安田記念2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り
目次
安田記念2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | 第74回安田記念(G1) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2024年6月2日(日) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 東京競馬場 |
距離 | 芝1,600m |
コース | 左回り |
賞金 | 1億8000万円 |
レコードタイム | 1:30.9 |
安田記念予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
安田記念の予想オッズと登録馬
安田記念2024の予想オッズと登録馬
枠順 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | カテドラル | 斎藤 新 | 牡8 | 58.0 | 212.0 | 18 | 栗東・坂路・良(斎藤新) 800m 53.3-38.3-25.2-12.3(末強め) | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 53.7-38.8-24.7-12.1(馬なり) |
1 | 2 | ガイアフォース | 長岡 禎仁 | 牡5 | 58.0 | 17.6 | 7 | 栗東・坂路・良(長岡禎) 800m 52.4-38.3-24.1-11.8(一杯) | 栗東・坂路・稍重(長岡禎) 800m 53.0-38.3-25.0-12.5(馬なり) |
2 | 3 | レッドモンレーヴ | 横山 和生 | 牡5 | 58.0 | 23.4 | 11 | 美浦・坂路・良(助手) 800m 53.8-39.3-26.0-13.0(馬なり) | 美浦・坂路・稍重(野中悠) 800m 55.3-39.7-25.4-12.4(馬なり) |
2 | 4 | ジオグリフ | 北村 宏司 | 牡5 | 58.0 | 26.4 | 12 | 美浦・ウッド・良(北村宏) 7F 98.1-66.8-52.0-37.4-11.1(馬なり) | 栗東・坂路・稍重(助手) 6F 84.1-67.4-52.5-37.9-11.6(馬なり) |
3 | 5 | ナミュール | 武 豊 | 牡5 | 56.0 | 5.6 | 4 | - | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 56.0-40.7-25.5-11.9(馬なり) |
3 | 6 | ドーブネ | 菱田 裕二 | 牡5 | 58.0 | 52.2 | 15 | 栗東・CW・良(菱田裕) 6F 77.9-63.4-50.1-36.8-12.0(末強め) | 栗東・CW・稍重(助手) 6F 81.6-66.2-51.8-37.2-12.0(強め) |
4 | 7 | ロマンチックウォリアー | J.マクドナルド | セ6 | 58.0 | 3.7 | 2 | - | 東京・芝・良(マクドナルド) 6F 75.7-60.8-47.3-34.3-11.5(馬なり) |
4 | 8 | エアロロノア | 幸 英明 | セ7 | 58.0 | 62.5 | 16 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 51.3-37.9-24.7-12.3(一杯) | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 53.0-38.2-24.5-12.1(強め) |
5 | 9 | パラレルヴィジョン | C.ルメール | 牡5 | 58.0 | 13.6 | 5 | 美浦・ウッド・良(助手) 5F 66.8-51.8-37.6-11.8(馬なり) | 美浦・ウッド・稍重(助手) 5F 68.3-52.4-37.4-11.4(馬なり) |
5 | 10 | ソウルラッシュ | J.モレイラ | 牡6 | 58.0 | 2.9 | 1 | 栗東・CW・良(水口優) 6F 81.5-65.6-50.3-35.9-10.9(一杯) | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 53.1-38.4-25.0-12.1(馬なり) |
