宝塚記念2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

宝塚記念2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第65回宝塚記念(G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年6月23日(日)
発走時間15時40分
開催場所京都競馬場
距離芝2,200m
コース右回り
賞金2億2000万円
レコードタイム2:09.7

宝塚記念予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

宝塚記念の予想オッズと登録馬

宝塚記念2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11シュトルーヴェD.レーンセ558.013.86美浦・ウッド・良(助手)
6F 82.4-65.7-50.4-35.7-11.2(強め)
美浦・坂路・重(レーン)
800m 54.8-39.7-25.4-12.6(馬なり)
22ジャスティンパレスC.メール牡558.04.12栗東・CW・良(ルメール)
6F 80.3-65.2-51.0-36.9-11.7(強め)
栗東・CW・稍重(高倉稜)
7F 98.7-66.4-51.5-36.5-11.3(一杯)
33ベラジオオペラ横山 和生牡458.08.44栗東・CW・良(調教師)
7F 98.4-66.4-51.5-36.3-10.8(叩一杯)
栗東・坂路・稍重(調教師)
800m 54.3-39.0-25.1-12.5(馬なり)
44ドウデュース武 豊牡558.02.51栗東・CW・良(武豊)
7F 96.0-65.1-50.1-35.2-10.8(強め)
栗東・芝・稍重(助手)
6F 81.5-65.3-49.9-36.1-11.8(馬なり)
45ディープボンド幸 英明 牡758.023.510栗東・CW・良(幸英明)
6F 79.2-64.6-50.5-36.6-11.6(G前一杯追)
栗東・CW・稍重(幸英明)
6F 86.6-71.5-55.8-39.5-11.9(強め)
56ヒートオンビート坂井 瑠星牡758.060.811栗東・CW・良(助手)
6F 80.4-65.7-51.4-36.6-11.6(一杯)
栗東・芝・稍重(助手)
6F 77.4-63.0-49.5-36.4-12.2(馬なり)
57プラダリア池添 謙一牝558.020.38栗東・CW・良(松山弘)
6F 85.0-69.2-54.2-38.0-11.3(稍一杯)
栗東・坂路・稍重(調教師)
800m 54.1-39.1-25.4-12.7(末強め)
68カラテ岩田 望来牡858.0158.013栗東・坂路・良(助手)
800m 60.0-43.4-28.0-14.0(馬なり)
栗東・坂路・稍重(岩田望)
800m 53.6-38.2-24.3-12.0(一杯)
69ソールオリエンス横山 武史牡458.022.39美浦・ウッド・良(嶋田純)
5F 66.4-50.6-36.3-10.8(G前一杯追)
美浦・ウッド・重(嶋田純)
6F 82.9-68.0-52.8-37.7-11.5(馬なり)
710ローシャムパーク戸崎 圭太 牡558.06.83美浦・ウッド・良(戸崎圭)
6F 78.1-63.5-49.7-35.9-11.3(馬なり)
美浦・ウッド・重(助手)
6F 80.7-65.3-51.4-37.3-11.5(馬なり)
711ヤマニンサンパ団野 大成 牡658.062.012栗東・坂路・良(助手)
800m 56.1-39.4-25.1-12.2(馬なり)
栗東・坂路・稍重(団野大)
800m 54.1-39.2-25.1-12.4(末強め)
812ブローザホーン菅原 明良牡558.010.55栗東・坂路・良(助手)
800m 55.6-40.4-26.3-13.1(馬なり)
栗東・坂路・稍重(菅原明)
800m 54.8-40.4-26.1-12.9(馬なり)
813ルージュエヴァイユ川田 将雅牝558.015.37美浦・ウッド・良(助手)
6F 79.8-64.4-50.3-36.2-10.8(一杯)
美浦・坂路・重(助手)
800m 54.2-39.5-25.4-12.5(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回2回3回14回9.5%19.0%33.3%
先行馬9回9回6回58回11.0%22.0%29.3%
差し馬7回3回9回80回7.1%10.1%19.2%
追い込み馬2回6回2回86回2.1%8.3%10.4%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠1回3回5回20回3.4%13.8%31.0%
2枠3回2回3回26回3.1%9.4%18.8%
3枠3回3回2回26回8.8%17.6%23.5%
4枠0回4回2回30回0.0%11.1%16.7%
5枠1回5回2回30回2.6%15.8%21.1%
6枠5回0回1回34回12.5%12.5%15.0%
7枠0回2回2回39回0.0%4.7%9.3%
8枠9回1回3回33回19.6%21.7%28.3%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト8回3回3回26回20.0%27.5%35.0%
キズナ6回6回1回14回22.2%44.4%48.1%
オルフェーヴル4回2回1回16回17.4%26.1%30.4%
ハーツクライ3回1回6回26回8.3%11.1%27.8%
ゴールドシップ3回1回1回14回15.8%21.1%26.3%
ハービンジャー2回5回3回28回5.3%18.426.3%
エピファネイア2回2回2回12回11.1%22.2%33.3%
ドゥラメンテ2回2回1回14回10.5%21.1%26.3%
サトノダイヤモンド2回0回1回6回22.2%22.2%33.3%
ドリームジャーニー2回0回1回6回22.2%22.2%33.3%

