2023年宝塚記念予想 過去10年間のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

宝塚記念の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第64回宝塚記念(G1)
グレード重賞(G1)
日程2023年6月25日(日)
発走時間15時40分
開催場所阪神競馬場
距離芝2,200m
コース右回り
賞金2億2000万円
レコードタイム2:09.7

2023年宝塚記念予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

宝塚記念2023の予想オッズと登録馬

枠番馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ライラックM.デムーロ牝456.036.810美浦・南W・良(石川裕)
5F 65.8-51.0-37.2-11.4(馬なり)
美浦・南W・良(石川裕)
6F 83.7-67.2-52.6-37.7-11.7(馬なり)
12カラテ菅原 明良牡758.0103.616栗東・坂路・良(助手)
800m 54.0-39.0-25.5-12.5(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.0-39.1-25.4-12.5(馬なり)
23ダノンザキッド北村 友一牡558.032.99栗東・CW・良(助手)
6F 84.0-68.2-53.0-37.5-11.4(直強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.4-38.6-24.9-12.2(馬なり)
24ボッケリーニ浜中 俊牡758.030.47-栗東・坂路・良(助手)
800m 53.7-39.1-24.8-12.0(馬なり)
35イクイノックスC.ルメール牡458.02.31栗東・CW・良(ルメール)
7F 95.3-79.3-65.0-50.8-36.8-11.6(馬なり)
栗東・CW・良(助手)
7F 98.3-82.4-67.9-53.1-37.4-11.3(G前仕掛け)
36スルーセブンシーズ池添 謙一牝556.039.712栗東・CW・良(助手)
5F 66.4-51.8-37.1-11.4(G前気合付)
栗東・CW・良(助手)
5F 64.4-50.2-35.7-11.2(強め)
47プラダリア菱田 裕二牡458.055.815栗東・CW・良(菱田)
6F 82.4-66.5-51.7-37.0-11.4(直強め)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 53.5-38.8-25.3-12.6(末一杯)
48ヴェラアズール松山 弘平牡658.031.88栗東・CW・良(松山)
6F 80.0-65.1-50.6-36.3-11.4(馬なり)
栗東・CW・良(調教師)
6F 82.2-66.6-52.1-37.2-11.3(馬なり)
59ジャスティンパレス鮫島 克駿牡458.04.52栗東・CW・良(鮫島駿)
7F 96.2-79.6-64.7-50.0-35.6-11.4(一杯)
栗東・CW・良(鮫島駿)
6F 82.2-67.2-52.2-37.4-11.3(馬なり)
510ディープボンド和田 竜二牡658.013.04栗東・CW・良(和田竜)
7F 96.5-79.8-65.0-50.5-35.7-11.3(一杯)
栗東・CW・良(和田竜)
6F 81.2-65.9-51.7-37.3-11.7(馬なり)
611ジェラルディーナ武 豊牝556.07.23栗東・CW・良(武豊)
6F 82.1-65.9-51.1-36.2-11.4(強め)
栗東・CW・稍重(団野)
5F 72.4-55.6-38.6-11.4(馬なり)
612アスクビクターモア横山 武史牡458.022.961週前追い切り
美浦・南W・稍重(助手)
6F 82.5-66.3-51.6-37.0-11.4(G前仕掛け)
美浦・南W・良(助手)
6F 82.2-65.3-50.2-36.1-11.5(G前仕掛け)
713ジオグリフ岩田 望来牡458.052.614栗東・CW・良(助手)
7F 95.3-80.4-65.7-51.3-36.7-11.5(G前仕掛け)
栗東・CW・良(助手)
6F 85.2-68.6-53.3-38.4-11.5(馬なり)
714ブレークアップ川田 将雅牡558.020.15栗東・坂路・良(助手)
800m 56.3-40.9-26.8-13.2(馬なり)
栗東・坂路・良(川田)
800m 53.7-38.9-25.3-12.4(馬なり)
815ユニコーンライオン坂井 瑠星牡758.051.213栗東・CW・良(助手)
7F 95.9-79.5-65.6-52.3-37.7-12.7(一杯)
栗東・CW・良(坂井瑠)
6F 85.0-69.3-54.2-38.5-11.8(強め)
816モズベッロ角田 大河牡758.0243.517栗東・坂路・良(助手)
800m 57.2-41.7-27.5-13.7(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.2-39.3-25.4-12.6(一杯)
817ドゥラエレーデ幸 英明牡353.039.611栗東・CW・良(幸)
6F 81.0-66.0-51.3-36.4-11.3(稍一杯)
栗東・CW・良(幸)
6F 78.8-64.6-50.9-36.0-11.5(稍一杯)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回2回3回14回9.5%19.0%33.3%
先行馬9回9回7回56回11.1%22.2%30.9%
差し馬7回3回8回82回7.0%10.0%18.0%
追い込み馬2回6回2回86回2.1%8.3%10.4%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠1回3回5回20回3.4%13.8%31.0%
2枠1回2回3回26回3.1%9.4%18.8%
3枠2回2回2回28回5.9%11.8%17.6%
4枠0回4回2回30回0.0%11.1%16.7%
5枠2回6回1回29回5.3%21.1%23.7%
6枠5回0回1回34回12.5%12.5%15.0%
7枠0回2回2回39回0.0%4.7%9.3%
8枠9回1回4回32回19.6%21.7%30.4%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト9回9回8回72回9.2%18.4%26.5%
ハーツクライ7回2回4回42回12.7%16.4%23.6%
キズナ5回3回2回24回14.7%23.5%29.4%
キングカメハメハ3回5回1回27回8.3%22.2%25.0%
オルフェーヴル3回3回2回21回10.3%20.7%27.6%
ドゥラメンテ3回2回2回4回27.3%45.5%63.6%
ハービンジャー3回1回5回27回8.3%11.1%25.0%
ゴールドシップ3回1回2回8回21.4%28.6%42.9%
ルーラーシップ2回4回7回35回4.2%12.5%27.1%
バゴ2回0回0回1回66.7%66.7%66.7%

