他人に言えない「予想会社」という仕事
■いいところは、たくさんあるが…
これまでに勤めてきた会社に比べれば、競馬予想会社の仕事は楽でした。さらにこの仕事のいいところは、
- 社内で堂々と競馬の話ができる。
- 裏情報が入る。
- 土日は仕事としてウインズに行ける。
- 社内POG(ペーパーオーナーゲーム)がある。
- 月曜日から競馬ブックで検討会(仕事の合間)。
まさに「週末のロマン」が月曜日から始まるこの会社が気に入っていました。
しかし親には転職したということ以外、詳しい仕事内容について話すことはありませんでした。恥ずかしいわけでも、まして疚しい(やましい)というわけでもありませんでしたが、「そんな仕事辞めなさい」などと言われたら面倒だったからです。
JRAがテレビCMを流したからか、鉄火場と呼ばれた競馬場にカップルが足を運び、ファミリーがピクニックに訪れました。競馬はスポーツといわれるようにもなりましたが(いまだに意味が分かりませんが)、馬券はギャンブルだし、横領事件が起これば、犯人は「全部、競馬で使った」などと自供しちゃいます。なので特に競馬をやらない人々には、どんな目で見られるか分からないので、すすんで自分の仕事を語ることはありませんでした。
■「悪徳」だと決め付けた刑事さん
ある夏の日、実家に電話がかかってきました。それは留守中の私にかかってきた電話で、折り返し連絡をほしいとのことでした。メモには個人名と電話番号が書いてありました。電話番号の下3ケタが110だったので分かってはいましたが、やはりそれは都内の某警察署からのものでした。
今の会社に入る前に務めていた会社がつぶれる際に上層部が起こした、ある事件について話を聞きたいとのこと。後日警察署に行くと、厳しい取調べが行われました。取調べの最後に、今はどんな仕事をしているのか?と刑事さんい聞かれた際は適当にごまかすわけにもいかず正直に伝えたところ、「またそんな仕事をしているのか、もっとまともな仕事見つけろよ」と言われました。
いわゆる「悪徳」と呼ばれるような競馬予想会社ならそう言われても仕方ありません。しかしちょっとばかり会員さんに損をさせている点を除いて、私が勤めていた競馬予想会社は努力を怠らない優良な会社でした。
ちなみに取り調べの際、カツ丼は出てきませんでした。
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