宝塚記念2024 - 過去10年のデータ傾向

消えるタイプの相場は昔から一緒で、古馬になってからパッとしない馬か、天皇賞で走りすぎて回復の間に合わなかった強い馬

消えた馬の内、納得しかねるキタサンブラックだけは、天皇賞のパフォーマンスが、近年で最も派手なクラスで、それよりも突き抜けてしまっていたタイトルホルダーは、エフフォーリアが前の秋に強烈なキャンペーンをやってのけた効果で断然支持をかわし、強烈なトラックレコードで大は小を兼ねるを証明してみせた。

何でも消えるわけではない一方、ゴールドシップが天皇賞を勝った年は変な具合にゲート内で暴れて、そうでなかった前2年は、思い通りに事を運んで楽勝というように、ここに至る直前でストレスが掛かりすぎるのは本来よくない。

だから、我慢比べの古馬G1で耐用性の証明が出来ていたはずのモンスター系が消えていることからも、エフフォーリアはそうであったように、順調な馬の選別が重要。

タイトルホルダーは2番人気<天皇賞も阪神>で、イクイノックスは1番人気というのは納得しかねる部分もあるが、普通ではないビワハヤヒデ・1994年、テイエムオペラオー・2000年、ディープインパクト・2006年は今年と同じ京都開催 らは、一応、イクイノックスの仲間ということで、動きが鈍くなっていたサトノダイヤモンド、サートゥルナーリアなど、ルメールコネクションに少し気を付けながら、定石どおりに、根幹距離G1で勝ち切れなかった馬をまずは狙って、根幹距離で強かったことで買われている馬を少し嫌うという形で、上手にやりすごしたい。

主力級だけに、消える馬が出ると大変な展開になる

ベラジオオペラタイプは意外と少なく、大阪杯を制した4歳馬は、レイパパレくらいしか出てきていないので、ソールオリエンスのような、形づくりの一歩手前だったような馬を狙う方法が重要となってくるのだが、横山兄弟だからということではなくて、過剰な支持を集めるかどうかが重要であり、ドゥラメンテやサートゥルナーリアならば仕方ない面があっても、3歳の春と秋で出来が違うだとか、明けてから急にスケールダウンしたような感じだとか、一応、負けるパターンにハマっている両者は、本質的には軸では狙いづらい。

勝っている4歳馬は、大阪杯経由のクロノジェネシスに加え、例外的な存在のタイトルホルダーやイクイノックスであるから、苦しいことは間違いないが、有馬記念とのコネクションが昔ほどは強くない上に、高速なのか道悪なのか、いずれにせよ、阪神の宝塚っぽい感じではないだろう今年は、消えても重大ではない分、展開に与える影響は少ないとできる。