6 | 11 | ウインカーネリアン | 三浦 皇成 | 牡7 | 58.0 | 27.0 | 13 | 美浦・ウッド・良(三浦皇) 6F 78.8-64.6-50.8-36.4-11.2(馬なり) | 美浦・ウッド・稍重(三浦皇) 6F 85.3-68.7-53.0-37.9-11.7(馬なり) |
6 | 12 | フィアスプライド | 坂井 瑠星 | 牝6 | 56.0 | 21.2 | 9 | - | 美浦・ウッド・稍重(助手) 6F 83.9-67.7-52.9-38.0-11.8(馬なり) |
7 | 13 | ステラヴェローチェ | 横山 典弘 | 牡6 | 58.0 | 19.3 | 8 | 栗東・CW・良(横山典) 7F 93.0-63.5-50.3-36.7-12.0(馬なり) | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 53.7-38.5-24.9-12.3(馬なり) |
7 | 14 | コレペティトール | 岩田 康誠 | 牡4 | 58.0 | 66.2 | 17 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 52.6-38.0-24.7-12.3(強め) | 栗東・坂路・稍重(助手) 800m 53.2-38.4-25.4-12.7(一杯) |
7 | 15 | ヴォイッジバブル | Z.パートン | セ6 | 58.0 | 17.0 | 6 | - | 東京・芝・良(助手) 5F 71.0-54.8-39.6-12.4(馬なり) |
8 | 16 | エルトンバローズ | 西村 淳也 | 牡4 | 58.0 | 23.4 | 10 | 東京・ダート・良(西村淳) 6F 84.2-67.8-52.4-37.2-11.8(強め) | 東京・芝・良(西村淳) 6F 84.0-67.5-52.2-37.0-11.7(馬なり) |
8 | 17 | セリフォス | 川田 将雅 | 牡5 | 58.0 | 4.5 | 3 | 栗東・CW・良(川田将) 7F 95.1-64.6-50.7-35.9-11.2(馬なり) | 栗東・坂路・稍重(調教師) 800m 56.9-40.4-26.2-12.7(馬なり) |
8 | 18 | ダノンスコーピオン | 戸崎 圭太 | 牡5 | 58.0 | 46.7 | 14 | 美浦・坂路・良(助手) 800m 57.6-42.1-27.2-13.4(馬なり) | 美浦・坂路・良(調教師) 6F 85.1-69.1-53.6-38.4-10.8(馬なり) |
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
逃げ馬 | 1回 | 3回 | 0回 | 16回 | 5.0% | 20.0% | 20.0% |
先行馬 | 4回 | 3回 | 3回 | 57回 | 6.0% | 10.4% | 14.9% |
差し馬 | 12回 | 8回 | 10回 | 131回 | 7.5% | 12.4% | 18.6% |
追い込み馬 | 3回 | 6回 | 7回 | 76回 | 3.3% | 9.8% | 17.4% |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 1回 | 3回 | 2回 | 31回 | 2.7% | 10.8%% | 16.2% |
2枠 | 3回 | 3回 | 3回 | 28回 | 8.1% | 16.2% | 24.3% |
3枠 | 3回 | 2回 | 1回 | 33回 | 7.7% | 12.8% | 15.4% |
4枠 | 1回 | 2回 | 2回 | 34回 | 2.6% | 7.7% | 12.8% |
5枠 | 4回 | 3回 | 0回 | 33回 | 10.0% | 17.5% | 17.5% |
6枠 | 0回 | 3回 | 3回 | 34回 | 0.0% | 7.5% | 15.0% |
7枠 | 6回 | 2回 | 3回 | 42回 | 11.3% | 15.1% | 20.8% |
8枠 | 2回 | 2回 | 6回 | 45回 | 3.6% | 7.3% | 18.2% |
種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 47回 | 22回 | 20回 | 199回 | 16.3% | 24.0% | 30.9% |
ハーツクライ | 27回 | 34回 | 23回 | 178回 | 10.3% | 23.3% | 32.1% |
