宝塚記念2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ブローザホーン(7.5倍)2着ソールオリエンス(16.9倍)3着べラジオオペラ(11.6倍)

レース名第65回宝塚記念
日程2024年6月23日
優勝馬ブローザホーン
優勝騎手菅原 明良
勝ちタイム2:12.0
馬場重馬場
3連単配当91,680円

宝塚記念2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
112ブローザホーン2:12.0-
29ソールオリエンス2:12.32
33ベラジオオペラ2:12.4クビ
47プラダリア2:12.4クビ
510ローシャムパーク2:12.93
単勝12750円
複勝12240円
複勝9400円
複勝3350円
枠連6-83,770円
ワイド3-92,360円
ワイド3-121,330円
ワイド9-121,310円
馬連9-124,890円
馬単12-99,380円
3連複3-9-1216,020円
3連単12-9-391,680円

宝塚記念2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「ものすごくうれしいです。ここまでずっと乗せ続けてくれたオーナー、関係者に感謝でいっぱいです。ゲートを決めてから馬と相談しようと思っていました。重馬場は苦にしないタイプですし、いつもと変わらず走ってくれました。馬に感謝しかないですね。今年中に勝ちたい気持ちが強かったし、勝ててホッとしています。まだまだ学ばないといけないことは多いですし、この子と一緒に成長していきたいです。この先にまだG1はありますし、乗せてもらえるなら一緒に頑張っていきたい」

※優勝した菅原明良騎手のコメント(ブローザホーン)

宝塚記念2024 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

宝塚記念2024 - 回顧

ブローザホーンの血統

重馬場のジャパンCで雨に泣いたシンボリクリスエスの仔が、不良馬場の菊花賞を制した=エピファネイア<その母と同じ福永祐一騎手が主戦>である。

これが父というのは、ブローザホーンの味方でしかないわけだが、もっと強烈なのが、不良馬場のスプリンターズSで、敗れはしたものの、春全休にもかかわらず、大外から飛んできたデュランダル<途中からこのレースでプラダリアに乗っていた池添謙一騎手が主戦>が母父。

また、母のオートクレールが不良馬場の旧1600万条件である紅葉Sのウイナー。

また、この馬のファミリーには、通常阪神開催で栄冠を勝ち取った2頭を送り込むという実績を残したエンドスウィープの<スイープトウショウ、アドマイヤムーン>母父に入るダンススペルの名がある。

生まれた時から、もしこういう条件に恵まれたなら、京都の雨馬場・宝塚記念を勝てる可能性は、最初からあったのであろう。

自身の道悪適性について、いくらでも説明がつく部分に対し、血統的な勢いという点で、ダービー馬を出した悲願のシンボリクリスエス直系<祖父も父も2着まで、いずれも武豊に敗れる>エピファネイアの産駒ということが、ここに繋がってきているのも感じる。

ロベルト系でこのレースを制したというのは、快レコードで親仔制覇を果たしたアーネストリー以来<父はグランプリ3勝のグラスワンダー>で、この辺りも実に対照的。

道悪型に特化していったシンボリクリスエスの直系に対し、グラスワンダーは芝中距離の快速系から始まり、進化の途中でダートをこなす馬も出しながら、こちらは、その能力を凝縮したスピードタイプも出すようになった。

万能というより、クラシックディスタンスに軸足を置くシンボリクリスエスの系統は、この距離でなければ、本来の魅力は引き出されないのかもしれない。

武豊騎手は、どうにも道悪にフィット感のドウデュースに対し、それでも、自身の庭だと称する京都競馬場を攻略するための様々な手法を駆使し、何とか、悪い馬場状態のところを走った割には、ジャスティンパレスがまるでダメだったのに対し、しっかりとした結果を求める、考え得る色々な秘策を練り直す過程で、一応の見せ場は作っているように思う。

でも、京都の道悪は、とてもではないが、阪神ほどではないにせよ、シンプルに大回りであることで、工夫し様にも脚を溜めるといういつものスペシャルなアプローチを変則的に運用する以外、実際は、何かを成せたというほどの結果にはならなかった。

言わずもがな、ハーツクライの仔ではあるものの、この馬はスピード系の北米型の、速い馬であるからこそ、こういう中距離のパワー勝負は不得手なのであろう。

分かっていて、有馬記念では下げて勝負をかけた。

いかに、武豊という騎手が特別な技術を持っているかがよくわかるが、それが結果に反映されるとは限らないという、何とも、苦しい展開に押しこまれた格好である。

他方。ブローザホーンの菅原騎手は、明らかに道悪が得意だという前提となる結果がある馬だったからこそ、何故か、この日はレース中になると雨が多めに落ちてくる不思議な展開をも、見事味方につける格好で、往年のシンザン<1965年・五冠を達成した引退レースの有馬記念を彷彿>を思い起こさせるような、道悪の大外強襲で、理想のG1初制覇となった。