勝ったのはいずれもG1馬。

ダービー好走馬同士で、ソールオリエンスは菊花賞も崩れなかったから、コーナーワークに課題のあるタイプとした時、ベラジオオペラ再逆転の図までは描けないとしても、実力的には本来は…、といういつもの宝塚逆転の構図で軸を人気のない方に据えるのはありだろう。

面白いほどに、近年の鉄板がこの中に混じっているが、本来は着拾いに適したキャリアホースばかり

ジャスティンパレスは昨年の3着で、京都通常開催に戻った春の天皇賞完勝の1頭。

有馬記念で、阪神2200重賞勝ちの2頭に敵わなかったが、秋の天皇賞で決め打ちをせざるを得なかった上に、相手関係が極端な枠だとか、戦法が荒っぽいところがあって、型にハメるのが難しかっただけともいえる。

中山よりはややこしくない分、非根幹距離適性でどこまでやれるかが判断不能に近いダービー馬のドウデュースが、ただもらい出来るほど断然の存在ではない上に、まずこのジャスティンパレスの壁も高いように感じる。

武豊なら、色々な不都合を処理してくれるはず…、という理屈を今はルメールが体現する状況。

コースがもう少しシンプルになっている分、攻略の難しい阪神内回り戦を前に京都記念の連対馬は着順を入れ替えたように、基本的には、その力関係は小差としておきたい。

ダービーでの差が一気に縮まり、逆転できる舞台でもある。

近年は、5歳馬の天国と化しているが、どういうわけだか、ルメールの壁というか、宝塚の分厚い壁突破を機に、今度は昔強かった4歳馬<ゴールドシップが連覇する前までは、自身がそうだったように、4歳馬が6割方勝っていた>が都合よく? 快走を続けている。

ルージュエヴァイユもそうだが、決め打ちのキセキ、ユニコーンライオン、昨年のスルーセブンシーズのようなタイプが本来は有利な傾向であるから、軸の本線に加えたタイトルホルダーに関しては、オッズ面の関係で挙げたという感じでここはとどめたい。

ここをちゃんと押さえないと確実にトリガミが生じる組み合わせである以上、強弱のところで調整は必須であろう。

どうせ軸にするなら、レーン騎手のシュトルーヴェだろうが、年明け3戦全て2400以上で…、これはひとつ年上のテーオーロイヤルが打ち消した不安であったはずだが、ここは狙わないことにする。

かつてのエイシンデピュティ、京都開催年のダンツシアトルほどの距離適性は感じない。

勇気をもって、ヤマニンサンパの末脚にかけたい人は、この括りでドカンといく仕掛けを思案してみたい

馬というより、古い順で池添謙一、横山典弘、武豊、ダミアン・レーンなど、少し普通とは違う勝ち方をしたことのある騎手<武、横山両者は阪神でも京都でも勝ったことがあるから、ミスターグランプリ・池添の腕はなりまくっているはず>が、その経験を活かしたのか不明も、滅多に来ない古豪を2着に持ってきている。

どういうわけだか、3着には若い馬しか来ない<意外にも、近20年で道悪年3連チャンが15年以上前にあったキリ、ただし、ディープが勝った年は6歳リンカーンが消えて、7歳馬がその穴を埋める2、3着だった>傾向から、あまり元気がおじさんもおらず、生産サイクルの早さに騎手の側が抵抗しているようだが、人間もやけに元気な人が二人ほどいる。(笑)

唯一、鳴尾記念・これも京都振り替え で、イカした末脚であわやの4着に突っ込んできた姿が、池添騎手のカレンミロティックやダミアンのヒシイグアスと被らなくはないのだが、相当な曲者とまではいかないヤマニンサンパさんに何を願うかと言えば…。

往年の京都記念でナリタトップロードとアグネスフライトがハイペースで戦略を入れ替えるように前にアグネスフライトがいて、トップロードは的場的奇策で差してきたその後ろから追い込んできたベガ全弟・マックロウのパターンであろうか。