ハービンジャー | 24回 | 15回 | 16回 | 129回 | 13.0% | 21.2% | 29.9% |
ドゥラメンテ | 18回 | 15回 | 10回 | 87回 | 13.8% | 25.4% | 33.1% |
キングカメハメハ | 14回 | 16回 | 17回 | 107回 | 9.1% | 19.5% | 30.5% |
ルーラーシップ | 14回 | 9回 | 13回 | 124回 | 8.8% | 14.4% | 22.5% |
オルフェーヴル | 11回 | 13回 | 7回 | 66回 | 11.3% | 24.7% | 32.0% |
ゴールドシップ | 11回 | 12回 | 5回 | 78回 | 10.4% | 21.7% | 26.4% |
エピファネイア | 10回 | 17回 | 17回 | 98回 | 7.0% | 19.0% | 31.0% |
ステイゴールド | 10回 | 14回 | 9回 | 81回 | 8.8% | 21.1% | 28.9% |
安田記念2024 - 過去10年のデータ傾向
日本人騎手で1番人気に最後応えた人はというと…
モーリスとその前の年のジャスタウェイなどは、乗ったことのある騎手で勝ったのだが、主戦ではない。
その後乗ることはなかったし、究極に近いピンポイント参戦で結果を出したのが、川田将雅、柴田善臣ならば、納得に行く部分はある。
川田騎手はそのあと2勝している、善臣大先生はヤマニンゼファーの連覇に貢献し、第1回のNHKマイルCでタイキフォーチュンをG1馬に導いた東京G1の申し子的存在だった時代がある。
すぐ後に、サイレンススズカを失った天皇賞での7歳馬・オフサイドトラップとの痛快な裏街道3連勝物語完結のシーンも、我々は目撃している。
思えば、その後は田辺騎手のイルーシヴパンサー<少し前に引退>が、あまりにも派手派手な東京でのパフォーマンスで人気になって、なかなかひどい負け方をしていたが、あとは、ベリーにデムーロとルメールたくさんと、カタカナ過多状態。
質が悪いというか、それらが全部負けているのは、何かの影響がありそうなのだが、解明まではできない。
馬の出来の問題ではあるのだが、元から荒れやすい安田記念なのであるから…。
海外のアジア圏からお帰りの方々、遠征の方々は、いい線止まりが少し多い
ここ5年で、前走ドバイターフ組が3度馬券に絡んでいるが、何だかパッとしない。
考えてみると、ジャスタウェイしか勝っていないのだ。
アーモンドアイと互角であったところで、それ以上とはならないが、それはモーリスやセリフォスなどとの比較でも同じ。
いずれにしても、大阪杯→宝塚記念のようなシステマティックなプログラムで、毎年のように好走馬を送り込むような流れにはなっていない。
着順を落とすイメージでよいのだが、今年は、ウオッカスタイルで、近年の例からは、ソングラインと同じ臨戦過程でナミュールが登場する。
これは厄介だ。
明らかに体調一歩の印象が拭えなかったナミュールは、香港にもドバイにも言っていただけでなく、前後に日本の高速マイルを使って、全て好走だったから、消える理由はいくらでもあったが、今回はソングラインが不利で負けた後の盛り返しだったのに対し、一旦そこを見た後の一戦であるから、いずれにせよ、割り引きだろう。
括り方は香港勢と同じ、若干、ベストパフォーマンスから一定分を差し引いたところで、皆とフラットになるというような見解が尤もらしい落としどころか。
スピードのある香港馬が増えているので、日本勢もあちらでは太刀打ちできないでいるが、その逆もまた然りであろう。
リピーターと言っても、ヤマニンゼファーやソングラインの例は稀
ソングラインの連覇は、2008、翌09年連覇のウオッカ以来。
その前は連続好走のタイキブリザード<4歳時から参戦して、3、2、1着>など、古くから、特殊な組み合わせではないにせよ、メンバーが集まるわりには、とんでもない結末が待っているケースが多い。
昨年はソングラインが中2週に耐えられなかったら、それこそ大変なことになると思い、不発弾ばかりを仕込んで自滅した筆者であるが、スターの度合いで双璧以上のロマンチックウォリアー殿と若干一名の遠征組は、かなり濃ゆい面がある一方、特殊な3歳馬で勝ち負けになる馬はあまりいないという傾向と合わせて、古馬優勢の流れは香港の競馬の伝統や傾向から当然あるにしても、高速マイルは極めて特異条件。
アーモンドアイでさえも、不完全であるために失態を演じたほどで、グランアレグリアなども含めて、基本的には、順位を落とす。
ただ、また来るということは変わりないので、今年ならセリフォスやガイアフォースを切る理由はないのだが、タイキブリザードのようにゆっくり成長する馬もまた珍しく…。