何だか、この春に歓喜の瞬間を生むようなG1勝利を決めた人馬は、とりわけ、G1であると、横山典弘=ダノンデサイルのダービーを除くと、菱田のテーオーロイヤル、翌々週の津村&テンハッピーローズ、にこのレース。

思えば、G1ジョッキーではある者の穴男となりつつある藤岡佑介のペプチドナイルまでも、揉まれない外を進行する、強い勝ち方でも歴としたチャンピオンに相応しい勝ち方であった。

努力をすることで、元は完全にお手馬だったカラテを擁しながら、ダービージョッキー・中野栄治の調教師生活最終盤のまた最後の方で能力を開花させたブローザホーンの鞍上に、若武者として、もう無視できない存在となった菅原明良を指名したことが、全てなのであろう。

厩舎は解散し、拠点は西に移しながら、菅原明良騎手はカラテの時もそうだったが、よくある鞍上変更はともになかった。

その辺り、中野先生が何かの配慮をしたということはないが、これが嬉しいG1初制覇となった吉岡辰弥調教師としても、考えるまでもないという感じのところがある。

何しろ、プラダリアが大復活の京都大賞典で、最も支持を集めたブローザホーンの完走を断念させたのは、岩田康誠騎手という強烈なパートナーを得かけていた彼の手綱を再度執ることとなった菅原騎手なのであるから。

皐月賞の出来事が、大きな結果を及ぼしたように、今でも落馬事故が絶えない状況は、何とも心苦しいが、何かのヒントがあるはずと、皆が考えるようになったダービーを経て、この宝塚記念の歓喜の瞬間へと繋がったのである。

偶然ではない。

昨年の春は、断然支持のタイトルホルダーを止める英断をした横山和生騎手の存在感が、秋により輝きを増していた気もする。

和生騎手は、結局、別の馬でG1を制し、ここに挑んできた。

惜しかった。

プラダリアもそう。

しかし、最も何か歯痒いものを抱えていたのは、皐月賞馬のソールオリエンスだったのかもしれない。

行こうと思えば行けないことはなかったのだろうが、スタートは決まった今回、序盤は有力勢のどの馬よりも前にいた。

ベラジオオペラを除きということになるが、ここで当初のプラン通りだったのだろう、ドウデュースと同じような後ろへポジションに変え、恐らくは、読みに読んで、こういう流れで動く馬が多くなればなるほど、皐月賞のような展開が発生すると考えた武史騎手は、心身ともに元通りになりかけていたソールオリエンスを見事に、直線では大外へと誘ったのだが、いつの間にかというか、スタミナにも自信のあるブローザホーンの後ろから差す形になった時点で、実は勝負ありだった。

後半を良馬場の中距離戦みたいに、上がり11秒台連発の厳しい展開。

それにこの雨量があって、自信満々の菅原明良騎手がブローザホーンの良さをフルに活かした競馬を完全にやりきったところで、上がりの数字は同じ34秒フラット。

この2頭しか、ほぼレースを走り切れていない感じのところで、戻ったようで、もう一つ何かを足さないといけないと気づかされた一戦でもある。

きっと、ドウデュースやジャスティンパレスにあって、この馬にないものが、速く走る能力。

ブローザホーンの適性に敗れたのは事実でも、実際は、12秒のラップを平均的に走破する基本的な能力を問われた場面で、実際は、総合力で今回も見劣った可能性がある。

不良馬場だったら、そのあたりが別だった可能性=着順が入れ替わったという可能性はあるものの、それは、重馬場の皐月賞をかなりのタイムで勝ったことの価値を奪い、道悪巧者を確定させるだけのこと。

少し冴えないところがあった横山武史騎手が、前日の函館ではとても元気だったことを踏まえると、この辺りの敗因が、実は重大な意味を持つように思えてきた。

道悪になりそうな宝塚記念を狙い討った筆者とすると、もうちょっと何とかならなかったものかと思いながら、これでは凱旋門賞でも足らないからな…、という見解を、高速の秋の天皇賞で、いや、雨馬場の秋の大一番でもいいが、見事に裏切るためのきっかけにしてもらいたいところだ。

簡単ではない気がしてきたのも事実だが…。