
種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ロードカナロア | 22回 | 11回 | 8回 | 106回 | 15% | 22.4% | 27.9% |
ディープインパクト | 6回 | 6回 | 5回 | 51回 | 8.8% | 17.6% | 25.0% |
キンシャサノキセキ | 6回 | 4回 | 4回 | 45回 | 10.2% | 16.9% | 23.7% |
ビッグアーサー | 6回 | 2回 | 6回 | 23回 | 16.2% | 21.6% | 37.8% |
ダイワメジャー | 5回 | 12回 | 5回 | 62回 | 6.0% | 20.2% | 26.2% |
モーリス | 4回 | 3回 | 0回 | 25回 | 12.5% | 21.9% | 21.9% |
キズナ | 3回 | 5回 | 6回 | 41回 | 5.5% | 14.5% | 25.5% |
ミッキーアイル | 3回 | 4回 | 0回 | 17回 | 12.5% | 29.2% | 29.2% |
オルフェーヴル | 3回 | 3回 | 1回 | 23回 | 10.0% | 20.0% | 23.3% |
War Front | 3回 | 0回 | 0回 | 1回 | 75.0% | 75.0% | 75.0% |
高松宮記念2024予想 - 過去10年のデータ傾向
怖すぎる休み明け1番人気のパターンか否かは、結構重要
メイケイエールやレシステンシアが、人気のあるなしで好走するしないがあっただけでなく、彼女たち自身の問題とは別のところで、不発に終わる結果になっていたかもしれないという要素に挙げられるのが、どうして前哨戦勝ち馬を差し置いて、ここで1番人気に推されたのかという問題。
既出の馬に関する顕著な例を挙げると、阪急杯勝ち馬が1番人気であるとレシステンシアは重馬場でも好走し、香港帰りの休み明け緒戦のレシステンシアは、見た目には問題ないように見えた大幅体重増が影響したような感じで、最後失速。
実は、その後に暴れまくる女帝へと進化を遂げるグランアレグリアも余裕残しであった上で、降着の諸問題が発生した場面で、どさくさ紛れの2着があったのだが、アーモンドアイを倒す前に、ここでもし人気をもっと集めていたら、騎手の意識も違い…<池添騎手に限定のスイッチ>、ということも想定されるから、ルメールが乗れないはずということで福永替わりのタワーオブロンドンが人気になったことは、大いに歓迎すべき要素だったとできるのも、彼女は阪神C独走以来の実戦だったという裏事情があるから。
休み明けで勝った馬があまり多くないのがこの高松宮記念であり、ほぼ3択のG3ひと叩き組が、昔から幅を利かせる舞台であるからこそ、ママコチャが怖いことは間違いないということ以上に、1番人気では切るしかないレベルとも言える。
実績の割に人気にならないウインマーベルが、柄にもなくそういう立場になった時の方が弱いようで、騎手人気の方が、案外危険なのである。
本来エースであるべき5歳の男馬が、案外振るわないという意外な背景がどう影響するか
ファインニードルとそのちょっと前のビッグアーサーが勝ったという実績がある一方、その他は、まずほとんど来ていないという現状がある。
4歳馬にはかなりハードルが高いとされる一方で、不良・稍重・高速の良で3勝しているのだから、ここ数年出番がないのは致し方ないとして、牝馬もあまり来ないということからも、5歳で実績がある程度積まれているはずのグループの不振は、少し考えものの点があるとせざるを得ない。
一方、今年はこの中から、スプリンターズS2着のマッドクール、その前年同じ着順だったウインマーベル、これらと同格扱いされる重賞3勝でルメール騎手を確保したトウシンマカオなどなど、消す理由がない面々がこぞって登場。
世界のイクイノックス師匠と同世代であり、充実の春を迎えたこの御仁を、いずれも蔑ろにするという横紙破りの方策は、いくらなんでも無謀に過ぎる。
