安田記念2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ロマンチックウォリアー(3.6倍)2着ナミュール(10.0倍)3着ソウルラッシュ(4.0倍)
レース名 | 第74回安田記念 |
日程 | 2024年6月2日 |
優勝馬 | ロマンチックウォリアー |
優勝騎手 | J.マクドナルド |
勝ちタイム | 1:32.3 |
馬場 | 稍重 |
3連単配当 | 17,740円 |
安田記念2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 7 | ロマンチックウォリアー | 1:32.3 | - |
2 | 5 | ナミュール | 1:32.4 | 1/2 |
3 | 10 | ソウルラッシュ | 1:32.4 | ハナ |
4 | 2 | ガイアフォース | 1:32.6 | 1 |
5 | 17 | セリフォス | 1:32.7 | 1/2 |
単勝 | 7 | 360円 |
複勝 | 7 | 160円 |
複勝 | 5 | 300円 |
複勝 | 10 | 150円 |
枠連 | 3-4 | 2,100円 |
ワイド | 5-7 | 1,260円 |
ワイド | 7-10 | 350円 |
ワイド | 5-10 | 920円 |
馬連 | 5-7 | 2,850円 |
馬単 | 7-5 | 4,220円 |
3連複 | 5-7-10 | 3,280円 |
3連単 | 7-5-10 | 17,740円 |
安田記念2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「とても快適にレースに入りましたし、まさにチャンピオンホースです。私をはじめ我々のチームが日本に来て、勝って、大変誇りに思います。今日はこの馬の強さを皆さんにお見せできたことも嬉しく思います。安田記念は特別な名誉あるレースですし、この馬は本当に心の広い馬で、今日もベストを尽くしてくれたと思います。大変良いスタートを切ったと思いますし、今回(JRA)初勝利ということで、誇りに思っています。勝つには大変難しいレースだと思いますし、他の優秀な馬とジョッキーが参戦している中で勝てたということは、大きな名誉です」
※優勝した選手J.マクドナルドのコメント(ロマンチックウォリアー)
安田記念2024 - レース結果動画(YouTube)
安田記念2024 - 回顧
父のアクラメーションはスプリンターであったが、高松宮記念を制したマッドクールがその直系で、この馬の父であるダークエンジェル共々、完全な速い馬のラインを形成したのに対し、元は、トライマイベストのラインであることを踏まえた時、10F王者が誕生したことの方が不思議であった…、ということもできる。
このラインからは、サトノクラウン→タスティエーラという東アジア12Fラインを形成する世代のエース級が登場しているのだが、本来は、芝の根幹距離であるマイル近辺にツボがある馬が、やはり、本物に育つことを、香港では叶わずとも、その本質部分を日本で示した意義は、ケンタッキーダービーでサンデー直系のフォーエバーヤングが惜しい結果に終わったように、大変な功績であると同時に、重要な部分を継承していることを証明したという点でも、価値があった。
母方にはジャパンCを制したシングスピールが入り、マキャヴェリアン直系の母父系の系譜からも、ここに絡むヘイローがクロスしたことでも、一定の日本適性はあったが、これら全てが、アイルランドで生産されたこのモンスターの誕生の背景にあることを踏まえた時、価値ある血の渇望を、南米に求めた<ヘイローが入る実力馬が多い地域>日本のホースマンの意欲に、一定の理解ができる。
去勢されてしまうのが普通の香港競馬にあって、価値ある血の継承は念頭に置かれていない背景に鑑み、こうしたことへの興味を、当地の有識者が、本土というか中国に作ることは容易ではないにせよ、オーストラリアとの行き来の中で、牡馬と牝馬の活躍の場を求める、真の意味での進化を遂げた時、日本競馬にとって、驚異のライバルになる可能性を感じる。
同時に、こういう日本向きの配合が当地でエースとして君臨するのだから、日本の生産馬も買われる可能性を示す、このロマンティックウォリアーンの縦軸<オーストラリアと日本と香港では、オーストラリアの左端以外は、時差は小さい>ジャックの大型キャンペーンに、新時代突入の可能性を感じてしまった。
もう、時代のことを考えない競馬をする消費の興行では、きっと物足りなくなってきたはずである。
何も怖いものはないと言わんばかりの、パドックにおける堂々とした振る舞いに対し、地下馬道から本番に入り、返し馬に入るあたりまでのロマンチックウォリアーに、妙な胸騒ぎを覚えたファンは多かったはずだが、アンチの気持ちもよそに、34.5→46.4→58.4の展開で、レース上がりはまずまず速かったが、正攻法の立ち回りだったこの大本命は、例によって、差し馬が外から追い込んできたグループを相手にせず、自身33.4秒という、びっくりするほど俊敏な反応で、誰にも何もさせなかった。