ディープボンドも大いに元気なおじさんだが、さすがに天皇賞以上の結果は望めない。

宝塚記念2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム

彼が何となく、ライアンの足跡を辿っているように見えるのは、父が派手にダービーを三度制したというだけではない気もしてきた

ソールオリエンスの血統

無敗の皐月賞馬続出の時代にあって、その差異を明確化させることは重要であるが、G1馬ではなかった馬の制覇=3戦3勝だとダービーは必ず負ける鉄の掟が存在する不思議 というものは、伸びしろの点で、豊かだったはずの将来性までも奪われかねない激烈なパフォーマンスであることもしばしばで、このソールオリエンスとて、今のところで例外に漏れずといった感じとなっている。

必ずこの馬にも、ジャスティンミラノにも次なる栄光があると、今は信じるのみである。

母父は本家ダービーを制したモティヴェーターであり、これが正攻法のダンテSルートでの無敗制覇。

その後も大きなレースは使ったが、大して負けていないとはいえ、以降未勝利は嫌な傾向。

ところが、これとドゥラメンテ<ダービーまでは強烈なパフォーマンスを誇った幻のスーパーサイアー>を掛け合わせたのが、菊花賞を本能の赴くままに逃げ切ることで、他を圧倒する快感を覚えたタイトルホルダー。

横山兄弟の巧みなリードにより、最後まで強いままで、理想に近い有馬記念3着を終えたのは、サドラーズウェルズ的というか、欧州型本格派系統の死角である早熟性を見事の打ち消したことにもなる。

そもそも、このモティヴェーターは凱旋門賞連覇のトレヴ<オルフェーヴルのアーク再挑戦時、それを相手にしなかった名牝>を出している。

キタサンブラックもモンスターのままターフを去った発展途上のサラブレッドだったイクイノックスを出している。

ネアルコとハイペリオンが幾重にも連なる相似の形態が、牝系には特に散見される配合は、大物として、最後の大レース制覇を果たした無敗の皐月賞馬・ハイセイコー<1974年優勝、この年も京都開催>にも共通する構造上の注目点であり、傑出したスピードを誇ったサクラバクシンオーが強いクロスを双方に抱える配合から、今も活躍馬を直系から送り込む根拠を成している。

その直系を形成したバクシンオーの父父であるテスコボーイの産駒が活躍し始めたのは、ハイセイコー登場の直前。

何となくライアンっぽい<父父ノーザンテーストもネアルコ直系とハイペリオンの強いクロスを抱えた大種牡馬>という以前に、ハイセイコーのような一面もあるソールオリエンスに、京都開催の恩恵があって、何ら不思議ない奇遇が、奇跡を起こす引き金となりそうな予感もする。

宝塚記念2024 - レース展開と最終予想

今年ダービー3勝目を挙げた横山典弘騎手が、メジロライアンを完璧なエスコートでG1馬へと導いた京都開催の宝塚記念は、1991年の春。

超の付く一流まではまだ足りなかったこの日を迎える前のノリ騎手は、この勝利をきっかけに、スペシャルなジョッキーへの階段を駆け上がり、2024年春の奇跡を、ほぼ自ら完全プロデュースする形で現実のものにしたのだった。

何度も見たことのあるレースであるが、追い込み馬を前に持っていく、徹底マックイーン潰し=勿論、鞍上はあの人 の奇策は、いくらやろうとしてもできなかった、いや、クラシック前に、また皐月賞でキレキレのライアンを見せてしまったことで、当時のA級中長距離型としては雄大過ぎる馬体もあったのだろう、策を決めつけてしまった部分もある。

もちろん、今の横山典弘でもない。

散々、人馬ともやられつくし、中山記念さえ落としたこのコンビを、ファンは2番人気に支持し、メジロマックイーンを倒すのは君たちしかいないという空気に乗せられるように、数度、馬を前に促すように、内枠スタートを利した、スロー見え見えの展開を見越した積極策で、ユタカの庭である京都の外回りを完全制圧し、マックイーン&ユタカの追撃を直線半ばで突き放して見せた。