あえて、1400での実績の方が際立っている印象のある復調から本格化を印象付けているウインマーベルを取捨にだけ、少し工夫を凝らして、敢えての10番手ほどの評価に下げ<人気面の妙味から>、ここにライバルがみんな弱い説を巷間囁かれている4歳世代から、牝馬がそうでもないとできるソーダズリングを、どうせ1400実績で買うなら、敢えて負けた方からということでアサカラキングなどを加え、その他4歳はビッグシーザーだけにして、肝の部分を押さえたと勝手に大威張りするように、5歳を買うとする。
ナムラクレアだって、ママコチャだって、いつも人気になりながらも崩れていないのだから、仕方ない。
どうする、家康ならぬ、ビクターザウィナーではないが…
本当に気をつけねばならないのは、この香港スプリント直行組。
実績で買われたストレイトガール、レシステンシア、メイケイエールなどが、見事に重馬場で散った。
一方で、レッドファルクスがぼちぼち頑張って3着。
得意の休み明けで国内初G1制覇のダノンスマッシュ<暮れの香港では大変な事故に巻き込まれてしまったが…>、調整が難しいタイプではないが得意のフレッシュな状態で結果が出なかった良馬場の年のサクラゴスペルなど、牡馬は比較的堅調であるから、マッドクールさんは大丈夫であるのだが…。
記録の面で、同じレースでもう少し走っていたビクターザウィナーが、年明けにG1を勝って、すでに検疫を済まれている状況。
体調等に問題があった香港からの帰国後、年明けにも一頓挫あったとされるマッドクールは、死角があるローテーションである一方で、他のレースを使っていた年明け初戦の馬が来ない傾向からも、どうせ狙うなら、レッドファルクスのように頭からであって然るべき…、という半ば強引な論法で少し補強する。
本当の買い材料は、こちらの怪しい傾向の方にある
この好走の6頭に共通するのが、みんな知っている馬ということ以外に、意外となかったりする。
馬齢もバラバラだし、牝馬も牡馬もG1勝ち負けの実績のあるなしもあるが、ナムラクレア以外はG1馬になったということくらいか。
ある意味では、G1の勝ち星があることが死角になる事もあるから、上位入線馬が多く出走する今年の場合、全てにベットという形が望ましい。
そのためのランク付けをしたという経緯もあるから、ママコチャやメイケイエールは少し怪しい面もなくはないので評価を落としつつ、ナムラクレアとマッドクールの評価分析はしっかりとしておきたいところ。
まあ、ナムラクレアに再度の高評価を与える必要もないくらい、ずっと好走する馬なのであって、こちらは据え置きでも構わないが、JRAのプールで2番人気/現地ではジャスパークローネより評価は上で4番手支持 というマッドクールが、サンデーサイレンスよりも取っつきやすいノーザンダンサー系だったということ以外にも、デインヒルとサドラーズウェルズを両方持っているという、いかにもそちらの芝向きの印象を持たれた影響も踏まえた時、まるで勝負になっていなかったビクターザウィナーが血統的にこれと比較的似ているということがあるのと、面白い傾向として、健闘する牝馬よりも負けて帰ってきた牡馬の方が活躍する、香港特有の、古馬優勢の影響を受けてきた男馬の意地の部分に、期待できる部分がある。
距離こそ違うが、香港Cで見せ場もろくに作れなかったジャックドールは、スターズオンアースをねじ伏せたというのが、昨春の名勝負のワンシーンにあったくらい。
その少し前にダノンスマッシュが高松宮記念とその前の香港スプリントを連勝するが、その勝つ前の年の香港はさっぱりだった。
十分な経験を積んだマッドクールは、重賞さえもまだ勝っていないが、多士済々のメンバーの入ったところで、まるで見劣りしない実績を持っていることを、直前に登場したスターたちが実証している点は重視しておきたいと考え、最後の補強を加える。
高松宮記念2024予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム
ここに至るまでに、様々な経験を積んで大きく育ったはずの5歳馬を中心に、再度の成長の機会を得るための前向きな展望ができるレースを期待
マッドクールの血統
母も母母も、クラシックディスタンスで相応の実績がある欧州系の良血と言えるマッドクールであるが、父ダークエンジェルは、直線競馬で活躍した快速型で、バターシュという代表産駒は、英仏の5FG1で大活躍した。