タイキブリザードに倣うなら、前年のカナダ遠征が最後の成長のピースになったと言えるし、ウオッカも似たような経緯がある。
ヤマニンゼファーは後付けだが、父ニホンピロウイナーが勝てなかった天皇賞に挑むために、若き日の善臣騎手を乗せたような展開になっていった。
この点からも、3歳時から挑戦し続けるセリフォスを切る理由がますますなくなったことにもなるだろう。
買い方だけ気を付けたい。
急に来る、朝日杯勝ち馬の謎を読み解く
一応、皐月賞快勝馬とNHKマイルC優勝馬を指す、ロゴタイプやグランプリボスの例を挙げたのだが、いずれも休み明けで快勝しそうな感じできたから、少し厄介。
グランプリボスは4歳時も来ているが、人気があった。
6歳の時はジャスタウェイとの極悪馬場での一騎打ち。
ロゴタイプもモーリスを倒した翌年、今度はサトノアラジンを覚醒させるために逃げた上での2着があった。
前兆はいずれもなかったに等しく、相手が強かったので、何かが狂ったところでハマったという、そんな理由しか見当たらない。
いずれも荒れ馬場で、芝も少し重たかった上に、何故か、35秒台でいって、59秒台で1000Mをまとめる先行型がいたから、もっと速くなる安田記念の中では、様々な条件が重なっていたことになる。
ただ、時折、ハイバランスで前後1秒以内のレコードラインを作り出す先行型が押し切りそうな時もあって、反対に前崩れが著しい年が、最近は減った分、スローだと差しが決まるから、一定の読みが必要。
一計を案じて、かつての2歳王者快走の怪に接したのであれば、ステラヴェローチェの可能性を読み解く中で、一度はこなした中距離を、いよいよ走り切れなくなっているだとか、ローテが固まってくる過程で、普通とは違う臨戦過程となった時こそ、結構な狙い目。
大阪杯に出られる保証こそなかったが、大阪城Sで快勝することで、その枠に入り込んできたステラヴェローチェには、不良馬場の東京重賞勝ちと直後のレコード決着になった朝日杯2着の実績がある。
中山時代の朝日杯はハイペースが当たり前で、それがクラシック戦にも古馬戦にもわずかに繋がる面があったが、このゴスホークケンの甥っ子は、阪神でその珍しい展開を経験し、クラシック好走に繋げた経緯がある。
フレッシュなこの6歳馬は、長休明けの富士Sで好位につけて、7着になった昨秋も、諸々リセットする目的で過激な先行の手に出た横山典弘騎手のダノンタッチダウンについていくという無謀な手を取った割には、バタバタにはなっていなかった。
必然の春の連続好走は、安田記念好走・快走で、燃え尽きるまでに至らなかったクラシック惜敗の結果を満額回答する、一定の結論を出すことになって不思議はない。
安田記念2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム
時折、若い頃よく走っていた馬が、突然甦ることのあるレースだからこそ、高速マイルでの大逆襲にここは期待したい
ステラヴェローチェの血統
父のバゴは、凱旋門賞を通常のロンシャン開催では、今でも歴代3位となる勝ちタイムで制した馬だからこそ、日本に連れてこられた経緯がある。
似たような位置づけのキングジョージ覇者であるハービンジャー、ノヴェリストらなども、一応、そうした根拠でスタッドインしたと思われる。
そういうことが関係しているのか、日本のスピード競馬に適応力のある、血が煮詰まっている配合と組み合わせることで、成功の可能性があったバゴは、初期に菊花賞馬のビッグウィーク<川田将雅・クラシック2勝目>こそ出したが、翌年のクラシックにフラワーC勝ちのオウケンサクラを桜花賞に送り込むと、びっくりすることに三冠全て獲るアパパネに続く2着。
その後、スターフィリーになるミスグランプリ・クロノジェネシスが登場する前に、今度は、母父ステイゴールドのクリスマスが、驚愕の快速振りで、函館2歳Sを完勝してしまった。
彼女はその後も、短い距離で活躍した典型的なスプリンターだった。
クロノジェネシスは母父クロフネで、母母はフサイチエアデールと姉妹の関係。
狙い通りに、北米のスピード系との相性の良さを発揮したのだが、思われているより、ずっと母方の影響を受けやすい側面は、ブラッシンググルームの変幻自在ぶりを、まざまざと見せつけたそれでもある。
サクラローレルもいるが、早熟モンスターのアラジも同じブラッシンググルーム系。
当たりハズレの幅の大きさも、ある種の魅力である。
この馬の配合はディープ肌で、父はナシュワンの仔であるという関係から、ハイクレアは4×5で程よい効果を示しそうなところにある。
