天皇賞(秋)2019 予想
マカヒキが昨年使った札幌記念。今年は、凱旋門賞とこの秋の天皇賞の最重要前哨戦となった。
結果、好走の4歳の2頭は凱旋門賞では不発だったが、あれだけ好位につけたワグネリアンが、最後差されるというある意味で、ショッキングな光景も繰り広げられた。
いや、これはダービー馬の悲しい末路なのか。
しかし、レース後しばらくして、次週の特別登録馬が発表された頃、落鉄があったという情報がメディアを通して知られることとなった。
なるほど。アエロリットが充実の4歳シーズンに連発して落鉄したことがあったが、それはパワーアップした証拠なのではないのか。
現に、デビュー当初から大きく見せない上に、ネコ科動物のような危険性を孕む何かが魅力の馬だったワグネリアンは、良くも悪くも、母系の持つスピード能力が前面に出てくるように、デビュー戦でもダービーでも同じ450kgだったものが、以降3戦増え続け、ついに、札幌記念では472kgである。
牝馬だと危険信号が灯ったとも捉えられなくないが、それに伴って、ダービーの時以上に、位置取りにスムーズさが出てきた。
それが休み休みの中で、結果的には善戦止まりでも、札幌記念でパワーが充ち溢れすぎて、つい気負いがちな本質も影響して、強く芝をかき込みすぎたのではないか。
走る馬のまま、4歳秋の充実のシーズンを迎えたと、ここは考えたい。
もう一つ。右回りだとやたらと競馬が下手。
札幌記念も、スムーズに4角を回ってきて、結局、落鉄で苦しかったのだろうが、外に一度膨れている。
ダービーではむしろ、インを締めるようにしてスムーズに加速し、自慢の息の長い末脚で、最後はもうひと伸びしてゴールした。
どう考えても、あの頃までは2400までこなせる馬であり、若いうちから速い上がりを使いつつ、実は、誰よりも時計を持っていない今では珍しいクラシックホースとして、でも、敗因だらけの皐月賞以外はきっちり走って掲示板に載っているのだ。
そのスピード能力も、生涯が東京スポーツ杯とダービーだけは、12-12ラップを超えたタイムで走っていて、左回りでしっかりと自分のペースを掴めたらならば、まず大崩れすることはないだろう。
おまけに、2年前ほどではないにせよ、今年は台風の影響が続いて、例年以上に軽い馬場とはなりえない条件が整った。
札幌記念負けの優勝馬などモーリスしかいないし、タイプというか、持っている箔がまるで違うから、ギャロップダイナやレッツゴーターキンみたいなスタンスはとれないものの、どの馬の血統表にも、目を凝らしてちょっと深くまで探りを入れると、プリンスキロの血やセントサイモン系の底力型の種牡馬の名が入っている。
根性のある馬にはよくリボーが入っていて、それは体のラインから何もかも変えてしまうから、セントサイモン系が主要血統だった時代は嫌われたと言われるが、父に目立ったところに配されていない分、母父キングカメハメハは、リボーとプリンスローズの血が父母に分かれ入っていて、母母父ブロードブラッシュの母父はリボー系のホイストザフラッグ。
3代母アル―リングガールの父セクレタリアトは、そに母父がプリンスキロ。
セクレタリアトの半兄にサーゲイロードがいるから、その直仔サーアイヴァーがディープインパクトの中に入っているのは、相対的なセントサイモンのバランスを取る意味で、効果を示していると言えよう。
そんな馬は沢山いて、アーモンドアイのように同じくこのレースで重要なハイペリオンの血とのコンビネーションが一番安心なのだが、ギャロップの時にはルドルフ、ターキンの年はテイオー、モーリスが人気になった時はこのレースに前後する形で国外タイトルを勝った馬が3頭いた。
こういう場面でこそ狙い目の配合。
ダノンプレミアムの復活にも期待しつつ、あの弥生賞の頃の自分たちから進化しながら、元のポジションを取り戻してもらいたい。
ある程度流れる分、内々追走が得意とは思えないアーモンドアイの2番枠と、サートゥルナーリアの特徴のない中枠は死角にはならないが、上手に走って強いのは、中距離の底力型の方だろう。
彼女たちは少し、スマートすぎて武骨さを欠く。血筋が良すぎるせいだろう。