母父インディアンリッジも、ブリティッシュチャンピオンで三冠馬のニジンスキーを破ったロレンザッチオの産駒ながら、それらと似たような戦績を残したアホヌーラであり、ドクターデヴィアスという大物ダービー馬こそ出したが、ロンドンブリッジの父と思い出せば、紙一重という印象がある。
キセキがまさにその影響を受けていたが、そのアホヌーラの正統なスピード型の後継がインディアンリッジ。
おまけに、スプリント配合に輪をかけるように、マッドクールにはアホヌーラの4×3がかかる。
グリーンデザート×アホヌーラでは、実質的には前身のレースにあたる、旧平坦中京時代の高松宮記念を稍重馬場の年に制したシンコウフォレストがおり、余談ではあるが、この弟のニューアプローチの血を持つルガルも注目馬であるから、デインヒルの血も持つマッドクールは、香港で2番人気になったところで、何も不思議がないほど、洋芝やタフな芝の底力勝負に適した配合。
休み明けの問題も、スプリンターズSの臨戦過程を思えば、似たようなものであるし、中山よりも前半はどうしても緩くなる中京で、大きな実績を持つマッドクールは、自滅さえなければ、斤量経験も若いわりに豊富だから、十分に好勝負であろう。
デインヒルというか、母方にダンチヒを持っている馬ばかりが、道悪の年のウイナーになっている傾向からも、トレンドではこの血を買って損はないはずだ。
何にもできなかった香港スプリントから、何かを学んだはずのマッドクールを推す。
あくまでも希望的観測過ぎる部分は否めないものの、立ち遅れというほどではない発走から、好位にとりつくまでは至らず、勝負所で大外に振っただけで、ほとんどギアが上がらなかった。
増減が大きいタイプではないから、ほぼ理想に近い出来で、レース内容は兎も角としても、結果は勝ち馬とほぼ同時入線と2着だったスプリンターズSからマイナスにして10kg。
これは彼にとって、デビュー戦に次ぐ最少に近い522kgであり、ボクシングと似たような計量システムで、レースまではまだ時間がある環境での記録だったから、レースに至る過程で、もっと神経をすり減らして、体重を落としてしまった可能性があるほどに見所のないレースになってしまった。
昔よりも大分、輸送に対する意識が向上したJRAの、とりわけ、関東馬のそうした改善の傾向は、金鯱賞の週にバンバン関東馬が登場して、人気を裏切ったことも多かったが<関東のレジェンド2人に人気馬が提供されていたが、この名人たちに、素直でよく走る馬を提供しているはずもない>、完全に地元と言える関西勢を呑み込んでいたし、小倉にもわんさかそれなりのクラスの馬が多くいたくらいだから、例のビッシュ・秋華賞、ディーマジェスティ・菊花賞連続馬券外問題が発生した8年前とは、大きく変化している一方、馬の本質的な部分は、大いに個体差があるから、その点でまだまだ未熟なレベルだったマッドクールは、年明けも軽く怪我をしたという報道もあったくらいで、まるで順調なわけではないものの、スプリンターズSの内容を踏まえると、買わないわけにはいかない。
高松宮記念2024予想 - レース展開と最終予想
このレースも、ジャスパークローネ<CBC賞で逃げ切られた相手、自身は断然支持を裏切る>がいて、そこそこのペースを団野騎手と刻んだわけだが、33秒台中盤くらいの展開で、そんなものはもう経験済みのマッドクールは、春にはシルクロードSで33秒代後半で単騎先行もあったくらい快活だったが、少し工夫をした部分と、内回りとの合流点過ぎ辺りだったか、少しバランスを崩しかけた部分も踏まえたのか、いずれにしても、気持ち踏み遅れた印象。
それ以上に、ママコチャを完璧にエスコートした世界の川田が圧倒的に素晴らしいクオリティのベストライドだったので仕方ないが、これもまた、香港同様に坂井&マッドクールの本来の形ではなかったはずなのに、中山ではあわや逆転ハナ差勝ちのシーンまで作った。
シルクロードSで逃げてしまうまで<人気馬の斤量が少し盛られすぎた影響も加味せねばならない>、都合3連勝で、中京の1200ではいずれも1分7秒前半で攻撃的な完勝劇を見せた、理想のスプリンターであるマッドクールに、まだ足らなかったタフさが、ここ2戦のG1での経験で加わったはずだ。
