安田記念2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ダノンキングリー(47.6倍)2着グランアレグリア(1.5倍)3着シュネルマイスター(10.2倍)

レース名第71回 安田記念
日程2021年6月6日(日曜)
優勝馬ダノンキングリー
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム1:31.7
馬場
3連単配当110,420円

安田記念2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
111ダノンキングリー1:31.7-
25グランアレグリア1:31.7アタマ
313シュネルマイスター1:31.81/2
48インディチャンプ1:31.9クビ
59トーラスジェミニ1:32.1 1 1/4
単勝114,760円
複勝11710円
複勝5110円
複勝13240円
枠連4-7720円
ワイド5-111,160円
ワイド11-135,460円
ワイド5-13400円
馬連5-112,950円
馬単11-512,090円
3連複5-11-138,860円
3連単11-5-13110,420円

安田記念2021 - レース後コメント(騎手/厩舎

「返し馬の雰囲気はあまりいい感じではなかったのですが、競馬自体はいい走りができたと思います。道中のリズムが良かったことで道中タメることができましたので、これなら直線も動いていけるなという感触を得ながら直線に向くことができました。
素晴らしい走りをしてくれました。いろいろとイメージする中で、返し馬の雰囲気からしても、正直いい感じじゃなかったので、いろいろ対応しながら競馬までの時間を過ごしました。競馬自体はいい走りができたと思います」

※川田騎手のコメント(ダノンキングリー)

安田記念2021 - レース結果動画(YouTube)

安田記念2021 - 回顧

敢えて、ここは反省を込めて、本命に推したサリオスの惨敗についての考察を冒頭からしておきたい。

トーラスジェミニが先行するレースで、彼が粘るような展開は、小回りであれば自在ながら、東京のハイペースの粘り込みは有り得ない。

これが5着に残っている。それも記録上は、2番手追走からの押し切り。

こういう前が残るような展開は、かなりバイアスがかかってきた東京の馬場状態を加味しても、サリオスやカラテ、その隣に入ったグランアレグリアでさえ、位置を取れるようなスタートでなければ、まずリカバリー不可能である。

スタート直前に少し嫌な動きをした直後、前扉が開かれた。

絶対的なスピード能力はともかく、結果行くことになったダイワキャグニーや想定内の先行ポジションになったトーラスジェミニ、復活が期待されたダノンプレミアムらが、理想の位置をレース全体の最上位のところで展開すれば、彼らはスプリンターではないから、まず他の有力勢は直後につける、もしくは直線勝負にかけるより他ない。

全て中途半端にインで取り残されるように追い上げたサリオスは、気持ち出負けから、ついにリカバリー叶わず外に持ち出そうとした時、自在の位置を取れるような器用な加速はできない体つきなので、松山騎手共々、戸惑いの中の追走に終始した。

揉まれた結果の8着。

明らかな不利のあったラウダシオンが殿負けで、想定以上に楽な展開になったことで、総合力勝負に持ち込めればもっと好勝負だったはずだが、両者、何かメンタルをやられているような傾向にある。

サリオスは大丈夫と思っていたが、甘かった。

似たようなスランプを経たダノンキングリーが輝いたレースだからこそ、ここを強調したい。

少ないキャリアながら、最初から強さを求められてきたこの4歳の2頭にとって、今が最も苦しい時期なのかもしれない。

これはアーモンドアイやダノンプレミアム、ダノンキングリーもここに挑むまでは完璧だったケイデンスコールも同じ事。

松山騎手の冴えなさ具合も気掛かりだが、消耗しても使っていない若馬は、いずれはまた復活する傾向にある。

人馬とも立て直したい。

ツキを味方につけるだけの気持ちの余裕があれば、どんどん勝てるのが競馬というスポーツである。

熱弁は空振りに等しく、グランアレグリアはNHKマイルC覇者のシュネルマイスターに、一旦は飲み込まれるように映ったゴール50M手前ほどの攻防。

しかし、意地は見せたから大したもの。

負けるけど、崩れないのがマイルで激走した名馬たちの共通項。

筆者は物理的限界を超えた好走不可能条件と捉えているから、グランアレグリアの惜敗は、スローであれば熱戦必至、時計がもっとかかれば勝っても不思議ないというウオッカの例も出しておいたが、そのいずれもやや違った。

斤量差で迫られたのだから、グランアレグリアとシュネルマイスターの充実期におけるパフォーマンスは、思われているより僅差である可能性を示した2、4着だったとここはしたい。

本音はこういう2番手争いを想定だったので、狙いは本筋の展開だったが、筆者も状況一変させるだけの空気の読みができていないのである。

今更説明不要なのは筆者自身であり、再度の講釈を加えておく。

兄はダート戦線で大活躍の快速スプリンターであるダノンレジェンド<父マチョーノ、JBCスプリントなど優勝>であり、本筋としては、クラシック戦線に向く性質ではないと、今になれば気づくが、当時はその好馬体から、万能性を誇ったように見えていた。