同時にミスタープロスペクターやヘイローも入ってくる複合型のスピードクロスは、古馬王者・バステッドのクロスも併発するところで、遥かに効果的に機能する、本格派の芝高速レース向きの性能を保持しつつ、欧州系の早熟型とは一線を画す直系であるから、ディープ関連のクロスにヘイローが重なった表向きのインブリード効果はあっても、やはりクラシックは大健闘止まりだったように、機を待って、再挑戦の方がいいようにも思う。
よく考えると、そうした本質が不良馬場の芝重賞2戦2勝の結果に繋がっていたのかもしれない。
クロノジェネシスもジュベナイルフィリーズ2着馬だった。
高速朝日杯2着のステラヴェローチェから、何も、未来が奪われたことはないだろうことは、ここ2走の頑張りからも、容易に想像がつく。
安田記念2024 - レース展開と最終予想
川田騎手と共に、変則の7月阪神開催でデビューしたステラヴェローチェは、2歳シーズン全て、芝のマイル戦であった。
ところが、須貝調教師が当時すでに、日本のエース級のレベルに上り詰めてようとしていた川田将雅騎手を配した理由が、実によくわかるようなレースぶり。
抑えようにも腕白だったこの少年は、掛かるそぶりを見せながら、余裕しゃくしゃくで二つのコーナーを回り切って、突き抜けそうな感じもあったが、フラフラ走ることもあったし、まだまだ内面が完成に程遠いところで、当時期待されていたグルーヴビートに追い詰められたものの、ゴール前ではもうひと踏ん張りし、並ばせる前でゴールすると、何だか、その後の方が走る気に満ちていたほど、走る馬特有の気性がよく見られた初戦となった。
以降、横山典弘騎手へと手綱を渡して、距離延長などの、将来展望を見据えた戦略上の教育課程に入っていくのだが、不良馬場を直線で仕掛けを待った中で突き抜けたサウジアラビアロイヤルC、掛かる馬ばかり集まった朝日杯で、予測した以上に速い展開になったところで、スピードレースを得意とすることが判然としたグレナディアガーズのためのレースになった意外な展開でも、内から進行してこれを追い詰めた結果など、後に、クラシック三戦皆勤、いずれも好走の結果に繋がりそうな雰囲気はあったのだが、共同通信杯で人気を裏切り、現在療養中である吉田隼人騎手へ乗り替わり<ソダシとの絡みでスイッチが決まったようなところもある>、つい最近まで主戦級だった、デムーロ騎手とのコンビで好走したことは数知れず、勝ち切ったのは、あのシャフリヤールが爆死した不良馬場の中京・神戸新聞杯<今年復活>だけであった。
ダービーメソッドのようなものを教え込むこともできただろう横山典弘騎手は、息子の武史騎手が大ブレイクするきっかけとなったエフフォーリアの名が全国区となるきっかけである共同通信杯を終えた後、道を変えるように、関西に拠点を置くと同時、もう一人の息子である、職人気質な面を引き継いだ和生騎手などと、不要な争いを避けるべく、本来の庭である東京や中山などでは、乗り鞍そのものを減らしているような面が、最近は見受けられる。
京都や阪神などでは4、5鞍乗るところを、特別戦など、目的を持った遠征理由を生んだ騎乗馬以外だと、若手では安心して任せられないような癖馬を除き、まず3レース以上乗ることは稀といった感じ。
そんなところで、様々な出来事が起きたりしながら、今年は中山で重賞2勝のノリ騎手は、妙な具合で、大きな出来事が今年集中。
実は、2943超えだとか、因縁の地・ドバイへの渡航など、ドラマチックなストーリーが散見される中で、最もその象徴的な出来事が、長期休養から復活したステラヴェローチェとのコンビ再結成なのである。
ちょっと前というか、もう十年以上も前のことだが、藤沢和雄調教師と仲違いするような出来事が、問題児であるペルーサ<本家と似たような顛末となってしまった幻のダービー馬>との絡みの中で発生して、しばらく黄金コンビ結成は見られなかった。
少し時間を経て、ペルーサの馬主との関係で、藤沢・横典コンビの組み合わせは何度かあったと記憶するが、ルメール時代へと突入すると、気づけば、御大は競馬界を去っていた。
騎手学校では一期上で、プロデビューは縁あって同期となった武藤善則調教師とは、ついこの間のヴィクトリアマイルで初G1獲りを目指すべく、モリアーナとのコンビで挑むというようなことはあったが、これは途中から主戦となった馬の話。
案外、こじれるととことんというのは、武豊騎手に対する、社台マター、近藤利一マター<アドマイヤの冠号で著名だったあの名物オーナー>での、露骨な絶縁にも等しいエース級への騎乗依頼の激減ぶりからも、明らかである。
そういう過程で、横山典弘騎手がロジユニヴァースでダービーを獲って、2着は武豊騎手のリーチザクラウンだったという年があった。