この辺りで、両者の戦略の基本形は確立され、前に行くべき時に、行った方が勝つのは先輩の方で、後ろからの勝負で絶妙なスパートを決めた時は決まって後輩が勝っていった。

現在までそのまま、この二人が世界のオカベの記録まで抜いていったのだから、昨年の有馬と今年のダービーを両者が勝ち分けたことそのものには、誰も驚きはなかった。

そのレースの精度の高さに、面食らったライバルは多数だったが、ルールブックを少しずつ書き直してきた両者が、騎手の腕を競う場面で、今でもトップクラスであることを証明するに十分な結果だったと、皆が理解している。

深い考察を要するまでもなく、今年は5歳馬中心の組み合わせながら、4歳の2頭は、いずれも横山典弘の息子でG1を勝った者同士。

妙なつながりが生まれたことで、武豊1番人気確実の場面では、色々と試みをしてみたくなった。

そこで、はぐれ者というか仲間外れになりかけている皐月賞馬が目に留まった。

かつて、ハイセイコーもここに至るまで苦労していた。

ダービーまで無敗、1番人気。

不思議と人間臭いドラマを馬に紡ぎ出してもらう競走のコンセプトとなっている宝塚記念での大復活を、少し期待したくなってきたソールオリエンスの存在が、やけに大きく見えてきた。

前走の早仕掛けの判断に関し、一つだけ確かなことがあるとすれば、自分がサウジ遠征で乗れない日に、ソールオリエンスが中山で今季初戦を迎え、見事に序盤から置かれたことに対し、明らかに刺激を与えねばならないという使命があり、ほんの少し前、不振に陥ったエフフォーリアに先行策を命ずるような強気の指示を出し、それがハマりそうになった京都記念で故障してしまったことへの反省や己の至らなさを意識しすぎたのか、序盤は行けなかったことと、戸崎騎手が絶妙なタイミングで動いたのを利用したところで、自分が罠に引っかかり、兄の思惑通りにレースを作られてしまった横山武史の敗戦ともすべき大阪杯は、何だか、天皇賞の後方一気不発のライアンの時とよく似ている。

京都新聞杯が菊花賞トライアルだった時代に、そこを秋緒戦に選び、重馬場なのに2分12秒台で駆けてしまう才能を、どうにか、変則開催年に当たった宝塚記念で引き出そうと、どうにかこうにか編み出した策が、ライアンに普通の馬の競馬をさせることだった。

その思考を生み出した要素として、狭いコース、最初のコーナーまで距離が短い中山の1800や2500、ダービーの東京2400も少しタイトだし、一方で、皐月賞や本来の宝塚記念は行われる阪神でこの距離を走った時は、向こう流しと同じくらいかそれ以上の距離が取れるという差が挙げられる。

実力者よりも伏兵に有利な、トラック構造上のバイアスをハンディキャップ競走の要領で課していくような、ギャップの解消を施した作りは、有馬記念とは本質的には異なるが、どの馬もそれなりに不利なのと、どのタイプでも自由に位置が取れるということで、両グランプリの共通項は対極のようでコアに結びついている部分はある。

時計の速くなりやすい近年は、いくらか差異も生じるが、牝馬の活躍で両方走る巧者は近年ほど復活している。

と、これではドウデュースよろしく状態なのだが、ドウデュースも皆が思うほど乗りやすい馬ではない。

武豊的な思考があって、初めて、G1で勝ち負けになる事は秋の戸崎替わりで明白だった。

戸崎騎手の技術が足らないというよりも、スペシャルなアプローチでG1を戦い抜くといった、いかにも武豊騎手らしい策を用いるべき存在であり、イクイノックスを負かせたかと言われれば、それは無理だったろうと誰でもわかる話でもある。