2023年宝塚記念予想 - 過去10年のデータ傾向

人気になった馬が来るのは、前走で2着だったから?

いかにも、宝塚記念らしい展開。
無念の春の盾3連覇ならずの直後だったメジロマックイーンも、世紀の対決を制したグラスワンダー、宿命の同期対決で初逆転のメイショウドトウに、近年では似た者同士対決で敗れた大阪杯直後のクロノジェネシス。
連覇のクロノジェネシスは、5歳時の前走もドバイシーマクラシック2着だった。

近10年、前走勝ち星を挙げた1番人気馬は、キタサンブラックもサートゥルナーリアも、ゴールドシップ3連覇失敗の年もそう。
何かある。
昨年のタイトルホルダーは全てを封じたが、同じことがイクイノックスに言えるかは不明。
グランプリホースに色々と融通を利かせてくれるレースではあるが、近年、グランプリ勝ち馬で毎年来ていたのは、前走で負けていた、もっと言えば、根幹距離の大レースで惜敗の馬だけ勝っている。

G1馬の優勝時は、全て前走負けというのは、タイトルホルダー以外に当てはまる。
タイトルホルダーになびくか、絶対能力に疑いをかけるのか。
昔の金鯱賞程度と、今年のドバイシーマクラシックを捉えるなら、多少のことでイクイノックスが崩れるわけもないのだが…。

4歳のスターは辛い

過去10年で3勝している4歳のエース級ではあるが、タイトルホルダーとクロノジェネシスとゴールドシップという並びが、何だか怪しい。
普通と違う何かがあり、長い距離は合っているが、オークス・ダービーではキレ負け力負け。

スピード勝負では苦しいというタイプばかり。
ジャスティンパレスがどうにも怪しいだけでなく、スピード勝負は歓迎のイクイノックスとアスクビクターモアもいいところ止まりで何ら不思議ない。

ジェンティルドンナ、ドゥラメンテ、キタサンブラック、キセキ、サートゥルナーリアと、何となく、イクイノックスあたりは共通点があって、アスクビクターモアとキタサンブラックは本質で似ている。
ジャスティンパレスは長いところで結果を出しているから、58の経験を武器にしたいが、タイトルホルダーほどタフにも思えず、乗り替わりは厳禁のローテ。
思い切って、出るか決めかねていたジオグリフに雨乞いの上で、何かを頼んでみると面白いような気もする。
今の彼が、芝の大一番で人気になる理由は皆無に等しい。