盟友がライバルの初制覇を祝福する馬上でのハイタッチにも思えたが、個人馬主同士の所有馬とはいえ、どちらも社台、ノーザン両有力牧場産で、人気が岩田騎手<無論、後の望来騎手はまだ小学生の時代>のノーザンファーム産・サンデーレーシングのアンライバルドであったから、今にして思えば、そういうことなのかと思ったりもした。
武豊が乗りそうなスペシャルウィークの牝馬・ブエナビスタに、横山典弘が乗っていた時期もあるような時代。
すっかり、レジェンドと化した両者には、過去の四方山話の一つになってしまったわけだが、この須貝厩舎の因縁がある馬で、再騎乗というのは尋常ではない展開なのである。
大阪杯のすぐ後に、次走の予定と同時に、鞍上が公表された時点で、ふと、この少し古くなりかけたダービーのことを思い出した。
妙なもので、乗ったことのないダノンタッチダウンに特殊なアプローチを仕掛けて、ほぼ暴走特急化したというあの富士Sで、予定されたデムーロ騎手とのコンビで復活なったステラヴェローチェが追いかけるという展開になった。
両者、直線は止まったのは当たり前として、当のステラヴェローチェは、マイルの走り方を突然思い出したかのように、かなりの抵抗を試みるが、後にシルクロードSで奮闘を見せるエターナルタイムにルメール騎手といういつもあれが、無事回ってくることが最重要課題だった人馬の勝ち気を奪ったようなところもあり、一旦は圏外に見えたが、ナミュールやレッドモンレーヴらとは末脚の破壊力の差で勝負にならなかったものの、久々で古馬のマイル戦初というこのレースで、まるで春以来の競馬くらいの感じで進んだその内容に、可能性を感じずにはいられなかった。
武蔵野Sを挟み、ベテランにして、数多くの個性派を勝利へと導いてきた小さな巨人・酒井学騎手が、大阪城Sで彼を勝利に導くなどというのは、この時点で、ほぼ既定路線だったのかもしれない。
前走の大阪杯は抑えるしかないほど、ワンターンからコーナー4つの競馬に適応させる中で、しかし、前進気勢もあるからこその中団待機だったから、しっかりと前を追い詰めて、僅差の4着に入ったことは、素直に復調したと断言できる、明確な好調の証としていいだろう。
復元された活力漲るステラヴェローチェに相応しい鞍上を求めた結果…。
休養中に名義を変えざるを得なくなった馬主側なのか、調教師の側なのか、依頼を受ける側というスタンスをまず変えることのない昔気質の一流騎手像を、今もなお、そして最後までブレることなく体現する横山典弘騎手のようなタイプに、多くの言葉は無用でも、同じ目的意識で勝負をしようではないか、という心のこもった熱意は伝えているはずである。
ステラヴェローチェがターフに戻ってきた後、ヴェローチェの馬に乗る機会はあったはずだが、除外などもあったと記憶する。
騎手としては一つ上のヨシトミちゃんと同期であった須貝尚介調教師は、武豊騎手ら、同世代の選ばれし老兵たちの飽くなき探求心と志の高いその姿勢に、関心しているというような口ぶりで語るというようなコラムも目にしたことがあるから、武豊騎手が社台系のクラブ馬に乗ってどんどん勝っている最近の好況ぶりからも、ここの関係そのものは壊れていないようであるが、表沙汰にならないまでも、横山典弘は時に、余計なことを言ってきたことを、業界歴の長い関係者はよく知っているだろう。
それがステラヴェローチェ降ろしとは関係ないにしても、彼が完調でないから、武史のエフフォーリアに敗れたのは真相なのに、そうは思わず、大勢の想像した「息子をよいしょ」の説に乗っかったような展開が、ステラヴェローチェを不幸にした最大の理由なのかは兎も角、あの時のダービーで、レッドジェネシス<岩田・アンライバルドで敗れた友道厩舎の馬、師はその後、ダービーをここまで3勝していて、今年は無敗のジャスティンミラノを送り込んだ>ではなく、こちらに乗っていたならば、福永祐一の連覇も武史の初戴冠も阻んでいた可能性は、結果が3着だっただけに、少し考えてしまいたくなる。
あのダービーは妙にスローに流れた展開。
皐月賞も菊花賞も消耗戦だったから、勝ち馬の強さも際立っていたが、ステラヴェローチェが一番惜しかったのは、結局、上がり勝負の決着で熾烈な3着争いを制したダービーだった。
東京も高速の上がりの勝負にも適応力がある上に、雨馬場は大歓迎のバゴ産駒。<良馬場での開催は難しそうな予報が出ている>
何となく、ここ最近の、下振れせずにハイラップになってしまいがちな全体傾向も味方につけて、強烈な決め手を繰り出しそうな雰囲気がある。
数字の上がり上位の率の高さは本質を捉えてはいない部分もあるが、マイルは未だに得意そうだとわかっているから、有力馬が前に行けば、より有利な展開が見えている。
遅くなりそうなら、馬の具合を見て、さっと前につけてしまうのが、名手横山典弘の本質でもある。