そんな馬相手だからこそ、皆が策を講じるわけだが、負けることはもう恐れる必要がなくなったソールオリエンス&武史コンビに、セントライト記念以来となる、400Mほどの距離を使って、位置取り争いに入れる余裕の構造であるコース<非根幹距離戦>に挑めることとなった。

何より、阪神2000と大差ないそれだが、動き出しのもたつきを恐れた前走に対し、今度は京都の外回りだ。

その点、阪神ならもっと良かったという話にもなるが、阪神より1コーナーまでの距離が取れない反面、動き出しに下り坂を使えるから、もたつきはあまり怖くない。

阪神だと捲りの脚力を中山のセントライト記念以上に求められることになり、結果的に、古馬の根幹距離G1で通用のレベルが必要となるが、構造的に京都の2400と阪神2200が似ている感じで、2200の方が根幹距離的要素は問われる部分もある。

しかし、距離が現に1F長くなるから、色々思案する必要はあるのだが、中山記念で1頭だけ外からぶっ飛んできたところからも、衰えがあるわけでも、極端な調子落ちがあるわけでもないことが見て取れた。

思えば、ハイセイコーもソールオリエンスも、重馬場の皐月賞を圧勝している。

考えてみたら、皐月賞は兎も角、そのトライアルの旧弥生賞が不良馬場で、ここでアイネスフウジンと後に大レースで人気にもなるホワイトストーンらを負かしたメジロライアンも、その後の重要な場面でツキのないレースを続けたが、奇しくも、皐月賞で負けたのはアイネスフウジンだけでなく、ハイセイコー産駒のハクタイセイもいるのだ。

メジロライアン産駒はもういない時代に、ノーザンダンサー系の稀有なダービー馬・タスティエーラから勝利を奪ったソールオリエンスに、ダービーでの勝ち運は残させていなかったが、活力はむしろ、温存の傾向。

この難しい方程式を解くカギは、ごくシンプルに、動かしやすいところに馬を置くということの一点。

ダービーもオークスもしっくりこなかったが、自分の馬であるべきソールオリエンスは、本当は追い込み馬ではないものの、形として、そのような戦法になってしまう気難しさを抱えるから、コーナーワークの死角は、直線一気で消せた皐月賞以来、ずっと付きまとってきたが、特段サウスポー的なものはないから、蘇るべき場所で然るべき結果を求めたいところだ。

親子3代記録が、凱旋門賞や有馬記念では惜しい感じで成立していない一方、宝塚記念ではすでに兄の和生騎手がこの快記録を作っている。

秋の天皇賞でも同じ記録はあるが、兄弟制覇と親子制覇両方が成立したレースは、1973・1988・2006各年で菊花賞優勝の武邦彦・豊と幸四郎の親子・兄弟制覇の大記録はあるものの、3代記録に兄弟制覇のおまけつきとなると、まずいの一番に挙がるのがこのレース。

親子で変則開催G1優勝の偉業も可能となる今年は、G1馬駆る、不当評価から脱しつつある4歳世代の才能を押さえた横山和生、武史兄弟の躍動に、少し肩入れしたくなる。

ローシャムパークやシュトルーヴェ、ルージュエヴァイユなど5歳勢に対し、ソールオリエンスも加えた4頭は、圧倒的関西馬有利の環境で史上初の関東馬3連覇のために送り込まれた刺客となる。

いずれもこのレース初参戦で、シュトルーヴェはG1そのものが初めて。

これら全てG1トレーナーの管理馬である一方、その初挑戦馬が唯一の当レース優勝経験者である堀宣行調教師となると、G1馬の方がいくらか有利か。

この手の優勝馬であるパーシャンボーイやダンツシアトルのようなタイプはたまに出てくるが、G1級が怪しい年に、多頭数の年で、天皇賞馬に何かがあったというレアケース。

狙うなら、単穴狙いでもG1馬がいい。

ドウデュースがディープインパクトのようになれば、シュトルーヴェもヤマニンサンパも色々連れてきて不思議ないが、この馬、京都は初参戦である。

京都の経験がないG1馬は、実は、ドウデュースだけだ。