ヴィクトリアマイル2015 回顧
彼女にとっては他流試合のはずだったのだが…。
久々に東京のGⅠで猛烈なハイペースを目撃したのだが、いやはや。高松宮記念1番人気馬である。
パドックでオッズと実績があまりに伴っていないことが、これまた久々の大波乱の決着の呼び水となったのか。
昨年の3着馬にして、前記の通り日本競馬を代表するステークスウイナーの激走。ストレイトガールが勝ったことに異論は出ない。前日からの重賞連勝の戸崎騎手にしても然り。
これで、オークスで背負うものが少し増えそうだが。
さてさて。想定よりは、時計にして半分速くなった程度とはいえ、あのアパパネとブエナビスタが至極の名勝負を演じた時に発生した大レコードとタイとなる1:31.9での決着には、かなりの驚き、まさにぶったまげの印象しかない。
2000万馬券のことはさておき、さすが江田照男である。
ミナレットの良さを極限まで引き出し、負けても一番納得のいく競馬をやりきった。
大外枠というのは、こと府中のビッグタイトルでは、ドラマを生む魔法がかかった馬がよく走る。次はまた何年後にあるのか。
ここまでは納得のできる部分はある。
ただ、ケイアイエレガントがその後ろから追いかけて、ヌーヴォレコルトとほとんど同じ好位にいたストレイトガールが抜け出してくる、ほとんど先行押し切りの構図は、正直直線に入ってまだ馬券を売られていても、当たる気がまるでしない。
直線中ごろでは、流石にミナレットは捕まるとみんなが認識していたが、それさえも3着に粘り込んだ。いや、追い詰めてきた組と脚色が同じになっただけである。
セオリーでは抑えて、じっくり前がバテてから…、ではあるが、百戦錬磨の吉田豊である。ケイアイエレガントは、かつて府中の高速馬場時にレコード時計で駆けたホーリックスやアイネスフウジン、負けてはしまったがダイワスカーレットのように、自分の力で時計を削って、最も底力を出し切る格好で皆が自分のリズムで走れない展開を作っていったのだ。
惜しいけど、こういう時に純粋に速い馬が追いかけてくると、前記の中距離戦ではなくマイル戦なので、負けてしまうこともある。
前年と同じく先行馬と差し馬の決着。今年は中身一変で、ヌーヴォレコルトよりスピード勝負でより力を発揮できる馬がチャンスをモノのした。
でも、差し馬には決め手が必要だったことに変わりないので、ヌ―ヴォの一番苦手なレースではある。その辺り、何とも評価しづらい。