間違いなく、重賞を勝てる器であると証明した中山ではなく、今度は、勝手知ったる中京での大舞台。
昨年もシルクロードS好走に止まらず、自分より斤量が重かった牝馬のナムラクレアに、驚きの勝負根性で際どい勝負を一気に逆転されたシーンを作りさえしなければ、恐らくは宮記念出走の運びだったはずだが、今にして思えば、そのおかげで、理不尽な58.5という重賞未勝利馬にはあり得ない、少し前ならG1馬が背負っていたようなハンデで走らされることとなったCBC賞も経験できた。
不良馬場の経験も大切ではあるが、オープンに上がったばかりで、勢い勝る若馬だからこそ、故障のリスクもあったはず。
ナムラクレアのような女丈夫ならともかく、大柄で馬場対応は難しかったはずのマッドクールに、経験値を加えて成長するという普通でも大切な才能が通常搭載されていることが証明されたのだとすれば、無駄な一年ではなかったように思う。
結果が求められる5歳、その初戦。
あまり芳しくないデータもあるが、あのキングヘイローとローレルゲレイロの親仔も、ここにパンチの効いた後継候補を送り込んだビッグアーサー然り、蛯名正義&中野栄治のトロットスターなどもこの歳で最初のタイトルをここで得ている。
スプリント高松宮杯・記念を5歳馬は、ほぼ30年経過した昨年まで、厳密には、モズスーパーフレアの繰り上げ優勝があった2020年までで13勝。
絶対的なオープン馬の数の関係で、うち10勝が牡馬。
開催時期の関係で3歳馬が出てくる上に、若い頃から活躍してきた5歳馬は少し怪しい時期に差し掛かるという秋のスプリンターズSとは比べ物にならないほど、経験をある程度積んだオープン馬には有利な舞台。
よく考えたら、4歳時に大恥をかかさせたロードカナロアも、香港スプリント完勝を経て、ここも力でねじ伏せるレコード勝ちだった。
マッドクールは父ダークエンジェル譲りの芦毛であるが、牝系で5代連続という強いコネクションであるだけでなく、その4代母であるHeadlandというのは、芦毛の快速・グレイソヴリンの直系孫。
言わずと知れた、大種牡馬ナスルーラのひ孫でもある。
これは異系・ザテトラークの血が加わっているためでもあるが、マッドクールの芦毛のコネクションはもう少し根っこから繋がる強さがある。
実は、マッドクールの母父のインディアンリッジの血統表の奥の方にもグレイソヴリンがあって、それと交配した母母はノーザンダンサー3×3以上に強いナタルマの4・4×4を有し、即ち、芦毛のネイティヴダンサーがふんだんに取り込まれているのだが、ネイティヴダンサーの父で芦毛ではないポリネシアンをインディアンリッジは持っているので、結構、ねちっこい配合となっている。
毛色に出ない芦毛のパワフルな血を結合されたマッドクールは、ネイティヴダンサーの影響を多分に受けたノーザンダンサーの直系。
熟成させるほどに、味わいが出る配合に違いなく、アホヌーラのクロスで表面化したヘロド系の影響力を、直系潰えたザテトラークとの繋がりで思い起こすならば、何故か芦毛の活躍馬が多かったメジロマックイーンなどのパーソロンの子孫=ヘロド系が活躍した時代に、父がパーソロンの血を持つタマモクロスとネイティヴダンサー直系孫のオグリキャップが競った昭和最後の秋だろうか。
白っぽい芦毛を混ぜたけど、母や姉の様に白毛に出なかったママコチャとの再戦。
こちらはノーザンダンサーと同構造のアイスカペイドを持つことで、ネイティヴダンサー譲りの芦毛を引き継いだノーザンダンサー系種牡馬・クロフネの産駒。
本命馬と同父のシュバルツカイザーは説明不要の同色。
ビッグアーサーの人気のない方となるビッグシーザーは、タマモクロスと同じフォルティノ系の血を母母父が持っているため。
似たような理由のテイエムスパーダに、ロードカナロアなのに、クロフネの血を持つので芦毛のグランデマーレ。
白毛はいないが、その背景を持つ鹿毛の美形女子2頭に隙があると思った時、こんなところに着目してしまう筆者は、もう花鳥風月に癒しを頂戴する頃合いに差し掛かったということだろうか。
否、いつの時代も、芦毛の名馬を見つけると、その源流を探したくなるのが、競馬ファンの性のはずだ。
ついにG1馬となった暁には、他の芦毛より深いこの血脈に支えられた才能の根源探しに、諸氏も少し足を踏み入れてはいかがだろうか。