もう25年前から、春の天皇賞勝ち馬は怪しいとされてきている

当該年の春の天皇賞勝ち馬が連勝したのは、昨年のタイトルホルダーが実に16年ぶり。
ディープインパクトがその該当馬であり、その前はテイエムオペラオー、また前はビワハヤヒデ、イナリワン、タマモクロス…。
皆がG1を3勝以上、イナリワンは昔の東京大賞典も勝っているから、存在そのものが尊い方々が居並ぶという状況に。
伝説の度合いで、ある種ディープインパクトと双璧のタイトルホルダーが、平凡なステイヤーのはずがない。

大体雨馬場が絡むので、前走でその類の高速化阻止のバイアスアリの天皇賞を快勝したジャスティンパレスは馬鹿にできないが、クラシック全て連外しのジャスティンパレスは、長い距離でこその面が強調されつつあり、距離適性で恐らく、ジオグリフなどと同格くらいになってしまうから、そもそも、力関係からもここは苦しい。
乗り替わり以前の話として、有馬記念で不発のタイトルホルダーは、菊花賞の疲れを引きずったとできるが、その後にピークが来たジャスティンパレスの場合、前走が明らかに頂点。
実力だけで勝てるほど、昔のように寂しい宝塚記念にはならなくなってきたから、何かがまた起きない限りは…。

それでもジャパンCを勝ったことのある馬を推せる理由があると、筆者がほざくわけ

実はほとんど例がない。
最初はレガシーワールドで、枯れ果てた7歳時の初参戦は、引退レースにもなった。
以降はテイエムオペラオーやゼンノロブロイなどが当てはまるが、異例の6歳時に雨馬場JC独走のタップダンスシチーだけが、翌年の7歳時にここを快勝。
前年は3着だった。

絡みのいいレースでもあり、最初の日本調教馬優勝のカツラギエースは、ここを4歳時に制し、その秋に三冠馬2頭など強豪を魅惑の逃避行で封じ込めた。
差しタイプのテイエムオペラオーやゼンノロブロイなどと違い、タップダンスシチーは常に正攻法。

どの型にもハマらないヴェラアズールは、史上2度目のジャパンC翌年の宝塚制覇に挑むこととなるが、同時に、タップダンスシチーが出世の遅れた大物の典型だったように、5歳の春先にまで芝に縁のなかったヴェラアズールは、ある意味当然のドバイ挑戦を経て、芝に戻る。
ダービー馬も三冠馬と共に走った個性派も、神に愛されるような内容だったとはいえ、堂々ジャパンCで倒して見せた重賞2勝馬に、まだ本当の実力は問われていない気がする。

うまくいったジャパンCの結果に対し、キレでイクイノックスが相手になる唯一の存在であるヴェラアズールが真っ向挑んだところで、大いなる意義が生まれるグランプリレースの構図が生じる。
速い馬を作る目的からずれた宝塚記念は、3歳有利の有馬とは異なり、4歳馬にとって最後の古馬同士の戦いとなってくる。
5歳馬が近年は圧倒の構図は、古馬に味方するレースというトレンドでもある。
短距離戦ではないのに、グレード制導入後6歳以上が5勝の宝塚記念は、王道路線の若返りバイアスの恒常的傾向から外れてもいる。
そもそもズレている春の天皇賞と同じリズムなのだから、クラシックウイナーであったキタサンブラックやジェンティルドンナのような負け方は想像しなくていい気もする。

2023年宝塚記念予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

おい、もう強化合宿はおしまいだぞ、という感じで叱咤すると、父の時と同じように蘇りそうなJC勝ち馬

ヴェラアズールの血統

第77代ダービー馬であるエイシンフラッシュは、重賞競走を計4勝しているが、ポツポツと3歳春に2勝、5歳時に秋の天皇賞、翌年にその前哨戦である毎日王冠を制している。
エイシンフラッシュ産駒の活躍は、血統のイレギュラーさも影響してか、思われているよりは主流になりかけているキングマンボ直系としても異例なくらい、あまりキレないという産駒の印象通りに、オープンまで上がってくる馬がそもそも少ないといった状況。

ダートで骨をうずめかけていたヴェラアズールを芝路線へと誘った渡辺調教師は、エイシンフラッシュにとっても重大な決断を下した殊勲者ともなった。
言わずもがな、頑張ったのはヴェラアズール自身であるが。

母父はスリープレスナイト、カレンチャン、ソダシの父でもあるクロフネ。
どう考えても、サイアーラインを拡大しそうな雰囲気はないが、ディープインパクトとの成功はつとに知られた事実として皆の認識するところで、同配合のプラダリアも登場するこの一戦。