雨は小雨でしかなく、滑ることは想定内だったが、急に降った雨ではない。
朝の雨量がある程度あったから、稍重がずっとキープされ、その馬場質に差がない状況が続いたとするのが正確な馬場判定であろう。
速い馬が少なかったとはいえ、前走でスプリンターに混じって好走のウインカーネリアンが前につけた流れが、上がりの速さの割には、ハイペースまでは経験の少ない中距離型のロマンチックウォリアーには厳しかったはずだが、唯一、抵抗を試みた横山典弘騎手のステラヴェローチェが序盤少し掛かり気味だったほどで、出したとて、少し気持ちを抑えるのが難しいほどの展開は、このワールドチャンピオンには適温の水で洗ってもらえる香港の洗い場のような雰囲気であったはず。
他が何もできないのは仕方ない。
何しろ、マイナス体重ながら、体調は本物でないにせよ、1年余り前にゴールデンシックスティに挑んだ時の馬体重と全く同じ520kg台前半の数字。
外の空気を吸いなれた、当地では珍しいアイルランド生まれのこの豪傑に、見果てぬゴールが遠い向こうにあることが分かった安田記念であったのに対し、陣営は大いに満足であろう。
ゴールデンシックスティが強いと同時に、自身の才能が確かなものであることを、肝心の狙いあるG1で、2か国優勝である。
誰でもできることではないが、いかに、BCディスタフを制したマルシュロレーヌやドバイで毎年頑張っているウシュバテソーロが有能であるか、また、その才能を送り込んだステイゴールド→オルフェーヴルの凄まじい生命力に、改めて、感嘆するのである。
ウシュバテソーロも立派だが、アジアの頂点に、このロマンチックウォリアーがいることは、誰もが認めるところとなった。
マクドナルド騎手も素晴らしいが、抵抗できたのがメンバー最年長のイケイケおじさんだけだったのは、少し物足りないところか。
まあ、馬が強すぎたから、騎手の腕とのマッチングで、武豊・横山典弘ラインが少し機能した安田記念であったことが、せめてもの救いだろう。
今回、ルメールは簡単に勝てる実力のある馬に乗っていたわけではない。
立派に復調を示したナミュールは、使っていく中で、ハービンジャーには約束に近い稍重馬場をよく駆けたことになるが、スローが合わないというタイプではない一方、どこがホームなのかと問われた時、どちらと言えば、京都ではないのか…、という追撃に甘んじた。
よく詰めてきたが、外差しばかりが決まる、昔の安田記念のような近年の傾向もあって、むしろ、この流れに抵抗したのが、超合金ボディのロマンチックウォリアーの方であって…。
完敗であろう。
モレイラのソウルラッシュもロマンチックウォリアーの一段後ろだったガイアフォースも大して負けていないが、意図して下げての勝負で一発を狙った川田騎手のセリフォスだけが、少し不発に近かったか。
上位5番人気以内で掲示板内が決まった堅すぎる一戦の中で、どの馬も全力で走れたはずのレースの中で、何もかもハマらなかったので少し悪目立ちしていた。
ダービーも悪いことはなかったし、ヴィクトリアマイルもまずまずだった川田騎手は、NHKマイルC優勝後、オークス以外であまり見せ場を作っていなかったが、土曜日は元気だった。
スランプではないが、もうルメール騎手が来週に勝ち星で抜こうとしている。
ルメールが凄まじいことは間違いないが、早めに自分を取り戻しておきたい。
まだ、リバティアイランドに対するもやもやでもあるのだろうか。
結果的に、逃げたドーブネがしんがり負けで、ウインカーネリアンも似たような着順であったが、勝ったモンスター・ロマンチックウォリアーに対し、大差の基準である10馬身ほどの着差の中で、全馬がゴールしている。
香港ではスローがほとんどであり、こうしたこともままあるが、みんな強いということはないから、距離が延びれば、当然、こうしたことは稀になる。
実は、今年も出ていたカテドラルが一昨年の最下位18着だったのだが、この前の着順だったカフェファラオと先頭ゴールのソングラインとのタイム差はわずか1秒。
カテドラルだけが置かれて、レースそのものは1.7秒以内で全馬完走となっていたが、ご存じの通り、ソングラインは連覇を決め、シュネルマイスターもしっかりと好走していた。
今年も残念だったセリフォスは、その年から毎年参加。
極端な高速決着が近年ほど減り、結果、香港の強豪を呼び込むことに成功したのだが、何も、地元勢が負けたのが良くないということだけでもない。
十分にロマンチックウォリアーもセリフォスも来年を期待できる存在だ。
上がり勝負の厳しさはあったが、1:32.3。
激しすぎる皐月賞が、意外な結末を生んだダービーの翌週だけに、結果的にも平穏だった安田記念に、競馬の在り方を改めて考えさせられた気もする。