高松宮記念2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着サトノレーヴ(3.8倍)2着ナムラクレア(3.5倍)3着ママコチャ(14.6倍)
レース名 | 第55回高松宮記念 (G1) |
日程 | 2025年3月30日 |
優勝馬 | サトノレーヴ |
優勝騎手 | J.モレイラ |
勝ちタイム | 1:07.9 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 11,080円 |
高松宮記念2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 10 | サトノレーヴ | 1:07.9 | - |
2 | 14 | ナムラクレア | 1:08.0 | 3/4 |
3 | 15 | ママコチャ | 1:08.2 | 1.1/4 |
4 | 12 | トウシンマカオ | 1:08.3 | クビ |
5 | 13 | エイシンフェンサー | 1:08.5 | 1.1/2 |
単勝 | 10 | 380円 |
複勝 | 10 | 160円 |
複勝 | 14 | 140円 |
複勝 | 15 | 330円 |
枠連 | 5-7 | 570円 |
ワイド | 10-14 | 360円 |
ワイド | 10-15 | 1,150円 |
ワイド | 14-15 | 860円 |
馬連 | 10-14 | 820円 |
馬単 | 10-14 | 1,460円 |
3連複 | 10-14-15 | 2,900円 |
3連単 | 10-14-15 | 11,080円 |
高松宮記念2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「能力の高い馬で、重賞で何度も結果を出していますし、香港でもすばらしい内容の競馬をしてくれましたので、いつかGIを獲るだろうと前から思っていました。運良くこのタイミングで騎乗することができました。GIを獲ることができてうれしいです。この馬には騎乗したことがありますので、馬のことはよくわかっていましたし、厩舎サイドからレースについての細かい指示は特にありませんでした。レースでは、いいスタートからいいポジションを取ることができました。馬場状態はフェアでしたが、風が強く、直線が向かい風でしたので、向かい風の影響を受けないよう途中まで前に壁を作って、残り250mでスペースができてからはしっかり反応してくれました。プラン通りにレースをすることができました」
※優勝したJ.モレイラ騎手のコメント(サトノレーヴ)
高松宮記念2025 - レース結果動画(YouTube)
高松宮記念2025 - 回顧
サトノレーヴの血統
かつて、オセアニアから数多く輸入されたよくわからない血統の豪サラなる概念をもたらした中に、ちゃんとした血統表の残るサトノレーヴのファミリーの起点になったニュージーランド産の基礎繁殖牝馬・ミスブゼンのようなタイプもいた。
思えば、ミスブゼンの末裔にクレイグダーロッチ系で最高の快速系種牡馬となったサクラユタカオーの代表産駒・サクラバクシンオーが、また、異系をまとった社台自慢のクリアアンバーの孫であった。 それぞれにクラシックディスタンスへの適性を見せた一族の長がいる。 そこに世界のロードカナロアが配されたことになる。 言わずもがな、その娘は驚異のスピードと持続性に富んだ才能発揮をみせつけたクラシックホースのアーモンドアイであり、偉大なるダービーレコードウイナーのキングカメハメハはその父。
様々な血の寄せ集めのようで、ここから、世界に誇る日本の種牡馬になったサンデーサイレンスを排することで、このような成功モデルを生んだわけだ。 純粋培養の和製スプリンター。 ロードカナロアとサクラバクシンオーは、似た特性を見せた、日本競馬では珍しい芝7F以下に得意ゾーンを持つ大ヒット作であったが、こうして、思惑通りに結果を残す晩成型の手本でもあるサトノレーヴようなタイプに出ることは、ほとんど稀。 しかし、底力を軽い血でもなく、また異系の破壊力を秘める不安定な底力に期待しないような、正攻法の血の積み重ねが、確実な正面突破の前段には必ずある。
プリンスリーギフト系は日本でしか見られない英国由来のスピード系であり、キングマンボの血が最も走るのもまた日本。 サトノレーヴがこの世に生を受けた時から、このレースを、いずれはスプリンターズSを制する運命にあったのであろう。 まだ、心持ち完調になかったように見えたそれは、父に縁のなかった春の香港のビッグタイトル獲りの準備段階にあるという証拠にも思えたから、末恐ろしい。
G1デーの8Rというのは、メインが大レースの中のビッグマッチである時、それも特別レースであることも多い。 一方で、本場の主流を生む上級の争いからこぼれ落ちたグループを拾うという第三場の役割もあるから、普段通りに、メインに至るまでは2つだけが特別戦なのだが、たまにダービーにまでつながる3歳の大寒桜賞は8Rでの施行。 代わって、少頭数の特別戦の枠に多頭数の一般競走をはさみこまれたわけだが、ここで大騒動が発生。