では、他のダービー馬とではどうかと、少々込み入った血統検索を行った結果、

・ジャングルポケット/2001年勝ち馬→ ショウナンアンセム<高松宮記念3着>

・タニノギムレット/ 2002年勝ち馬→ メドウラーク<七夕賞勝ち>

・キングカメハメハ/ 2004年勝ち馬→ ハヤヤッコ<レパードS、函館記念勝ち>

・キズナ/ 2013年勝ち馬→ テリオスベル<クイーン賞>

これにレイパパレやステファノスらがいる、プラダリアと同配合の父ディープ軍団が君臨するわけだが、昨年の今頃から本格化したテリオスベルをはじめ、ショウナンアンセムも高松宮記念で激走する前年の6月東京で行われるパラダイスS勝ち馬であり、後も夏に穴をあけた体力勝負向きのパワー型が多い。

配合のイメージ通りとすると、昨年の東京でオープン入りを決定づけたジューンS勝利のインパクトから、あのJCがある。
万能になれるほど、ハイペースへの対応力も本格的なダート競馬への適性も感じさせなかった前走は一旦忘れて、強い馬になるためのトレーニング期間を要する母父クロフネの良さを、サマーグランプリで見せつけたい。
とは、希望が過ぎるが、ドバイ帰りにここを使い、秋に天皇賞を制した5歳シーズンのように、蘇るきっかけとなりそうな何かを経験をしたことで、父エイシンフラッシュの道を辿ろうとしている孝行息子は、やはり侮れない。

特殊なローテで、かつ、近3走全てG1競走とは言いつつ、ジャパンC優勝後、10、13着という不利などもなかったわけではないが、芳しくない内容が続いているヴェラアズールをここで推すというのは、少々勇気がいる。
近年の逆襲の宝塚記念では、サトノクラウンが勝った2017年、大阪杯初年度のレースでキタサンブラックが制し、そこで6着だったから人気落ちもなくて、3番人気で勝ち切っている。

2023年宝塚記念予想 - レース展開と最終予想

ろくに重賞を勝っていないミッキーロケットも、絶好調を伝えられた中間の動きの良さから、天皇賞4着でも、13倍程度の単勝支持。
クロノジェネシスはG1馬で、それが稍重での実績だったから、翌年、高速決着で完勝の方が驚きがあった。
基本的に、力のある馬が集まる王道路線。
前走で残念無念の完敗組が、いけしゃあしゃあと盗賊の如く、穴快走の戴冠などまずあり得ないのである。

一応、近年のG1競走では、2009年、2022年、いずれもスプリンターズSを制したローレルゲレイロとジャンダルムらが、3走前の勝利から連続大敗で、本番は際どい争いを制するなど、一変という例はなくはない。
かつて、3歳限定だった時代に信じられないほどの波乱が頻発したエリザベス女王杯とて、あの伝説のサンドピアリスであっても、近走ダートだったが、勝利から見放されていたとはいえ、4連敗中全て二桁頭数のレースで、全部9着以上。
大きいレースで負けるなら、それはノーカウントでいいというのでは、基本的には説明がつかない。
あのコパノリッキー開眼のフェブラリーSは、叩き3戦目であったし、その前の故障前のレースは兵庫チャンピオンシップであり、後に終生のライバルとなるゴールドドリームを置き去りにしていた。

ヴェラアズールに心配は尽きない。
ところが、出負けをする癖がある馬に、このレースは散々救済的効果を与えてきた。
本格化前のクロノジェネシスも、位置をとることに、まず雨馬場の救済が必要だった頃、レース前に雨が降って、全てを自分の力に変えた。
ゴールドシップも連覇した時は、500Mばかりある1コーナーまでの長いストレートを活用しきって、本来いるべき好位ポジションに押し上げた。
連勝したそのいずれも、展開関係なく、自分のリズムで運べたから、ゴールドシップらしさ全開だった。

ジャパンCで際どい選択を幾度となく成功させた、世界のムーアの力を借りたヴェラアズールは、案の定という感じで連敗中だが、JC直後の松山騎手、休み明けで本当にダートが走れるかわからないところで、ドバイはクリスチャンがテン乗り。
本来得意な条件とは違うところで、いずれも鞍上変更の大一番は、リスクの面だけが顕在化したのみ。
全く、ヴェラアズールらしさは見られなかった。