熟成度合いで馬の本質が変わることはなく、むしろ、本能に近い才能の顕在化が当然の流れ。

ディープインパクト×ストームキャットの活躍馬であるサトノアラジンも、古馬になって、この辺りの距離に狙いを絞ってから、甘さを削り、揉まれる経験を積んだ末に、川田騎手と共に、今回のような直線一気を決めている。

あの時も、相手になったのは前年覇者のロゴタイプ。

彼が粘るところを唯一捉えたのが、サトノアラジンだった。

母マイグッドネスの半弟には、米主要競走で活躍のウェストコースト<父フラッター、トラヴァーズSなど優勝・ドバイワールドC2着>がおり、母系全体にアメリカンクラシックのスターであるセクレタリアト<三冠馬>、マジェスティックプリンス<二冠馬>が入り込み、父の側だと、サンデーサイレンス<米二冠>、ディープインパクト<日三冠馬>と、クレペロ・サーアイヴァーらが英二冠達成者と、ワンダフルなトップスターの可能性を感じていたのだが、どうも、この手の配合にはセクレタリアトよりも、ウェストコーストの直系であるシアトルスルー<米三冠>を入れた方が、ずっと柔軟に万事に対応可能の気配はしてならない。

母父はそのシアトルスルー直系のタピットであるグランアレグリアに、たまに勝てる能力を安田記念で証明したのは有意義だが、そのパフォーマンスが限定的すぎた。

パワフルなスピード供給してくれる面はあるが、自身が万能すぎることで、末裔にその才能が伝わってこなかったという一面が、グランアレグリア不発の場面で出てくるということは、普段は格下ということになる。

マイルではそうだが、両者、秋は天皇賞であろう。

真の意味での決着は、その時になる。

今度は日本の三冠馬との争いを制さねばならないが、充実の5歳シーズンになっていくだろう。

ボールドルーラー系の力を借りると、どういうタイプでも、中間の不振の頃に全く走れないから、消耗しないようなところもある。

たまに頑張ればいい、今の日本のトップホースへ課せられる状況からすると、それは絶妙にフィットしている。

クラシックの前から期待していたからこそ、秋の天皇賞でも好機を見て、見事に撃沈した時は口あんぐりだった。

あの時は、明らかに精神面のバランスがおかしかった。

昨春の大阪杯で逃げたことを挙げるというが、その前に、ダービーの激走があった。

その立て直しには横山父は大いに貢献したが、プラスアルファを求められるG1競走では、<現在4戦連続参戦中>ミスマッチになっていったのだろう。

大阪杯の逃げはクラシックの、ダービーの反動のそれであり、以降の東京惨敗は大阪杯で失ったリズムの影響。

因果応報とは、ノンタイトルホースには厳しい表現だが、みんながダービー馬になれないように、誰もスターになれるはずもない世界。

ダノンキングリーには時間が必要だったが、陣営の判断、萩原調教師の調整は絶妙だった。

ハープスターを駆っていた頃から、豪快に外から追い上げるディープっぽい競馬は合わないタイプではない川田騎手を配し、狙い通りのフレッシュコンディションの大レース参戦は2度目でハマった。

速くなりすぎない馬場質、展開、相手がややパフォーマンスダウン必至のところで、インディチャンプは気持ち動き出しが速くなってしまう好位付けで、先のサリオスは去年の自分のようなアンバランスな体調…。

気を見て、グランアレグリアに差し負けない可能性もどこかに秘めた、超人気薄に転じたディープ産駒が、その大本命であるグランアレグリアを負かしたところで、不思議はない。

乳酸値か精神面のいずれかが不安定化するのだろうマイルで激戦、快走を経た後の安田記念参加者は、万全の状態ではない。

自分がいつもそうして本番で負けてきたことの裏返しで、自分が最高の状態で戦える舞台を得た時、見事な一変。

人気は全くなかったが、やや研ぎ澄まされすぎた天皇賞を経て、精神面の余裕をかなり取り返したダノンキングリーを、本質まで走らなかった川田騎手だったので、あの溜めのきいた競馬になった、勝利に繋がったことになる。

力負けではないグランアレグリア、若いシュネルマイスター、立て直された時のサリオスの底力。

もっと輝く舞台がまだ先にあるとすれば、この秋にこうした結果を紡いで行ければ、もう元に戻ったダノンキングリーである。

他の中距離型にも、大いに気になる存在である。

同じ勝負服のプレミアムだって、本当はこれは痛い結果なのだ。

いい意味で、フラットの秋競馬に転じそうな雰囲気になってきた。

ファンの期待感は、再び、積み上げていくことで生まれる大きな感動へと、昨年とは違う形で実を結ぶはずだ。