真の国際派<躍動を読む> / 最新・血統セミナー
近年のGⅠ勝ち馬の血統傾向
下記の箇条書きは、近年のGⅠ勝ち馬の血統傾向を、大まかにまとめたものである。
- 異系種牡馬の妙<06秋~07春>
- 非サンデー系種牡馬の躍動<07~>
- 主流の偏在と強いクロスが持ち味の馬の年<08~>
- 濃いインブリードと母系が良質の3歳馬が台頭<09~>(サンデー直系の孫が本格的な活動期に入る)
- 外国馬と結託したサンデー系いじめ<10~>
- ノーザンダンサークロスの天下<11~>
- ミスプロ、ステイゴールド、ぼちぼちディープとそこそこ孫サンデー<12~>
- ノーザンダンサーとサンデーと元気なナスルーラだけの組み合わせ<13~>
- 土着牝系出身のサンデーとディープにときどきカメとクリスエス<14~ここまで>
これに主要な海外遠征で活躍した馬を照らし合わせると、
アドマイヤムーン
―
―
ナカヤマフェスタ、ブエナビスタ、レッドディザイア、トランセンド
ヴィクトワールピサ
オルフェーヴル、ロードカナロア、アドマイヤラクティ
ジェンティルドンナ、ジャスタウェイ、ハナズゴール
キズナ、(エピファネイア)
海外遠征をするのは、日本馬の場合は大半が3歳秋以降。古馬に挑むことになるから、便宜上、クラシック後の3歳馬をその世代の馬と置いた。 実は、海外の重賞勝利とGⅠでの好走実績のある彼らには、サンデーの血が入っているいないに拘らず、傍流血脈が入っているのが基本。 サンデー直仔去りしクラシックは、海外遠征2年のスランプという副作用をもたらした。
あと、ハープスターとジェンティルはクロスの掛かり方が似ているのだが、ハープスターには多く入った欧州チャンピオン競走での勝ち馬の血が、ジェンティルドンナは母ドナブリーニ<英2歳GⅠ優勝>くらいしか見当たらない。 これが、成功の鍵を握っているのかもしれない。 ハープ・今度こその末脚炸裂は、ディープインパクトの底力を反映した結果になるのだろうが、相性というのは常に、自分にない他方を求める傾向にある。少し見物である。
いずれ海外の主要競走の馬券は買えるようになるから、国外で影響の出る差異の部分にはより敏感でいたい。
敢えて括弧で閉じたエピファネイアは、国外戦への適性がまだはっきりしていない点に加え、次なる大舞台での決戦に向けた不安材料がある。 今の世界の主流たるナスルーラの子孫やノーザンダンサー、日本で根幹血脈を形成したヘイルトゥリーズン系との共通の祖先であるネアルコと、ネイティヴダンサー-レイズアネイティヴ-ミスタープロスペクターのラインは、共通してファラリス系に集約される。 ダーレーアラビアン系は、これを主幹血統にし、それ以外を傍流とするのが基本。 ファラリス系とその他の異系も含めた傍流系統との対比は、一般的には3対1程度で良血の度合いを落とさずに済む。
そこで通用する馬とそうじゃない馬を分類すると、暮れの香港の最先着馬には、父の母系にヘロドやマッチェムの血を4代以内に持つ共通項があった。
日本の重賞への外国馬の出走は限られる。 その勝ち馬が海外遠征に赴くわけで、セントサイモン系1本のエピファネイアは、時代の寵児といえばそうなのだが、あのエルコンドルパサーでさえ、リボーとハイぺリオンの孫を父母の母母父に持っていた。 日本の血統馬に、濃密な主流系統同士のクロスが掛かった馬が増えてきたが、常識的には底力不足を露呈しても不思議ではないとも言える。
>> 最新・血統セミナー 目次
* * * * *