とはいえ、元に戻る可能性も未知とせざるを得ない。
しかしながら、イクイノックスが出てくる以上、レースの中心が彼の動きに関わってくるところで、有馬記念ほどは揉まれることの少ない宝塚記念は、自分のリズムで走り通せる可能性がまだまだ大いに残されている。

とんでもないところから差してきた芝2400の3連勝は、決してフロックではないとしたいところで、実は、距離延長への適性より、クロフネ肌のキングマンボ系らしく、ドバイのダート挑戦も強ち的外れと言えず、むしろ、本当の底力を示すべき舞台が、こうしたタフな芝の中距離戦である可能性がある。
短いというほどの距離短縮ではないが、動きの鈍さを序盤でフォローでき、自分のやりたい位置をとって、イクイノックスが動けないとなった時、真っ先に決め手で他に先んじて、らしい決め手を繰り出せるのはこの馬。
イクイノックスが動けても、近走まるで走っていないヴェラアズールの方が、ジャスティンパレスなどよりも自分らしい末脚を繰り出せる。

ジェラルディーナや実は中距離向きの可能性もあるコマーズの孫・ミクソロジーなど、不気味な隠れ道悪巧者の末脚自慢は混じっているが、前掛かりも想定内のアスクビクターモア、ユニコーンライオンなどの実力者による先行争いが、雨が馬場に与える影響如何で、どう変化するのか読みづらく、馬場適性をごちゃ混ぜにした買い目をしっかり押さえた方が得策のように思う。

スローが合っているとしても、どの道消耗戦になる、いいメンバーが揃った宝塚記念の慣例から、内につっかえて動けないというのは、普通は自分がバテた時だけ。
芝初勝利が阪神2600だったというような馬が、JCを制したその時まで、芝ではずっとメンバー最速の上がりを繰り返してきたのだから、元来、血統構成上も渋馬場は歓迎であろうし、タフな展開をむしろ好むはず。

豪華メンバーの差し脚比べで、万が一の不発を人気馬が一手に引き受けてくれた時、普段以上に宝塚記念らしい荒れる展開を期待できる。
どことなく、ルメール騎手で人気になったサートゥルナーリア主役の宝塚記念の時の雰囲気に似ている。
道悪は問題ないだろうイクイノックスの課題は、前走が楽すぎたこと。
それでいて、トラックレコードの圧勝。
ディープインパクトが連勝した時、天皇賞はパンパン馬場、こちらの京都・宝塚記念は実質重という雰囲気で、発表は稍重という馬場で、あの速いディープも2:13.0で走るのが限界だった。

クロノジェネシスもそれくらいのタイムで、4歳時に勝っている。
そうなった時に崩れない代わりに、リスグラシューや異次元のタイトルホルダーのような勝ち方をするのが、イクイノックスではないというのは見えている。
他のレースで高速レースで惜敗という記録ばかりの彼らは、ここで圧勝だったのである。
有馬の経験は活かせるが、本当は、グランプリレースへの適性では、ヴェラアズールの方が上という可能性がある。

所詮は穴予想。
雨馬場で激走期待のジオグリフなど、58に良績のない馬の台頭こそ、宝塚記念の穴の歴史であると振り返った時、あの激しいドバイでの経験を早速還元できそう予感がしてならない。
絶対能力と決め手の関係で、イクイノックスに揉まれた経験はないが、ダートのそれは、芝の比ではない。
ウシュバテソーロリスペクトと共に、適性面で合わなかった組の逆襲という図は、決して絵空事に止まらない可能性はある。
意外にも、大井出身のイナリワンだけでなく、メジロマックイーンもダンツフレームもエイシンデピュティも、数多くのダートでの初勝利達成馬の勝利の記録がある。
オペラオーもトップガンもダンツシアトルも、サンデー産駒のマーベラスサンデーもそう。

前走ダートの馬など、滅多に出走してこないが、父エイシンフラッシュもそういう経緯で、ヴェラアズールの今回と同じローテでの参戦が5歳時にあったのだから、秋の復活を前に、仔の方はここで動けてしまって不思議ない。
父の時はオールウェザーだったが、今のメイダンは、北米圏の一流馬のボーナスを与える本格ダート。

そこで芝中長距離型が揉まれた経験を侮ってはならない。