2022年天皇賞(秋)【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着イクイノックス(2.6倍)2着パンサラッサ(22.8倍)3着ダノンベルーガ(7.3倍)

レース名第165回天皇賞(秋)(G1)
日程2022年10月30日(日)
優勝馬イクイノックス
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム1:57.5
馬場
3連単配当23,370円

2022年天皇賞(秋) - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
1イクイノックス1:57.5-
2パンサラッサ1:57.61
3
ダノンベルーガ1:57.6クビ
4
ジャックドール1:57.81/2
5シャフリヤール1:58.1 2
単勝7260円
複勝7130円
複勝3470円
複勝5220円
枠連2-41,680円
ワイド3-71,210円
ワイド5-7320円
ワイド3-52,260円
馬連3-73,330円
馬単7-34,930円
3連複3-5-74,400円
3連単7-3-523,370円

2022年天皇賞(秋) - レース後コメント(騎手/厩舎)

「イクイノックスはすごくいい脚で伸びてくれました。最後パンサラッサをかわしてくれました。素晴らしい馬ですね。今日が、彼の最初のGⅠでしたけど、これが最後じゃないです。改めてGⅠを勝てると思います。無事に帰ってきたら、どこでもいけると思います。スタミナがありますので、ジャパンカップか有馬記念に出たら大きなチャンスがあると思います。今日は本当のイクイノックスが見れた。」

※優勝したルメール騎手のコメント(イクイノックス)

2022年天皇賞(秋) - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

2022年天皇賞(秋) - 回顧

優勝したイクイノックスの母シャトーブランシュはローズS2着や5歳時に制したマーメイドSなどで、メイショウマンボ、マリアライトらをG1制覇のちょっと前に負かしている。

こうした大物食いの性質は、母父キングヘイローの配合や<ダンシングブレーヴ×グッバイヘイロー>、母系に入るAllegedらに加え重要な末脚の要素を成すトニービンの影響が大きいのであろう。

当然、そうした熟成期間に時間を要する血は、活かし方に大変な工夫や苦労を伴った末の結果として、大成後の豊かな才能の示し方に反映される形になるものだが、父キタサンブラックも菊花賞制覇の1年後くらいに本格化の兆しがあった馬。

あの豪脚はダンシングブレーヴやアレッジドの強烈な個性に加え、ダンシングブレーヴと同時期に凱旋門賞を制したトニービンらの持続性に富んだ中距離戦での絶対的な決め手を、父にはないものとして得た、イクイノックス特有の才能であろう。

だから、完成などまだずっと先。

主にキングヘイローとディープインパクト全兄・ブラックタイドに関わる血にクロスするヘイローやリファールの効果的な意図的配合には、エースになるための時間を与えるための猶予期間を求める傾向がある。

似たような血の組み合わせであるリスグラシューの場合も、4歳時にエリザベス女王杯を優勝したものの、本格化は翌年の宝塚記念以降だった。

速さをいくらか潜在的に抱える配合ながら、本質は1800と2000での底力勝負向きというのは、昔からこのレースへの適性を若いころから示してきたネーハイシーザーやカンパニーらとよく似た傾向。

たまたま、今年チャンスがあったというだけで、また勝つ好機など今後、更に確度を上げて何度も訪れそうな血統構成である。

1000M通過57.4秒は、昨秋の2000M戦で刻んだラップ、

・オクトーバーS<東京芝2000M/稍重>

59.3→60.7

・福島記念<福島芝2000M・G3>

57.3→61.9

というパンサラッサの連勝記録に残る武器の証拠となる要素と、ほぼ同質。

今回であると、

57.4→60.2

自身がパワーアップし、コース適性等の死角がかなり減っている中では、自己ベストを改めて更新したことになる。

この馬の配合も、ロードカナロア×montjeuであるから、イクイノックス同様に、揮わない時期を経た後の覚醒期がエゲツないものがあるということだろう。

まだまだ、パンサラッサの逃げ脚は侮れないことを、東洋最高格の中距離G1で再度証明したことになる。

オッズが示すとおり、とりわけ、時代を経たとはいえ、休み明けの古馬初対戦となる3歳馬が多数参戦では、レースの目標となるそれぞれの対象が変化する。

パンサラッサでさえ、ジャックドールの勝ちに出た好位差しの対応の前に、自分の譲れぬポイントに序盤の行く手の鈍さをつく岩田騎手や横山父らの懸命な抵抗策に応じたことが、このラップを生んだとも言えるので、絶対にこうしたかったわけではない。