大方、発走間もない段階にあって、あろうことか、モレイラ騎手が騎乗していたモンシェリ号が、ゲートを突き破って、モレイラ騎手を置いてけぼりにして、ダートコース上を右往左往する事態が発生したのだ。 本場の競馬が盛んに行われる、特別戦発走の時間帯で、その事態は多く伝えられることはなかったが、筆者は、マジックマンが手を何度も振って、それこそ、こん畜生状態の振る舞いをJRAのホームページ上で無料放映の動画ではっきり確認している。 これは最悪の事態もある…。
10Rに騎乗馬がいなかったこともあって、これまた、状況が見えない感じで本馬場への導線をサトノレーヴが進行する時、その鞍上には、神に愛されし天才ジョッキーがいたのだ。 堀調教師は、明らかに自信満々の状態にあった馬のことなど気にしていなかった感じだが、どうもモレイラに確認を取っていたような感じもあった。
そんな前段を踏まえ、完璧ないつも通りの安全運転をした姿をしっかり観察し、データを取りながら、文章にしていく要素をかき集める作業に入る時、このレース約1時間前の出来事に触れねばなるまいと思ったのである。
レースはママコチャがしっかりと自分らしさを取り戻した前向きな姿そのままに、理想の好位抜け出しの流れを作ったところに、しっかりと合わせて、今度こそは出負けは許されないと気合いが入るルガルの西村騎手が強気に出していったので、これらを中団で構え、ルメールはそんなサトノレーヴを虎視眈々と…。
筆者推奨のペアポルックスは、かなり出負けが厳しいという枠の不運に、ベテランでも考え方はワンイシューといった、出ないことには始まらないという意識が、何だか力みに繋がったかのようなレースになって、派手ではない手どの出負けから掛かっての先行。 端から、見せ場づくりに止まると諦めていたから、パドックの気配の良かったママコチャやトウシンマカオの位置を見たところで、その後ろにサトノレーヴ…。
キレるというよりも、総合力のスピード競馬に適した、自在な立ち回りが可能となる極端な前傾を嫌う、オーソドックスなタイプの中で、極めて高水準な能力の発揮ができるロードカナロア産駒というだけで、負けそうな気配はなかった。 坂上からは、ルメールに差せるものなら差してみろという、余裕さえ感じさせたから、怪我が大したことなかったと仮定し、普段通りのモレイラだったなら、位置が逆でも、ルメール騎手の踏み込みのタイミングがひどい遅れ方でなかったなら、まず勝ち馬は1頭だったという競馬に映った。
6歳馬の上位独占。 33.8-34.1という、中京のチャンピオンレース相応しい底力のラップが、ほぼ、想定される限界値に近いとできる馬場回復の事情から類推するに、中山にウエイトを置くよりも、香港や、それこそ夏の欧州圏のビッグマッチなどに可能性を求め、そうしたタイトルに恐らくは興味があるだろうスペシャルフリージョッキー・マジックマンを配することで、再びのG1獲りも十二分に期待できる。
本来、こうした和製系統の活躍馬というのは、国内の雨馬場で強いなどのバイアスが勝手に掛かっているものだが、そもそも、前述したように、日本でスプリント戦に適したタレントが血を繋ぐことは稀。 しかし、北米血統がそうであるように、最後には速い順にその血を残すべきかの選定に入るという流れがあるのだから、思った通りに育った仔のようなタレントが、今の世界の競馬界における芝部門での日本調教馬の位置づけからも、普通はどこでも通用であろう。
どうも、風のうわさで道悪への適性の方をより感じさせるという、サトノレーヴ陣営の評価が伝わってきた。 そんな馬鹿な…。 荒れ馬場必至のキーンランドCが、案外の高速馬場で、スプリンターズSは高速馬場というほど偏ってはなかったが、その気になればいくらでも速いタイムが出るところで、ピューロマジックというか、それを気ままに走らせた横山典弘騎手に翻弄されただけで、香港スプリントは上々の内容の3着。 窮屈な競馬になる香港の競馬よりも、一層、直線のスピード比べの方がよっぽど適性を感じさせる。 そうした狙いから、また雨馬場間違いなしの中京は、あまり今年は雨が降らず…。
このファミリーは道悪巧者が多く出てきた背景もあるから、それはそれで立派なのだが、思えば、兄はロードカナロアのライバルともなったハクサンムーンである。 この馬も少し渋ったくらいの馬場の方が良かった。 より一層、日本への適性が微妙であるのに、昨年のロマンチックウォリアーのようなG1強奪の構図。 故障もあって、全くこうした大舞台には縁のなかった馬だが、いとも簡単に、とれそうな状況のタイトルをしっかりと勝ち切ったのだから、もうこの馬が中心であるという見方で、当面は良さそうだが、やはり、タイキシャトルやシーキングザパール、アグネスワールドなどのように、欧州で走る姿を見てみたい一頭でもある。