とはいえ、力は出し切れた。

だから、差せた馬は結果的に、そうして一般的な考察を加えるまでもなく、この路線の暫定王者になるわけだ。

歴史は続くと思われた平地G1における1番人気馬を巡る大いなる因縁は、ルメールのコマンドライン・ホープフルS1番人気惨敗から始まり、ルメールの新たなお手馬・イクイノックスによって締められた。

もはや、ひとり相撲だったのではないのか。

正答は否だが、意外と、当の本人がそれを否定しないのかもしれない。

ルメールは冴えていた、としておこう。

というのも、内が同僚のジオグリフで外がクリスチャンのシャフリヤールというのは、出が決して良くはないイクイノックスには、実は辛い枠番であったはずなのだ。

現に、リプレイをさっと流し見しただけだが、コーナーに入る前の例のアレ<来季優勝の隠語ではなく、秋天特有の激しい位置取り争い>は発生した際、最も割を食ったのがルメール騎手とイクイノックス号であったのである。

ただし、ダービーでもその前の東京スポーツ杯でも、イクイノックスはキレにキレた世代のエース級差し馬であった。

下げることは悪いことではなく、有力勢を前に見るダービーと結果的に同じ形に持ち込んだことで、結果的には、明らかにスパート自由にさせてもらえない現象を制しても再現することになるダノンベルーガの差しも封じることに成功。

ジオグリフの伸び脚は高が知れているから、56の決闘では、ハイペース確定の向こう流しの時点でほぼ勝利であったことになるわけだ。

イクイノックスとダノンベルーガは、皐月賞で大差のないゴールであったように、ここでもキレを見せた勝ち馬のイクイノックスは32.7秒、パンサラッサに追いつかなかったダノンベルーガはほぼ互角の32.8秒。

他にキレたと言えるのは、追い込むしかないカデナの33.2秒であり、彼は後方のゴールであるわけだから、いかに素晴らしい中距離適性があったかが理解できる。

ドレフォンではいかにキレを魅せようとも、ディープのそれでも皐月賞の自身も大差ないジオグリフに、抵抗できる要素がなかったことは、高速ダービーで証明済。

となると、正攻法で33.6秒・1:58.1でしか走れなかったシャフリヤールは、ダービーこそ当時のレコードウインだったが、毎日杯の快走レコードウインと比して、中距離適性では見劣ったとなる。

まあ、出来は3歳勢の方がはるかによく、あまり間隔を詰めて使いたくないとしても、ジャパンCを勝ちに行く馬のためのローテが限られることで、ここを叩くしかなかった陣営の苦心は容易に想像できるわけだが、昨年の差し馬の上位入線勢と同じ上がりであったことを踏まえた時、シャフリヤールはパワーアップを示せなかったことになるから、ちょっと工夫がいる。

まだ伸びしろがありそうな上位3頭に対し、早熟で不思議のないジオグリフやシャフリヤールらが、万能化を着々と目指すステップアップに成功していることを結果で示した若手勢の中での対比の中で、明らかに昨年とレースラップが異なるところで、時計に大差がないことで生じる、今年と昨年の走破タイムに対する評価は、少しでも上に出た馬券内の3頭について文句なしとしても、本来はこの距離で頑張りたかったそれ以下のグループで、策を限られ苦戦も粘った…、とできるジャックドールに真っ向挑めなかったことで、守備範囲の狭さを証明してしまった印象はある。

ジャックドールに今後好機はやってくるのは間違いないだろうが、それでも国内では限られる。

路線変更や舞台の変化を求めることが出来そうなのは、上位4頭であり、シャフリヤールには国外の可能性をまだ追求できるかもしれないが、案外、今日この時点で勝負がついてしまったというのが、いずれ大勢を占める評価になりそうな気もしないではない。

裏の見方で、小柄な牝馬で勇躍挑戦の4歳勢のマリアエレーナ・7着、ユーバーレーベン・8着らは、明らかに一線級の牡馬には見劣ったものの、適性や絶対能力の面で、血統的な特性までも加えて考察した時、来年の好走の可能性を感じた。

とりわけ、内からレースの流れに乗ることに苦心することになるのは必至だったマリアエレーナは、序盤は行きたがっていたくらいで、面食らったような桁違いの底力勝負にまだ経験値の差で見劣っただけであり、シャフリヤールとはわずかに1馬身ほどの差しかなかった。

十分に将来展望をできるこの馬は、ワグネリアンの近親であり、古馬になって強力な末脚を発揮したあのブロードアピールがファミリーの発展を支える、晩成の血でもある。